結論:不動産名義変更の全体の流れと最短ルート
親が亡くなり、相続した不動産の名義変更(相続登記)をしなければならない――そんな状況に直面している方も多いのではないでしょうか。
2024年(令和6年)4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に手続きしないと10万円以下の過料の対象となります。
不動産の名義変更は、以下の流れで進めます。
- 相続人を確定する(戸籍謄本で確認)
- 不動産の権利状況を確認する(登記事項証明書で確認)
- 遺産分割協議を行う(相続人全員で合意)
- 必要書類を収集する(戸籍謄本、印鑑証明書など)
- 登記申請書を作成する
- 法務局に申請する(不動産の所在地を管轄する法務局)
この6つのステップを順番に進めていくことで、不動産の名義変更が完了します。
まず最初にやること3つ
手続きをスムーズに進めるため、最初に取り組むべきことは以下の3つです。
1. 不動産の権利状況を登記事項証明書で確認する
法務局で登記事項証明書(全部事項証明書)を取得し、不動産の現在の名義人や権利状況を確認します。オンラインでも請求できます。
2. 相続人を戸籍謄本で確定する
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、相続人が誰かを確定します。
3. 遺言書の有無を確認する
遺言書がある場合は遺産分割協議が不要になるケースもあります。自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認が必要です。
かかる時間の目安
不動産の名義変更にかかる時間は、以下が目安です。
- 書類収集: 1〜2ヶ月程度(戸籍謄本の取得に時間がかかる)
- 登記申請後: 数週間で登記が完了
- 義務化の期限: 相続を知った日から3年以内
戸籍謄本の収集に時間がかかることが多いため、早めに着手することが大切です。
平日に何度も役所や法務局に行くのが難しい方、戸籍収集や登記申請に不安がある方は、オンラインで相続手続きをサポートするサービスの利用も選択肢のひとつです。
ステップ別の手順
ここでは、不動産名義変更の具体的な手順を詳しく解説します。
Step1 事前準備(相続人確定と不動産確認)
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得
相続人を確定するため、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。転籍を繰り返している場合、複数の役所から取り寄せる必要があります。
相続人全員の戸籍謄本を取得
相続人全員の現在の戸籍謄本も必要です。
不動産登記事項証明書で権利状況を確認
法務局で登記事項証明書を取得し、不動産の現在の名義人、抵当権の有無などを確認します。
Step2 遺産分割協議と必要書類の収集
相続人全員で遺産分割協議を行う
相続人全員で話し合い、誰が不動産を相続するかを決めます。遺言書がある場合は、この協議が不要になることもあります。
遺産分割協議書を作成し、全員が署名・捺印(実印)
協議の内容を書面にまとめ、相続人全員が署名し、実印で押印します。
印鑑証明書を取得(全員分)
遺産分割協議書に押印した実印の印鑑証明書を、相続人全員分取得します。発行後3ヶ月以内のものが必要です。
Step3 登記申請書の作成と法務局への提出
登記申請書を作成
法務局のホームページに様式と記載例があります。不動産の表示、相続人の情報、登録免許税の計算などを記載します。
登録免許税を計算し、収入印紙を準備
登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。収入印紙で納付します。
不動産の所在地を管轄する法務局に提出
不動産の所在地を管轄する法務局に、登記申請書と必要書類を提出します。窓口提出または郵送でも可能です。
よくある詰まりポイントと回避策
不動産の名義変更では、以下のような点で詰まることが多いです。
相続人全員の合意が取れない場合
遺産分割協議では、相続人全員の合意が必要です。一人でも反対すると手続きが進みません。
話し合いで解決しない場合は家庭裁判所の調停
相続人同士で合意が得られない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。
弁護士に相談すべきタイミング
相続人間で意見が対立している、感情的な対立がある、といった場合は、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
戸籍収集が煩雑で時間がかかる
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本は、転籍を繰り返していると複数の役所から取り寄せる必要があり、非常に手間がかかります。
郵送請求で時間がかかる場合がある
