ビニールハウスの固定資産税完全ガイド|課税対象の判断基準と軽減措置

著者: Room Match編集部公開日: 2026/1/1

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ビニールハウスの固定資産税を知りたい方へ

「ビニールハウスを設置したけど、固定資産税は払わないといけないの?」「償却資産税って何?」と疑問に思う農業従事者の方は少なくありません。

この記事では、ビニールハウスにかかる償却資産税の仕組み、申告義務、税額計算方法、申告手続きを、総務省・国税庁などの公式情報を元に解説します。

ビニールハウスを所有する方が、適切な税務対応を行えるようになります。

この記事のポイント

  • ビニールハウスは家屋ではなく償却資産として固定資産税(償却資産税)の対象となる
  • 税率は1.4%だが、評価額の合計が150万円未満の場合は免税となり課税されない
  • 毎年1月31日までに市区町村への申告が必要(申告漏れは過去5年遡って調査・課税される可能性)
  • 所得税の確定申告と償却資産税の申告は別々の税金のため、両方の申告が必要

ビニールハウスは償却資産税の対象

(1) 償却資産税とは(固定資産税の一種)

償却資産税とは、事業用の構築物・機械・器具備品等に課される固定資産税の一種です。土地・家屋以外の事業用資産で、確定申告で減価償却の対象となるものが該当します。

償却資産の主な種類

  • 構築物: 土地に定着した工作物(基礎のあるビニールハウス、用水路、フェンス等)
  • 機械装置: 農業用機械(トラクター、コンバイン等)
  • 器具備品: 移動可能な設備・機器(簡易的なビニールハウス、農機具等)

償却資産税は地方税(市区町村税)であり、毎年1月1日現在の償却資産を1月31日までに市区町村へ申告する必要があります。

(出典: 総務省 - 固定資産税(償却資産)

(2) ビニールハウスは家屋ではない理由

ビニールハウスは家屋として固定資産税が課税されることはありません。これは、家屋の定義を満たさないためです。

家屋として課税されるには、以下の3要件を満たす必要があります。

家屋の3要件

  1. 外気分断性: 屋根と壁で外気と分断されている
  2. 土地への定着性: 基礎等により土地に定着している
  3. 用途性: 居住、作業、貯蔵等の用途に供し得る状態にある

ビニールハウスは、外気分断性や用途性は一定程度満たしますが、土地への定着性が低く、簡易な構造で一時的な設備と解釈されるため、家屋には該当しません。

(出典: 香美市 - 課税対象となる家屋について

(3) 家屋の定義(外気分断・土地定着・用途性)

上記の家屋の3要件について、もう少し詳しく説明します。

要件 内容 ビニールハウスの該当性
外気分断性 屋根と壁で外気と分断 △ ビニールシートで一定程度分断
土地定着性 基礎等で土地に定着 △ 基礎があるものは該当、簡易的なものは非該当
用途性 居住・作業等の用途 ○ 農業用として用途性あり

ビニールハウスは、これら3要件のうち土地定着性が低いため、家屋ではなく償却資産として扱われます。

(4) 農業用資産の課税対象(ビニールハウス・農機具等)

農業を営む方が所有する以下のような資産は、償却資産税の申告対象となります。

農業用償却資産の例

  • ビニールハウス(構築物または器具備品)
  • 農業用機械(トラクター、コンバイン、田植機等)
  • 農業用倉庫(簡易なもの)
  • 農業用給水設備(井戸、ポンプ等)
  • 農業用フェンス・用水路

これらの資産は、所得税の確定申告で減価償却の対象としている場合、償却資産税の申告も必要です。

(出典: 高知市 - 農業を営まれている方へ

ビニールハウスの課税判定と評価方法

(1) 構築物と器具備品の判断基準

ビニールハウスは、構造により「構築物」または「器具備品」のいずれかで申告します。判断基準は以下の通りです。

構築物と器具備品の判断基準

項目 構築物 器具備品
基礎の有無 基礎あり 基礎なし
土地への定着性 定着性が高い 容易に移動可能
耐久性 耐久性が高い 簡易的な構造
具体例 鉄骨ビニールハウス パイプハウス

基礎があり、土地に定着し、耐久性が高いビニールハウスは「構築物」として申告します。一方、基礎がなく、容易に移動可能な簡易的なビニールハウスは「器具備品」として申告します。

(2) 基礎の有無・耐久性による判定

基礎の有無と耐久性が、構築物か器具備品かの判定の重要な基準となります。

基礎の有無による判定

  • 基礎あり: コンクリート基礎やブロック基礎がある場合は構築物
  • 基礎なし: 地面に直接設置、杭を打ち込むだけの場合は器具備品

耐久性による判定

  • 耐久性が高い: 鉄骨造、パイプ造で強固な構造 → 構築物
  • 耐久性が低い: 簡易的なパイプ造、木造 → 器具備品

判断が難しい場合は、税理士や市区町村の課税課に相談することを推奨します。

(出典: イノチオグループ - ビニールハウスは構築物?器具備品?判断基準と減価償却のポイント

(3) 耐用年数(鉄骨14年、パイプ8年、木造12年)

