住宅ローン審査が通りやすい銀行とは?審査基準の違いを理解する
住宅購入を検討しているが、「自分の年収や勤続年数で審査に通るだろうか」と不安を感じる方は少なくありません。特に自営業、勤続年数が短い、年収が低めの場合、審査の通りやすい銀行を知りたいと考えるのは自然なことです。
この記事では、住宅ローン審査が通りやすい銀行の特徴、金融機関タイプ別の審査基準の違い、審査通過率を上げる具体的な方法を、金融庁・住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。
この記事のポイント
- 「審査が通りやすい」は審査基準の緩さと属性に応じた柔軟性の2軸で決まる
 - メガバンクは厳格、ネット銀行は属性次第、地方銀行・信用金庫は柔軟、フラット35は自営業に有利
 - 審査が通りやすい銀行は返済負担率35-40%まで許容、勤続年数1年未満でも相談可能
 - 自営業は確定申告3期分の平均利益で審査、フラット35なら1期分でOK
 - 頭金を多めに、返済負担率を下げる、信用情報をクリーンにすることで審査通過率アップ
 
金融機関タイプ別の審査基準の違い
住宅ローンの審査基準は金融機関により大きく異なります。以下の4タイプを理解することが重要です。
メガバンク:年収・勤続年数重視で厳格
メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行等)は、年収500万円以上・勤続3年以上が目安とされることが多く、審査は厳格です。金融庁の調査によると、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)は35%以下を基準とするケースが一般的です。
金利は低めですが、定量的な基準を満たさないと審査通過は困難です。
ネット銀行:属性次第、団信条件厳しい場合あり
ネット銀行(PayPay銀行、SBI新生銀行等)は変動金利が最低水準で魅力的ですが、属性により審査が厳しくなる傾向があります。特に団体信用生命保険(団信)への加入が必須条件となる場合が多く、健康状態に不安がある方は注意が必要です。
リクルートの調査によると、2025年時点でネット銀行は金利優先の利用者に適していますが、審査の柔軟性は金融機関により差があります。
地方銀行・信用金庫:地域密着で柔軟対応
地方銀行・信用金庫は地域密着型の融資を行い、個別事情を考慮する傾向があります。グローベルスの調査によると、メガバンクの審査に落ちた方でも、地方銀行・信用金庫で審査に通過する事例が多数報告されています。
勤続年数が短い、年収が低めでも、地域貢献度や取引実績を重視する姿勢が特徴です。
フラット35:公的支援、自営業に有利
フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する長期固定金利の住宅ローンです。公式サイトによると、年収制限がなく、総返済負担率30-35%以内であれば審査対象となります。
自営業でも確定申告1期分で審査可能なため、勤続年数や雇用形態で不利な方にとって有力な選択肢です。ただし、物件が技術基準(耐震性・省エネ性等)を満たす必要があります。
以下は4タイプの比較表です。
| 金融機関タイプ | 審査厳格度 | 金利水準 | 柔軟性 | 向いている人 | 
|---|---|---|---|---|
| メガバンク | 厳格 | 低め | 低 | 年収・勤続年数が安定 | 
| ネット銀行 | 属性次第 | 最低 | 中 | 金利優先、健康状態良好 | 
| 地方銀行・信用金庫 | 柔軟 | 中〜高め | 高 | 年収低め、勤続短い | 
| フラット35 | 柔軟 | 固定 | 高 | 自営業、雇用形態不安定 | 
審査が通りやすい銀行の3つの特徴
審査が通りやすい銀行には共通する特徴があります。
返済負担率の基準が高め(35-40%)
メガバンクは返済負担率35%以下を基準とすることが多いですが、審査が緩い銀行では40%まで許容する可能性があります。返済負担率とは、年収に占める年間返済額の割合です。
