東京で新築一戸建てを購入するメリットとデメリット
東京で新築一戸建ての購入を検討しているけれど、「価格相場はどのくらいなのか」「どのエリアを選ぶべきか」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、東京都内の新築一戸建ての価格相場、エリアごとの特徴、購入の流れと注意点を、公的機関のデータと不動産市場の最新情報を元に解説します。
初めて新築一戸建てを購入する方でも、必要な情報を正確に把握し、無理のない資金計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 東京都の新築一戸建ては平均5,163万円、23区内では8,667万円(2025年10月時点、過去最高)
- 世田谷区、杉並区、武蔵野市、多摩市などが人気エリアで供給も豊富
- 2024年1月以降建築確認分は省エネ基準適合が住宅ローン控除の原則必須要件
- 新築住宅は10年間の瑕疵担保責任が法律で義務付けられている
(1) 新築ならではのメリット(10年保証、最新設備、省エネ性能)
新築一戸建てには、中古にはない以下のメリットがあります。
10年保証:
- 引き渡しから10年間、基本構造部分と雨漏りに関する瑕疵担保責任が法律(品確法)で義務付けられている
- 売主が倒産しても住宅瑕疵担保責任保険で補修可能
(出典: 住宅瑕疵担保責任保険協会)
最新設備:
- 最新の耐震基準、省エネ基準に適合した設計
- 最新のキッチン、浴室、トイレ等の設備
- スマートホーム機能が標準装備の物件も増加
省エネ性能:
- 2024年1月以降建築確認分は省エネ基準適合が原則必須
- 住宅ローン控除の要件として省エネ基準適合が必要
- 光熱費の削減効果が期待できる
(2) デメリット(価格高、選択肢限定、実物確認困難な場合)
一方で、新築一戸建てには以下のデメリットもあります。
価格が高い:
- 東京都の新築一戸建ては平均5,163万円(全国平均3,603万円の約1.4倍)
- 23区内では8,667万円(2025年10月時点)
- 中古と比較して1.5倍~2倍程度高い
選択肢が限定:
- 人気エリアでは新築供給が少ない場合がある
- 中古に比べて物件数が少ない
実物確認が困難な場合:
- 建築中の物件は完成前に契約する場合がある
- 完成イメージと実際の仕上がりが異なる可能性
(3) マンション価格高騰により戸建て需要が増加(2025年)
2025年の市場動向として、マンション価格の高騰により新築一戸建てへの需要が増加しています。
背景:
- 同じ価格で広い居住空間が得られる
- 子育て世帯が庭付き一戸建てを選ぶ傾向
- 在宅勤務の普及で広いスペースが求められる
(出典: 日本経済新聞)
東京のエリア別価格相場と人気エリア
(1) 23区の価格相場(平均8,667万円、2025年10月時点)
2025年10月時点の東京23区の新築戸建て平均価格は8,667万円で、2014年4月の調査開始以来最高値を更新しました(前年同月比17.5%増)。
| エリア | 平均価格 |
|---|---|
| 東京23区 | 8,667万円(2025年10月時点) |
| 東京都全体 | 5,163万円 |
| 全国平均 | 3,603万円 |
(出典: 日本経済新聞)
都心部の高級物件が相場を押し上げている状況です。
(2) 人気エリア(世田谷区、杉並区、武蔵野市、多摩市等)
東京都内で新築一戸建ての供給が多く、人気の高いエリアは以下の通りです。
23区内:
- 世田谷区: 閑静な住宅街、教育環境が充実
- 杉並区: 中央線沿線、子育て世帯に人気
- 足立区: 比較的価格が手頃、新築供給が多い
- 練馬区: 緑が豊富、ファミリー向け
- 大田区: 多様なエリア特性、選択肢が豊富
23区外:
- 武蔵野市(吉祥寺): ファミリー向けに推奨、商業施設充実
- 多摩市: 多摩ニュータウンエリア、計画的な街づくり
- 八王子市: 価格が手頃、自然環境が豊か
- 町田市: 神奈川県境、交通アクセス良好
(出典: HOME4U)
(3) 供給が多い沿線(中央線、京王線、小田急線等)
東京都では、以下の沿線で新築一戸建ての供給が特に多いです。
- 中央線: 吉祥寺、三鷹、国分寺、立川等
- 京王線: 調布、府中、多摩センター等
- 西武新宿線・西武池袋線: 練馬、所沢方面
- 小田急線: 成城学園前、町田等
- 東武線: 足立区、草加方面
(出典: SUUMO)
都心部を除き、ほぼ全エリアで新築一戸建ての供給が活発です。
新築一戸建ての購入費用と資金計画
(1) 物件価格の目安(2LDK約5,000~9,000万円、3LDK~4LDK約7,000万~1億円)
東京都の新築一戸建ての価格帯は以下の通りです。
| 間取り | 価格帯 |
|---|---|
| 2LDK | 約5,000万円~9,000万円 |
| 3LDK~4LDK | 約7,000万円~1億円 |
| 都心部・高級物件 | 1億円超 |
(出典: SUUMO)
エリアや建物仕様により大きく異なるため、複数物件の比較検討が必須です。
(2) 諸費用の内訳(仲介手数料、住宅ローン事務手数料、登録免許税、印紙税等)
新築一戸建て購入時には、以下の諸費用が発生します。
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 物件価格の3%+6万円+消費税(上限、仲介物件の場合) |
