戸建て建て替え費用の相場【2025年最新】総額内訳と削減ポイント

公開日: 2025/11/4

戸建て建て替えは「解体+建築+諸費用」の3つで構成される

築30年以上の戸建てにお住まいで、老朽化が進み建て替えを検討されている方にとって、「総額でいくらかかるのか」は最大の関心事です。

この記事では、戸建て建て替え費用の総額相場、解体・建築・諸費用の内訳、削減ポイントを国土交通省の公式統計データを元に解説します。

建て替えには見落とされがちな解体費用や再建築不可のリスクもあるため、事前に正確な情報を把握することが重要です。

この記事のポイント

  • 戸建て建て替え費用の総額相場は2,500万〜4,500万円(2025年時点)で、平均5,745万円
  • 解体費用100万〜300万円は見落とされがちで、予算不足の原因になる
  • 既存住宅の接道条件や建ぺい率によっては、以前と同規模の建物が建てられないリスクがある
  • コスト削減には、解体の相見積もり、建物仕様の見直し、補助金活用が有効

戸建て建て替え費用の総額相場【2025年版】

戸建て建て替え費用は「解体費用+建築費用+諸費用」の3つで構成されます。

HOME4Uの調査によると、2025年時点での平均総額は5,745万円です。一般的な目安は以下の通りです。

費用項目 目安額 内容
解体費用 100万〜300万円 既存建物の取り壊し
建築費用 1,800万〜3,000万円 新築建物の本体工事
諸費用 150万〜450万円 登記・ローン手数料・仮住まい等
総額 2,500万〜4,500万円 延床面積30坪の場合

国土交通省の建築工事費調査(令和5年)によると、木造住宅の1㎡あたり平均建築費は19.3万円(坪換算約64万円)です。

解体費用が見落とされがちな理由

新築の見積もりには解体費用が含まれていないことが多く、「建築費用だけで建て替えられる」と誤解してしまうケースがあります。解体費用は構造により坪3万〜8万円かかるため、30坪の木造住宅なら90万〜150万円が必要です。

解体費用の内訳と相場

解体費用は構造により異なります。

構造別の坪単価(木造・鉄骨・RC)

構造 坪単価 30坪の目安
木造 3万〜5万円 90万〜150万円
鉄骨造 4万〜7万円 120万〜210万円
RC造 6万〜8万円 180万〜240万円

(出典: 株式会社上池解体興業

アスベスト除去費用

1975年以前に建築された建物にはアスベストが含まれている可能性があります。アスベスト含有建物の解体費用は、通常の1.5〜2倍になることがあります。

建設リサイクル法により、解体前のアスベスト調査(5万〜10万円)が義務化されています。

付帯工事費用(浄化槽、庭木、ブロック塀等)

解体費用には本体工事以外に付帯工事費用がかかります。

  • 浄化槽撤去: 10万〜30万円
  • 庭木伐採: 5万〜20万円
  • ブロック塀解体: 坪1万〜2万円

相見積もり時には、これらの明細を確認することが重要です。

建築費用の内訳と坪単価

建築費用は建て替えの中で最も大きな費用です。

構造別の坪単価(木造・鉄骨・RC)

2025年時点の建築費用の坪単価は以下の通りです。

構造 坪単価 30坪の目安
木造 60万〜80万円 1,800万〜2,400万円
鉄骨造 80万〜100万円 2,400万〜3,000万円
RC造 100万〜150万円 3,000万〜4,500万円

国土交通省の住宅着工統計によると、木造住宅の建築費は物価上昇の影響を受けており、2020年以前のデータと比較すると1割程度上昇しています。

延床面積別の総額目安

延床面積 木造(坪単価70万円) 鉄骨造(坪単価90万円)
25坪 1,750万円 2,250万円
30坪 2,100万円 2,700万円
35坪 2,450万円 3,150万円

建築費用に含まれるもの・含まれないもの

含まれるもの:

  • 基礎・構造体工事
  • 外装・内装工事
  • 住宅設備(キッチン・バス・トイレ等の標準仕様)

含まれないもの:

  • 外構工事(駐車場・門扉・植栽): 50万〜200万円
  • 設備の追加(太陽光パネル、床暖房等): 別途見積もり
  • 地盤改良工事(地盤が軟弱な場合): 50万〜150万円

諸費用の内訳と相場

諸費用は建て替え総額の5〜10%が目安です。

登記費用(建物滅失登記、新築登記)

登記種類 目安額
建物滅失登記 5万〜10万円
表題登記 5万〜10万円
所有権保存登記 5万〜10万円
合計 15万〜30万円

住宅ローン手数料(事務手数料、保証料)

  • 事務手数料: 3万〜5万円
  • 保証料: 借入額の2%程度
  • 火災保険料(10年一括): 30万〜50万円

仮住まい費用(賃貸住宅家賃、引越し代)

