土地情報の調べ方完全ガイド!公的サイトと確認すべき項目

公開日: 2025/10/31

土地情報の調べ方完全ガイド!公的サイトと確認すべき項目

土地の購入や売却を検討する際、「どこでどんな情報を調べればいいのか」と迷う方は少なくありません。登記情報、価格相場、建築制限、災害リスクなど、確認すべき項目は多岐にわたります。

この記事では、土地情報の調べ方を目的別に整理し、法務省国土交通省等の公的サイトを活用して、信頼できる情報を効率的に収集する方法を解説します。

初めて土地情報を調べる方でも、必要な情報を正確に把握し、安全な土地取引を進められるようになります。

この記事のポイント

  • 土地情報は、登記情報・価格情報・建築制限・ハザード情報の4種類に分類でき、それぞれ公的サイトで調べられる
  • 登記情報は法務局の「登記情報提供サービス」で1件335円、所有者・面積・権利関係を確認可能
  • 価格情報は国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で約547万件の取引価格情報を無料閲覧可能(ただし回答率約3割)
  • 建築制限(用途地域・建蔽率・容積率)は「用途地域マップ」や自治体の都市計画課で確認
  • ハザード情報は「ハザードマップポータルサイト」で洪水・土砂災害・地震リスクを地図上で確認可能

土地情報を調べる目的と必要な情報の全体像

土地情報を調べる目的は、大きく3つに分けられます。目的に応じて確認すべき情報が異なります。

土地情報を調べる3つの目的

  1. 購入前の確認: 所有者・権利関係・建築制限・災害リスクを調査し、安全に取引できるか判断する
  2. 売却価格の設定: 周辺の取引価格や地価公示を確認し、適正な売出し価格を決める
  3. 相続財産の把握: 相続した土地の評価額・面積を確認し、遺産分割協議や相続税申告に備える

確認すべき情報の種類

土地情報は、以下の4種類に分類されます。

情報の種類 確認内容 主な情報源
登記情報 所有者、面積、地目、権利関係(抵当権等) 法務局の登記情報提供サービス
価格情報 周辺の取引価格、地価公示・地価調査 国土交通省の不動産情報ライブラリ
建築制限 用途地域、建蔽率・容積率、接道状況 自治体の都市計画課、用途地域マップ
ハザード情報 洪水・土砂災害・地震リスク 国土交通省のハザードマップポータルサイト

これらの情報は、公的サイトで無料または低額で調べられます。次のセクションから、各情報の調べ方を具体的に解説します。

登記情報の調べ方:所有者・面積・権利関係

登記情報は、土地の基本情報を確認するための重要な情報です。法務局が管理しており、オンラインまたは窓口で取得できます。

登記情報提供サービス(335円)の使い方

法務省によると、登記情報は一般財団法人民事法務協会が運営する「登記情報提供サービス」でオンライン取得できます。

取得できる情報:

  • 所有者の氏名・住所
  • 土地の面積(地積)
  • 地目(宅地、田、畑、山林等)
  • 抵当権・根抵当権の有無

手数料: 1件335円(2025年時点)

利用手順:

  1. 登記情報提供サービスのサイトにアクセス
  2. 利用者登録(初回のみ)
  3. 地番で検索(住所からも検索可能)
  4. クレジットカードで決済
  5. PDFで登記情報をダウンロード

登記事項証明書(600円)との違い

登記情報提供サービスで取得した情報は「現在事項」のみで、過去の権利関係や抵当権の履歴は含まれません。また、法的な証明力はありません。

正式な証明書が必要な場合(売買契約、相続手続き等)は、法務局窓口またはオンライン請求で「登記事項証明書」を取得します(手数料600円)。

地積測量図・地図の閲覧

土地の境界点の座標を記録した「地積測量図」は、法務局の「地図・図面閲覧サービス」で取得できます。ただし、古い土地(登記制度開始が明治時代)には地積測量図が存在しない場合があります。

