東京の中古戸建て購入ガイド|価格相場とチェックポイント

公開日: 2025/10/27

東京で中古戸建てを購入する前に知っておくべきこと

東京で中古戸建ての購入を検討する際、「新築より中古が良いと思うが、エリア選びや予算で迷っている」「築年数や耐震性が不安」と感じる方は多いでしょう。

この記事では、東京の中古戸建て価格相場(23区内・23区外・多摩地区)、新築との価格差、築年数別の注意点、インスペクション(建物状況調査)、リフォーム費用の目安を、国土交通省の公式情報を元に解説します。

購入前の失敗しないチェックポイントを理解し、総予算(物件価格+リフォーム費用)を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 東京の中古戸建て平均価格は23区内5000-8000万円、23区外3000-5000万円、多摩地区2000-4000万円
  • 新築との価格差は2-3割安(例:新築7000万円なら中古5000万円前後)
  • 築20年以上は旧耐震の可能性(1981年5月以前は旧基準)、耐震診断が必須
  • インスペクション(5-10万円)で構造・雨漏り・設備の劣化状況を把握できる
  • リフォーム費用は100-500万円が目安(耐震・配管・外壁が優先)

東京の中古戸建て市場の現状と新築との価格差

東京の中古戸建て平均価格(23区内・23区外・多摩地区)

東京の中古戸建て平均価格(2024年データ)は、エリアにより大きく異なります。

エリア 平均価格 特徴
23区内 5000-8000万円 交通便利・資産価値高い・価格高め
23区外(都下) 3000-5000万円 都心へのアクセスやや劣るが広い土地・価格抑えめ
多摩地区 2000-4000万円 自然豊か・都心から遠い・車必須

(出典: 国土交通省不動産取引価格情報

新築との価格差(2-3割安が目安)

中古戸建ては、新築戸建てと比較して2-3割安が目安です。

  • 新築戸建て: 7000万円
  • 中古戸建て: 5000万円前後(約3割安)

新築より安価で、立地の選択肢が広いことが中古戸建ての魅力です。

中古戸建てのメリット・デメリット

中古戸建てのメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット:

  • 価格が安い: 新築より2-3割安
  • 実物を確認できる: 日当たり・周辺環境を事前に確認可能
  • リフォームで自由にカスタマイズ: 自分好みの間取り・設備に変更可能

デメリット:

  • 築年数による劣化: 設備・配管の老朽化
  • 旧耐震の可能性: 築40年超は旧耐震基準(1981年5月以前)
  • リフォーム費用が追加: 100-500万円が目安

予算重視なら中古、最新設備・保証重視なら新築、築浅中古(築5-10年)は両方の良さを兼ねる選択肢です。

エリア別の価格相場と選び方

23区内(人気エリア:世田谷・杉並・練馬・大田)

23区内の中古戸建ては、価格5000-8000万円が目安です。

人気エリア:

  • 世田谷区: 閑静な住宅街として知られ、教育環境が充実
  • 杉並区: 緑が多くファミリー層に人気のエリアです
  • 練馬区: 公園が多い、比較的手頃な価格
  • 大田区: 羽田空港に近い、利便性が高い

交通が便利で資産価値が高い反面、価格が高めです。

23区外(立川・八王子・町田・府中)

23区外の中古戸建ては、価格3000-5000万円が目安です。

主要エリア:

  • 立川市: 多摩地区の中心、商業施設が充実
  • 八王子市: 自然豊か、価格抑えめ
  • 町田市: 神奈川県に近い、交通便利
  • 府中市: 都心へのアクセス良好

都心へのアクセスはやや劣りますが、広い土地・価格抑えめが魅力です。

多摩地区(青梅・あきる野・奥多摩)

多摩地区の中古戸建ては、価格2000-4000万円が目安です。

主要エリア:

  • 青梅市: 自然豊か、価格が安い
  • あきる野市: のどかな環境、車必須
  • 奥多摩町: 山間部、都心から遠い

自然豊かで価格が安い反面、都心から遠く車が必須です。

選択基準:通勤時間・予算・広さ・資産価値を総合的に判断してください。

築年数別の注意点と耐震性の確認

築20年以上:旧耐震の可能性(1981年5月以前は旧基準)

築20年以上の中古戸建ては、旧耐震基準の可能性があります。

  • 旧耐震基準: 1981年5月31日以前の建築確認、震度5強程度で倒壊しない基準
  • 新耐震基準: 1981年6月1日以降の建築確認、震度6強-7でも倒壊しない設計

築40年超(1984年以前)の物件は、旧耐震基準の可能性が高いため、耐震診断(10-20万円)が必須です。

築30年超:配管・設備劣化(給排水管・電気配線)

築30年超の中古戸建ては、配管・設備の劣化が顕著です。

主な劣化箇所:

  • 給排水管: 錆・詰まり(一般的なリフォーム費用は50-150万円)
  • 電気配線: 劣化・容量不足(一般的なリフォーム費用は30-100万円)
  • 断熱性能: 低い(一般的なリフォーム費用は100-300万円)

