預金相続手続きの全体の流れと最短ルート
親が亡くなり、預金の相続手続きを進めなければならない——そんな状況に直面したとき、「何から手をつければいいのか」「どのくらい時間がかかるのか」と不安になる方は少なくありません。
預金相続の手続きは、大きく分けて5つのステップで構成されています。
- 銀行への連絡(手続き開始の申し出)
- 必要書類の案内を受ける
- 戸籍謄本や印鑑証明書などの書類準備
- 相続手続依頼書の受け取り
- 相続人全員の署名・捺印と提出
この5つのステップを順番に進めていくことで、預金の払戻しや名義変更が完了します。ただし、戸籍の収集や相続人全員の合意形成に時間がかかるケースが多く、全体として2〜4ヶ月程度を見込んでおくのが一般的です。
まず最初にやること3つ
手続きをスムーズに進めるため、最初に取り組むべきことは以下の3つです。
1. 銀行に連絡する
故人が口座を持っていた銀行に、電話または窓口で相続が発生したことを伝えます。このタイミングで口座が凍結されることが一般的です。
2. 必要書類のリストを確認する
銀行から案内される必要書類のリストを受け取り、何を準備すればよいか把握します。銀行によって必要書類が異なる場合があるため、必ず確認してください。
3. 戸籍謄本の収集を開始する
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要です。転籍を繰り返している場合、複数の役所から取り寄せることになるため、早めに着手することが重要です。
かかる時間の目安(ケースで変わります)
預金相続の手続きには、一般的に2〜4ヶ月程度かかると言われています。ただし、これはあくまで目安であり、以下のような要因で所要時間が変動します。
- 被相続人の戸籍が複数の役所に分散している場合
- 相続人が多く、全員の合意を得るのに時間がかかる場合
- 遠方の相続人がいて、書類のやり取りに時間がかかる場合
金融機関によっては、必要書類の案内から4ヶ月以内の提出を求められることもあります。期限を過ぎると再度手続きが必要になる可能性があるため、計画的に進めることが大切です。
平日に何度も銀行や役所に足を運ぶのが難しい方、戸籍収集や書類作成に不安がある方は、オンラインで相続手続きをサポートするサービスの利用も選択肢のひとつです。
ステップ別の手順(銀行への連絡から払戻しまで)
ここでは、預金相続の具体的な手順を5つのステップに分けて解説します。
Step1 銀行への連絡と必要書類の確認
まず、故人が口座を持っていた銀行に連絡します。連絡方法は電話または窓口訪問が一般的です。このとき、以下の情報を伝えます。
- 故人の氏名・生年月日
- 口座番号(わかる場合)
- 相続が発生したこと
銀行は相続の申し出を受けると、口座を凍結します。これは相続人全員の権利を保護するための措置です。凍結後は、相続手続きが完了するまで預金の引き出しや口座振替ができなくなります。
このタイミングで、銀行から必要書類のリストが案内されます。銀行によって求められる書類が異なる場合があるため、必ず確認してください。
Step2 戸籍謄本・印鑑証明書など書類の準備
相続手続きには、以下のような書類が必要になります。
被相続人(亡くなった方)に関する書類
- 出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍を含む)
- 預金通帳、キャッシュカード(手元にある場合)
相続人全員に関する書類
- 戸籍謄本または全部事項証明書
- 印鑑証明書(発行後6ヶ月以内のもの、金融機関によっては3ヶ月以内)
その他
- 遺産分割協議書(法定相続人全員の署名・実印押印があるもの)
- 遺言書がある場合は、遺言書と検認済証明書(公正証書遺言は検認不要)
特に、被相続人の戸籍謄本の収集は時間がかかることが多いです。転籍を繰り返している場合、複数の役所から取り寄せる必要があり、1〜2ヶ月程度かかることもあります。
また、印鑑証明書には有効期限があるため、取得のタイミングに注意してください。金融機関によっては「発行後3ヶ月以内」と期限が短い場合もあります。
Step3 相続手続依頼書への署名・捺印
必要書類を提出すると、銀行から「相続手続依頼書」が送られてきます。この依頼書に、相続人全員が署名し、実印で押印する必要があります。
ここで注意すべきは、相続人全員の合意が必要という点です。遠方に住んでいる相続人がいる場合、郵送でやり取りするため、さらに時間がかかることがあります。
相続人が多い場合や、連絡が取りにくい相続人がいる場合は、合意形成に時間を要することが少なくありません。事前に相続人全員と連絡を取り、手続きの進め方を共有しておくとスムーズです。
よくある詰まりポイントと回避策
預金相続の手続きは複雑で、思わぬところで詰まってしまうことがあります。ここでは、よくあるトラブルとその回避策を紹介します。
書類不備で手続きが進まないケース
ケース1:自筆証書遺言の検認手続きを忘れていた
自筆証書遺言がある場合、銀行に提出する前に家庭裁判所での検認手続きが必要です。検認には1〜2ヶ月程度かかるため、その分手続き全体が遅れます。公正証書遺言の場合は検認不要なので、遺言書の種類を確認しておきましょう。
ケース2:戸籍の連続性が途切れている
