離婚後マンション購入の金利比較|単独審査のポイント

公開日: 2025/10/20

離婚後のマンション購入で知っておきたい住宅ローン金利のポイント

離婚を契機にマンション購入を検討する際、最も気になるのが住宅ローンの金利や商品選びではないでしょうか。単独名義での審査、変動金利と固定金利の選択、財産分与を頭金にする場合の注意点など、離婚特有の課題があります。

この記事では、離婚後のマンション購入における住宅ローン金利・商品比較のポイントを、公的機関のデータを基に詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 離婚後の住宅ローン金利選択の基礎知識
  • 変動金利と固定金利の特徴と離婚後の選択基準
  • 離婚時の審査ポイントと返済負担率(30〜35%以内)
  • 財産分与が審査に与える影響と対策
  • 単独名義での借入と収入補完の方法

離婚時のマンション購入と住宅ローン金利の基礎

離婚を契機としたマンション購入の特徴

離婚を契機としたマンション購入には、以下の特徴があります。

主な特徴

  • 単独名義: 離婚後は単独名義での借入となり、審査基準が変わる
  • 収入変化: 共働きから単独収入になることで、借入可能額が減少する可能性
  • 財産分与の活用: 財産分与を頭金にするケースが多いが、資金の出所証明が必要
  • マンション特有のコスト: 管理費・修繕積立金が毎月必要で、審査に影響

住宅金融支援機構の「フラット35の金利と審査基準」によれば、離婚後の単独名義での借入では、収入の再評価と返済負担率の計算が重要になります。

住宅ローン金利が購入計画に与える影響

住宅ローンの金利は、離婚後のマンション購入計画に以下の影響を与えます。

影響する要素

項目 変動金利(0.3〜0.5%) 固定金利(1.8〜2.0%)
月々返済額 低め 高め
総返済額 金利次第で変動 確定
金利上昇リスク あり なし
返済計画の立てやすさ 難しい 容易

出典: 全国銀行協会「変動金利と固定金利の比較」、住宅金融支援機構

離婚後は収入が不安定になる可能性があるため、返済計画が立てやすい固定金利を選ぶ方が多い傾向にあります。

金利タイプの比較(変動vs固定)と離婚後の選択基準

変動金利のメリット・デメリット

全国銀行協会のデータによれば、変動金利は市場金利に連動し、半年ごとに見直されます。

変動金利の特徴

  • 金利水準: 0.3〜0.5%(2025年1月現在)
  • 金利見直し: 半年ごと
  • 返済額の変更: 5年ごと(5年ルール)

メリット

  • 初期金利が低く、返済開始時の負担が軽い
  • 金利が上がらなければ、総返済額が最も少なくなる
  • 繰上返済手数料が無料の商品が多い

デメリット

  • 金利上昇リスクがある
  • 返済額が変動するため、離婚後の収入不安定期には不向き
  • 長期的な資金計画が立てにくい

固定金利のメリット・デメリット

固定金利は、一定期間金利が変わらないタイプです。

固定金利の特徴

  • 金利水準: 10年固定1.0〜1.5%、全期間固定1.8〜2.0%(2025年1月現在)
  • 固定期間: 2年・3年・5年・10年・全期間など選択可能

メリット

  • 返済額が確定し、長期的な資金計画が立てやすい
  • 金利上昇リスクがない
  • 離婚後の不安定な時期でも安心して返済できる

デメリット

  • 変動金利より初期金利が高い
  • 金利が下がった場合でも恩恵を受けられない
  • 繰上返済手数料が発生する商品もある

住宅金融支援機構のフラット35は、全期間固定金利(1.8〜2.0%)で、離婚後の収入が不安定な時期でも返済計画が立てやすい特徴があります。

離婚後の収入不安定期における金利選択

離婚後の収入不安定期では、以下の基準で金利タイプを選択します。

状況 推奨金利タイプ 理由
離婚直後で収入不安定 全期間固定(フラット35) 返済額が確定し、金利上昇リスクなし
収入が安定している 変動金利または10年固定 低金利を活用し、返済負担を軽減
数年後に収入増加の見込み 10年固定 短期的な安定と、将来の見直しの柔軟性

