東京都で戸建てを購入するメリットと市場動向
東京都内に戸建てマイホームを検討する際、「価格はどれくらいか」「どのエリアを選ぶべきか」「新築と中古のどちらがよいか」といった疑問を抱く方は多いでしょう。
この記事では、東京都の戸建て価格相場、エリア別の特徴、新築と中古の比較、購入時の注意点を、最新の市場データを元に解説します。
初めて戸建て購入を検討する方でも、エリア選びや資金計画を具体的に立てられるようになります。
この記事のポイント
- 東京都の戸建て価格は23区内で6,000-8,000万円、郊外で4,000-5,000万円が目安(2024年時点)
- 新築戸建ては2024年11月で平均5,517万円(前年比-1.8%)とやや下落傾向
- 中古戸建ては2015年比で約3割上昇しており、新築との価格差が縮小
- 地震・液状化・浸水リスクをハザードマップで確認することが必須
- 耐震基準(1981年・2000年)と築年数の確認が重要
東京都の戸建て価格相場とエリア別の特徴
東京都の戸建て価格は、エリアにより大きく異なります。以下、23区内と郊外に分けて解説します。
(1) 東京23区内の価格相場(6,000-8,000万円)
東京23区内の新築戸建て価格は、6,000-8,000万円が一般的です。特に港区、渋谷区、文京区、目黒区などは高額で、物件数も少ない傾向にあります。
一方、練馬区、世田谷区、杉並区は緑が多く、ファミリー層に人気があります。江戸川区、葛飾区、足立区は比較的安価ですが、液状化リスクがあるエリアも含まれるため、ハザードマップの確認が必須です。
23区内の価格帯例:
| エリア | 価格帯(目安) | 特徴 |
|---|---|---|
| 港区・渋谷区 | 1億円以上 | 高額、物件数少 |
| 世田谷区・杉並区 | 6,000-8,000万円 | 緑が多い、人気エリア |
| 練馬区 | 5,000-7,000万円 | 緑が多い、ファミリー向け |
| 江戸川区・葛飾区・足立区 | 4,000-6,000万円 | 比較的安価、液状化リスクあり |
(2) 多摩地域・郊外の価格相場(4,000-5,000万円)
多摩地域や郊外の新築戸建て価格は、4,000-5,000万円が一般的です。23区内と比べて20-30%安価で、広い敷地を確保しやすいメリットがあります。
鉄道沿線(中央線、京王線、西武新宿線、西武池袋線、小田急線、東武線)沿いは新築供給が活発で、駅から徒歩圏内の物件も多数あります。
(3) 必要な年収の目安とエリア選びのポイント
住宅ローンの借入可能額は、一般的に「年収の5-7倍」が目安とされています。東京都の戸建て購入に必要な年収は以下の通りです。
年収の目安:
- 23区内(6,000-8,000万円):年収1,000-1,400万円程度
- 郊外(4,000-5,000万円):年収600-900万円程度
エリア選びは、以下のポイントを考慮しましょう。
- 交通利便性:通勤時間、最寄り駅までの距離
- 生活利便性:買い物、医療機関、学校へのアクセス
- 災害リスク:地震、液状化、浸水リスク(ハザードマップで確認)
- 将来の資産価値:人口動態、再開発計画
新築戸建てと中古戸建ての比較
新築と中古では、価格、設備、資産価値が異なります。以下、2024年の最新データを元に比較します。
(1) 2024年の新築戸建て価格動向(平均5,517万円)
2024年11月の東京都新築戸建て平均価格は5,517万円で、前年比**-1.8%**とやや下落傾向にあります。
首都圏全体でも、2024年8月の新築戸建て平均価格は4,559万円(前年比-0.3%、7カ月連続下落)となっており、価格のピークは過ぎた可能性があります。
フラット35利用者調査によると、東京都の戸建て平均価格は5,163万円(全国平均3,603万円)で、全国と比べて約1.5倍高額です。
(2) 中古戸建ての価格上昇(2015年比で約3割上昇)
一方、中古戸建ての価格は2024年に大きく上昇しました。2015年比で約3割上昇しており、特に江戸川区、中野区、目黒区、日野市は30%超の上昇率となっています。
中古は新築より20-30%安価というのが従来の相場でしたが、2024年の価格上昇により、新築との価格差が縮小しています。
新築 vs 中古の比較:
| 項目 | 新築戸建て | 中古戸建て |
|---|---|---|
| 平均価格(2024年) | 5,517万円(前年比-1.8%) | 2015年比で約3割上昇 |
| 価格差 | 中古より20-30%高い | 新築より20-30%安い(従来) |
| 設備 | 最新設備、省エネ性能高 | 築年数により老朽化 |
| 耐震基準 | 最新基準 | 1981年以降の新耐震基準を確認 |
