新築一戸建て1000万円台は本体価格のみ、総額は1500〜2000万円が現実的
限られた予算で新築戸建てを建てたい方にとって、「1000万円台で何ができるのか」「どこまで妥協すべきか」は最大の関心事です。
この記事では、1000万円台の新築戸建ての間取り・仕様、総額の内訳、コストを抑える工夫を国土交通省の公式統計データを元に解説します。
総額と本体価格の違い、土地代の考え方も含め、現実的な予算計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 1000万円台は本体価格のみで、総額は付帯工事+諸費用を含め1,500万〜2,000万円が現実的
- 延床面積25〜35坪(2LDK〜3LDK)、シンプルな外観・標準的な設備仕様が目安
- コストを抑える工夫は、総2階建て、水回り集約、複雑な屋根形状を避けること
- 土地代は別途必要で、土地:建物=3:7または4:6が目安
新築一戸建て1000万円台の家づくりとは
「新築一戸建て1000万円」という広告を見て、「本当にこの金額で建つのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
本体価格と総額の違い
広告の「1000万円」は本体価格のみで、以下の費用が別途必要です。
| 費用項目 | 目安額 | 内容 |
|---|---|---|
| 本体価格 | 1,000万〜1,500万円 | 建物本体の工事費 |
| 付帯工事費 | 300万〜500万円 | 外構・給排水・電気・ガス工事 |
| 諸費用 | 200万〜300万円 | 登記・ローン手数料・保険 |
| 総額 | 1,500万〜2,000万円 | - |
国土交通省の建築工事費調査(令和5年)によると、木造住宅の1㎡あたり平均建築費は19.3万円(坪換算約64万円)です。
土地代は別途
上記の総額には土地代が含まれていません。土地代は地域により大きく異なりますが、一般的に土地:建物=3:7または4:6が目安です。
1000万円台で実現できる間取り・仕様
1000万円台(本体価格)で建てられる家の実例を紹介します。
延床面積と間取りの目安
本体価格1,000万〜1,500万円で建てられる延床面積は25〜35坪(2LDK〜3LDK)が目安です。
| 延床面積 | 間取り | 坪単価50万円 | 坪単価60万円 |
|---|---|---|---|
| 25坪 | 2LDK | 1,250万円 | 1,500万円 |
| 30坪 | 2LDK〜3LDK | 1,500万円 | 1,800万円 |
| 35坪 | 3LDK | 1,750万円 | 2,100万円 |
住まいのお役立ち情報によると、2025年最新の実例では、延床面積20坪の2階建て(2LDK)を本体価格1,000万円で建てた事例があります。
標準的な設備仕様
1000万円台の家は、標準グレードの設備を採用します。
水回り設備
- ユニットバス: 標準グレード(TOTO・LIXIL等の基本モデル)
- システムキッチン: 標準仕様(I型、標準的なワークトップ)
- トイレ: ウォシュレット付き標準モデル
- 洗面台: 標準グレード
内装・外装
- フローリング: 複合材(天然無垢材より安価)
- 壁紙: ビニールクロス
- 外壁: サイディング(標準色)
- 断熱材: 次世代省エネ基準レベル(断熱等性能等級4以上)
国土交通省によると、住宅性能を軽視すると「夏は暑く冬は寒い」家になるリスクがあるため、断熱性・気密性は最低限確保することが重要です。
コストを抑える工夫
1000万円台で建てるための工夫を紹介します。
間取りの工夫
- 総2階建て: 凹凸を減らしてシンプルな形状にすることで、建築コストを削減
- 水回り集約: キッチン・バス・トイレを1箇所にまとめることで、配管コストを削減
- 収納は最小限: ウォークインクローゼットを避け、通常のクローゼットにすることでスペースを有効活用
外観の工夫
- シンプルな外観: 複雑な屋根形状(寄棟・入母屋等)を避け、切妻屋根にすることでコスト削減