築30年超の物件は、リフォーム前提で購入し、総予算を計算してください。

新耐震基準と旧耐震基準の違い

新耐震基準と旧耐震基準の違いは、以下の通りです。

項目 旧耐震基準 新耐震基準
適用時期 1981年5月31日以前 1981年6月1日以降
耐震性能 震度5強程度で倒壊しない 震度6強-7でも倒壊しない
住宅ローン控除 耐震基準適合証明書が必要 適用可能

(出典: 国土交通省

旧耐震物件は、耐震診断(10-20万円)と耐震補強工事(100-300万円)が必要な場合があります。総費用が高額になる場合は、新耐震物件を選ぶ方が無難です。

インスペクション(建物状況調査)の重要性

インスペクションとは?(既存住宅状況調査)

インスペクション(既存住宅状況調査)は、国土交通省が定める建物の劣化状況を調べる調査です。

宅建業法改正により、2018年4月から告知義務化されました。

調査内容(構造・雨漏り・給排水設備等)

調査内容は、以下の通りです。

  • 構造耐力上主要な部分: 基礎・壁・柱等の劣化・破損
  • 雨漏り・水漏れの痕跡: 天井・壁のシミ等
  • 給排水設備: 配管の劣化・破損・漏水

費用相場(5-10万円)と実施タイミング

費用相場は5-10万円、所要時間は2-3時間です。

実施タイミング:

  • 契約前: 購入判断の材料として
  • 契約後・引渡前: 引渡前の最終確認として

インスペクション実施で、既存住宅売買瑕疵保険に加入可能(引渡後のトラブルに備える)です。

強く推奨:費用5-10万円で構造・雨漏り・設備の劣化状況を把握でき、引渡後のトラブルを防げます。

リフォーム費用の目安と優先順位

必須リフォーム(耐震補強・給排水管交換・外壁塗装)

必須リフォームは、以下の3つです。

  1. 耐震補強(旧耐震の場合): 一般的なリフォーム費用の目安は100-300万円
  2. 給排水管交換(築30年超): 一般的なリフォーム費用の目安は50-150万円
  3. 外壁塗装(築15年超): 一般的なリフォーム費用の目安は80-150万円

安全性・居住性を確保するため、優先的に実施してください。

推奨リフォーム(断熱改修・設備交換・間取り変更)

推奨リフォームは、以下の3つです。

  1. 断熱改修(窓・壁・床): 100-300万円
  2. 設備交換(キッチン・浴室・トイレ): 100-300万円
  3. 間取り変更(壁撤去・増設): 50-200万円

快適性・デザイン性を向上させるため、予算に応じて実施してください。

費用相場(100-500万円が目安)

総費用は100-500万円が目安です。

  • 築浅中古(築5-10年): 100-200万円(設備交換・外壁塗装程度)
  • 築古中古(築20-30年): 200-400万円(耐震補強・配管交換・設備交換)
  • 大規模リフォーム(築30年超): 400-500万円(全面リフォーム)

物件価格に上乗せして、総予算を計算してください。

まとめ:東京の中古戸建ては築年数・エリア・リフォーム費用を総合判断

東京の中古戸建ては、新築より2-3割安く、実物確認・カスタマイズが魅力です。

エリア別相場(23区内5000-8000万円、23区外3000-5000万円、多摩2000-4000万円)を参考に予算を設定し、築年数別の注意点(旧耐震・配管劣化)を確認してください。インスペクション(5-10万円)で劣化状況を把握し、リフォーム費用(100-500万円)を物件価格に上乗せして総予算を計算しましょう。

次のアクション:ハザードマップで災害リスクを確認し、耐震診断・インスペクションを実施し、複数のリフォーム業者から見積もりを取得してください。不明点は不動産会社・建築士に相談し、総合的な判断を行いましょう。

よくある質問

Q1中古戸建てと新築戸建て、どちらを選ぶべきですか?

A1予算重視なら中古(新築より2-3割安)、実物確認・リフォーム自由度も魅力です。最新設備・保証重視なら新築が良いでしょう。築浅中古(築5-10年)は両方の良さを兼ねる選択肢です。総予算(物件価格+リフォーム費用)を計算し、ライフスタイルに合った選択をしてください。

Q2旧耐震基準の物件は避けるべきですか?

A2一概に否定はできません。耐震診断(10-20万円)と耐震補強工事(100-300万円)で新耐震基準相当にできます。ただし、総費用が高額になる場合は新耐震物件を選ぶ方が無難です。耐震基準適合証明書があれば、住宅ローン控除も適用可能です。

Q3インスペクションは必ず実施すべきですか?

A3強く推奨します。費用5-10万円で構造・雨漏り・設備の劣化状況を把握でき、引渡後のトラブルを防げます。既存住宅売買瑕疵保険に加入する場合は必須です。購入前(契約前または契約後・引渡前)に実施し、劣化状況を正確に把握してください。

Q4リフォーム費用はどのくらい見積もるべきですか?

A4築年数・劣化状況により異なりますが、100-500万円が目安です。必須リフォーム(耐震・配管・外壁)を優先し、推奨リフォーム(断熱・設備・間取り)は予算に応じて実施してください。複数のリフォーム業者から見積もりを取得し、総予算を正確に計算することが重要です。