ビニールハウスの耐用年数は、構造により異なります。耐用年数は、評価額の計算に使用されます。

ビニールハウスの耐用年数

構造 耐用年数 分類
鉄骨造(主骨が鉄骨) 14年 構築物
パイプ造(主骨がパイプ) 8年 構築物または器具備品
木造(主骨が木材) 12年 構築物

耐用年数は、減価償却の計算に使用され、償却資産税の評価額を決定する重要な要素です。

(出典: 国税庁 - ビニールハウスの耐用年数

(4) 評価額の計算方法

償却資産税の評価額は、取得価額を基に耐用年数で減価償却して計算します。

評価額の計算方法

評価額 = 取得価額 × (1 - 減価率 × 経過年数)
  • 取得価額: 購入代金(補助金は差し引かない)
  • 減価率: 耐用年数により決定(例: 耐用年数8年の場合、減価率0.125)
  • 経過年数: 取得から現在までの年数

例えば、取得価額200万円、耐用年数8年のビニールハウスを3年使用している場合:

評価額 = 200万円 × (1 - 0.125 × 3) = 200万円 × 0.625 = 125万円

この評価額に税率1.4%を乗じて、償却資産税額が計算されます。

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償却資産税の計算方法と免税点

(1) 税率1.4%の計算

償却資産税の税率は1.4%です。評価額に税率を乗じて、税額を計算します。

税額の計算式

税額 = 評価額 × 1.4%

上記の例(評価額125万円)の場合:

税額 = 125万円 × 1.4% = 17,500円

この税額が、年間の償却資産税として課税されます。

(出典: 総務省 - 固定資産税(償却資産)

(2) 免税点150万円未満は課税なし

償却資産の評価額の合計が150万円未満の場合は、免税点以下となり課税されません。

免税点の仕組み

  • 評価額150万円以上: 課税対象(税額 = 評価額 × 1.4%)
  • 評価額150万円未満: 免税(税額 = 0円)

例えば、ビニールハウス1棟の評価額が125万円の場合、150万円未満のため課税されません。ただし、他の償却資産(トラクター等)を所有している場合は、それらの評価額を合計して判定します。

(3) 補助金の扱い(取得金額から差し引かない)

ビニールハウスの購入時に補助金を受け取った場合でも、申告時の取得価額は補助金を差し引かない実際の取得金額で申請します。

補助金の扱いの例

  • 購入代金: 200万円
  • 補助金: 80万円
  • 申告時の取得価額: 200万円(補助金を差し引かない)

これは、補助金は購入者の負担を軽減するための助成金であり、取得価額そのものを減額するものではないためです。

(4) 複数資産の評価額合計で判定

免税点150万円の判定は、ビニールハウス単体ではなく、所有する全ての償却資産の評価額合計で行います。

複数資産の評価額合計の例

  • ビニールハウス: 評価額125万円
  • トラクター: 評価額40万円
  • 評価額合計: 165万円 → 150万円以上のため課税対象

この場合、評価額合計165万円に対して税額が計算されます。

税額 = 165万円 × 1.4% = 23,100円

償却資産税の申告手続きと期限

(1) 申告期限(毎年1月31日)

償却資産税は、毎年1月1日現在の償却資産を、1月31日までに市区町村へ申告する必要があります。

申告スケジュール

  • 12月頃: 市区町村から「償却資産申告書」が送付される
  • 1月1日: 基準日(この日現在の償却資産を申告)
  • 1月31日: 申告期限
  • 4〜5月: 納税通知書が送付される
  • 6月以降: 納税(年4回の分割払いまたは一括払い)

申告期限を過ぎても申告は受け付けられますが、申告漏れのリスクが高まるため、期限内に申告しましょう。

(出典: 高知市 - 農業を営まれている方へ

(2) 申告先(市区町村の課税課)

償却資産税の申告先は、資産が所在する市区町村の課税課(または税務課)です。

申告先の例

  • 東京都23区内: 都税事務所
  • 市区町村: 市区町村役場の課税課または税務課

申告書は、12月頃に市区町村から送付されます。初めて申告する場合や、申告書が届かない場合は、市区町村の課税課に問い合わせましょう。

(3) 申告方法(紙・電子申告eLTAX)