建て替え工事期間は6〜12ヶ月です。この間の仮住まい費用が必要です。

  • 賃貸住宅家賃: 月10万〜15万円 × 6〜12ヶ月 = 60万〜180万円
  • 引越し代(往復): 20万〜30万円

つなぎ融資の金利負担

既存住宅ローンが残っている場合、完済してから新規ローンを組むか、つなぎ融資(金利年2〜4%)を利用する必要があります。つなぎ融資の利用期間を最小化することが重要です。

建て替えの注意点とリスク

建て替えには法的リスクがあります。

再建築不可のリスク(接道義務、建ぺい率)

建築基準法では、建物を建てるためには「幅員4m以上の道路に2m以上接すること」(接道義務)が必要です。

この条件を満たさない土地は、建築確認が下りず建て替えができません。SUUMOによると、再建築不可物件は倒壊後も再建築できないリスクがあります。

以前より小さい建物しか建てられないケース

建ぺい率・容積率は地域により異なります。法改正により、以前建てた時より制限が厳しくなっている場合、同じ規模の建物が建てられないことがあります。

事前に役所の建築指導課で、現行法の制限を確認することが必須です。

既存住宅ローンの完済が必要

既存住宅ローンが残っている場合、基本的には完済が必要です。完済できない場合は、つなぎ融資を利用して工事代金を支払い、新築住宅ローン実行時に一括返済する方法が一般的です。

コスト削減のポイント

建て替え費用を削減する方法を紹介します。

解体工事の相見積もり(3社以上)

解体工事は業者により価格差が大きいため、3社以上から見積もりを取ることが重要です。付帯工事費用の明細を比較し、不明瞭な項目は質問してください。

建物仕様の見直し(設備・外構のグレード調整)

  • キッチン・バスを標準仕様にする: 坪単価10万〜20万円削減
  • 外構工事を必要最小限にする: 50万〜100万円削減
  • シンプルな外観(複雑な屋根形状を避ける): 坪単価5万〜10万円削減

補助金の活用(長期優良住宅、ZEH、耐震改修)

住宅金融支援機構等が提供する補助金を活用できます。

補助金種類 対象 最大額
長期優良住宅 耐震性・省エネ性能が高い住宅 100万円
ZEH住宅 ゼロエネルギー住宅 70万円
耐震改修 市区町村の制度 100万円

補助金は併用可能なケースもあるため、事前に市区町村の住宅課に確認してください。

戸建て建て替え費用のまとめと次のアクション

戸建て建て替え費用は「解体費用+建築費用+諸費用」の3つで構成され、総額2,500万〜4,500万円(平均5,745万円)が目安です。

解体費用100万〜300万円を見落とすと予算不足になります。既存住宅の接道条件や建ぺい率によっては、以前と同規模の建物が建てられないリスクがあるため、建築確認前に役所の建築指導課で確認してください。

コスト削減には、解体の相見積もり、建物仕様の見直し、補助金活用が有効です。リフォームとの比較も含め、複数のハウスメーカー・工務店に相談し、資金計画を立てることが重要です。

信頼できる専門家に相談しながら、無理のない建て替え計画を進めましょう。

よくある質問

Q1建て替えとリフォームはどちらが安いですか?

A1一般に、リフォームの方が安く、費用は500万〜1,500万円程度です。ただし、築40年以上で旧耐震基準(1981年5月31日以前)の建物は、耐震補強費用が数百万円かかるため、建て替えの方が費用対効果が高い場合もあります。耐震性・省エネ性能を重視する場合は、建て替えを検討する価値があります。

Q2建て替え中の仮住まい費用を削減する方法はありますか?

A2①親族宅に仮住まい(家賃ゼロ)、②マンスリーマンション(初期費用不要)、③工期短縮(ハウスメーカーのプレハブ工法で6〜8ヶ月に短縮)が有効です。工期を短縮することで、仮住まい期間を最小化し、家賃負担を抑えられます。また、引越し時期を繁忙期(3〜4月)以外にすることで、引越し代を2〜3割削減できる場合もあります。

Q3アスベストの有無はどうやって確認できますか?

A3築年(1975年以前が該当しやすい)と建材の種類から推定可能ですが、専門業者による事前調査(5万〜10万円)が確実です。建設リサイクル法により、解体前のアスベスト調査が義務化されています。アスベスト含有建物の解体費用は通常の1.5〜2倍になるため、事前に確認することで予算オーバーを防げます。

Q4建て替え費用に住宅ローンは使えますか?

A4はい、使えます。ただし、既存住宅ローンが残っている場合は完済が前提です。完済できない場合は、つなぎ融資(金利年2〜4%)で工事代金を支払い、新築住宅ローン実行時に一括返済する方法が一般的です。つなぎ融資の金利負担を最小化するため、工期を短縮することが重要です。

Q5建ぺい率・容積率が変わって以前より小さい建物になる場合、どう対処すればいいですか?

A5①延床面積を減らして建ぺい率・容積率を満たす、②リフォームで既存建物を活用、③売却して建築可能な土地に住み替えの3択です。事前に役所の建築指導課で現行法の制限を確認してください。建ぺい率・容積率の制限により、以前と同規模の建物が建てられないケースは意外と多いため、計画段階での確認が必須です。