小規模・地域密着型不動産会社とは？基本的な特徴を理解する
「おれん じ 不動産」のような地域密着型の不動産会社を検討する際、「大手とどう違うのか」「信頼できるのか」と疑問に思う方は多いでしょう。
この記事では、小規模・地域密着型不動産会社の特徴、メリット・デメリット、選び方のポイントを解説します。不動産会社選びに迷っている方が、自分に合った業者を見つけるための判断材料を提供します。
この記事のポイント
- 小規模・地域密着型不動産会社は地域情報に詳しく、大家との交渉力に強みがある
- 担当エリア外の物件には対応できないため、広範囲で探す場合は大手との併用が必要
- 宅建業免許番号の更新回数で営業年数を確認し、信頼性を判断できる
- 国土交通省ネガティブ情報検索システムで行政処分歴を確認することが重要
- 複数社（3～5社）を比較し、担当者の提案力や人柄も含めて総合的に判断する
小規模・地域密着型不動産会社の特徴とは？
小規模・地域密着型不動産会社は、特定の地域に長年根付き、地域の特性や住民のニーズに精通している不動産会社です。
小規模不動産会社の定義（1-2人体制の開業も増加）
近年、1-2人で開業する小規模不動産会社が増加しています。従来は4-5人体制が一般的でしたが、デジタル化の進展により、少人数でも効率的に運営できるようになりました。
例えば、三重県熊野市に所在する「おれんじ不動産」は、不動産ジャパンによると知事(4)第3023号の免許で営業しており、2007年3月設立の実績があります。
大手・中堅との違い（地域密着度、営業スタイル等）
地域密着型と大手の主な違いは以下の通りです。
| 項目 | 地域密着型 | 大手 |
|---|---|---|
| 地域情報 | 治安、街の歴史、過去の災害まで詳しい | 全国的な物件情報が豊富 |
| 大家との関係 | 地元の地主・大家と長年の付き合い | ブランド力で集客 |
| 営業スタイル | しつこくない、長期的な関係重視 | 広告・集客に強い |
| 担当者の安定性 | 転勤がなく長期的に相談可能 | 転勤がある |
| 対応エリア | 限定的（エリア外は対応できない） | 広範囲に対応 |
小規模・地域密着型不動産会社のメリット
地域密着型不動産会社には、大手にはない強みがあります。
地域情報の詳しさ（治安、周辺環境、街の歴史、過去の災害等）
地域密着型不動産会社は、治安、周辺環境、街の歴史、過去の災害、穴場の買い物スポットなど、インターネットには載らない詳細な地域情報を提供できます。
例えば、熊野市では「くまの移住ねっと」による空き家バンクが運用されており、移住促進が進んでいます。地域密着型不動産会社は、このような地域の取り組みも把握しています。
地元の地主・大家との長年の関係（交渉力）
地元の地主や大家（賃貸物件のオーナー）と長年の付き合いがあるため、家賃や条件の交渉がスムーズで有利に進む可能性があります。
大手はブランド力で集客しますが、地域密着型は地主・大家との信頼関係で交渉力を発揮します。
担当者が転勤しない安心感（長期的な相談が可能）
担当者が転勤しないため、契約後も長期的に相談できる安心感があります。引っ越し後のトラブルや、将来の売却・賃貸相談も同じ担当者に依頼できます。
しつこくない営業スタイル
地域密着型は地域での評判が経営に直結するため、しつこい営業を避け、長期的な関係を重視する傾向があります。
柔軟な手数料対応（無料・半額の場合もあり）
仲介手数料（法律上の上限は売買価格の3%+6万円+消費税）が無料や半額の会社もあります。ただし、総額で比較し、サービス内容も確認することを推奨します。
小規模・地域密着型不動産会社のデメリットと注意点
一方で、地域密着型にはデメリットもあります。
担当エリア外の物件には対応できない
小規模・地域密着型は担当エリア外の物件には基本的に対応できません。広範囲で物件を探す場合は、大手との併用を推奨します。
広告費が限られるため物件情報の露出が少ない