償却資産税の申告方法は、紙の申告書を郵送または窓口に提出する方法と、電子申告(eLTAX)を利用する方法があります。

申告方法の比較

方法 メリット デメリット
紙の申告書 従来の方法、簡単 郵送または窓口に持参が必要
電子申告(eLTAX) 自宅から申告可能、時間節約 初回は利用者登録が必要

eLTAXは地方税の電子申告システムで、償却資産税の申告も可能です。オンラインで申告が完了し、時間を節約できます。

(4) 申告漏れのリスク(過去5年遡及調査)

償却資産税の申告漏れは非常に多く、自治体による調査が強化されています。

申告漏れの実態

  • ある自治体では、ビニールハウス約2,000棟に対し、申告は4件のみ(申告率0.2%)
  • 未申告の場合、過去5年間遡って調査・課税される可能性がある
  • 申告漏れが判明すると、追徴課税や延滞金が課される場合がある

申告漏れの主な理由は、「ビニールハウスが課税対象であることを知らなかった」「家屋だと勘違いしていた」等です。適切な税務対応のため、必ず申告を行いましょう。

(出典: 税理士法人クリアコンサルティング - ビニールハウスの固定資産税課税もれ

(5) 所得税確定申告との違い

所得税の確定申告と償却資産税の申告は別々の税金のため、両方の申告が必要です。

所得税確定申告と償却資産税申告の違い

項目 所得税確定申告 償却資産税申告
税金の種類 国税(所得税) 地方税(固定資産税)
申告先 税務署 市区町村
申告期限 2月16日〜3月15日 1月31日
申告内容 所得金額、減価償却費 償却資産の評価額

所得税の確定申告で減価償却費を経費計上した資産は、償却資産税の申告対象となります。確定申告を行ったからといって、償却資産税の申告が不要になるわけではありません。

(出典: 農家web - 農業の税金 農業用機械やビニールハウスも対象?償却資産税とは

まとめ:ビニールハウスの適切な税務対応

ビニールハウスは家屋ではなく償却資産として固定資産税(償却資産税)の対象となり、税率は1.4%です。ただし、評価額の合計が150万円未満の場合は免税となり課税されません。

毎年1月1日現在の償却資産を、1月31日までに市区町村へ申告する必要があります。申告漏れの場合、過去5年間遡って調査・課税される可能性があるため、必ず申告を行いましょう。

所得税の確定申告と償却資産税の申告は別々の税金のため、両方の申告が必要です。構築物と器具備品の判断が難しい場合は、税理士や市区町村の課税課に相談することを推奨します。

適切な税務対応を行うことで、申告漏れのリスクを回避し、安心して農業を営むことができます。

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よくある質問

Q1ビニールハウスは家屋として固定資産税がかかりますか?

A1ビニールハウスは家屋ではなく償却資産として課税されます。家屋は外気分断・土地定着・用途性の3要件が必要ですが、ビニールハウスは土地への定着性が低く、簡易な一時的設備と解釈されるため家屋に該当しません。償却資産として、毎年1月31日までに市区町村への申告が必要です。詳しくは市区町村の課税課にご確認ください。

Q2ビニールハウスの償却資産税はいくらですか?

A2税率は1.4%です。ただし、評価額の合計が150万円未満の場合は免税となり課税されません。評価額は取得価額を基に耐用年数で減価償却して計算します(例:取得価額200万円、耐用年数8年、3年経過の場合、評価額125万円、税額17,500円)。複数の償却資産を所有している場合は、それらの評価額を合計して150万円以上かどうか判定します。

Q3償却資産税の申告は必要ですか?いつまでですか?

A3毎年1月1日現在の償却資産を、1月31日までに市区町村へ申告する必要があります。申告漏れの場合、過去5年間遡って調査・課税される可能性があります。実際に、ある自治体ではビニールハウス約2,000棟に対し申告はわずか4件(申告率0.2%)という実態があり、自治体による調査が強化されています。必ず期限内に申告しましょう。

Q4構築物と器具備品のどちらで申告すればよいですか?

A4基礎があり耐久性が高いビニールハウス(鉄骨造等)は構築物、簡易的で移動可能なもの(パイプハウス等)は器具備品として申告します。構築物の耐用年数は鉄骨14年、パイプ8年、木造12年です。判断が難しい場合は、税理士や自治体の課税課に相談することを推奨します。取得価額や構造により判断が異なるため、専門家への確認が重要です。

Q5所得税の確定申告で経費にしたら償却資産税の申告は不要ですか?

A5不要ではありません。所得税(国税)と償却資産税(地方税)は別々の税金のため、両方の申告が必要です。所得税の確定申告で減価償却費を経費計上した資産は、償却資産税の申告対象になります。申告先も異なり、所得税は税務署、償却資産税は市区町村です。申告期限も所得税は2月16日〜3月15日、償却資産税は1月31日と異なります。

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