結論:相続登記オンライン申請の全体像と最短ルート
相続登記をオンラインで申請したいと考えている方に、最初にお伝えしておきたいことがあります。それは、現時点では「完全オンライン化」は難しいという現実です。
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」を使えば、申請書の作成や電子署名の付与はオンラインで完結できます。しかし、戸籍全部事項証明書などの添付書類は、市区町村が電子署名付き電子文書を発行していないため、紙書類を郵送で提出する必要があります。
それでも、オンライン申請には大きなメリットがあります。窓口に何度も足を運ぶ必要がなく、申請書の作成や送信は自宅で完結できるため、仕事や家事で忙しい方でも手続きを進めやすいのです。また、遠方に住んでいて法務局に通いにくい方にとっても、負担を大幅に軽減できます。
もし「自分で手続きする時間がない」「何から始めればいいかわからない」と感じる場合は、相続手続きの代行サービスを利用する選択肢もあります。専門家がオンライン中心で手続きをサポートしてくれるため、初めての相続でも安心して進められます。
まず最初にやること3つ
オンライン申請を始める前に、以下の3つを必ず準備しておきましょう。
マイナンバーカードの取得
オンライン申請には電子署名が必要で、そのためにマイナンバーカードが必須です。まだ取得していない場合、申請から受け取りまで約1ヶ月かかるため、早めに手続きを始めてください。ICカードリーダーの購入
マイナンバーカードを読み取るために、対応したICカードリーダーが必要です。家電量販店やオンラインショップで数千円程度で購入できます。申請用総合ソフトのインストール
法務局のWebサイトから「申請用総合ソフト」をダウンロードし、パソコンにインストールします。このソフトで申請書を作成し、電子署名を付与して送信します。
これらの準備が整っていないと、オンライン申請を始めることができません。特にマイナンバーカードは取得に時間がかかるため、相続登記義務化(3年以内)の期限を考えると、早めの行動が重要です。
かかる時間の目安
オンライン申請そのものは数時間で完了しますが、添付書類の郵送には期限があるため注意が必要です。申請受付日から初日・休日を除いて2日以内に法務局へ郵送提出しなければなりません。
この期限を守らないと、申請が受理されない可能性があります。オンライン申請を送信したら、すぐに戸籍謄本や住民票除票などの書類を用意し、速やかに郵送する段取りを整えておきましょう。
申請後、書類に不備がなければ、通常1〜2週間程度で登記が完了します。ただし、法務局の混雑状況や書類の不備があった場合は、それ以上の時間がかかることもあります。
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ステップ別の手順
ここからは、オンライン申請の具体的な流れを段階的に解説します。各ステップで躓きやすい点も併せて説明しますので、事前に確認しておくことでスムーズに進められます。
Step1 事前準備(必要書類とデバイスのチェックリスト)
オンライン申請を始める前に、以下の書類とデバイスを揃えておきましょう。
必要書類
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 被相続人の住民票除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議がある場合)
- 遺産分割協議書(遺言書がない場合)
- 固定資産評価証明書(不動産の評価額を確認するため)
必要なデバイス
- パソコン(Windows推奨、macOSは対応状況を確認)
- マイナンバーカード対応ICカードリーダー
- インターネット接続環境
戸籍謄本は市区町村役場で取得する必要があり、被相続人が転籍を繰り返している場合は複数の役場に請求することになります。この作業が煩雑で時間がかかるため、代行サービスを利用する人も多いです。
Step2 申請用総合ソフトのインストールとマイナンバー登録
法務局の「登記・供託オンライン申請システム」のWebサイトから、申請用総合ソフトをダウンロードしてインストールします。
インストール後、ソフトを起動してマイナンバーカードの情報を登録します。ICカードリーダーにマイナンバーカードをセットし、パスワード(署名用電子証明書のパスワード)を入力して認証します。
この段階で、マイナンバーカードのパスワードを忘れている場合や、カードリーダーが正しく認識されない場合があります。パスワードを忘れた場合は市区町村の窓口で再設定が必要で、カードリーダーの不具合はドライバの更新やUSB接続の確認で解決することが多いです。