大手に比べて広告媒体への費用が限られるため、物件情報の露出が少なく、外部の人間には存在が周知されにくい傾向があります。
ブランド力に乏しく信頼性を判断しにくい
ブランド力に乏しく、初めて利用する方には信頼性を判断しにくい場合があります。後述する宅建業免許番号の確認や、口コミサイトでの評判確認が重要です。
店舗によっては気軽に入りにくい雰囲気
店舗によっては気軽に入りにくい雰囲気があり、初心者にはハードルが高い場合があります。実際に訪問して雰囲気を確認することを推奨します。
小規模・地域密着型不動産会社の選び方：チェックポイント
信頼できる地域密着型不動産会社を選ぶには、以下のチェックポイントを確認しましょう。
宅建業免許番号の確認（知事免許、更新回数の見方）
宅建業免許番号のカッコ内の数字で営業年数を確認できます。
| 更新回数 | 営業年数の目安 |
|---|---|
| (1) | 5年未満 |
| (2) | 5年以上10年未満 |
| (3) | 10年以上15年未満 |
| (4) | 15年以上20年未満 |
例えば、「知事(4)第3023号」なら15年以上の実績があります。
実際に訪問してスタッフの対応を確認
実際に訪問して、スタッフの対応、地域情報の詳しさ、オフィスの清潔感などを確認しましょう。
地域情報の詳しさを質問する
「この地域の治安はどうですか」「過去に災害はありましたか」など、地域情報を質問して詳しさを確認します。
口コミ・評判の確認（不動産ジャパン、いえらぶ等）
インターネットの口コミサイトやSNSで実際の利用者の声を確認し、信頼性やサービスの質を把握します。
- 不動産ジャパン：業界団体運営の公式サイト
- いえらぶ不動産会社検索：店舗情報・口コミ
国土交通省ネガティブ情報検索システムでの行政処分歴の確認
国土交通省のネガティブ情報検索システムで、行政処分歴がないか確認することを推奨します。
複数社（3～5社）を比較する
会社の規模に関わらず、担当者の提案力や人柄を重視して選ぶことが重要です。複数社（3～5社）を比較し、総合的に判断しましょう。
地方都市の不動産市場と移住促進の取り組み
地方都市での不動産購入には、独自の市場動向と支援制度があります。
地方都市の不動産価格動向（2024年）
例えば、熊野市の2024年の平均価格は坪単価（不動産価格を1坪あたりで表した単価）16.9万円で、前年比108.6%の大幅上昇を記録しています。ただし、取引件数は7件（前年は14件）と減少しており、価格動向は不安定です。
地方都市の不動産購入を検討する際は、複数年のデータで価格動向を確認することを推奨します。
空き家バンクの活用（移住促進）
空き家バンクは、自治体が運営する空き家の情報提供システムです。移住促進を目的とし、割安な物件が見つかる可能性があります。
地域密着型不動産会社に相談すると、空き家バンク物件の紹介も受けられる場合があります。
地方での不動産購入のメリット・注意点
メリット:
- 都市部より割安な価格で購入できる
- 自然環境に恵まれた生活が可能
- 地域密着型不動産会社のサポートが手厚い
注意点:
- 価格動向が不安定な場合がある
- 将来の売却時に買い手が見つかりにくい可能性
- 地域の将来性を地域密着型不動産会社に相談することを推奨
まとめ：自分に合った不動産会社を見つけるために
小規模・地域密着型不動産会社は、地域情報に詳しく、大家との交渉力に強みがありますが、担当エリア外の物件には対応できません。
宅建業免許番号の更新回数で営業年数を確認し、国土交通省ネガティブ情報検索システムで行政処分歴を確認することで、信頼性を判断できます。
複数社（3～5社）を比較し、担当者の提案力や人柄も含めて総合的に判断しましょう。住むエリアが決まっており、地域情報や交渉力を重視するなら地域密着型、広範囲で物件を探すなら大手との併用を推奨します。
不動産取引は個別に異なるため、宅地建物取引士（不動産取引の専門家で、重要事項の説明などを行う国家資格者）など専門家への相談も検討しましょう。