山本陽子さんの熱海移住から学ぶ別荘選びのヒント
女優・山本陽子さんが東京から熱海のマンションに移住し、人生の最終章を過ごされた事例は、別荘・セカンドハウスを検討する方にとって示唆に富んでいます。
この記事では、山本陽子さんの熱海移住の事例をきっかけに、熱海エリアの不動産市場の特徴、リゾートマンション購入のメリットとリスク、維持費と税金を解説します。
熱海エリアの別荘・マンション購入を検討している方が、適切な判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 山本陽子さんは70歳で東京から熱海のマンション(43坪、温泉付き)に移住し、約7年間暮らした
- 熱海のリゾートマンションは格安(300万円以下)で購入できるが、年間維持費が100万円近くかかる
- 管理費・修繕積立金が月3-4万円、固定資産税・保険・別荘税も負担が必要
- 居住率が約35%と低く、管理組合の機能不全リスクがある
- 売却が困難なため「終の棲家」として購入するか、相続人が維持できるか検討が必要
(1) 70歳で東京から熱海のマンション(43坪、温泉付き)に移住
婦人公論の記事によると、女優・山本陽子さんは70歳で東京から熱海のマンションに移住し、2024年2月に急性心不全で逝去されるまで約7年間、熱海で暮らしていました。
山本陽子さんの熱海マンションの特徴:
- 広さ:43坪(約142㎡)
- 温泉付き
- 東京からのアクセス:新幹線で45分
山本陽子さんは「第二の人生を楽しむために」熱海移住を選択し、広い空間と温泉のある生活を実現されました。
(2) 著名人の別荘選びのポイント(プライバシーに配慮)
著名人が別荘地を選ぶ際は、プライバシーが保たれやすい環境が重視される傾向があります。
別荘選びのポイント:
- 東京からのアクセスの良さ(新幹線・高速道路)
- 温泉や自然環境の豊かさ
- マンション管理体制の充実
- 周辺の生活利便施設(スーパー、病院等)
熱海エリアの不動産市場の特徴と魅力
(1) 東京から新幹線で45分のアクセスの良さ
熱海は東京駅から新幹線で約45分、東海道本線の普通列車でも約2時間とアクセスが良好です。
アクセスの目安:
| 交通手段 | 所要時間 | 料金の目安 |
|---|---|---|
| 新幹線(東京駅〜熱海駅) | 約45分 | 約4,000円 |
| 東海道本線(普通列車) | 約2時間 | 約2,000円 |
| 自動車(東名高速経由) | 約1.5-2時間 | 高速料金約2,500円 |
週末や休暇に気軽に訪れることができ、セカンドハウスとしての利用に適しています。
(2) 温泉地・リゾート地としての歴史と魅力
熱海は明治時代から温泉リゾート地として発展してきた歴史ある観光地です。
熱海の魅力:
- 源泉かけ流しの温泉
- 海と山に囲まれた自然環境
- 花火大会・温泉街などの観光資源
- 新鮮な海産物や地元の食文化
温泉付きのリゾートマンションも多く、日常的に温泉を楽しめる環境が整っています。
(3) 格安物件(300万円以下)が多い理由
ESSE onlineによると、熱海のリゾートマンションは300万円以下の格安物件が多数存在します。
格安物件が多い理由:
- 高額な維持費(年間100万円近く)
- 管理組合の機能不全リスク
- 居住率の低さ(熱海市内のマンション居住率は約35%)
- 売却困難(買い手がつきにくい)
購入価格が安くても、長期的な維持費負担を十分に考慮する必要があります。
熱海のリゾートマンション購入のメリット
(1) 温泉付き物件が多数(大浴場・共用施設が充実)
リゾートマンションは、大浴場・プール・テニスコート等の共用施設が充実しています。
共用施設の例:
- 源泉かけ流しの大浴場
- 温水プール
- テニスコート
- フィットネスジム
- レストラン・ラウンジ
日常的にリゾートホテルのような施設を利用できるのが魅力です。
(2) 東京の賃貸より安い価格で広い物件が手に入る
東京都心の賃貸マンション(1LDK、40㎡)の家賃が月15-20万円であるのに対し、熱海のリゾートマンションは300万円程度で購入できる物件があります。
価格比較の例:
| 項目 | 東京都心(賃貸) | 熱海(購入) |
|---|---|---|
| 価格・家賃 | 月15-20万円 | 購入300万円 |
| 広さ | 40㎡(1LDK) | 50-70㎡(2LDK以上) |
| 設備 | 通常設備 | 温泉・共用施設付き |
ただし、熱海の場合は購入後の維持費(年間約100万円)が発生する点に注意が必要です。
(3) セカンドハウスとしての活用可能性
週末や休暇に定期的に居住する「セカンドハウス」として届け出ることで、固定資産税の軽減措置を受けられます。
セカンドハウスの要件:
- 月1回以上の定期的な利用
- 生活の拠点の一つとして使用
