平屋一戸建てが注目される理由と人気の背景
平屋一戸建ての購入や建築を検討されている方の中には、「平屋のメリット・デメリットは何か」「建築費用はどれくらいかかるのか」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
平屋は、階段がなくワンフロアで生活できるため、バリアフリー性や生活動線の短さが魅力です。国土交通省の統計によると、平屋の着工棟数は10年で2倍近く増加しており、若い世代や子育て世帯からも注目されています。この記事では、平屋のメリット・デメリット、建築費用と坪単価、間取り設計のポイント、土地選びの注意点を解説します。
この記事のポイント
- 平屋の着工棟数は2012年30,604件→2022年57,022件と10年で2倍近く増加
- 平屋のメリットはバリアフリー性・生活動線の短さ・家族とのコミュニケーション
- デメリットは広い土地が必要、坪単価が高い(40万~60万円)、収納不足(理想12~15%)
- 新築費用相場は土地代除いて2,000万円前後、1,000万円台からも可能
- 間取り設計では水回りを一か所にまとめ、中庭・トップライトで採光を確保
(1) 平屋の着工棟数が10年で2倍に増加
国土交通省の建築物着工統計によると、平屋の着工棟数は近年急速に増加しています。
着工棟数の推移:
- 2012年: 30,604件
- 2022年: 57,022件
- 10年間の増加率: 約86%(ほぼ2倍)
平屋率の推移:
- 2013年: 新築の戸建てで平屋が占める割合は約7.3%
- 2023年: 約15.2%
- 10年間で2倍以上に増加
この背景には、シニア世代のセカンドライフ需要だけでなく、若い世代や子育て世帯の関心も高まっていることがあります。
(2) 若い世代や子育て世帯からも注目される理由
従来、平屋はシニア世代向けのイメージが強かったですが、2025年現在では若い世代や子育て世帯からも注目されています。
若い世代が平屋を選ぶ理由:
- 家事動線の効率: 階段の上り下りがなく、洗濯物を干す・片付けるなどの家事が楽
- 子どもの見守り: リビングから全体を見渡せるため、子どもの様子を把握しやすい
- 将来のバリアフリー: 老後も住み続けられるため、長期的な住まいとして選ばれる
子育て世帯のニーズ:
- 子どもが階段から転落するリスクがない
- 家族とのコミュニケーションが取りやすい
- 庭やウッドデッキとの一体感があり、開放的な生活
(3) シニア世代のセカンドライフに最適
シニア世代にとって、平屋はセカンドライフに最適な住まいです。
シニア世代が平屋を選ぶ理由:
- バリアフリー性: 階段がなく、つまずきや転倒のリスクが低い
- メンテナンスのしやすさ: 屋根・外壁の修繕時に足場が不要または簡易で済む
- 生活のしやすさ: 全ての部屋がワンフロアにあるため、移動が楽
子育てが終わり、夫婦2人または単身でゆったり暮らしたいというニーズに応えるため、平屋が選ばれています。
平屋のメリット7つ
(1) バリアフリー性と生活動線の短さ
平屋の最大のメリットは、階段がなくワンフロアで生活できることです。
バリアフリー性:
- 高齢者や障がい者が生活しやすい
- 車椅子での移動が容易
- 階段からの転落リスクがゼロ
生活動線の短さ:
- 各部屋への移動距離が短い
- 家事動線が効率的(洗濯物を干す、片付ける等)
- 重い荷物の運搬が楽(階段の上り下りがない)
(2) 家族とのコミュニケーションの取りやすさ
平屋は各部屋の距離が近く、家族とのコミュニケーションが取りやすいです。
コミュニケーションのメリット:
- リビングから全体を見渡せる(子どもの見守りに最適)
- 家族の気配を感じやすい
- 食事の声かけや呼びかけが楽
注意点:
- プライバシーが確保しにくい場合もある
- 主寝室を離して配置する等の間取りの工夫が必要
(3) メンテナンス費用の抑制
平屋は、長期的なメンテナンス費用を抑えられます。
メンテナンス費用が安い理由:
- 屋根・外壁の修繕時に足場が不要または簡易で済む
- 高所作業が少なく、修繕費用が抑えられる
- 雨樋の清掃等も脚立で対応可能
2階建てとの比較:
| 項目 | 平屋 | 2階建て |
|---|---|---|
| 外壁塗装の足場代 | 不要または簡易 | 必要(20万円~50万円) |
| 屋根修繕の足場代 | 簡易 | 必要(20万円~50万円) |
| 合計メンテナンス費用(10年ごと) | 50万円~100万円 | 100万円~200万円 |
平屋のデメリット5つと後悔しやすいポイント
(1) 広い土地が必要(建築面積が2階建ての2倍)
平屋は、同じ延床面積でも2階建てより広い土地が必要です。
建築面積の比較:
- 延床面積30坪の2階建て: 建築面積15坪(1階15坪、2階15坪)
- 延床面積30坪の平屋: 建築面積30坪(全てが1階)
土地取得費用の増加:
- 都市部では土地代が高いため、平屋を建てる土地の確保が困難
- 郊外では土地代が安いため、平屋が建てやすい
建ぺい率の制約:
- 建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)の上限により、希望する延床面積の平屋を建てられない場合がある
(2) 坪単価が高くなりやすい(基礎と屋根の面積が広い)
平屋は、同じ延床面積でも2階建てより坪単価が高くなる傾向があります。
坪単価が高い理由:
- 基礎の面積が2倍(全ての床が地面に接する)
- 屋根の面積が2倍(全ての部屋の上に屋根が必要)
- 基礎と屋根の工事費用が増加
坪単価の比較:
| タイプ | 坪単価 |
|---|---|
| 平屋 | 40万円~60万円 |
| 2階建て | 30万円~50万円 |
(3) 収納不足(理想は12~15%)
平屋は、収納スペースが不足しやすいです。
収納率の重要性:
- 収納率: 延床面積に対する収納スペースの割合
- 理想の収納率: 12~15%
- 12%を下回ると使い勝手が悪化し、物が溢れる
収納が不足する理由:
- 平屋は階段下や小屋裏の収納スペースがない
- 延床面積が広いため、収納を後回しにしがち
対策:
- 玄関・土間・脱衣所・トイレの4カ所に収納を確保
- ウォークインクローゼット・パントリーを設ける
- ミサワホームの「蔵のある家」のように、床下や小屋裏を活用した大収納空間を検討
(4) 日当たり・採光問題(延床面積が広いと中心が暗い)
延床面積が広い平屋は、中心部が窓から遠くなり暗くなりやすいです。
採光不足の原因:
- 壁面の窓からの光が中心部まで届かない
- LDKや寝室以外の場所(廊下、洗面所等)が暗い
対策:
- 中庭: 建物に囲まれた庭を設け、中心部まで採光を確保
- トップライト(天窓): 屋根に設置する窓、壁面の窓の3倍の採光効果
- 吹き抜け: 天井を高くして、光を取り込む
(5) プライバシー・防犯・水害リスク
平屋は、プライバシー確保や防犯、水害リスクに注意が必要です。
プライバシーの問題:
- 各部屋の距離が近く、家族の生活音や会話が気になる
- 通りから室内が見えやすい
防犯リスク:
- 窓が多く、侵入経路が増える
- 対策: 防犯ガラス、面格子、シャッター、センサーライト、防犯砂利
水害リスク:
- 2階に避難できないため、浸水時のリスクが高い
- 対策: ハザードマップで浸水想定区域を確認、盛り土で基礎を高くする
平屋の建築費用と坪単価の目安
(1) 新築費用相場(土地代除いて2,000万円前後)
平屋の新築費用相場は、土地代を除いて2,000万円前後です。
費用の内訳:
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 建物本体工事 | 1,500万円~2,500万円 |
| 付帯工事(外構、電気・ガス等) | 200万円~500万円 |
| 諸費用(登記、住宅ローン手数料等) | 100万円~200万円 |
| 合計 | 1,800万円~3,200万円 |
坪数別の費用目安:
| 延床面積 | 費用目安 |
|---|---|
| 20坪(約66㎡) | 1,000万円~1,500万円 |
| 25坪(約83㎡) | 1,500万円~2,000万円 |
| 30坪(約100㎡) | 2,000万円~2,500万円 |
| 35坪(約116㎡) | 2,500万円~3,000万円 |
(2) 坪単価40万~60万円の内訳
坪単価は、建物本体工事費用を延床面積で割った金額です。
坪単価の内訳:
| 項目 | 割合 | 金額(坪単価50万円の場合) |
|---|---|---|
| 基礎工事 | 15% | 7.5万円 |
| 躯体工事 | 20% | 10万円 |
| 屋根・外壁工事 | 20% | 10万円 |
| 内装工事 | 20% | 10万円 |
| 設備工事(キッチン、浴室等) | 20% | 10万円 |
| その他 | 5% | 2.5万円 |
| 合計 | 100% | 50万円 |
(3) 費用を抑えるポイント
平屋の建築費用を抑えるには、以下のポイントがあります。
費用削減のポイント:
- シンプルな形状: 複雑な形状は工事費用が増加、四角形や長方形がコスト効率が良い
- 設備のグレードを抑える: キッチン・浴室等の設備はグレードを下げることで費用削減
- 外構工事を後回しにしない: 建物と外構の費用バランスを見ながら調整(後回しにすると防犯性が低下)
- ローコスト住宅メーカーを検討: 1,000万円台から平屋を建てられるメーカーもある