| 住宅ローン事務手数料 | 借入額の2%程度(金融機関により異なる) |
| 保証料 | 借入額の2%程度(金融機関により異なる) |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4%(所有権保存登記)、借入額の0.4%(抵当権設定登記) |
| 印紙税 | 1万円~6万円(売買契約書・住宅ローン契約書) |
| 火災保険 | 10万円~30万円(10年一括払い) |
諸費用は物件価格の5~10%が目安です。購入予算に含めて計画してください。
(3) 住宅ローン控除の要件(省エネ基準適合が原則必須、控除率0.7%、控除期間13年間)
2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅は、原則として省エネ基準適合が住宅ローン控除の要件となります。
控除内容(2025年入居の場合):
| 住宅の性能 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅) | 5,000万円 | 0.7% | 13年間 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 13年間 |
| 省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 0.7% | 13年間 |
| その他の住宅 | 0円(控除なし) | - | - |
子育て世帯・若者夫婦世帯の優遇: 2025年度税制改正で、子育て世帯・若者夫婦世帯が2025年入居の場合、借入限度額が2022~2024年水準を維持されています。
重要: 省エネ基準適合が確認できない場合、住宅ローン控除を受けられないため、契約前に必ず確認してください。
新築一戸建て購入の流れとチェックポイント
(1) 物件検索と複数社比較(SUUMO、HOME'S、大手不動産会社)
物件検索は以下の方法で行います。
ポータルサイト:
大手不動産会社:
- 三井のリハウス
- 東急リバブル
- 野村不動産
- 住友不動産
複数社で比較検討することで、より多くの物件情報にアクセスできます。
(2) 内覧会での不備チェック(完成前の全額支払いは避ける)
新築一戸建て購入時の重要な注意点です。
完成前の全額支払いは避ける:
- 完成した物件の内覧をして問題がないことを確認したうえで支払いをする
- 建築中の物件は契約時に手付金のみ支払い、引き渡し時に残金を支払う
内覧会での不備チェック:
- 床・壁・天井の傷や汚れ
- ドア・窓の開閉動作
- 水回り設備の動作確認
- 外壁・屋根の仕上がり
引き渡し後の補修は有償になるため、適正な状態で引き渡してもらうことが重要です。
(3) 瑕疵担保責任の確認(10年保証の範囲と内容)
新築住宅は、引き渡しから10年間、基本構造部分と雨漏りに関する瑕疵担保責任が法律(品確法)で義務付けられています。
10年保証の範囲:
- 基本構造部分(柱、梁、基礎、壁等)
- 雨漏り防止部分(屋根、外壁等)
住宅瑕疵担保責任保険:
- 売主に加入義務あり
- 事業者倒産時も保険金で補修可能
(出典: LIFULL HOME'S、住宅瑕疵担保責任保険協会)
契約前に、定期点検の頻度や内容、保証期間、保証範囲などをしっかりと確認してください。
購入時の注意点とよくある失敗例
(1) オプション費用の事前確認(網戸、カーテンレール等)
新築一戸建てでは、以下のような設備がオプション(別途費用)となる場合があります。
オプション費用の例:
- 網戸
- カーテンレール
- エアコン
- 照明器具
- 外構工事(フェンス、駐車場等)
オプション費用が別途発生する場合があるため、事前確認が必要です。総額がいくらになるか、契約前に見積もりを取得してください。
(2) 点検口の有無(屋根裏、床下、ユニットバス等)
点検口の有無は、将来のメンテナンスに影響します。
確認すべき点検口:
- 屋根裏点検口
- 床下点検口
- ユニットバス点検口
点検口がないと、配管や電気設備のメンテナンス時に壁や床を壊す必要が生じ、高額な費用がかかる場合があります。
事前に担当者に確認しておくことが重要です。
(3) 定期点検の頻度・内容・保証範囲の確認
新築一戸建ては、売主による定期点検が実施されます。
確認すべき内容:
- 定期点検の頻度(引き渡し後6ヶ月、1年、2年、5年、10年等)
- 点検内容(基本構造部分、設備、外壁等)
- 保証範囲(瑕疵担保責任10年、設備保証1~2年等)
- 有償修繕の範囲(消耗品、自然劣化等)
契約前にしっかりと確認し、書面で残してもらうことを推奨します。
まとめ:東京で新築一戸建てを選ぶ際のチェックリスト
東京都の新築一戸建ては平均5,163万円、23区内では8,667万円(2025年10月時点、過去最高)です。世田谷区、杉並区、武蔵野市、多摩市などが人気エリアで供給も豊富です。
購入時には、省エネ基準適合の確認(住宅ローン控除の要件)、10年保証の範囲と内容、オプション費用の事前確認が重要です。内覧会での不備チェックを徹底し、完成前の全額支払いは避けてください。
諸費用(物件価格の5~10%)も購入予算に含め、複数の不動産会社で比較検討しましょう。詳細は国土交通省の公式サイトでご確認ください。