遠方の役所から取り寄せる場合、郵送でのやり取りになるため、1つの役所から受け取るだけで2週間程度かかることもあります。
本籍地が複数ある場合は全ての役所に請求が必要
転籍のたびに本籍地が変わるため、それぞれの役所に請求する必要があります。
司法書士や相続代行サービスに依頼すれば一括で対応
戸籍収集を専門家に依頼すれば、複数の役所への請求を一括して代行してくれます。時間がない方、手間を減らしたい方には有効な選択肢です。
管轄法務局を間違えると受理されない
登記申請は、不動産の所在地を管轄する法務局でなければ受け付けてもらえません。
法務局ホームページで管轄を確認
法務局のホームページで、不動産の所在地を管轄する法務局を確認してください。
郵送申請も可能だが、不備があると返送される
郵送で申請することもできますが、書類に不備があると返送され、やり直しになります。
事前に確認しておきたいこと
不動産の名義変更を始める前に、以下の点を確認しておくと、期待値のズレを防げます。
期待しがちな点(実際はこうなりがち)
「法務局に行けばすぐ終わる」→実際は書類不備で何度も往復
登記申請書の記載ミスや、必要書類の不足などで、法務局に何度も足を運ぶことになるケースが少なくありません。
「遺産分割協議は口頭でOK」→実際は書面(協議書)が必須
遺産分割協議は口頭でも法的には有効ですが、登記申請には遺産分割協議書が必要です。
「3年以内にやればいい」→実際は書類収集に時間がかかるため早めの着手が必要
3年の期限があるからといって余裕を持っていると、戸籍収集や遺産分割協議に時間がかかり、期限ギリギリになってしまうことがあります。
ここはケースで変わる:遺言書の有無
遺言書がある場合とない場合では、手続きが大きく変わります。
遺言書がある場合
遺産分割協議が不要になることが多く、遺言執行者が手続きを進めます。
遺言書がない場合
相続人全員で遺産分割協議を行い、合意を得る必要があります。
自筆証書遺言の場合は家庭裁判所で検認が必要
自筆証書遺言の場合、登記申請の前に家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。検認には1〜2ヶ月程度かかります。
自分でやる vs 司法書士に依頼 vs 相続代行サービス
不動産の名義変更は、自分で行うこともできますし、専門家に依頼することもできます。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
自分でやる場合のメリット・デメリット
メリット: 司法書士報酬(6〜13万円)を節約できる
自分で手続きを行えば、司法書士への報酬を支払う必要がありません。登録免許税のみで済みます。
デメリット: 法務局に何度も足を運ぶ、書類不備でやり直し
登記申請書の記載ミスや書類不足で、法務局に何度も行くことになる可能性があります。
向いている人: 時間に余裕がある、費用を最優先したい
平日に何度も役所や法務局に行ける時間がある方、費用を最小限に抑えたい方に向いています。
司法書士に依頼する場合
費用: 6〜13万円程度(登録免許税は別)
司法書士への報酬は、不動産の数や評価額によって変わりますが、一般的に6〜13万円程度です。
対応範囲: 相続登記のみ、戸籍収集は別途依頼が必要な場合も
司法書士は登記申請を専門としていますが、戸籍収集は別途依頼が必要な場合もあります。
向いている人: 費用と手間のバランスを重視
費用はかかるが、手続きの確実性を重視したい方に向いています。
相続代行サービスを使う場合
費用: 数十万円前後
相続代行サービスの費用は、相続内容や手続き範囲によって変わりますが、数十万円前後が目安です。
対応範囲: 戸籍収集・名義変更・相続登記を一括代行
オンライン完結の相続代行サービスなら、戸籍収集から名義変更、相続登記まで一括して代行してくれます。
向いている人: 仕事が忙しい、遠方在住、初めての相続
平日に何度も役所に行く時間がない方、遠方に住んでいる方、初めての相続で不安がある方に向いています。
まとめ:今日できる最短の一歩
不動産の名義変更は、3年以内の期限があります。まずは以下の行動から始めましょう。
今日やること
- 法務局で登記事項証明書を取得し、不動産の状況を確認する
- 被相続人の本籍地を確認し、戸籍謄本の請求先を調べる
- 遺言書の有無を確認する
明日以降やること
- 被相続人の戸籍謄本を取得し、相続人を確定する
- 相続人全員に連絡し、遺産分割協議の日程を調整する
- 期限までの日数を計算し、スケジュールを立てる
迷ったら専門家に相談
以下のような状況になったら、司法書士や相続代行サービスに相談することをおすすめします。
- 期限まで1年を切っている
- 平日に何度も役所や法務局に行く時間がない
- 戸籍の収集が複雑で、自分では難しい
- 遺産分割協議で意見がまとまらない
オンライン完結の相続代行サービスなら、自宅にいながら専門家のサポートを受けられます。期限内に確実に手続きを完了させたい方は、一度相談してみる価値があります。