金融庁の「住宅ローンの審査基準」によれば、離婚後の収入が不安定な場合、固定金利を選ぶことで、金融機関からの信頼性も高まる傾向があります。

離婚時の審査ポイントと返済負担率

返済負担率の基準(30〜35%以内)

金融庁の資料によれば、離婚後の単独名義では返済負担率が重要な審査基準となります。

返済負担率の目安

  • 年収400万円未満: 返済負担率30%以内
  • 年収400万円以上: 返済負担率35%以内

マンション特有の計算

マンション購入では、住宅ローン返済額に管理費・修繕積立金を加えた総額で返済負担率を計算します。

具体例

  • 年収400万円、住宅ローン年間返済額108万円、管理費・修繕積立金年間36万円
  • 総返済負担率: (108万円 + 36万円)÷ 400万円 = 36%

この場合、返済負担率が35%を超えるため、借入額を減らすか、管理費・修繕積立金が安い物件を検討する必要があります。

離婚による収入減少時の審査厳格化

離婚により収入が減少する場合、審査が厳格化します。

審査で確認される項目

  • 離婚後の単独年収(源泉徴収票、確定申告書など)
  • 養育費の支払い状況(継続的支出として返済負担率に影響)
  • 勤続年数(転職直後は審査が厳しい)
  • 他の借入状況(カードローン、自動車ローンなど)

養育費の影響

  • 年収400万円、養育費月5万円(年間60万円)の場合
  • 住宅ローンに充てられる年間返済額: 140万円 - 60万円 = 80万円
  • 月々の返済可能額: 約6.6万円
  • 借入可能額の減少: 約500万円の減少となる可能性

必要な収入証明書類

離婚後の単独名義での借入では、以下の書類が必要です。

主な書類

  • 源泉徴収票(直近1〜2年分)
  • 確定申告書(自営業の場合、直近2〜3年分)
  • 給与明細書(直近3ヶ月分)
  • 離婚協議書または公正証書(財産分与・養育費の記載)
  • 住民票(単独世帯であることの証明)

金融機関によっては、離婚協議書で養育費の支払い義務が明記されている場合、その金額を継続的支出として審査に反映します。

財産分与が住宅ローン審査に与える影響

財産分与の負債としての扱い

財産分与で支払いを行う側の場合、その金額が負債として扱われる可能性があります。

負債扱いのケース

  • 財産分与を分割払いで支払う場合
  • 離婚協議書に分割払いの記載がある場合
  • 未払いの財産分与がある場合

影響の例

  • 財産分与の分割払い: 月5万円(年間60万円)
  • 年収400万円の場合、返済負担率計算に60万円が加算される
  • 住宅ローンの借入可能額が約500万円減少

金融庁の資料によれば、財産分与が負債として扱われるかどうかは金融機関により異なるため、事前に確認が必要です。

借入額減少のリスクと対策

財産分与により借入額が減少するリスクを回避するには、以下の対策があります。

対策

  1. 一括払いで財産分与を完了: 分割払いを避け、一括で清算する
  2. 財産分与を頭金に活用: 受け取った財産分与をマンション購入の頭金に充てる
  3. 親との収入合算: 親の収入を合算して借入可能額を増やす
  4. 公正証書の作成: 財産分与が完了したことを公正証書で証明

財産分与を受け取る側の場合、その資金を頭金にすることで、借入額を抑え、返済負担を軽減できます。

単独名義での借入と収入補完の方法

単独名義での審査注意点

離婚後の単独名義での借入では、以下の点に注意が必要です。

注意点

  • 共働き時代より借入可能額が減少する
  • 返済負担率が厳格に審査される
  • 管理費・修繕積立金も返済負担率に含まれる
  • 勤続年数が短い場合、審査が厳しくなる

審査を通りやすくするポイント

  • 頭金を多く用意する(物件価格の20%以上が目安)
  • 他の借入を完済または減らす
  • 勤続年数を積む(転職直後は避ける)
  • 安定した収入を証明する

