不動産価格は今後下がる?2025年最新の市場動向
不動産の購入や売却を検討する際、「今の高騰は続くのか」「価格は下がるのか」という疑問を持つ方は少なくありません。不動産価格は単一要因で決まらず、金利・人口動態・インフレ・供給量等の複合要因で変動します。
この記事では、2025年最新の不動産価格動向、価格変動要因、専門家の見解、売買タイミングの判断基準を、国土交通省や日本銀行の公式情報を元に解説します。
不動産市場の動きを理解し、自分に合った売買判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 2025年3月時点の不動産価格指数は148.6(前月比3.1%上昇)で高止まりが続いている
- 金利上昇(日銀の利上げ)・人口減少が下落要因、インフレ・都心部需要継続が上昇要因
- エリアにより二極化が進んでおり、都心部は横ばい~微増、地方は下落継続の見通し
- 2024年問題(建設業の働き方改革)により供給減少し、価格下支え要因となる可能性
- 売買タイミングは将来の価格予測ではなく、個々の事情(住み替え、資金計画)で判断すべき
現在の不動産価格の状況|2025年最新データで見る価格推移
国土交通省の不動産価格指数によると、2025年3月時点の住宅総合指数は148.6(2010年平均=100)で、前月比3.1%上昇しています。約30万件の実際の取引価格データを基にした公的指標で、不動産価格の高止まりが続いていることが分かります。
2025年最新の価格指数(国土交通省データ)
2025年3月公表の最新データによると、物件種別ごとの価格指数は以下の通りです。
| 物件種別 | 2025年3月指数 | 前月比 | 
|---|---|---|
| 住宅総合 | 148.6 | +3.1% | 
| マンション | 220.0 | +4.2% | 
| 戸建住宅 | 118.3 | +1.8% | 
| 土地 | 109.5 | +0.9% | 
(出典: 国土交通省)
マンション価格の上昇が顕著で、2010年と比べて2.2倍の水準に達しています。
物件種別ごとの価格推移
マンション価格は2020年以降急上昇しており、低金利政策・建設コスト高騰・都心部への人口集中が主な要因です。一方、戸建住宅・土地は緩やかな上昇にとどまっています。
不動産価格が上昇している要因|低金利・建設コスト・インフレ
現在の不動産価格上昇には、複数の要因が絡んでいます。
低金利政策の終了と金利上昇の影響
日銀は2024年3月にマイナス金利を解除し、2024年7月・2025年1月に利上げを実施しました。リビンマッチの分析によると、金利1%上昇で不動産価格は理論上20%下落する可能性がありますが、2025年時点では金利上昇幅が小さく、価格への影響は限定的です。
建設コスト高騰(資材・人件費)
建設資材価格の高騰(ウッドショック、鉄鋼価格上昇)と人件費の上昇により、新築物件の供給価格が上昇しています。これにより、中古物件の価格も押し上げられています。
都心部への人口集中とインフレヘッジ需要
リビンマッチの解説によると、人口減少下でも都心部への人口集中が続いており、東京・大阪等の大都市圏では需要が継続しています。また、インフレヘッジ(現物資産としての不動産需要)も価格上昇要因となっています。
今後価格が下落する可能性のある要因|金利上昇・人口減少・2024年問題
一方、今後の価格下落要因も存在します。
金利上昇による住宅ローン需要の減少
日銀の利上げにより、住宅ローン金利が上昇すれば、購入者の返済負担が増え、需要が減少する可能性があります。東急リバブルの分析によると、金利が1%上昇すれば、月額返済額が約2万円増加し、購入を見送る層が増えると予想されています。
人口減少と地方の空き家問題
総務省の人口統計によると、日本の総人口は減少を続けており、特に地方では空き家問題が深刻化しています。地方の不動産価格は下落圧力が強く、都心部との二極化が進んでいます。
2024年問題による供給減少と価格下支え
建設業の働き方改革により、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、住宅供給が減少する「2024年問題」が指摘されています。オウチーノの分析によると、供給減少は価格下支え要因となる可能性がありますが、需要減(金利上昇・人口減少)との兼ね合いで複合的に判断が必要です。
エリア別の価格動向|都心部と地方の二極化
不動産価格はエリアにより大きく異なります。
都心部(東京・大阪等):横ばい~微増
すまいステップの分析によると、都心部(東京23区、大阪市中心部等)は需要が継続しており、価格は横ばい~微増の見通しです。特に、駅近・再開発エリアは需要が強く、価格維持が予想されています。
地方都市・郊外:下落継続
地方都市や郊外は人口減少・空き家増加により、価格下落が続いています。特に、駅から遠い・築古物件は需要が減少しており、価格下落圧力が強い状況です。
人口減少下でも不動産価格が上昇する理由
リビンマッチの解説によると、人口減少下でも世帯数は増加しており(単身世帯・高齢者世帯の増加)、住宅需要を下支えしています。また、住宅解体(老朽化した住宅の取り壊し)により供給が減少し、価格を下支えする要因となっています。
専門家の見解と売買タイミングの判断|不確実性を踏まえた選択
不動産価格の将来予測は不確実性が高く、専門家の見解も分かれています。
専門家の見解:「都心部は横ばい~微減、地方は下落継続」
オウチーノの専門家インタビューによると、多くの専門家は「都心部は横ばい~微減、地方は下落継続」という見解を示しています。ただし、金利上昇幅や経済情勢により結果は大きく変わるため、確実な予測は不可能です。
売買タイミングの判断基準
将来の価格予測に基づいて売買タイミングを決めるのではなく、個々の事情(住み替え、資金計画、ライフイベント)で判断することが推奨されています。
- 購入検討中: 金利上昇リスクを理解し、返済計画に余裕を持つ
- 売却検討中: 現在の高値水準を活かし、早めの売却を検討
- 様子見: タイミングを待つより、自分のライフプランを優先
まとめ|不動産価格は複合要因で変動、個々の判断が重要
不動産価格は金利・人口動態・インフレ・供給量等の複合要因で変動し、エリアや物件種別により異なります。2025年3月時点の価格指数は148.6で高止まりが続いていますが、金利上昇・人口減少が下落要因、インフレ・都心部需要継続が上昇要因となっています。
都心部は横ばい~微増、地方は下落継続の見通しですが、確実な予測は不可能です。売買タイミングは将来の価格予測ではなく、個々の事情で判断しましょう。
信頼できる不動産会社や金融機関に相談しながら、自分に合った売買計画を立てることが重要です。
