投資購入新築マンションの流れ・スケジュール|完全ガイド

公開日: 2025/10/18

投資目的で新築マンションを購入する流れとスケジュール

投資目的で新築マンションを購入する場合、自己居住用とは異なる視点での物件選定や、不動産投資ローンの審査、賃貸管理の準備など、特有のステップがあります。収益物件としての視点を持ち、計画的に進めることが成功の鍵となります。

この記事では、投資用新築マンション購入の流れとスケジュール、物件選定から賃貸経営開始までの実務的なポイントを解説します。

この記事でわかること

  • 投資用新築マンション購入の全体スケジュール(3-6ヶ月)
  • 立地と賃貸需要の見極め方、利回り計算のポイント
  • 不動産投資ローンの審査基準と住宅ローンとの違い
  • 契約から引き渡しまでの手続きと登記の流れ
  • 購入後の賃貸管理準備と税務手続き

投資用新築マンション購入の全体スケジュール

(1) 情報収集から賃貸開始までの期間目安

投資用新築マンション購入では、情報収集から賃貸開始まで3-6ヶ月程度が標準的です。

標準的なスケジュール例:

  • 物件選定・投資判断: 1-2ヶ月
  • 融資審査・ローン契約: 1-2ヶ月
  • 売買契約~引き渡し: 1-2ヶ月(完成済み物件の場合)
  • 賃貸管理準備・入居者募集: 1ヶ月

青田売り(建築中の物件)の場合、売買契約から引き渡しまで6-12ヶ月程度かかるため、全体で8-14ヶ月程度を見込む必要があります。

(2) 投資用と居住用の流れの違い

投資用新築マンション購入は、自己居住用と以下の点で異なります。

項目 投資用 居住用
物件選定基準 立地・利回り・賃貸需要 立地・間取り・住環境
融資 不動産投資ローン(金利高め) 住宅ローン(金利低め)
審査基準 本人の属性+物件の収益性 本人の属性(年収・勤続年数)
頭金 2-3割が目安 1-2割が目安
購入後 賃貸管理・確定申告 入居・住宅ローン控除

投資用の場合、物件の収益性が重要な判断基準となります。

物件選定と投資判断(1-2ヶ月)

(1) 立地と賃貸需要の見極め

投資用新築マンションで最も重要なのは立地です。賃貸需要が見込める立地を選ぶことで、空室リスクを軽減できます。

賃貸需要が高い立地の特徴:

  • 主要駅から徒歩10分以内
  • 単身者向けなら都心部、ファミリー向けなら教育環境の良いエリア
  • 周辺に大学・企業・商業施設がある
  • 人口増加エリア、再開発予定エリア

物件選定では、賃貸ポータルサイトで同エリアの賃料相場や空室状況を確認し、需要を見極めることが重要です。

(2) 利回り計算と収益性シミュレーション

投資判断では、利回り計算が欠かせません。

表面利回り:

表面利回り = 年間賃料収入 ÷ 物件価格 × 100

例: 物件価格3,000万円、想定賃料月10万円の場合

表面利回り = (10万円 × 12ヶ月) ÷ 3,000万円 × 100 = 4%

実質利回り:

実質利回り = (年間賃料収入 − 年間経費) ÷ (物件価格 + 購入時諸費用) × 100

年間経費には、管理費・修繕積立金・固定資産税・管理委託費用などが含まれます。購入時諸費用は物件価格の5-10%程度です。

新築マンションの表面利回りは一般的に3-5%程度ですが、実質利回りは1-3%程度に下がることが多いため、現実的な収益性を把握することが重要です。

(3) 管理体制と修繕計画の確認

新築マンションでは、管理組合の運営体制や長期修繕計画も確認すべきポイントです。

  • 管理会社: 実績のある管理会社が選定されているか
  • 修繕積立金: 将来的に不足しないか(段階増額方式の場合、将来負担が増える)
  • 管理規約: 賃貸に出すことに制限はないか

