低い土地は買ってはいけない?水害リスクと対策を徹底解説

公開日: 2025/11/4

低い土地とは?周囲より低い土地の定義とリスク

土地購入を検討する際、周囲より低い土地を見つけて「価格が安い」と魅力を感じる方は少なくありません。しかし、低い土地にはリスクもあり、購入前の確認が重要です。

この記事では、低い土地のメリット・デメリット、リスク確認方法、対策方法を、国土交通省国土地理院の公式情報を元に解説します。

低い土地を一律に「買ってはいけない」とするのではなく、リスクを正しく理解した上で対策可能かを判断する視点を提供します。

この記事のポイント

  • 低い土地とは、周囲の道路や隣地より地盤が低い土地、または海抜が低い土地のこと
  • 主なデメリットは水害リスク、湿気・カビ、地盤沈下、排水不良、日当たりの悪さ
  • メリットは価格が安い(市場価格の70-80%程度)、競合が少ない
  • ハザードマップ・地盤調査・現地確認でリスクを評価できる
  • 地盤改良・盛土・排水設備の対策により、リスクを軽減可能

低い土地の5つのデメリット

低い土地には、主に以下の5つのデメリットがあります。

水害リスクが高い

低い土地は雨水が集まりやすく、洪水・高潮・津波のリスクが高くなります。特に、海抜ゼロメートル地帯(満潮時の海面より低い土地)は、東京・大阪・名古屋に多数が居住しており、水害リスクが高い地域として知られています。

国土交通省のハザードマップポータルサイトで、洪水浸水想定区域を確認できます。

湿気・カビが発生しやすい

低い土地は地下水位が高く、床下浸水や湿気によるカビ発生のリスクがあります。特に梅雨時期や台風シーズンには注意が必要です。

湿気対策として、基礎の高さを確保する、換気設備を充実させるなどの対策が求められます。

地盤沈下・液状化のリスク

埋立地、旧河道、低湿地では地盤沈下や液状化が発生しやすくなります。液状化とは、地震時に地盤が液体のようになる現象で、建物が傾いたり沈んだりする原因となります。

国土地理院の資料によると、低地・埋立地・旧河道等の地形分類と水害リスクの関連が示されています。

排水不良(排水設備が必要)

低い土地は雨水が自然排水されず、排水ポンプの設置が必要になる場合があります。排水ポンプの設置費用に加え、ランニングコスト(電気代、メンテナンス費用)も発生します。

日当たりが悪い

周囲より低いため、日光が遮られ、日当たりが悪くなることがあります。冬季は特に日照時間が短くなる傾向があります。

低い土地の2つのメリット

低い土地にはデメリットがある一方で、以下のメリットもあります。

価格が安い(市場価格の70-80%)

建築家紹介センターによると、水害リスク等のデメリットがあるため、低い土地は市場価格の70-80%程度で購入できることが多いです。予算に制約がある場合、価格面でのメリットは大きいと言えます。

競合が少なく購入しやすい

リスクを懸念する買い手が多いため、競合が少なく購入しやすい傾向があります。価格交渉の余地もある場合があります。

ただし、追加工事費用(地盤改良・盛土・排水設備)とのバランスを冷静に評価する必要があります。価格が安くても、対策費用が高額になれば総額では割高になる可能性があります。

低い土地のリスク確認方法

低い土地のリスクを購入前に確認する方法は以下の3つです。

ハザードマップで水害リスクを確認

国土交通省のハザードマップポータルサイトで、洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・津波浸水想定区域等を地図上に表示できます。

住所を入力するだけで、該当地域の水害リスクを無料で確認できます。購入前に必ず確認しましょう。

地盤調査で地盤の強度を確認

スウェーデン式サウンディング試験等で地盤の強度を調査できます。地盤調査の費用は5-10万円程度です。

地盤調査により、地盤改良の必要性と費用を事前に把握できます。購入前に地盤調査を実施することを強く推奨します。

現地確認で排水状況・日当たりを確認

雨天時に現地を訪れ、排水状況(水たまりの有無)を直接確認しましょう。また、日中に訪問して日当たりをチェックすることも重要です。

複数回、異なる天候・時間帯に訪問することで、リスクをより正確に評価できます。

低い土地の3つの対策方法と費用

低い土地のリスクを軽減する対策方法は以下の3つです。

地盤改良(30万円〜200万円)