- 標準色の外壁: 特注色を避け、標準色のサイディングを選ぶ
本体価格・付帯工事費・諸費用の内訳
総額の内訳を詳しく解説します。
本体価格(1,000万〜1,500万円)
本体価格に含まれるのは、基礎・構造・外装・内装・設備等の建物本体工事費です。
含まれるもの
- 基礎工事
- 構造体工事(柱・梁・屋根等)
- 外装工事(外壁・屋根)
- 内装工事(壁紙・フローリング)
- 住宅設備(キッチン・バス・トイレ・洗面台の標準仕様)
含まれないもの
- 外構工事(駐車場・門扉・植栽)
- 地盤改良工事(地盤が軟弱な場合)
- 設備の追加(太陽光パネル、床暖房等)
付帯工事費(300万〜500万円)
付帯工事費は、建物本体以外の工事費です。総額の20%が目安です。
| 工事項目 | 目安額 |
|---|---|
| 外構工事 | 100万〜200万円 |
| 給排水工事 | 50万〜100万円 |
| 電気・ガス工事 | 50万〜100万円 |
| 地盤改良工事 | 50万〜150万円(必要な場合) |
| 合計 | 300万〜500万円 |
地盤改良工事は、地盤調査の結果により必要になる場合があります。
諸費用(200万〜300万円)
諸費用は、手続き費用・保険料等です。総額の10%が目安です。
| 費用項目 | 目安額 |
|---|---|
| 住宅ローン手数料 | 3万〜5万円 |
| 保証料 | 借入額の2%程度 |
| 登記費用(表題登記・保存登記) | 10万〜20万円 |
| 火災保険料(10年一括) | 30万〜50万円 |
| 印紙税 | 2万〜5万円 |
| 引越し代 | 10万〜20万円 |
| 合計 | 200万〜300万円 |
1000万円台の家を建てる際の注意点
1000万円台で家を建てる際の注意点を紹介します。
住宅性能を軽視しない
コストを抑えることに集中しすぎると、断熱性・気密性が低く「夏は暑く冬は寒い」家になるリスクがあります。
住宅金融支援機構の基準では、断熱等性能等級4以上(次世代省エネ基準レベル)を推奨しています。将来の光熱費を考えると、最低限の断熱性能は確保すべきです。
ローコスト住宅の選択肢
1000万円台で建てるには、ローコスト住宅(規格住宅)を検討する選択肢もあります。
規格住宅の特徴
- 間取り・設備仕様があらかじめパッケージ化
- 自由設計に比べて価格を抑えられる
- カスタマイズの自由度は低い
土地代を考慮した予算計画
土地代を無視した予算計画を立てると、総予算が破綻します。一般的に、土地:建物=3:7または4:6が目安です。
予算例
- 総予算3,000万円の場合
- 土地代: 900万〜1,200万円
- 建物総額: 1,500万〜2,100万円(本体価格1,000万〜1,500万円+付帯工事・諸費用)
実際の建築事例
1000万円台で建てた実例を紹介します。
事例1: 延床面積20坪・2LDK(本体価格1,000万円)
住まいのお役立ち情報の事例では、総2階建て・シンプルな外観で、本体価格1,000万円を実現しています。
仕様
- 構造: 木造2階建て
- 間取り: 2LDK
- 設備: 標準グレード
- 外壁: サイディング
事例2: 延床面積30坪・3LDK(本体価格1,500万円)
延床面積30坪で3LDKの場合、本体価格1,500万円が目安です。
仕様
- 構造: 木造2階建て
- 間取り: 3LDK
- 設備: 標準グレード
- 外壁: サイディング
- 断熱: 次世代省エネ基準レベル
まとめ:1000万円台の家づくりは総額と土地代を含めた計画が重要
1000万円台は本体価格のみで、総額は付帯工事+諸費用を含め1,500万〜2,000万円が現実的です。
延床面積25〜35坪(2LDK〜3LDK)、シンプルな外観・標準的な設備仕様が目安です。コストを抑える工夫は、総2階建て、水回り集約、複雑な屋根形状を避けることです。
住宅性能を軽視せず、断熱等性能等級4以上を確保してください。土地代は別途必要で、土地:建物=3:7または4:6が目安です。
複数のハウスメーカー・工務店に相談し、総額と土地代を含めた現実的な予算計画を立てましょう。
