高低差のある土地の活用法|建築実例・外構工事・注意点を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/5

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高低差のある土地が注目される理由と基本的な考え方

高低差のある土地の購入を検討する際、「建築費用が高くつくのではないか」「どのような設計ができるのか」と不安を感じる方は少なくありません。

高低差のある土地は、平坦な土地より購入価格が安く、設計の工夫により個性的な住まいを実現できます。本記事では、高低差のある土地のメリット・デメリット、建築実例、外構工事のポイント、造成費用と注意点を解説します。

30-60代の土地購入・住宅建築検討者が、高低差のある土地の活用方法を理解し、適切な判断を下せるようになります。

この記事のポイント

  • 高低差のある土地は平坦な土地より購入価格が安く、同エリアでコストを抑えられる
  • 造成工事は整地600〜700円/m²、地盤改良1,500円/m²〜、擁壁工事60,000円/m²以上
  • 外構工事はスロープ約2万円/m²、擁壁約6万円/m²以上で、通常の2倍のコストになることも
  • スキップフロア・半地下・ビルトインガレージなど、高低差を活かした設計が可能
  • がけ条例により、高低差2m以上の崖が隣接する場合、建物配置が大きく制約される

(1) 高低差のある土地とは:前面道路や周辺地域より高い・低い土地

高低差のある土地とは、前面道路や周辺地域の宅地より高い位置または低い位置にある土地のことです。

一般的に、道路面から1m以上の高低差がある土地が該当します。高台の土地や傾斜地、道路より低い土地などが含まれます。

(2) 平坦な土地より購入価格が安く、同エリアでコストを抑えられる

高低差のある土地は、平坦な土地より購入価格が安いケースがあります。

これは、造成工事や外構工事のコストがかかるため、売却価格が低く設定されるためです。同じエリアで予算を抑えて土地を購入できるのが大きな魅力です。

(3) 高低差を活かした設計により、ウィークポイントを強みに変える

高低差は一見デメリットに思えますが、設計の工夫により個性的な住まいを実現できます。

スキップフロア、半地下、ビルトインガレージなど、高低差を活かした設計により、平坦な土地では得られない空間を作り出せます。建築家によるアプローチが注目されており、高低差をウィークポイントではなく強みに変える設計事例が増加しています。

高低差のある土地のメリット・デメリット

(1) メリット①:土地価格が安い(平坦な土地より安いケースも)

高低差のある土地の最大のメリットは、土地価格が安いことです。

平坦な土地より安いケースもあり、同じエリアで予算を抑えて土地を購入できます。購入価格の差を造成費用・外構費用に充てることで、トータルコストを抑えることも可能です。

(2) メリット②:水害を受けにくい(高台の場合)、プライバシー確保、眺望が良い

高台の土地の場合、以下のメリットがあります。

  • 水害を受けにくい: 浸水リスクが低い
  • プライバシー確保: 周囲の視線を気にせず生活できる
  • 眺望が良い: 見晴らしの良い景色を楽しめる

これらのメリットから、高台の土地は人気があります。

(3) メリット③:設計の自由度が高い(スキップフロア、半地下等)

高低差を活かした設計により、以下のようなアイデアが実現できます。

  • スキップフロア: 階段を数段上がった中間階を設ける設計
  • 半地下・地下室: 高低差を活かして採光を確保した地下空間
  • ビルトインガレージ: 建物の1階部分に組み込まれた駐車スペース

平坦な土地では実現しにくい、個性的な住まいを作れます。

(4) デメリット①:建築費用が高い(造成工事・擁壁工事で数十万〜数百万円)

高低差のある土地の最大のデメリットは、建築費用が高いことです。

造成工事や擁壁工事で数十万〜数百万円の追加費用がかかる可能性があります。高低差2mの土地で擁壁工事120万円以上、外構工事含めると数百万円の追加費用が発生するケースもあります。

(5) デメリット②:がけ条例の制約(高低差2m以上で建物配置が制限)

がけ条例とは、高さ2m以上の崖が隣接する土地に家を建てる際の規制を定める自治体条例です。

崖の高さの2倍以上の距離を建物から離す必要があり、建物の配置が大きく制約されます。例えば、高低差3mの崖がある場合、崖から6m以上離して建物を配置する必要があります。

(6) デメリット③:将来の売却難(買い手が見つかりにくい可能性)

高低差のある土地は、将来の売却時に買い手が見つかりにくい可能性があります。

高齢者や車椅子利用者には不向きで、建築費用が高いことから、購入希望者が限られるためです。長期保有を前提とした判断が必要です。

(7) デメリット④:利便性の低下(高齢者・車椅子利用者には不向き)