地盤改良には、深さにより3つの工法があります。

工法 深さ 費用目安
表層改良 2m以下 30-50万円
柱状改良 2-8m 70-100万円
鋼管杭 8m以上 100-200万円

(参考: ビイック株式会社 - 地盤改良が必要な土地の見分け方

地盤調査の結果に基づき、適切な工法を選択します。地盤が軟弱な場合、地盤改良費用が高額になる可能性があります。

盛土・かさ上げ(数十万円〜)

低い土地に土を盛って地盤を高くすることで、床上浸水のリスクを軽減できます。床上浸水を防ぐため、1m以上かさ上げするケースが多いです。

盛土の費用は数十万円からですが、盛土量により費用が大きく変動します。また、盛土後は地盤が安定するまで数ヶ月〜1年程度の期間が必要な場合があります。

排水設備の設置(ランニングコスト含む)

排水ポンプの設置により、雨水を強制的に排水できます。ただし、設置費用に加え、ランニングコスト(電気代、メンテナンス費用)が発生します。

停電時の対策(自家発電装置等)も検討する必要があります。

低い土地を購入すべきか?判断基準

低い土地を購入すべきかの判断基準は以下の通りです。

  1. ハザードマップで水害リスクを確認: 水害リスクが「高い」場合は避けるのが無難
  2. 地盤調査で地盤の強度を確認: 地盤が軟弱な場合、地盤改良費用(30-200万円)を試算
  3. 対策費用を含めた総額を計算: 盛土・排水設備の追加費用を含めても価格メリットがあるか確認
  4. 対策可能なリスクか判断: 対策可能なリスクであれば購入を検討、対策困難なリスク(高頻度の浸水等)は避ける

「絶対に買ってはいけない」ではなく、対策次第で購入可能であることを念頭に置きましょう。ただし、対策費用が高額になる場合や、高頻度で浸水する土地は避けるのが賢明です。

まとめ:低い土地はリスクと対策を冷静に評価する

低い土地には水害・湿気・地盤沈下・排水不良・日当たりの悪さといったリスクがありますが、価格が安い(市場価格の70-80%程度)というメリットもあります。

購入前にハザードマップ・地盤調査・現地確認でリスクを評価し、地盤改良・盛土・排水設備の対策費用を試算しましょう。対策費用を含めても価格メリットがあれば、購入を検討する価値があります。

次のアクションとして、①ハザードマップで水害リスクを確認、②地盤調査を依頼、③建築士への相談を進めましょう。専門家のアドバイスを受けながら、冷静に判断することが重要です。

よくある質問

Q1低い土地は絶対に買ってはいけませんか?

A1一概には言えません。ハザードマップで水害リスクが「低い」場合や、地盤改良・盛土で対策可能な場合は購入を検討できます。ただし、高頻度で浸水する土地や対策費用が高額な場合は避けるのが無難です。

Q2低い土地の地盤改良費用はいくらかかりますか?

A2地盤の状態により異なります。表層改良(深さ2m以下)は30-50万円、柱状改良(深さ2-8m)は70-100万円、鋼管杭(深さ8m以上)は100-200万円が目安です。購入前に地盤調査(費用5-10万円)を実施して試算することをおすすめします。

Q3盛土でかさ上げすれば水害リスクは完全に解消されますか?

A3床上浸水のリスクは軽減できますが、完全には解消されません。盛土1m以上のかさ上げで通常の洪水リスクは軽減されますが、大規模水害や排水不良のリスクは残ります。ハザードマップで浸水深を確認し、対策の妥当性を検討することが重要です。

Q4ハザードマップはどこで確認できますか?

A4国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で無料で確認できます。住所を入力すると、洪水浸水想定区域・土砂災害警戒区域・津波浸水想定区域等が地図上に表示されます。購入前に必ず確認しましょう。