セカンドハウスとして認定されれば、土地の固定資産税が200㎡まで1/6に軽減されます。
購入前に確認すべきリスクと注意点
(1) 管理組合の財務状況と機能不全リスク(居住率35%)
熱海市内のマンション居住率は約35%(14,906戸中5,199戸)と低く、管理組合が機能不全に陥るリスクが高い状況です。
確認すべきポイント:
| 項目 | 確認方法 | リスク |
|---|---|---|
| 管理費滞納状況 | 総会資料で確認 | 滞納が多いと修繕資金不足 |
| 修繕積立金残高 | 総会資料で確認 | 残高不足で大規模修繕不可 |
| 大規模修繕実施状況 | 長期修繕計画を確認 | 未実施だと資産価値下落 |
| 居住率 | 管理組合に問い合わせ | 低いと管理組合機能不全 |
リノデュースによると、管理組合の財務状況確認が最重要とされています。
(2) 売却が困難(何年もかかる可能性)
三井不動産レジデンシャルによると、リゾートマンションは買い手がつきにくく、売却に何年もかかることがあります。
売却困難の実例:
- 181戸のマンションで10戸以上が「1円でも売れない」
- 売却まで3-5年かかる事例も
購入時は「終の棲家」として考え、相続人が維持できるかも検討が必要です。
(3) 管理規約の確認(永住制限・リフォーム制限の有無)
管理規約で以下の制限が設けられていないか、事前確認が必要です。
確認すべき規約:
- 永住制限(「別荘利用のみ」との規約がないか)
- リフォーム制限(間取り変更・設備交換の可否)
- ペット飼育制限
- 賃貸転用の可否
規約違反が発覚すると、退去を求められる可能性があります。
(4) 高齢者の移動問題(傾斜地が多い)
熱海市は傾斜地が多く(市域の55.8%が斜面市街地)、高齢になると徒歩や自転車での移動が困難になる可能性があります。
移動の課題:
- 坂道が多く、徒歩での買い物が困難
- バスの本数が少ない地域もある
- 自家用車の運転が必須の地域も
物件選びの際は、平坦な土地や駅・バス停に近い立地を優先することが推奨されます。
熱海マンションの維持費と税金(2024年版)
(1) 管理費・修繕積立金(月3-4万円)
マンション管理士の解説によると、リゾートマンションの管理費は一般マンションの4倍(25㎡で月2万円)がかかることもあります。
管理費・修繕積立金の目安:
| 項目 | 目安額(月額) | 年額 |
|---|---|---|
| 管理費 | 2万円-3万円 | 24万円-36万円 |
| 修繕積立金 | 1万円-2万円 | 12万円-24万円 |
| 合計 | 3万円-5万円 | 36万円-60万円 |
2024年は物価高により管理会社や関連業者が値上げを提案している状況です。
(2) 固定資産税と別荘税(セカンドハウスとの違い)
LIFULL HOME'Sによると、別荘とセカンドハウスでは税制上の扱いが異なります。
固定資産税の違い:
| 区分 | 土地の軽減措置 | 別荘税 |
|---|---|---|
| セカンドハウス | 200㎡まで1/6 | なし |
| 別荘 | なし | 自治体により課税あり |
セカンドハウスの要件:
- 月1回以上の定期的な利用
- 生活の拠点の一つとして使用
別荘として扱われる場合、軽減措置が適用されず、熱海市等では別荘税も課される可能性があります。
(3) 年間維持費の総額(約100万円の試算)
熱海のリゾートマンション(50㎡)を所有した場合の年間維持費の試算です。
年間維持費の内訳:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 管理費 | 36万円(月3万円) |
| 修繕積立金 | 24万円(月2万円) |
| 固定資産税 | 15万円-20万円 |
| 火災保険 | 2万円-3万円 |
| 別荘税(該当する場合) | 5万円-10万円 |
| 水道光熱費(月1回利用) | 5万円-10万円 |
| 合計 | 約87万円-103万円 |
購入価格が300万円でも、年間約100万円の維持費が発生することを想定する必要があります。
まとめ:熱海マンション購入は「終の棲家」としての覚悟が必要
山本陽子さんの熱海移住の事例は、別荘・セカンドハウスとしての熱海マンションの魅力を示しています。温泉付き、広い空間、東京からのアクセスの良さは大きな利点です。
一方で、熱海のリゾートマンションは格安(300万円以下)で購入できるものの、年間維持費が約100万円近くかかり、売却が困難という課題があります。
管理組合の財務状況(総会資料)を必ず確認し、滞納状況や修繕積立金の残高、大規模修繕の実施状況を把握してください。居住率が低いと管理組合が機能不全に陥るリスクがあります。
購入時は「終の棲家」として考え、相続人が維持できるかも検討が必要です。契約前には、宅地建物取引士や税理士など専門家への相談を強く推奨します。