被相続人の戸籍謄本は、出生から死亡までの連続性が求められます。転籍や本籍地の変更が多いと、どこかの役所の戸籍が抜けてしまうことがあります。役所で「次の本籍地」を確認しながら、順番に取得していくことが大切です。
ケース3:印鑑証明書の有効期限切れ
印鑑証明書を早めに取得したものの、相続人全員の署名・捺印が揃うまでに時間がかかり、提出時に期限切れになっているケースがあります。期限に余裕を持って取得するか、全員の合意が取れてから取得するなど、タイミングを調整してください。
トラブル時の代替手段(専門家への依頼)
書類収集や手続きに行き詰まった場合、専門家に依頼するのも選択肢です。
司法書士・行政書士に依頼する
相続登記や戸籍収集を専門家に依頼できます。費用はかかりますが、手続きの正確性が高まり、時間も短縮できます。
オンライン完結の相続代行サービスを利用する
近年では、戸籍収集から相続登記、銀行手続きまでをワンストップで代行するオンラインサービスも増えています。平日に何度も役所や銀行に行く時間がない方、遠方に住んでいる方にとっては、効率的な選択肢と言えます。
自分でやる vs 専門家に依頼する判断基準
以下のような状況に当てはまる場合は、専門家への依頼を検討するとよいでしょう。
- 平日に何度も役所や銀行に行く時間が取れない
- 相続人が多く、調整が大変
- 戸籍の収集が複雑で、自分では難しいと感じる
- 相続登記の義務化もあり、確実に期限内に完了させたい
事前に確認しておきたいこと
預金相続の手続きを始める前に、以下の点を確認しておくと、後悔や失敗を減らせます。
思ったより時間がかかる理由
多くの人が「2ヶ月くらいで終わるだろう」と考えますが、実際には4ヶ月以上かかるケースも少なくありません。その理由は以下の通りです。
戸籍収集に時間がかかる
被相続人が転籍を繰り返していると、複数の役所から戸籍謄本を取り寄せる必要があります。郵送でのやり取りになる場合、1つの役所から受け取るだけで2週間程度かかることもあります。
相続人全員の合意形成が難しい
相続手続依頼書には全員の署名・実印押印が必要です。連絡が取りにくい相続人がいたり、遠方に住んでいる相続人がいたりすると、合意を得るまでに時間がかかります。
銀行の処理時間
書類を提出してから実際に払戻しや名義変更が完了するまでには、銀行側の処理時間も必要です。銀行によって異なりますが、1〜2週間程度見込んでおくとよいでしょう。
銀行や相続内容で変わるポイント
預金相続の手続きは、銀行や相続の内容によって細かい違いがあります。
銀行ごとの必要書類の違い
メガバンク、地方銀行、信用金庫など、金融機関によって求められる書類や書式が異なる場合があります。複数の銀行に口座がある場合は、それぞれに確認が必要です。
遺産分割協議の有無
法定相続分で分ける場合と、遺産分割協議を行って特定の相続人が受け取る場合では、必要書類が変わります。遺産分割協議書を作成する場合は、相続人全員の合意が必要です。
相続人の人数
相続人が1人の場合と、複数人いる場合では、手続きの複雑さが大きく変わります。人数が多いほど、書類の準備や合意形成に時間がかかる傾向があります。
代行サービスが向いている人/自分でできる人
預金相続の手続きは、自分で行うこともできますが、状況によっては専門家に依頼した方がスムーズです。
代行サービスが向いている人
仕事が忙しく、平日に何度も役所や銀行に行けない
会社員や共働き世帯の方は、平日昼間の手続きが難しいことが多いです。オンライン完結の代行サービスなら、自宅にいながら手続きを進められます。遠方に住んでいて、実家に何度も帰省できない
親の実家と離れた場所に住んでいる場合、何度も帰省するのは時間的にも経済的にも負担が大きくなります。初めての相続で、何をすればいいかわからない
相続手続きが初めての場合、専門家のサポートがあると安心です。やることリストを管理してくれるサービスもあります。相続登記の義務化があり、確実に期限内に完了させたい
2024年4月から相続登記が義務化されました。3年以内に登記しないと過料が科される可能性があるため、確実に手続きを完了させたい方には代行サービスが向いています。
自分でできる人
- 相続人が1〜2人で、合意形成が簡単
- 平日に時間を確保できる
- 戸籍の収集や書類作成に自信がある
- 費用を抑えたい
こうした条件に当てはまる場合は、自分で手続きを進めることも十分可能です。ただし、途中で詰まった場合は、専門家に相談する選択肢も残しておくとよいでしょう。
まとめ:今日からできる最短の一歩
預金相続の手続きは、全体の流れを把握し、優先順位をつけて進めることが大切です。
今日やること
- 故人が口座を持っていた銀行をリストアップする
- 銀行に連絡し、相続手続きの開始を伝える
- 必要書類のリストを受け取る
明日以降やること
- 被相続人の戸籍謄本の収集を開始する
- 相続人全員に連絡し、手続きの進め方を共有する
- 印鑑証明書の取得タイミングを調整する
代行サービス検討のタイミング
以下のような状況になったら、代行サービスの利用を検討してみてください。
- 戸籍の収集が複雑で、どこから手をつければいいかわからない
- 平日に何度も役所や銀行に行く時間が取れない
- 相続人が多く、調整に時間がかかりそう
- 確実に期限内に手続きを完了させたい
オンラインで相談できるサービスなら、自宅にいながら専門家のサポートを受けられます。手続きの負担を減らし、安心して相続を進めたい方は、一度検討してみる価値があります。