境界が不明確な場合は、土地家屋調査士に依頼して測量・境界確定を行う必要があります。

価格情報の調べ方:取引価格・地価公示

土地の価格情報は、売却価格の設定や購入価格の妥当性を判断する際に重要です。国土交通省が提供する公的データを活用しましょう。

不動産情報ライブラリ(取引価格情報547万件)

国土交通省は、2024年4月に「不動産情報ライブラリ」を開始しました。約547万件の不動産取引価格情報を無料で閲覧できます。

特徴:

  • 実際の取引価格をアンケート調査に基づいて公開
  • 最寄駅、面積、取引時期で絞り込み可能
  • 地図上で取引事例を表示

注意点: アンケート回答に基づくため、全ての取引が掲載されているわけではありません。回答率は約3割程度とされています。相場の目安として活用し、鵜呑みにしないことが重要です。

地価公示・地価調査の確認

国土交通省の「標準地・基準地検索システム」では、地価公示と都道府県地価調査を検索できます。

地価公示: 毎年1月1日時点の標準地価格を3月に公表(標準地26,000地点)

都道府県地価調査: 毎年7月1日時点の基準地価格を9月に公表(基準地21,540地点)

実勢価格との違いと注意点

地価公示・地価調査は「標準地・基準地」の価格であり、実際の取引価格(実勢価格)とは異なります。

一般的な目安:

  • 実勢価格 = 公示価格 × 1.1~1.2倍程度

ただし、エリアや物件の条件により大きく変動するため、不動産情報ライブラリの取引価格情報、周辺の売出し価格(不動産情報サイト)と照合し、複数の情報源で相場を確認することが重要です。

建築制限の調べ方:用途地域・建蔽率・容積率

土地に建物を建てる際は、用途地域による建築制限を確認する必要があります。用途地域とは、都市計画法で定められた土地の用途制限で、住居系8種類、商業系2種類、工業系3種類の計13種類があります。

用途地域マップ(民間サービス)

用途地域マップ」は、全国の市区町村の用途地域を地図上で確認できる民間サービスです。視覚的に把握しやすく、建蔽率・容積率の制限も表示されます。

注意点: 民間運営のため、最新の都市計画変更が反映されていない可能性があります。正確な情報は、各自治体の都市計画課で確認してください。

全国都市計画GISビューア(公的システム)

国土交通省の「全国都市計画GISビューア」(試行版)は、全国の都市計画情報(用途地域、地域地区、都市施設等)をGIS形式で閲覧できる公的システムです。広域検索に便利で、複数の自治体にまたがる調査に適しています。

自治体の都市計画課での確認

最も正確な情報は、各自治体の都市計画課に問い合わせるか、公式サイトで確認することです。多くの自治体は、都市計画図をオンラインで公開しています。

接道義務の確認も忘れずに

建築基準法では、建築物の敷地が道路に2m以上接していなければならない「接道義務」が定められています。接道していない土地は原則として建築不可(再建築不可物件)となるため、必ず確認しましょう。

ハザード情報の確認:災害リスクの調査

土地購入前には、災害リスクを必ず確認しましょう。近年、豪雨災害や地震が頻発しており、安全性の確認は必須です。

ハザードマップポータルサイトの使い方

国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、洪水・土砂災害・津波・地震等のリスク情報を地図上で確認できます。

使い方:

  1. 住所または地図で対象地を検索
  2. 確認したい災害種別を選択(洪水、土砂災害、津波、地震等)
  3. 色分けでリスクレベルを表示

重ねるハザードマップで複数リスクを同時確認

「重ねるハザードマップ」機能を使うと、複数の災害リスクを同時に表示できます。例えば、洪水リスクと土砂災害リスクを重ねて表示することで、総合的な災害リスクを把握できます。