| 住宅ローン控除 | 最大13年間 | 築年数により異なる |
(3) 建売住宅と注文住宅の違い
新築戸建てには、建売住宅と注文住宅の2種類があります。
建売住宅:
- 土地と建物がセットで販売
- 資金計画が立てやすい
- 注文住宅よりコスト削減可能
- 間取り・仕様の自由度は低い
注文住宅:
- 土地を購入し、建物を注文して建てる
- 間取り・仕様の自由度が高い
- 建売住宅よりコスト高
- 建築期間が長い(1年以上かかる場合も)
初めて購入する方や、予算を抑えたい方には建売住宅が推奨されます。
東京で戸建てを購入する際の注意点とリスク
東京で戸建てを購入する際は、災害リスクと建築規制の確認が必須です。
(1) 地震・液状化リスクとハザードマップの確認
東京は地震リスクが高い地域です。東京直下型地震が30年以内にM6-7クラスの規模で発生する確率は**30%**とされています。
特に、東京東部(江戸川区、葛飾区、足立区等)の河川沿いエリアは液状化リスクが高く、地震時に地盤が液体のように流動化する可能性があります。
液状化とは:地震時に地盤が液体のように流動化する現象。建物の傾斜、沈下、ライフラインの破損を引き起こす。
購入前に、必ず自治体が公開しているハザードマップで以下を確認しましょう。
- 地震の揺れやすさ
- 液状化の危険性
- 活断層の位置
(2) 浸水・火災リスクと密集市街地の注意点
浸水リスク:台風・豪雨による浸水被害。河川沿い、低地は特に注意。ハザードマップで浸水想定区域を確認。
火災リスク:密集市街地では延焼の危険性が高い。東京都は「木造住宅密集地域(木密地域)」を指定しており、防火対策が重要。
ハザードマップは、各自治体のWebサイトで確認できます。
(3) 建築規制(用途地域・建ぺい率・容積率)の確認
東京都内の土地には、都市計画により用途地域、建ぺい率、容積率が定められています。
用途地域:土地の利用目的(住宅地、商業地等)を定めたもの。
建ぺい率:土地面積に対する建築面積の割合。例:建ぺい率60%の場合、100㎡の土地に60㎡までの建物を建てられる。
容積率:土地面積に対する延床面積の割合。例:容積率200%の場合、100㎡の土地に200㎡までの建物を建てられる。
購入前に、自治体の都市計画課で用途地域・建ぺい率・容積率を確認し、将来の建て替え・増築の可否を確認しましょう。
戸建て購入時のチェックポイントと手順
(1) 複数の不動産ポータルサイトで物件比較
物件探しは、複数の不動産ポータルサイトを活用しましょう。
主要サイト:
- SUUMO(スーモ)
- HOME'S(ホームズ)
- at-home(アットホーム)
REINS(不動産流通標準情報システム)により、どの不動産会社でも同じ物件情報にアクセス可能です。そのため、複数社に相談して、担当者の質とレスポンスの速さを比較することが重要です。
(2) 耐震基準(1981年・2000年)と築年数の確認
中古戸建てを購入する際は、耐震基準を必ず確認しましょう。
耐震基準の歴史:
- 1981年6月以前:旧耐震基準(震度5強程度で倒壊しない)
- 1981年6月以降:新耐震基準(震度6強〜7でも倒壊しない)
- 2000年6月以降:2000年基準(木造住宅の耐震性向上)
推奨:1981年6月以降の新耐震基準物件が望ましい。2000年基準以降ならさらに安心。
築年数の目安は築20年以内が推奨されます。築20年を超えると、設備(給湯器、キッチン、浴室等)の老朽化が進み、リフォーム費用が高額になる場合があります。
(3) 住宅ローン控除と諸費用の計算
住宅ローン控除:
- 新築は最大13年間、年末ローン残高の0.7%が所得税から控除される(上限あり)
- 中古は築年数により控除額が異なる
- 詳細は税務署・住宅金融支援機構で確認
諸費用の目安:
- 物件価格の5-10%
- 内訳:仲介手数料、登記費用、火災保険、不動産取得税、固定資産税(日割り)、ローン手数料等
例:4,000万円の物件の場合、諸費用は200-400万円が目安です。
まとめ:東京都で戸建てを購入する際の判断基準
東京都の戸建て購入は、エリアによる価格差が大きく、災害リスクと建築規制の確認が必須です。
2024年時点で、新築戸建ては平均5,517万円(前年比-1.8%)とやや下落傾向にある一方、中古戸建ては2015年比で約3割上昇しており、新築との価格差が縮小しています。
エリア選びは、交通利便性、生活利便性、災害リスク、将来の資産価値を総合的に判断しましょう。耐震基準(1981年・2000年)と築年数を確認し、ハザードマップで地震・液状化・浸水リスクをチェックすることが重要です。
複数の不動産会社に相談し、担当者の質とレスポンスの速さを比較して、納得のいく物件を見つけましょう。