管理体制がしっかりしている物件は、資産価値の維持にもつながります。

資金調達と融資審査(1-2ヶ月)

(1) 不動産投資ローンと住宅ローンの違い

投資用マンション購入では、住宅ローンではなく不動産投資ローンを利用します。

項目 不動産投資ローン 住宅ローン
金利 2-4%程度 0.5-1.5%程度
審査基準 本人の属性+物件の収益性 本人の属性
頭金 2-3割が目安 1-2割が目安
借入期間 25-35年 35年
住宅ローン控除 適用なし 適用あり

不動産投資ローンは事業性融資として扱われるため、金利が高く、審査も厳しくなります。

(2) 融資審査で見られるポイント

金融機関は、以下のポイントを審査します。

本人の属性:

  • 年収(一般的に500万円以上が目安)
  • 勤続年数(3年以上が望ましい)
  • 勤務先の安定性
  • 既存の借入状況

物件の収益性:

  • 想定賃料(周辺相場と比較して妥当か)
  • 利回り(金融機関が求める水準を満たしているか)
  • 立地・築年数・管理状況
  • 入居見込み(賃貸需要の有無)

投資用ローンでは、物件の収益性が審査の重要な要素となるため、収支シミュレーションをしっかり準備することが大切です。

(3) 必要書類の準備

融資審査では、以下の書類が必要になります。

本人の書類:

  • 本人確認書類(運転免許証等)
  • 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書等)
  • 勤務先の情報(在職証明書等)

物件の書類:

  • 売買契約書(案)
  • 物件概要書
  • レントロール(想定賃料表)
  • 管理費・修繕積立金の明細

金融機関によって必要書類が異なるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

契約から引き渡しまでの手続き(1-2ヶ月)

(1) 重要事項説明と売買契約

融資の事前審査に通過したら、重要事項説明を受け、売買契約を締結します。

  • 重要事項説明: 宅地建物取引士による物件の詳細説明(国土交通省)
  • 売買契約: 契約書への署名・捺印、手付金の支払い(売買代金の5-10%)

投資用物件の場合、重要事項説明では以下の点を特に確認してください。

  • 賃貸に出すことに制限はないか
  • 管理規約の内容
  • 修繕積立金の積立方式と将来的な負担

(2) 決済・引き渡しと登記手続き

融資の本審査に通過したら、決済・引き渡しを行います。

  • 残代金の支払い: 不動産投資ローンの融資実行
  • 諸費用の支払い: 登記費用、固定資産税精算金、仲介手数料等
  • 鍵の受領: 物件の引き渡し

決済日は、売買契約から1-2ヶ月後(完成済み物件の場合)に設定されます。

(3) 所有権保存登記の流れ

新築マンションの場合、所有権保存登記を行います(法務局)。

  • 所有権保存登記: 新築物件の所有者として登記
  • 抵当権設定登記: 不動産投資ローンを利用する場合、金融機関が抵当権を設定

登記手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、費用は10-30万円程度です。

購入後の賃貸管理準備(1ヶ月)

(1) 管理会社の選定(サブリース含む)

投資用マンションの賃貸管理は、管理会社に委託するのが一般的です。

管理委託方式:

  • 管理会社が入居者募集、契約、家賃回収、クレーム対応などを代行
  • 管理手数料: 賃料の5-10%程度

サブリース方式:

  • 管理会社が一括で借り上げて転貸
  • 空室リスクを管理会社が負担するが、手数料が高い(賃料の10-20%程度)

管理会社を選ぶ際は、以下のポイントを比較してください。

  • 管理手数料
  • 入居者募集力(過去の入居率実績)
  • 対応スピード(口コミを確認)
  • サブリース条件(家賃保証の水準、契約解除条件)