親との収入合算・ペアローン

住宅金融支援機構の「収入合算とペアローン」によれば、親との収入合算やペアローンで借入可能額を増やせます。

収入合算

  • 主たる債務者の収入に、親の収入を合算して審査
  • 親は連帯保証人または連帯債務者となる
  • 借入額を増やせるが、親の年齢制限あり(完済時80歳未満等)

ペアローン

  • 親と子がそれぞれ主たる債務者として別々のローンを組む
  • 2人とも団信に加入でき、住宅ローン控除も2人分受けられる
  • 親の年齢制限と、親の収入・債務も審査対象

金利水準

  • 変動金利: 0.3〜0.5%
  • 固定金利: 1.8〜2.0%(フラット35)

親との収入合算は、単独名義では借入が難しい場合の有効な選択肢です。

新パートナーとの連帯債務

再婚や同棲を前提とする場合、新パートナーとの連帯債務も選択肢となります。

連帯債務の特徴

  • 2人の収入を合算して借入可能額を増やす
  • 両者が連帯して債務を負う
  • 住宅ローン控除を2人分受けられる

注意点

  • 将来的に関係が変わった場合、ローンの処理が複雑になる
  • 金融機関によっては婚姻関係を求める場合もある
  • 慎重な判断が必要

主要金融機関の金利商品比較と審査傾向

フラット35の金利と収入要件

住宅金融支援機構のフラット35は、離婚後の単独名義でも利用しやすい商品です。

フラット35の特徴

  • 金利: 1.8〜2.0%(全期間固定、2025年1月現在、融資率9割以下)
  • 収入要件: 年収400万円未満で返済負担率30%以内、400万円以上で35%以内
  • 審査基準: 物件の技術基準を満たす必要あり
  • 団信: 任意加入(保険料不要)

離婚後のメリット

  • 全期間固定金利で返済計画が立てやすい
  • 収入基準が明確で、審査が通りやすい
  • 団信加入が任意のため、健康状態に不安がある場合も利用可能

メガバンク・地方銀行の変動金利商品

主要メガバンクの変動金利商品には、それぞれ特徴があります。

主要金融機関の金利

  • 三菱UFJ銀行: 変動0.345〜0.475%(2025年1月現在)
  • 三井住友銀行: 変動0.475〜0.725%
  • みずほ銀行: 変動0.375〜0.675%

審査傾向

  • 離婚後の単独名義でも、年収・勤続年数が基準を満たせば審査に通る
  • 管理費・修繕積立金を含めた総返済負担率で審査
  • 財産分与の支払いがある場合、負債として扱われる可能性

地方銀行は、地域密着型の審査で、地元物件に強い傾向があります。

ネット銀行の審査基準と金利優遇

ネット銀行は低金利が魅力ですが、審査基準が厳しい傾向があります。

主要ネット銀行の金利

  • 住信SBIネット銀行: 変動0.298%
  • auじぶん銀行: 変動0.319%
  • 楽天銀行: 変動0.556%

審査基準

  • 年収や勤続年数の基準が厳しめ
  • 離婚後の単独名義では、収入の安定性が重視される
  • 管理費・修繕積立金を含めた総返済負担率が25%以内が理想

ネット銀行は金利が低い反面、審査が厳しいため、収入が安定している場合に適しています。

まとめ

離婚後のマンション購入では、単独名義での審査、変動金利と固定金利の選択、財産分与を頭金にする際の注意点など、離婚特有の課題があります。

重要なポイントは以下の通りです。

  • 金利選択: 収入が不安定な時期は固定金利(フラット35)、安定していれば変動金利を検討
  • 審査対策: 返済負担率(年収の30〜35%以内)に管理費・修繕積立金も含めて計算
  • 財産分与: 一括で清算するか、頭金に活用することで審査への影響を抑える
  • 収入補完: 親との収入合算やペアローンで借入可能額を増やす選択肢もある

離婚後の新しい生活のスタートとして、適切な住宅ローンを選び、無理のない返済計画を立てることが大切です。金融機関や専門家に相談しながら、自分に合った金利商品を選びましょう。

よくある質問

離婚後の収入減で審査に通りにくくなりますか?