例えば、年収400万円の場合、35%なら年間返済140万円(月約11.7万円)、40%なら年間返済160万円(月約13.3万円)まで借入可能となります。
勤続年数の条件が緩い(1年未満でもOK)
メガバンクは勤続3年以上が目安ですが、地方銀行・信用金庫では勤続1年未満でも相談可能なケースがあります。グローベルスによると、地域密着型の金融機関は勤続年数よりも返済能力と地域貢献度を重視する傾向があります。
地域密着で個別事情を考慮
信用金庫・地方銀行は地域密着型融資を行い、定量的な基準だけでなく定性的な判断(地域での評判、取引実績等)を行います。全国信用金庫協会によると、長期間にわたる親密な関係に基づく地域活性化への貢献が信用金庫の使命とされています。
ただし、「審査が甘い=金利が高い」という傾向があるため、審査の通りやすさだけでなく金利・手数料も総合的に比較することが重要です。
自営業・フリーランスが審査を通すコツ
自営業・フリーランスは会社員と異なる審査基準が適用されます。
確定申告3期分の平均利益で審査される
一般的な金融機関では、自営業者は確定申告3期分の平均利益で審査されます。会社員の源泉徴収票に相当する所得証明として使用されるためです。
直近1期の利益が高くても、過去3期の平均が低ければ審査に不利になる可能性があります。
フラット35なら確定申告1期分でOK
フラット35の公式サイトによると、自営業者でも確定申告1期分で審査可能です。開業間もない方や、直近期に利益が大きく伸びた方にとって有利な選択肢となります。
経費計上を抑えて所得を高く見せる工夫
住宅ローン審査では課税所得(売上−経費)が重視されます。経費計上を抑えることで課税所得を高く見せる工夫は有効ですが、過度な調整は税務上のリスクがあります。
具体的な調整を行う場合は、税理士への相談を推奨します。
審査通過率を上げる5つのコツ
審査通過率を上げるための具体的な方法を紹介します。
①頭金を多めに(物件価格の2割以上)
頭金を多く用意することでLTV(Loan To Value:担保価格に対する融資額の割合)を下げることができます。金融庁の調査によると、LTVが低いほど審査に有利とされています。
物件価格の2割以上を自己資金で用意することが目安です。
②返済負担率を下げる(年収の5倍以内の借入)
年収の5倍以内の借入額に抑えることで、返済負担率を下げることができます。例えば年収400万円なら借入額2,000万円以内が目安です。
③信用情報をクリーンに
クレジットカードの延滞、消費者金融の借入残債は審査に悪影響を及ぼします。審査前に信用情報機関(CIC、JICC、KSC)で自分の信用情報を確認し、問題があれば解消しておくことが重要です。
④複数行への事前審査(ただし短期間に多数は申込ブラック)
事前審査(仮審査)は複数行同時申込が可能です。ただし短期間に多数の申込があると「申込ブラック」と判断され審査に悪影響を及ぼす可能性があります。3-5行程度に絞り、1-2ヶ月以内に集中させることが推奨されます。
⑤保証会社の選択
金融機関により保証会社が異なります。一度審査に落ちても、別の保証会社が審査を行う金融機関への再申込は可能です。
まとめ:審査の通りやすさだけで選ばず、総合的に判断を
住宅ローン審査が通りやすい銀行は存在しますが、「絶対通る」銀行はありません。自分の属性(年収・勤続年数・雇用形態)に応じた金融機関選びが重要です。
審査の通りやすさだけでなく、金利・手数料・サポート体制を総合的に比較することが求められます。メガバンクは金利が低いが審査は厳格、地方銀行・信用金庫は審査が柔軟だが金利はやや高め、フラット35は自営業に有利だが全期間固定金利という特徴があります。
次のアクションとして、複数金融機関の事前審査を並行実施し、フラット35も選択肢に含めて検討しましょう。具体的な審査基準は各金融機関へ相談することを推奨します。2025年時点の金利動向(日銀政策金利0.5%)も考慮した借入計画を立てることが大切です。
