投資用戸建て購入の流れ・スケジュール|5〜9ヶ月完全ガイド

公開日: 2025/10/14

投資用戸建て購入スケジュール|全体の流れ

投資目的で戸建てを購入する場合、居住用とは異なる視点での物件選定や収益シミュレーションが必要です。この記事では、投資用戸建ての購入から賃貸開始までの流れとスケジュールを詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 投資用戸建ての購入完了まで5〜9ヶ月が目安
  • 収益シミュレーションに時間をかける必要がある
  • 投資用ローンは居住用より金利が高く審査も厳しい
  • オーナーチェンジ物件なら賃貸準備が不要
  • 賃貸開始までのスケジュール管理が収益性に影響

(1) 購入完了までの期間(5〜9ヶ月)

投資用戸建ての購入完了までにかかる期間は、おおむね5〜9ヶ月です。居住用に比べて期間が長くなる理由は、収益性の検証と融資審査に時間がかかるためです。

標準的なスケジュール:

  • 投資戦略・資金計画:1〜2ヶ月
  • 物件探し・収益シミュレーション:2〜3ヶ月
  • 契約・融資審査:1〜2ヶ月
  • 決済・賃貸準備:1〜2ヶ月

(2) 各フェーズの所要期間

フェーズ 所要期間 主な内容
投資戦略・資金計画 1〜2ヶ月 利回り目標設定、自己資金準備
物件探し 2〜3ヶ月 収益物件検索、現地調査
契約・融資審査 1〜2ヶ月 売買契約、ローン審査
決済・賃貸準備 1〜2ヶ月 所有権移転、賃貸募集

(3) 居住用物件との違い

投資用戸建ては、以下の点で居住用と異なります。

投資用特有のステップ:

  • 利回りと収益性の検証が必須
  • 賃貸需要の調査が必要
  • 投資用ローンの審査(収益性審査含む)
  • 賃貸募集と入居者確保の準備

投資戦略と資金計画(1〜2ヶ月)

投資用戸建ての購入では、最初に明確な投資戦略と資金計画を立てることが重要です。

(1) 投資目標と利回り目標の設定

投資用不動産では、収益性を示す「利回り」が重要な指標です。

利回りの種類:

  • 表面利回り:年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100
  • 実質利回り:(年間家賃収入 − 経費) ÷ (物件価格 + 諸費用) × 100

一般的に、投資用戸建ての表面利回りは5〜10%程度が目安とされていますが、立地や物件状態により大きく異なります。

(2) 自己資金と融資額の計画

投資用不動産の購入には、物件価格の20〜30%の自己資金が必要になることが多いです。

資金計画の例:

  • 物件価格:3,000万円
  • 自己資金:600万円(20%)
  • 融資額:2,400万円
  • 諸費用(登記費用、仲介手数料等):約200万円

(3) 投資用ローンの事前審査

投資用ローンは、金融庁のガイドラインに沿った審査が行われます。居住用の住宅ローンと比べて以下の特徴があります。

投資用ローンの特徴:

  • 金利が0.5〜1%程度高い(2〜4%台が多い)
  • 審査に収益性評価が加わる
  • 自己資金比率が高く求められる
  • 審査期間が2〜3週間と長い

物件探しと収益シミュレーション(2〜3ヶ月)

投資用戸建ての物件選定は、収益性を重視した慎重な検討が必要です。

(1) 収益物件の検索と選定(1〜2ヶ月)

投資用戸建ての検索では、以下のポイントを重視します。

物件選定のチェックポイント:

  • 立地:賃貸需要の高いエリア(駅徒歩圏、学校・商業施設近く等)
  • 築年数:新しいほど修繕費が少ないが、利回りは低い傾向
  • 間取り:ファミリー向け(3LDK以上)が安定した需要
  • 物件状態:大規模修繕の要否を確認
  • 周辺の賃料相場:想定家賃が適正か調査

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、地域ごとの不動産市場動向を確認できます。

(2) 現地調査と収益シミュレーション

物件を絞り込んだら、現地調査と詳細な収益シミュレーションを行います。

収益シミュレーションの項目:

項目 内容
年間家賃収入 月額家賃 × 12ヶ月 × 入居率
年間経費 固定資産税、管理費、修繕費、保険料等
年間収支 家賃収入 − 経費 − ローン返済
実質利回り 年間収支 ÷ 総投資額

注意点:

  • 空室率を10〜20%程度見込む
  • 大規模修繕費を長期的に積み立てる
  • 金利上昇リスクを考慮する

(3) 購入申込みと価格交渉

物件が決まったら、購入申込書を提出し、価格交渉を行います。投資用物件では、収益性を根拠に価格交渉を進めることがポイントです。

契約と融資審査(1〜2ヶ月)

売買契約と融資審査を並行して進めます。

(1) 売買契約(手付金支払い)

売買契約時には、物件価格の5〜10%程度の手付金を支払います。

契約時の確認事項:

  • 重要事項説明書の内容(賃貸借契約の有無、修繕履歴等)
  • 契約解除の条件(融資特約の有無)
  • 引渡し時期

(2) 投資用ローン本審査(2〜3週間)

投資用ローンの本審査では、以下の項目が審査されます。

審査項目:

  • 申込者の属性(年収、勤続年数、信用情報等)
  • 物件の収益性(想定家賃、空室リスク等)
  • 物件の担保価値
  • 返済負担率(年収に対するローン返済額の割合)

金融庁のガイドラインによると、投資用不動産ローンは慎重な審査が求められています。

(3) 金銭消費貸借契約

本審査通過後、金融機関と金銭消費貸借契約(ローン契約)を締結します。この契約で、借入金額、金利、返済期間、返済方法などが確定します。

決済・引渡しと賃貸準備(1〜2ヶ月)

契約から約1〜2ヶ月後に決済・引渡しが行われます。

(1) 残金決済と所有権移転登記

決済日に、残代金を支払い、所有権移転登記を行います。

決済時の流れ:

  1. 残代金の支払い(融資実行)
  2. 固定資産税等の清算
  3. 鍵の引渡し
  4. 司法書士による所有権移転登記申請

法務局の手続きに従い、登記は決済日当日または翌日に申請されます。

(2) リフォーム・クリーニング(必要に応じて)

空室物件の場合、賃貸募集前にリフォームやクリーニングを行うことがあります。

リフォームの優先順位:

  1. 水回り(キッチン、浴室、トイレ)の清掃・修繕
  2. 壁紙・床の張り替え
  3. 設備の点検・修理

リフォーム期間は内容により1週間〜1ヶ月程度です。

(3) 賃貸募集と入居者確保

物件の準備が整ったら、賃貸募集を開始します。

賃貸募集の手順:

  1. 不動産会社に賃貸管理を委託(管理委託契約)
  2. 賃料設定と募集条件の決定
  3. 募集広告の掲載
  4. 内見対応と入居審査
  5. 賃貸借契約の締結

入居者が決まるまでの期間は、エリアや条件により1週間〜2ヶ月程度です。

投資用物件特有のスケジュール調整

投資用戸建てには、賃貸状況に応じた特有のスケジュール調整があります。

(1) 賃貸中物件の購入(オーナーチェンジ)

すでに入居者がいる物件(オーナーチェンジ物件)を購入する場合、以下のメリットがあります。

オーナーチェンジのメリット:

  • 決済後すぐに賃料収入が得られる
  • リフォームや賃貸募集が不要
  • 空室リスクが低い

注意点:

  • 入居者への通知(賃貸人変更の通知)が必要
  • 敷金・礼金の引き継ぎ手続き
  • 既存の賃貸借契約条件を引き継ぐ

(2) 空室物件の購入と賃貸準備

空室物件の場合、賃貸開始までに以下の準備が必要です。

賃貸準備のスケジュール:

  1. リフォーム・クリーニング(1〜4週間)
  2. 賃貸募集開始(決済前から可能な場合も)
  3. 入居審査と契約(1〜2週間)
  4. 入居(契約から1〜2週間後)

(3) 賃貸開始までの期間短縮

収益性を高めるため、空室期間を短縮する工夫が重要です。

期間短縮のポイント:

  • 決済前から賃貸募集を開始(売主の了解が必要)
  • リフォームと募集を並行して進める
  • 賃料や条件を市場相場に合わせる
  • 複数の不動産会社に募集を依頼

まとめ

投資用戸建ての購入は、居住用とは異なる視点での物件選定と収益シミュレーションが必要です。

重要なポイント:

  • 購入完了まで5〜9ヶ月が目安
  • 利回りと収益性の検証に時間をかける
  • 投資用ローンは金利が高く、審査も厳しい
  • 賃貸開始までのスケジュール管理が収益性に影響
  • オーナーチェンジ物件なら賃貸準備が不要

国土交通省や金融庁のガイドラインを参考にしながら、慎重に投資判断を行いましょう。また、税務面では国税庁の不動産所得の計算方法や減価償却費の取扱いを理解しておくことが重要です。

よくある質問

Q1. 投資用戸建ての購入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 購入完了まで5〜9ヶ月程度が目安です。投資戦略・資金計画に1〜2ヶ月、物件探しに2〜3ヶ月、契約・融資審査に1〜2ヶ月、決済・賃貸準備に1〜2ヶ月かかります。収益シミュレーションに時間をかける必要があるため、居住用よりも期間が長くなる傾向があります。

Q2. 投資用ローンの審査は居住用より厳しいですか?

A. 投資用ローンは、居住用の住宅ローンよりも金利が0.5〜1%程度高く、審査も厳しい傾向にあります。収益性の審査が加わるため、審査期間も2〜3週間かかります。また、自己資金比率20〜30%が求められることが多く、十分な自己資金の準備が必要です。

Q3. オーナーチェンジ物件の購入スケジュールは通常と違いますか?

A. 賃貸中物件(オーナーチェンジ)は、賃貸準備が不要なため、決済後すぐに賃料収入が得られます。ただし、入居者への賃貸人変更の通知や、敷金・礼金の引き継ぎ手続きが必要です。全体のスケジュールは通常と同じ5〜9ヶ月程度ですが、賃貸開始までの期間が短縮できます。

Q4. 投資用戸建て購入で最も時間がかかる工程は何ですか?

A. 収益物件の検索と選定が最も時間がかかります(1〜2ヶ月)。利回り、立地、築年数などの条件を満たす物件を見つけるには時間がかかります。また、収益シミュレーションも慎重に行う必要があるため、物件選定フェーズ全体で2〜3ヶ月を見込むのが現実的です。

よくある質問

Q1投資用戸建ての購入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A1購入完了まで5〜9ヶ月程度が目安です。投資戦略・資金計画に1〜2ヶ月、物件探しに2〜3ヶ月、契約・融資審査に1〜2ヶ月、決済・賃貸準備に1〜2ヶ月かかります。収益シミュレーションに時間をかける必要があるため、居住用よりも期間が長くなる傾向があります。

Q2投資用ローンの審査は居住用より厳しいですか?

A2投資用ローンは、居住用の住宅ローンよりも金利が0.5〜1%程度高く、審査も厳しい傾向にあります。収益性の審査が加わるため、審査期間も2〜3週間かかります。また、自己資金比率20〜30%が求められることが多く、十分な自己資金の準備が必要です。

Q3オーナーチェンジ物件の購入スケジュールは通常と違いますか?

A3賃貸中物件(オーナーチェンジ)は、賃貸準備が不要なため、決済後すぐに賃料収入が得られます。ただし、入居者への賃貸人変更の通知や、敷金・礼金の引き継ぎ手続きが必要です。全体のスケジュールは通常と同じ5〜9ヶ月程度ですが、賃貸開始までの期間が短縮できます。

Q4投資用戸建て購入で最も時間がかかる工程は何ですか?

A4収益物件の検索と選定が最も時間がかかります(1〜2ヶ月)。利回り、立地、築年数などの条件を満たす物件を見つけるには時間がかかります。また、収益シミュレーションも慎重に行う必要があるため、物件選定フェーズ全体で2〜3ヶ月を見込むのが現実的です。

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