ハザードマップの限界と複数情報源の活用

ハザードマップは過去の災害実績と将来予測に基づいていますが、想定外の災害は発生しうるという点に注意が必要です。

複数情報源を組み合わせる:

  • 地盤情報(ジオテック等の地盤調査会社)
  • 標高データ(国土地理院の地理院地図)
  • 自治体の防災課で詳細情報を入手

これらの情報を総合的に判断し、リスク評価を行うことが重要です。

確認すべき情報チェックリストと専門家への相談

土地購入前に確認すべき項目をチェックリスト形式で整理しました。以下の項目を順次確認しましょう。

土地購入前の確認チェックリスト

  • 登記情報: 所有者、面積、地目、抵当権の有無
  • 境界: 地積測量図の有無、境界標の確認
  • 価格情報: 周辺取引価格、地価公示との比較
  • 用途地域: 建蔽率・容積率の制限
  • 接道状況: 建築基準法の接道義務を満たすか
  • 災害リスク: ハザードマップ、地盤情報
  • インフラ: 上下水道、電気、ガスの整備状況
  • 周辺環境: 騒音、臭気、嫌悪施設の有無

専門家への相談タイミング

以下のケースでは、専門家に相談することをおすすめします。

状況 相談先
境界が不明確 土地家屋調査士
権利関係が複雑(抵当権、共有名義等) 司法書士
建築可能性の判断 不動産会社、建築士
相続・贈与の税務 税理士
法的トラブル 弁護士

公的サイトで基礎情報を収集した後、専門家に具体的な相談をすることで、効率的に土地情報を把握できます。

まとめ:土地情報の調べ方と活用ポイント

土地情報は、公的サイトで無料または低額で調べられます。登記情報(法務局の登記情報提供サービス335円)、価格情報(不動産情報ライブラリ・地価公示)、建築制限(用途地域マップ・GISビューア)、ハザード情報(ハザードマップポータルサイト)の4種類を確認しましょう。

各情報源には制限や注意点があるため、複数の情報源を照合し、総合的に判断することが重要です。境界・権利関係・建築可能性など専門的な判断が必要な場合は、土地家屋調査士・司法書士・不動産会社・税理士へ相談し、安全な土地取引を進めましょう。

よくある質問

Q1土地情報は全て無料で調べられますか?

A1大部分は無料ですが、一部有料です。不動産情報ライブラリ(取引価格)、ハザードマップ、用途地域マップは無料で利用できます。一方、登記情報提供サービスは1件335円、登記事項証明書は600円の手数料がかかります。基礎情報は無料サイトで収集し、詳細確認が必要な場合に有料サービスを活用するのが効率的です。

Q2スマホでも土地情報を調べられますか?

A2はい、可能です。不動産情報ライブラリ、ハザードマップポータルサイト、用途地域マップ、全国都市計画GISビューアは全てスマホ対応しています。登記情報提供サービスもスマホのブラウザから利用でき、PDFで結果を受け取れます。ただし、画面が小さいため、地図の詳細確認や複数情報の照合はパソコンの方が便利です。

Q3取引価格情報の回答率が3割程度と聞きましたが、信頼できますか?

A3目安としては有用ですが、鵜呑みにしないでください。不動産情報ライブラリの取引価格情報はアンケート回答に基づくため、全取引が掲載されておらず、偏りがある可能性があります。地価公示・地価調査、周辺の売出し価格(不動産情報サイト)、不動産会社のヒアリングと照合し、複数の情報源で相場を確認することが重要です。

Q4どの情報を優先して調べるべきですか?

A4購入目的により優先順位が異なります。①安全性重視→ハザードマップ・地盤情報、②建築可能性→用途地域・接道状況・建蔽率・容積率、③権利確認→登記情報(所有者・抵当権)、④価格妥当性→取引価格情報・地価公示。全て重要ですが、建てられない土地や災害リスクの高い土地は避けるべきため、建築制限とハザード情報を優先して確認することをおすすめします。