Step3 登記・供託オンライン申請システムで申請書作成
申請用総合ソフトで、相続登記の申請書を作成します。不動産の所在地、地番、家屋番号などを正確に入力し、相続人の情報や登記原因(相続)を記載します。
次に、相続関係説明図をPDF化してファイル添付します。相続関係説明図は、被相続人と相続人の関係を図示したもので、法務局のWebサイトにテンプレートがあります。この図を作成してPDF形式で保存し、申請書に添付します。
すべての入力が完了したら、電子署名を付与します。マイナンバーカードを使って署名を行い、申請データを送信します。
Step4 添付書類の郵送(完全オンライン化できない理由)
オンライン申請を送信したら、次に戸籍全部事項証明書などの紙書類を郵送します。これは、市区町村が電子署名付き電子文書を発行していないため、完全オンライン化ができない理由です。
申請受付日から初日・休日を除いて2日以内に郵送提出が必須です。この期限を過ぎると申請が無効になる可能性があるため、オンライン申請を送信したらすぐに書類を郵送しましょう。
郵送する書類は、レターパックや簡易書留など追跡可能な方法で送ることをおすすめします。書類の紛失リスクを減らし、法務局に届いたことを確認できるためです。
よくある詰まりポイントと回避策
オンライン申請を実際に進める際、多くの人が躓くポイントがあります。ここでは、代表的なトラブルとその回避策を紹介します。
マイナンバーカードがない場合は申請不可
オンライン申請には電子署名が必須で、そのためにマイナンバーカードが必要です。カードを持っていない場合、オンライン申請はできません。
マイナンバーカードの取得には約1ヶ月かかります。相続登記義務化の期限が迫っている場合や、急いで手続きを完了させたい場合は、以下の選択肢を検討してください。
- 法務局の窓口で紙の申請書を提出する
- 司法書士などの専門家に代行を依頼する
- オンライン対応の相続代行サービスを利用する
マイナンバーカードの取得を待つ間に、戸籍謄本の収集など他の準備を進めておくと、カードが届いた後にスムーズに申請できます。
戸籍等の紙書類郵送が必須(完全電子化できない)
「オンライン申請」という言葉から、すべての手続きがオンラインで完結すると期待されがちですが、現実はそうではありません。
市区町村が電子署名付きの戸籍全部事項証明書を発行していないため、紙書類の郵送は避けられません。相続関係説明図をPDF添付することで一部の書類は代替できますが、戸籍謄本や住民票除票は紙で提出する必要があります。
それでも、窓口に何度も足を運ぶ必要がなく、申請書の作成や送信は自宅で完結できるため、時間的・経済的な負担は大幅に軽減されます。完全オンライン化が難しいとはいえ、メリットは十分にあると言えるでしょう。
相続関係説明図の作成に慣れていない
相続関係説明図は、被相続人と相続人の関係を図示したもので、オンライン申請では必須の書類です。しかし、初めて作成する人にとってはハードルが高く感じられることがあります。
法務局のWebサイトにはテンプレートが用意されているため、それを参考にすれば自分で作成できます。ただし、相続関係が複雑な場合(再婚、養子縁組、前妻の子がいる等)は、専門家に依頼することで正確性が担保され、申請後の手戻りを防げます。
もし「自分で作成するのは不安」と感じる場合は、司法書士や相続代行サービスに相談することをおすすめします。
事前に確認しておきたいこと
オンライン申請を始める前に、知っておくべき制約や期待値ギャップを説明します。
「完全オンライン化」は難しい(期待しがちな点)
オンライン申請という言葉から、すべての手続きがオンラインで完結すると期待する方が多いです。しかし、前述の通り、紙書類の郵送は避けられません。
この点を事前に理解しておかないと、「オンライン申請したのに結局郵送が必要なのか」とがっかりすることになります。
それでも、窓口に行く回数は大幅に減らせますし、申請書の作成や送信は自宅で完結できるため、時間がない方や遠方在住の方にとっては大きなメリットがあります。
ケースによって変わる必要書類
相続登記に必要な書類は、遺言書の有無や遺産分割協議の有無によって変わります。
遺言書がある場合
- 遺言書(公正証書遺言、自筆証書遺言等)
- 遺言書の検認調書(自筆証書遺言の場合)
遺言書がなく、遺産分割協議がある場合
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
法定相続分で登記する場合
