東京で中古戸建てを購入する前に知っておくべきこと
東京で中古戸建ての購入を検討する際、「新築より中古が良いと思うが、エリア選びや予算で迷っている」「築年数や耐震性が不安」と感じる方は多いでしょう。
この記事では、東京の中古戸建て価格相場(23区内・23区外・多摩地区)、新築との価格差、築年数別の注意点、インスペクション(建物状況調査)、リフォーム費用の目安を、国土交通省の公式情報を元に解説します。
購入前の失敗しないチェックポイントを理解し、総予算(物件価格+リフォーム費用)を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 東京の中古戸建て平均価格は23区内5000-8000万円、23区外3000-5000万円、多摩地区2000-4000万円
- 新築との価格差は2-3割安(例:新築7000万円なら中古5000万円前後)
- 築20年以上は旧耐震の可能性(1981年5月以前は旧基準)、耐震診断が必須
- インスペクション(5-10万円)で構造・雨漏り・設備の劣化状況を把握できる
- リフォーム費用は100-500万円が目安(耐震・配管・外壁が優先)
東京の中古戸建て市場の現状と新築との価格差
東京の中古戸建て平均価格(23区内・23区外・多摩地区)
東京の中古戸建て平均価格(2024年データ)は、エリアにより大きく異なります。
| エリア | 平均価格 | 特徴 | 
|---|---|---|
| 23区内 | 5000-8000万円 | 交通便利・資産価値高い・価格高め | 
| 23区外(都下) | 3000-5000万円 | 都心へのアクセスやや劣るが広い土地・価格抑えめ | 
| 多摩地区 | 2000-4000万円 | 自然豊か・都心から遠い・車必須 | 
(出典: 国土交通省不動産取引価格情報)
新築との価格差(2-3割安が目安)
中古戸建ては、新築戸建てと比較して2-3割安が目安です。
- 新築戸建て: 7000万円
- 中古戸建て: 5000万円前後(約3割安)
新築より安価で、立地の選択肢が広いことが中古戸建ての魅力です。
中古戸建てのメリット・デメリット
中古戸建てのメリット・デメリットは、以下の通りです。
メリット:
- 価格が安い: 新築より2-3割安
- 実物を確認できる: 日当たり・周辺環境を事前に確認可能
- リフォームで自由にカスタマイズ: 自分好みの間取り・設備に変更可能
デメリット:
- 築年数による劣化: 設備・配管の老朽化
- 旧耐震の可能性: 築40年超は旧耐震基準(1981年5月以前)
- リフォーム費用が追加: 100-500万円が目安
予算重視なら中古、最新設備・保証重視なら新築、築浅中古(築5-10年)は両方の良さを兼ねる選択肢です。
エリア別の価格相場と選び方
23区内(人気エリア:世田谷・杉並・練馬・大田)
23区内の中古戸建ては、価格5000-8000万円が目安です。
人気エリア:
- 世田谷区: 閑静な住宅街として知られ、教育環境が充実
- 杉並区: 緑が多くファミリー層に人気のエリアです
- 練馬区: 公園が多い、比較的手頃な価格
- 大田区: 羽田空港に近い、利便性が高い
交通が便利で資産価値が高い反面、価格が高めです。
23区外(立川・八王子・町田・府中)
23区外の中古戸建ては、価格3000-5000万円が目安です。
主要エリア:
- 立川市: 多摩地区の中心、商業施設が充実
- 八王子市: 自然豊か、価格抑えめ
- 町田市: 神奈川県に近い、交通便利
- 府中市: 都心へのアクセス良好
都心へのアクセスはやや劣りますが、広い土地・価格抑えめが魅力です。
多摩地区(青梅・あきる野・奥多摩)
多摩地区の中古戸建ては、価格2000-4000万円が目安です。
主要エリア:
- 青梅市: 自然豊か、価格が安い
- あきる野市: のどかな環境、車必須
- 奥多摩町: 山間部、都心から遠い
自然豊かで価格が安い反面、都心から遠く車が必須です。
選択基準:通勤時間・予算・広さ・資産価値を総合的に判断してください。
築年数別の注意点と耐震性の確認
築20年以上:旧耐震の可能性(1981年5月以前は旧基準)
築20年以上の中古戸建ては、旧耐震基準の可能性があります。
- 旧耐震基準: 1981年5月31日以前の建築確認、震度5強程度で倒壊しない基準