高低差のある土地は、階段やスロープが必要になるため、高齢者や車椅子利用者には不向きです。

将来的にバリアフリー改修が必要になる可能性も考慮する必要があります。

高低差を活かした建築実例とデザインアイデア

(1) スキップフロア:階段を数段上がった中間階を設ける設計

スキップフロアは、階段を数段上がった中間階を設ける設計手法です。

高低差のある土地で有効活用でき、空間に変化を持たせることができます。リビングとダイニングの間にスキップフロアを設け、視線の変化を楽しむ設計が人気です。

(2) 半地下・地下室:高低差を活かして採光を確保した地下空間

高低差を活かして半地下や地下室を設けることで、採光を確保した地下空間を実現できます。

道路より低い土地の場合、道路面を窓にすることで、地下室に自然光を取り込めます。趣味の部屋や書斎として活用する事例が多く見られます。

(3) ビルトインガレージ:建物の1階部分に組み込まれた駐車スペース

ビルトインガレージは、建物の1階部分に組み込まれた駐車スペースです。

高低差を活かして、道路面に直接アクセスできるガレージを設置できます。車好きの方に人気の設計です。

(4) 眺望を活かした配置:高台の土地でリビングを高い位置に配置

高台の土地では、眺望を活かしてリビングを高い位置に配置する設計が人気です。

見晴らしの良い景色を楽しみながら、プライバシーも確保できます。

(5) 建築家による設計事例の紹介

建築家紹介センターでは、高低差のある土地の設計事例が多数紹介されています。

スキップフロアやビルトインガレージなど、高低差を活かした個性的な設計を確認できます。建築会社の実績を確認し、設計プランを相談することを推奨します。

外構工事のポイントと費用相場:擁壁・スロープ・階段

(1) 擁壁工事:約6万円/m²以上、高低差2mで120万円以上が目安

擁壁(ようへき)は、土地の高低差を支えるために設置する壁状の構造物です。

擁壁工事の費用は約6万円/m²以上で、高低差2mの土地で面積10m²の場合、120万円以上が目安です。コンクリート製が一般的で、耐久性が高いのが特徴です。

(2) スロープ設置:約2万円/m²、総額15万円以上(安全な勾配は約5度)

スロープ設置の費用は約2万円/m²で、総額15万円以上が目安です。

安全な勾配は約5度で、高低差1mの場合、12mの長さが必要です。高低差2mなら24mの長さが必要で、敷地面積によってはスロープ設置が難しい場合もあります。

(3) 階段設置:高さ230mm以下・奥行150mm以上が安全基準

階段設置の安全基準は、高さ230mm以下・奥行150mm以上です。

スロープより設置スペースが少なく、コストも抑えられるため、階段を選択するケースが増加しています。

(4) 外構工事の費用対効果:スロープより階段を選択するケースも

外構工事の費用対効果を考慮し、スロープではなく階段を選択するケースが増加しています。

スロープは車椅子やベビーカーに便利ですが、設置スペースとコストがかかります。家族構成とライフスタイルに応じて、階段かスロープかを選択しましょう。

(5) 高低差1m vs 2m:工事費用の違いと設計の制約

高低差1mと2mでは、工事費用と設計の制約が大きく異なります。

高低差 擁壁工事費用(10m²) スロープ長さ がけ条例の適用
1m 60万円以上 12m 適用外
2m 120万円以上 24m 適用される

高低差2m以上の場合、がけ条例の規制を受けるため、建物配置が大きく制約されます。

造成工事の費用と注意点:がけ条例・地盤調査・総費用の見積もり

(1) 造成工事の費用相場:整地600〜700円/m²、地盤改良1,500円/m²〜

造成工事の費用相場は以下の通りです。

工事内容 費用相場
整地 600〜700円/m²
地盤改良 1,500円/m²〜
擁壁工事 60,000円/m²以上

土地の状態(高低差の大きさ、地盤の強度、擁壁の有無等)により費用は大きく変動します。執筆時点(2025年)の目安であり、詳細は専門業者への見積もり依頼を推奨します。