売主提携の管理会社だけでなく、独立系の管理会社からも見積もりを取ることをおすすめします。

(2) 入居者募集の開始

引き渡し後、速やかに入居者募集を開始します。

  • 賃貸ポータルサイトへの掲載
  • 内見対応(管理会社が代行)
  • 入居申込・審査

新築マンションは人気が高く、立地が良ければ1-2ヶ月で入居者が決まることが多いですが、郊外や供給過多エリアでは数ヶ月かかる場合もあります。

(3) 賃貸借契約の締結

入居者が決まったら、賃貸借契約を締結します。

  • 契約書の作成(管理会社が作成)
  • 敷金・礼金・初月賃料の受領
  • 鍵の引き渡し

賃貸借契約の内容は、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」に準拠していることを確認してください。

税務手続きと確定申告

(1) 不動産所得の計算方法

投資用マンションの賃貸収入は、不動産所得として確定申告が必要です(国税庁)。

不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費

総収入金額: 賃料収入、礼金、更新料など

必要経費: 減価償却費、管理費、修繕積立金、固定資産税、管理委託費用、火災保険料、ローン利息など

(2) 減価償却費の計上

建物部分は減価償却資産として、耐用年数に応じて毎年減価償却費を計上できます。

  • 鉄筋コンクリート造マンション: 耐用年数47年
  • 減価償却方法: 定額法

減価償却費を計上することで、実際には現金支出がなくても、経費として不動産所得を減らすことができます。

(3) 確定申告の準備と注意点

賃貸収入が発生した年の翌年2-3月に確定申告を行います。

初年度の特徴:

  • 購入諸費用や減価償却費で赤字になることが多い
  • 赤字の場合、給与所得と損益通算して所得税の還付を受けられる可能性がある

確定申告に必要な書類:

  • 賃貸借契約書
  • 賃料収入の記録
  • 必要経費の領収書
  • 住宅ローン残高証明書
  • 固定資産税納税通知書

税務処理が複雑になるため、税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

投資用新築マンション購入では、収益性を重視した物件選定と、購入後の賃貸管理・税務手続きが重要です。

  • 情報収集から賃貸開始まで3-6ヶ月程度(青田売りは8-14ヶ月)
  • 立地・利回り・賃貸需要を重視して物件を選定
  • 不動産投資ローンは住宅ローンより金利が高く、審査も厳しい
  • 頭金は2-3割が目安、物件の収益性も審査される
  • 購入後は管理会社に委託し、速やかに入居者募集を開始
  • 賃貸収入は不動産所得として確定申告が必要

投資用マンション購入は、不動産会社、金融機関、管理会社、税理士など、専門家のサポートを受けながら進めることで、成功の可能性が高まります。

よくある質問

Q1投資用新築マンションのローン審査は厳しいですか?

A1住宅ローンより審査は厳しくなります。金融機関は本人の属性(年収・勤続年数)だけでなく、物件の収益性(想定賃料・利回り)や入居見込みも審査します。頭金は2-3割が目安で、金利も住宅ローンより1-2%程度高く設定されます。年収500万円以上、勤続年数3年以上が一般的な目安とされています。

Q2新築マンションの入居者はすぐ見つかりますか?

A2立地次第で大きく異なります。駅近・人気エリアなら1-2ヶ月で入居者が決まることが多いですが、郊外や供給過多エリアでは数ヶ月かかる場合もあります。サブリース契約(管理会社が一括借り上げ)なら空室リスクを軽減できますが、手数料分(賃料の10-20%程度)利回りは下がります。

Q3購入後の確定申告はいつから必要ですか?

A3賃貸収入が発生した年の翌年2-3月に確定申告が必要です。初年度は購入諸費用や減価償却費で赤字になることも多く、その場合は給与所得と損益通算して所得税の還付を受けられる可能性があります。減価償却費、管理費、固定資産税、ローン利息などが必要経費として認められます。

Q4管理会社はどうやって選べばいいですか?

A4管理手数料(賃料の5-10%)、入居者募集力、対応スピード、サブリース条件を比較してください。複数社から見積もりを取り、過去の入居率実績や口コミを確認することが重要です。売主提携の管理会社だけでなく、独立系の管理会社も検討し、入居者募集力や対応の質を見極めることをおすすめします。

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