- 遺産分割協議書や印鑑証明書は不要
ご自身のケースがどれに該当するかを事前に確認し、必要な書類を揃えておくことで、申請後の手戻りを防げます。
オンライン申請が向いている人/向いていない人
自力でオンライン申請を行うか、専門家に代行を依頼するかは、ご自身の状況に応じて判断してください。
向いている人
- マイナンバーカードをすでに持っている
- パソコン操作に慣れている
- 戸籍謄本の収集や書類作成に時間をかけられる
- 費用を抑えたい(登録免許税のみで済ませたい)
向いていない人
- マイナンバーカードを持っておらず、急いでいる
- 平日に役所や法務局に行く時間が取れない
- 遠方に住んでいて、実家のある地域の役場に通えない
- 初めての相続で、手続きに不安がある
- 相続登記義務化の期限が迫っている
もし「自分で手続きする時間がない」「専門家に任せたい」と感じる場合は、相続代行サービスの利用を検討してください。オンライン中心で手続きを進められるため、仕事や家事で忙しい方でも安心して進められます。
まとめ:今日できる最短の一歩
相続登記のオンライン申請は、完全オンライン化は難しいものの、窓口に行く回数を大幅に減らせるメリットがあります。マイナンバーカードとICカードリーダーを用意し、申請用総合ソフトをインストールすれば、自宅で申請書の作成・送信が可能です。
ただし、紙書類の郵送は避けられないため、申請後2日以内に戸籍謄本等を法務局に郵送する必要があります。この制約を理解した上で、ご自身に合った方法を選択してください。
もし「マイナンバーカードをまだ取得していない」という場合は、今日中に申請手続きを始めましょう。カード取得には約1ヶ月かかるため、早めの行動が重要です。
一方で、「自分で手続きする時間がない」「何から始めればいいかわからない」と感じる場合は、相続代行サービスに相談することをおすすめします。専門家がオンライン中心で戸籍収集から相続登記までをサポートしてくれるため、初めての相続でも安心して進められます。
相続登記義務化(3年以内)の期限を考えると、今すぐ行動を起こすことが大切です。まずはマイナンバーカードの取得、または専門家への相談から始めてみてください。
相続手続きを確実に完了させたい方へ
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【相続ナビ】
よくある質問
Q1. 相続登記のオンライン申請は完全にオンラインで完結しますか?
いいえ、完全オンライン化はできません。申請書の作成や電子署名の付与はオンラインで完結しますが、戸籍全部事項証明書などの添付書類は紙で郵送提出が必要です。
これは、市区町村が電子署名付き電子文書を発行していないためです。ただし、窓口に何度も足を運ぶ必要はなくなるため、時間的・経済的な負担は大幅に軽減されます。
Q2. マイナンバーカードがない場合はオンライン申請できませんか?
はい、オンライン申請には電子署名が必須で、そのためにマイナンバーカードが必要です。カードを持っていない場合、オンライン申請はできません。
マイナンバーカードの取得には約1ヶ月かかります。急いでいる場合は、法務局の窓口で紙の申請書を提出するか、司法書士などの専門家に代行を依頼することを検討してください。
Q3. オンライン申請の費用は窓口申請より安いですか?
登録免許税自体は同額ですが、オンライン申請では窓口に行く交通費や時間コストを削減できます。また、郵送費(レターパックや簡易書留)が数百円かかりますが、大きな負担にはなりません。
ただし、ICカードリーダーの購入費(数千円)が初回のみ必要です。すでにマイナンバーカードとカードリーダーを持っている方は、追加費用をほとんどかけずにオンライン申請ができます。
Q4. 相続関係説明図はどこで作成できますか?
法務局のWebサイトにテンプレートが用意されており、それを参考にすれば自分で作成できます。WordやExcelで作成し、PDF形式で保存してオンライン申請に添付します。
ただし、相続関係が複雑な場合(再婚、養子縁組、前妻の子がいる等)は、司法書士などの専門家に依頼することで正確性が担保され、申請後の手戻りを防げます。
Q5. オンライン申請後、どのくらいで登記が完了しますか?
添付書類を2日以内に郵送すれば、通常1〜2週間程度で登記が完了します。ただし、法務局の混雑状況や書類の不備があった場合は、それ以上の時間がかかることもあります。
登記完了後、登記識別情報(権利証に相当するもの)が交付されます。オンライン申請の場合、登記識別情報は郵送または法務局窓口で受け取ることになります。