(2) がけ条例の規制:崖の高さ2m以上で、崖の高さ×2倍以上の距離を建物から離す

がけ条例の規制内容は以下の通りです。

  • 適用条件: 高さ2m以上の崖が隣接する土地
  • 規制内容: 崖の高さの2倍以上の距離を建物から離す必要がある

例えば、高低差3mの崖がある場合、崖から6m以上離して建物を配置する必要があります。

(3) 自治体による規制の違い:購入前に該当自治体の条例確認が必須

がけ条例の規制内容は自治体により異なります。

購入前に該当自治体の条例を確認することが必須です。自治体の建築指導課や都市計画課に問い合わせることを推奨します。

(4) 地盤調査の重要性:事前調査で造成費用を正確に見積もる

高低差のある土地を購入する前に、地盤調査を実施することを推奨します。

地盤の強度や造成の必要性を確認することで、造成費用を正確に見積もることができます。地盤調査費用は10万〜20万円程度が目安です。

(5) 総費用の見積もり:土地代+造成費+建築費+外構費の合計で平坦な土地と比較

高低差のある土地を購入する際は、総費用(土地代+造成費+建築費+外構費)で平坦な土地と比較することが重要です。

土地代が安くても、造成費用・外構費用が高額になり、トータルコストで平坦な土地と変わらない、または高くなる場合もあります。複数業者への見積もり依頼を推奨します。

(6) 建築会社の選び方:高低差のある土地の建築実績を確認

高低差のある土地の建築を依頼する際は、建築会社の実績を確認することが重要です。

高低差のある土地の建築プランが少なく、対応できない建築会社もあります。実績豊富な建築家や建築会社に相談することを推奨します。

まとめ:高低差のある土地購入時の判断基準

高低差のある土地は、平坦な土地より購入価格が安く、同エリアでコストを抑えられます。高低差を活かした設計により、スキップフロア・半地下・ビルトインガレージなど、個性的な住まいを実現できます。

一方、造成工事・擁壁工事で数十万〜数百万円の追加費用がかかる可能性があり、がけ条例により建物配置が大きく制約される場合もあります。将来の売却時に買い手が見つかりにくいリスクも考慮する必要があります。

購入前に地盤調査を実施し、総費用(土地代+造成費+建築費+外構費)で平坦な土地と比較しましょう。建築士や造園業者、建築会社に相談しながら、適切な判断を下すことを推奨します。

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よくある質問

Q1高低差のある土地のメリットは何ですか?

A1主なメリットは、土地価格が平坦な土地より安い、水害を受けにくい(高台の場合)、プライバシー確保と眺望の良さ、設計の自由度が高い(スキップフロア・半地下・ビルトインガレージ等)です。購入価格を抑えつつ、高低差を活かした個性的な設計が可能です。高台の土地では浸水リスクが低く、見晴らしの良い景色を楽しめます。

Q2高低差のある土地での建築費用はどのくらいかかりますか?

A2造成工事は整地600〜700円/m²、地盤改良1,500円/m²〜、擁壁工事60,000円/m²以上です。外構工事はスロープ約2万円/m²、擁壁約6万円/m²以上です。高低差2mの土地で擁壁工事120万円以上、外構工事含めると数百万円の追加費用がかかる可能性があります。土地の状態により費用は大きく変動するため、事前の地盤調査と複数業者への見積もり依頼が必須です。執筆時点(2025年)の目安であり、詳細は専門業者にご確認ください。

Q3がけ条例とは何ですか?どのような規制がありますか?

A3がけ条例は、高さ2m以上の崖が隣接する土地に家を建てる際の規制を定める自治体条例です。崖の高さの2倍以上の距離を建物から離す必要があり、建物の配置が大きく制約されます。例えば、高低差3mの崖がある場合、崖から6m以上離して建物を配置する必要があります。自治体により規制内容が異なるため、購入前に該当自治体の建築指導課や都市計画課に条例確認が必須です。

Q4高低差のある土地でどのような設計ができますか?

A4スキップフロア(階段を数段上がった中間階)、半地下・地下室(高低差を活かして採光確保)、ビルトインガレージ(1階部分に駐車スペース)などが可能です。高台の土地では眺望を活かしてリビングを高い位置に配置する設計が人気です。建築家や建築会社の実績を確認し、設計プランを相談することを推奨します。高低差を活かした個性的な住まいを実現できます。

Q5高低差のある土地は将来売却しやすいですか?

A5高低差のある土地は将来の売却時に買い手が見つかりにくい可能性があり、資産価値が下がるリスクがあります。デメリットとして、高齢者・車椅子利用者には不向き、建築費用が高いことが挙げられます。購入希望者が限られるため、長期保有を前提とした判断が必要です。売却を想定する場合は平坦な土地の方が有利です。総費用(土地代+造成費+建築費+外構費)で平坦な土地と比較し、慎重に判断しましょう。

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Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

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