仲介手数料1ヶ月分は違法?賃貸の上限ルールと交渉のコツ

公開日: 2025/10/27

仲介手数料1ヶ月分は違法?合法?

賃貸物件を借りる際に仲介手数料1ヶ月分を請求されると、「これって違法じゃないの?」と疑問に思う方は少なくありません。

この記事では、賃貸仲介手数料の法的上限、「承諾」の定義、違法・合法の境界線を、国土交通省の公式情報を元に解説します。

交渉方法や相談先も紹介するため、初めて賃貸契約をする方でも適切に判断できるようになります。

この記事のポイント

  • 仲介手数料1ヶ月分は借主の承諾があれば合法、承諾なしは原則0.5ヶ月分まで
  • 承諾のタイミングが重要で、契約前の明確な開示が必要
  • 仲介手数料0.5ヶ月分・無料の物件も選択肢として検討可能
  • トラブル時は宅地建物取引業協会や国民生活センターに相談

賃貸仲介手数料の法的上限とは

賃貸物件の仲介手数料には、法律で上限が定められています。国土交通省によると、建設省告示第1552号(1970年制定)に基づき、以下のルールが適用されます。

借主・貸主合計で家賃1ヶ月分+消費税まで

仲介業者が受け取れる報酬の総額は、借主と貸主の合計で「家賃1ヶ月分+消費税」が上限です。例えば、家賃10万円の物件であれば、仲介業者が受け取れる報酬は最大11万円(消費税込)までとなります。

借主は原則0.5ヶ月分まで、承諾があれば1ヶ月分も可能

借主から徴収できる仲介手数料は、原則として「家賃0.5ヶ月分+消費税」までです。ただし、借主の承諾があれば「家賃1ヶ月分+消費税」まで徴収できます。

つまり、承諾の有無が違法・合法を分ける境界線です。

仲介手数料1ヶ月分が違法になるケース

仲介手数料1ヶ月分が違法となるのは、「借主の承諾がない」または「承諾が不明確」な場合です。

承諾のタイミングと判例

2019年東京地裁と2020年東京高裁の判例では、「承諾」の定義が厳格化されました。賃貸物件の仲介手数料に関する判例(CHINTAI法律相談所)によると、以下の条件を満たさない場合、承諾が無効とされる可能性があります。

  • 入居意思表示を受ける前に開示・合意があること
  • 契約書に小さく記載されているだけでは不十分
  • 事前の書面または口頭での明確な同意が必要

例えば、内見後に「この物件に決めます」と伝えた後で仲介手数料1ヶ月分を提示された場合、承諾が無効と判断されるケースがあります。

契約書への小さな記載だけでは不十分

契約書の末尾に小さく「仲介手数料は家賃1ヶ月分+消費税」と記載されているだけでは、承諾があったとは認められないことがあります。判例では、契約前に口頭または書面で明確に説明し、借主が理解・同意したことが証拠として必要とされています。

仲介手数料を安くする方法

仲介手数料を抑えるには、以下の方法が有効です。

仲介手数料0.5ヶ月分・無料の不動産会社も増加

近年、仲介手数料0.5ヶ月分または無料を謳う不動産会社が増えています。これは、貸主から広告料(AD)を受け取るビジネスモデルによるものです。

例えば、貸主が仲介業者に広告料として家賃1ヶ月分を支払う場合、借主からは仲介手数料を徴収せずに済みます。ただし、別名目(事務手数料、書類作成費等)で上乗せ請求されるケースもあるため、総額での比較が重要です。

交渉のタイミングと注意点

仲介手数料は交渉可能です。以下のタイミングで確認・交渉すると効果的です。

  • 内見時に事前確認: 契約前に仲介手数料の金額を明確にしておく
  • 繁忙期を避ける: 4-5月の繁忙期は交渉余地が少ないため、閑散期を狙う
  • 複数の不動産会社を比較: 仲介手数料0.5ヶ月分・無料の会社も検討

仲介手数料トラブル時の相談先

承諾した覚えがないのに1ヶ月分を請求された場合、以下の機関に相談できます。

  • 各都道府県の宅地建物取引業協会: 仲介業者の業界団体で、トラブル時の相談窓口を設置
  • 国民生活センター: 国土交通省の相談対応事例集で、仲介手数料トラブルの相談事例が紹介されている

相談前に、契約書や内見時の説明内容を整理しておくと、スムーズに対応してもらえます。

まとめ

仲介手数料1ヶ月分は、借主の承諾があれば合法です。ただし、承諾のタイミングが重要で、契約前の明確な開示が必要です。

承諾した覚えがない、または承諾のタイミングが不明確な場合は、宅地建物取引業協会や国民生活センターに相談しましょう。

仲介手数料0.5ヶ月分・無料の物件も選択肢として検討し、総額で比較することで、納得のいく賃貸契約が実現できます。

よくある質問

承諾した覚えがないのに1ヶ月分請求されました。どうすればいいですか?

契約前に明確な説明と合意があったか確認してください。承諾の証拠(書面、録音等)がない場合は、宅地建物取引業協会や国民生活センターに相談することをおすすめします。0.5ヶ月分超の請求は承諾なしでは違法です。判例では「入居意思表示を受ける前」の開示・合意が必要とされています。

事務手数料も仲介手数料に含まれますか?

書類作成費、事務手数料等の名目でも、実質的に仲介業務の対価であれば仲介手数料に含まれます。仲介手数料+事務手数料で1ヶ月分超なら法令違反の可能性があります。契約前に総額を確認し、不明な費用があれば業者に説明を求めましょう。

売買の仲介手数料も1ヶ月分が上限ですか?

売買は別ルールです。売買価格に応じた上限があり、例えば400万円超の場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」となります。賃貸と売買は仲介手数料の上限が異なるため、混同しないよう注意してください。

仲介手数料の交渉はできますか?

可能です。内見時に事前確認し、仲介手数料0.5ヶ月分・無料の物件も検討しましょう。繁忙期(4-5月)は交渉余地が少ないため、閑散期を選ぶことも重要です。複数の不動産会社を比較することで、より有利な条件を引き出せる場合があります。

よくある質問

Q1承諾した覚えがないのに1ヶ月分請求されました。どうすればいいですか?

A1契約前に明確な説明と合意があったか確認してください。承諾の証拠(書面、録音等)がない場合は、宅地建物取引業協会や国民生活センターに相談することをおすすめします。0.5ヶ月分超の請求は承諾なしでは違法です。判例では「入居意思表示を受ける前」の開示・合意が必要とされています。

Q2事務手数料も仲介手数料に含まれますか?

A2書類作成費、事務手数料等の名目でも、実質的に仲介業務の対価であれば仲介手数料に含まれます。仲介手数料+事務手数料で1ヶ月分超なら法令違反の可能性があります。契約前に総額を確認し、不明な費用があれば業者に説明を求めましょう。

Q3売買の仲介手数料も1ヶ月分が上限ですか?

A3売買は別ルールです。売買価格に応じた上限があり、例えば400万円超の場合は「売買価格×3%+6万円+消費税」となります。賃貸と売買は仲介手数料の上限が異なるため、混同しないよう注意してください。

Q4仲介手数料の交渉はできますか?

A4可能です。内見時に事前確認し、仲介手数料0.5ヶ月分・無料の物件も検討しましょう。繁忙期(4-5月)は交渉余地が少ないため、閑散期を選ぶことも重要です。複数の不動産会社を比較することで、より有利な条件を引き出せる場合があります。