不動産売買手数料はいくら?仲介手数料の計算方法・上限・値引き交渉を解説

公開日: 2025/10/27

不動産売買の仲介手数料とは

不動産を売買する際、「仲介手数料がいくらかかるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、仲介手数料の計算方法、上限、支払い時期、値引き交渉の可否について、国土交通省等の公的機関の情報を元に解説します。

初めて不動産を売買する方でも、仲介手数料の仕組みを正確に理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 仲介手数料は不動産会社への報酬で、成功報酬のため契約不成立の場合は支払い不要
  • 400万円超の物件は「売買価格×3%+6万円+消費税」が上限
  • 上限を超える請求は宅地建物取引業法違反
  • 値引き交渉は可能だが、過度な交渉は営業意欲低下のリスクがある

仲介手数料は、不動産会社に支払う報酬です。国土交通省によると、宅地建物取引業法で上限が定められており、上限を超える請求は違法です。

仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立したときのみ発生します。契約不成立の場合は支払い不要です。

また、仲介以外の費用(広告費・写真撮影費等)を別途請求するのも原則違反です。契約前に媒介契約書を確認し、不明点は不動産会社に質問しましょう。

仲介手数料の計算方法・上限

仲介手数料の計算方法は、売買価格によって3パターンに分かれます。

400万円超の計算式(売買価格×3%+6万円+消費税)

国土交通省によると、400万円超の物件の仲介手数料は以下の計算式で求められます。

仲介手数料 = 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

これは上限であり、これ以上請求されることはありません。

200万円以下・200-400万円の計算式

売買価格が200万円以下、200-400万円の場合は、以下の計算式を使います。

売買価格 計算式
200万円以下 売買価格 × 5% + 消費税
200万円超400万円以下 売買価格 × 4% + 2万円 + 消費税
400万円超 売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

800万円以下の特例(上限33万円)

2024年7月の報酬規定改正により、800万円以下の物件は特例で上限が30万円+税(33万円)に引き上げられました。ただし、この特例は売主・買主双方の合意が必要で、一方的に請求されることはありません。

計算例

以下の具体例で、仲介手数料を計算してみましょう。

例1: 3000万円の物件

3000万円 × 3% + 6万円 = 96万円
消費税10%を加えると 105.6万円

例2: 5000万円の物件

5000万円 × 3% + 6万円 = 156万円
消費税10%を加えると 171.6万円

例3: 300万円の物件

300万円 × 4% + 2万円 = 14万円
消費税10%を加えると 15.4万円

仲介手数料の支払い時期・方法

仲介手数料の支払い時期は、契約時50%・決済時50%が一般的です。ただし、金融機関や不動産会社により異なる場合があります。

契約時50%・決済時50%が一般的

多くの不動産会社では、売買契約時に50%、決済(引き渡し)時に残り50%を支払う形式をとっています。これにより、契約後に決済が進まない場合のリスクを分散できます。

契約解除時の扱い

契約解除時の仲介手数料の扱いは、媒介契約書に記載されています。契約前に必ず確認しましょう。

一般的には、以下の通りです。

  • 契約成立前の解除: 支払い不要
  • 契約成立後の解除: 支払い義務が発生(契約書の条件による)

仲介手数料の値引き交渉

仲介手数料は、法律上は上限のみが定められており、下限はありません。そのため、値引き交渉は可能です。

値引き交渉の可否

SUUMOによると、法律上は上限規制のみで下限なし、交渉可能です。ただし、応じるかは不動産会社次第です。

手数料無料・半額の仕組み

一部の不動産会社では、仲介手数料が無料または半額になるプランを提供しています。これは以下の仕組みによるものです。

  • 両手仲介: 売主・買主双方から手数料を受け取る取引形態。片方を無料・半額にしても利益を確保できる
  • 広告費削減: インターネット広告に特化し、チラシ等の費用を削減

メリット(コスト削減)がある一方、デメリット(営業意欲低下の可能性、利益相反リスク)もあるため、契約前に仕組みを確認しましょう。

値引き交渉の注意点

過度な値引き交渉は、不動産会社の営業意欲が低下し、売却活動が疎かになるリスクがあります。適切な範囲で交渉することをおすすめします。

仲介手数料に関する注意点

仲介手数料に関する注意点を整理します。

上限を超える請求は違法

宅地建物取引業法により、仲介手数料の上限が定められています。上限を超える請求は違法です。広告費・写真撮影費等を別途請求するのも原則違反です。

不当な請求を受けた場合は、都道府県の宅地建物取引業法担当部署に相談しましょう。

囲い込み(2025年から規制強化)

囲い込みとは、両手仲介目的で他社への物件情報提供を拒否する行為です。2025年から宅建業法通達改正により、是正指示処分の対象となります。

囲い込みされると、売却機会を失う可能性があります。不動産会社を選ぶ際は、囲い込みをしない会社を選ぶことをおすすめします。

両手仲介の利益相反リスク

両手仲介は、売主・買主双方から手数料を受け取るため、不動産会社の利益は2倍になります。しかし、売主と買主の利益が対立する場合、公平性が損なわれる可能性があります。

媒介契約を結ぶ際は、両手仲介の有無を確認し、利益相反リスクを理解した上で契約しましょう。

まとめ

仲介手数料は、売買価格の3%+6万円+消費税が上限です。成功報酬のため、契約不成立の場合は支払い不要です。

値引き交渉は可能ですが、過度な交渉は営業意欲低下のリスクがあるため、適切な範囲で交渉しましょう。

契約前に媒介契約書を精査し、上限を超える請求や囲い込みに注意することをおすすめします。

よくある質問

Q13000万円の物件の仲介手数料はいくらですか?

A13000万円×3%+6万円=96万円です。消費税10%を加えると105.6万円になります。これが上限で、これ以上請求されることはありません。国土交通省の報酬規定により、400万円超の物件はこの計算式で求められます。値引き交渉により、上限より低い金額になる場合もあります。

Q2仲介手数料は値引き交渉できますか?

A2法律上は上限のみで下限なし、交渉可能です。ただし、応じるかは不動産会社次第です。過度な値引き交渉は、営業意欲が低下し、売却活動が疎かになるリスクがあります。適切な範囲で交渉し、不動産会社との信頼関係を維持することをおすすめします。

Q3手数料無料・半額の不動産会社は安全ですか?

A3両手仲介前提の場合が多く、売主・買主双方から手数料を受け取るため、片方を無料・半額にしても利益を確保できます。コスト削減のメリットがありますが、利益相反リスクや営業意欲低下の可能性もあります。契約前に仕組みを確認し、メリット・デメリットを理解した上で選びましょう。

Q4契約解除したら仲介手数料はどうなりますか?

A4媒介契約書に記載された条件に従います。一般的には、契約成立前の解除は支払い不要、契約成立後は支払い義務が発生します。ただし、契約解除の理由や時期により異なるため、契約前に媒介契約書を精査し、不明点は不動産会社に確認することをおすすめします。