- 新耐震基準: 1981年6月1日以降の建築確認、震度6強-7でも倒壊しない設計
築40年超(1984年以前)の物件は、旧耐震基準の可能性が高いため、耐震診断(10-20万円)が必須です。
築30年超:配管・設備劣化(給排水管・電気配線)
築30年超の中古戸建ては、配管・設備の劣化が顕著です。
主な劣化箇所:
- 給排水管: 錆・詰まり(一般的なリフォーム費用は50-150万円)
- 電気配線: 劣化・容量不足(一般的なリフォーム費用は30-100万円)
- 断熱性能: 低い(一般的なリフォーム費用は100-300万円)
築30年超の物件は、リフォーム前提で購入し、総予算を計算してください。
新耐震基準と旧耐震基準の違い
新耐震基準と旧耐震基準の違いは、以下の通りです。
| 項目 | 旧耐震基準 | 新耐震基準 | 
|---|---|---|
| 適用時期 | 1981年5月31日以前 | 1981年6月1日以降 | 
| 耐震性能 | 震度5強程度で倒壊しない | 震度6強-7でも倒壊しない | 
| 住宅ローン控除 | 耐震基準適合証明書が必要 | 適用可能 | 
(出典: 国土交通省)
旧耐震物件は、耐震診断(10-20万円)と耐震補強工事(100-300万円)が必要な場合があります。総費用が高額になる場合は、新耐震物件を選ぶ方が無難です。
インスペクション(建物状況調査)の重要性
インスペクションとは?(既存住宅状況調査)
インスペクション(既存住宅状況調査)は、国土交通省が定める建物の劣化状況を調べる調査です。
宅建業法改正により、2018年4月から告知義務化されました。
調査内容(構造・雨漏り・給排水設備等)
調査内容は、以下の通りです。
- 構造耐力上主要な部分: 基礎・壁・柱等の劣化・破損
- 雨漏り・水漏れの痕跡: 天井・壁のシミ等
- 給排水設備: 配管の劣化・破損・漏水
費用相場(5-10万円)と実施タイミング
費用相場は5-10万円、所要時間は2-3時間です。
実施タイミング:
- 契約前: 購入判断の材料として
- 契約後・引渡前: 引渡前の最終確認として
インスペクション実施で、既存住宅売買瑕疵保険に加入可能(引渡後のトラブルに備える)です。
強く推奨:費用5-10万円で構造・雨漏り・設備の劣化状況を把握でき、引渡後のトラブルを防げます。
リフォーム費用の目安と優先順位
必須リフォーム(耐震補強・給排水管交換・外壁塗装)
必須リフォームは、以下の3つです。
- 耐震補強(旧耐震の場合): 一般的なリフォーム費用の目安は100-300万円
- 給排水管交換(築30年超): 一般的なリフォーム費用の目安は50-150万円
- 外壁塗装(築15年超): 一般的なリフォーム費用の目安は80-150万円
安全性・居住性を確保するため、優先的に実施してください。
推奨リフォーム(断熱改修・設備交換・間取り変更)
推奨リフォームは、以下の3つです。
- 断熱改修(窓・壁・床): 100-300万円
- 設備交換(キッチン・浴室・トイレ): 100-300万円
- 間取り変更(壁撤去・増設): 50-200万円
快適性・デザイン性を向上させるため、予算に応じて実施してください。
費用相場(100-500万円が目安)
総費用は100-500万円が目安です。
- 築浅中古(築5-10年): 100-200万円(設備交換・外壁塗装程度)
- 築古中古(築20-30年): 200-400万円(耐震補強・配管交換・設備交換)
- 大規模リフォーム(築30年超): 400-500万円(全面リフォーム)
物件価格に上乗せして、総予算を計算してください。
まとめ:東京の中古戸建ては築年数・エリア・リフォーム費用を総合判断
東京の中古戸建ては、新築より2-3割安く、実物確認・カスタマイズが魅力です。
エリア別相場(23区内5000-8000万円、23区外3000-5000万円、多摩2000-4000万円)を参考に予算を設定し、築年数別の注意点(旧耐震・配管劣化)を確認してください。インスペクション(5-10万円)で劣化状況を把握し、リフォーム費用(100-500万円)を物件価格に上乗せして総予算を計算しましょう。
次のアクション:ハザードマップで災害リスクを確認し、耐震診断・インスペクションを実施し、複数のリフォーム業者から見積もりを取得してください。不明点は不動産会社・建築士に相談し、総合的な判断を行いましょう。