はい、返済負担率が厳格に審査されます。年収400万円未満なら返済負担率30%以内、400万円以上なら35%以内が目安です。また、マンション購入では住宅ローン返済額に管理費・修繕積立金を加えた総額で計算されるため、これらのコストを含めた返済可能額で審査されます。養育費の支払いがある場合、継続的支出として返済負担率に反映され、借入可能額がさらに減少する可能性があります。

財産分与の支払いがあると借入額が減りますか?

可能性があります。財産分与を分割払いで支払う場合、その金額が負債として扱われ、借入可能額が減少することがあります。例えば、月5万円の分割払い(年間60万円)がある場合、借入可能額が約500万円減少する可能性があります。対策として、一括払いで財産分与を完了する、または財産分与を受け取る側はその資金を頭金に活用することをおすすめします。金融機関により扱いが異なるため、事前相談が必要です。

変動金利と固定金利、離婚後はどちらが安全ですか?

収入が不安定な時期は固定金利(フラット35等)が安全です。返済額が確定し、金利上昇リスクがないため、離婚後の収入が不安定な時期でも安心して返済できます。変動金利は初期金利が低い(0.3〜0.5%)ですが、金利上昇リスクがあり、返済額が変動するため、収入が安定してからの選択肢となります。離婚直後は固定金利を選び、数年後に収入が安定してから借り換えを検討するのも一つの方法です。

親との収入合算で借入額を増やせますか?

可能です。親が連帯債務者または連帯保証人となり、親の収入を合算して借入額を増やせます。ただし、親の年齢制限(完済時80歳未満等)があり、親の収入や債務も審査対象となります。ペアローンの場合、親と子がそれぞれ主たる債務者として別々のローンを組み、2人とも団信に加入でき、住宅ローン控除も2人分受けられます。単独名義では借入が難しい場合の有効な選択肢ですが、親子でよく相談した上で決定しましょう。

よくある質問

Q1離婚後の収入減で審査に通りにくくなりますか?

A1はい、返済負担率が厳格に審査されます。年収400万円未満なら返済負担率30%以内、400万円以上なら35%以内が目安です。また、マンション購入では住宅ローン返済額に管理費・修繕積立金を加えた総額で計算されるため、これらのコストを含めた返済可能額で審査されます。養育費の支払いがある場合、継続的支出として返済負担率に反映され、借入可能額がさらに減少する可能性があります。

Q2財産分与の支払いがあると借入額が減りますか?

A2可能性があります。財産分与を分割払いで支払う場合、その金額が負債として扱われ、借入可能額が減少することがあります。例えば、月5万円の分割払い(年間60万円)がある場合、借入可能額が約500万円減少する可能性があります。対策として、一括払いで財産分与を完了する、または財産分与を受け取る側はその資金を頭金に活用することをおすすめします。金融機関により扱いが異なるため、事前相談が必要です。

Q3変動金利と固定金利、離婚後はどちらが安全ですか?

A3収入が不安定な時期は固定金利(フラット35等)が安全です。返済額が確定し、金利上昇リスクがないため、離婚後の収入が不安定な時期でも安心して返済できます。変動金利は初期金利が低い(0.3〜0.5%)ですが、金利上昇リスクがあり、返済額が変動するため、収入が安定してからの選択肢となります。離婚直後は固定金利を選び、数年後に収入が安定してから借り換えを検討するのも一つの方法です。

Q4親との収入合算で借入額を増やせますか?

A4可能です。親が連帯債務者または連帯保証人となり、親の収入を合算して借入額を増やせます。ただし、親の年齢制限(完済時80歳未満等)があり、親の収入や債務も審査対象となります。ペアローンの場合、親と子がそれぞれ主たる債務者として別々のローンを組み、2人とも団信に加入でき、住宅ローン控除も2人分受けられます。単独名義では借入が難しい場合の有効な選択肢ですが、親子でよく相談した上で決定しましょう。

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