間取り設計のポイントと失敗事例
(1) 収納率12~15%を確保する方法
収納率12~15%を確保することで、使い勝手の良い平屋になります。
収納確保の方法:
- 玄関収納: シューズクローク、土間収納(靴・傘・アウトドア用品等)
- 脱衣所収納: リネン庫、洗濯用品・タオル等の収納
- トイレ収納: トイレットペーパー・掃除用具の収納
- ウォークインクローゼット: 主寝室や子供部屋に設置
- パントリー: キッチン横に食品・調理器具の収納スペース
収納率の計算例:
- 延床面積30坪(約100㎡)の場合: 収納スペース12~15㎡(約3.6~4.5坪)が必要
(2) 水回りを一か所にまとめる家事動線
水回り(キッチン・洗濯機・物干し場)を一か所にまとめると、家事動線が短くなります。
家事動線の例:
- キッチン → 料理
- 洗濯機 → 洗濯(キッチンから2~3歩の距離)
- 物干し場(ウッドデッキや庭) → 洗濯物を干す(洗濯機から2~3歩の距離)
- 収納(脱衣所やクローゼット) → 片付ける
メリット:
- 移動距離が短く、家事の効率が上がる
- 配管工事を集約でき、建築費用が抑えられる
(3) 中庭・トップライトで採光を確保
延床面積が広い平屋は、中庭やトップライトで採光を確保します。
中庭のメリット:
- 建物に囲まれた庭を設けることで、中心部まで光が届く
- プライバシーが確保された屋外スペース(通りから見えない)
- 子どもの遊び場や、植物を育てるスペースとして活用
トップライト(天窓)のメリット:
- 壁面の窓の3倍の採光効果
- 暗くなりがちな廊下・洗面所・トイレ等に設置
- 開閉式にすれば、換気も可能
注意点:
- 中庭は建築面積が増えるため、建ぺい率に注意
- トップライトは雨漏りリスクがあるため、信頼できる施工業者に依頼
土地選びの注意点とライフステージ別の適性
(1) ハザードマップで浸水リスクを確認
平屋は2階に避難できないため、浸水リスクの確認が必須です。
確認方法:
- 自治体のハザードマップで浸水想定区域を確認
- 過去の水害履歴を自治体に問い合わせ
- 近隣住民に水害の経験を聞く
浸水リスクが高い場合の対策:
- 盛り土で基礎を高くする(50cm~1m程度)
- 浸水想定区域を避けて土地を探す
- 2階建てを検討する
(2) 防犯対策(防犯ガラス・センサーライト等)
平屋は窓が多く、侵入経路が増えるため、防犯対策が重要です。
防犯対策の方法:
| 項目 | 方法 | 費用 |
|---|---|---|
| 防犯ガラス | 割れにくいガラスを窓に設置 | 1万円~3万円/㎡ |
| 面格子 | 窓に金属製の格子を設置 | 1万円~3万円/箇所 |
| シャッター | 窓にシャッターを設置 | 5万円~10万円/箇所 |
| センサーライト | 人が近づくと点灯 | 5千円~2万円/個 |
| 防犯砂利 | 歩くと音が鳴る砂利 | 1万円~3万円/㎡ |
外構工事の重要性:
- 外構工事を後回しにすると、防犯性が低下
- 建物と外構の費用バランスを見ながら調整
(3) シニア・子育て世帯それぞれに適した間取り
平屋は、ライフステージに応じて適した間取りがあります。
シニア世帯向けの間取り:
- 主寝室をLDK近くに配置: 移動距離を短くし、生活しやすく
- トイレを2カ所設置: 夜間のトイレへの移動を楽に
- 段差をなくす: 完全バリアフリー化
子育て世帯向けの間取り:
- 子供部屋をLDKから見渡せる配置: 子どもの見守りがしやすい
- リビングを中心に各部屋を配置: 家族のコミュニケーションが取りやすい
- 庭やウッドデッキと一体化: 子どもの遊び場として活用
まとめ
平屋一戸建ては、階段がなくワンフロアで生活できるため、バリアフリー性や生活動線の短さが魅力です。国土交通省の統計によると、平屋の着工棟数は2012年30,604件→2022年57,022件と10年で2倍近く増加しており、若い世代や子育て世帯からも注目されています。
メリットは、バリアフリー性、家族とのコミュニケーションの取りやすさ、メンテナンス費用の抑制です。デメリットは、広い土地が必要、坪単価が高い(40万~60万円)、収納不足(理想12~15%)です。新築費用相場は土地代除いて2,000万円前後で、1,000万円台からも可能です。
間取り設計では、収納率12~15%を確保し、水回りを一か所にまとめ、中庭・トップライトで採光を確保することが重要です。土地選びでは、ハザードマップで浸水リスクを確認し、防犯対策(防犯ガラス・センサーライト等)を行い、ライフステージに応じた間取りを検討してください。
平屋は、シニア世代のセカンドライフだけでなく、若い世代や子育て世帯にも適した住まいです。建築を検討する際は、ハウスメーカーや建築士に相談し、自分のライフスタイルに合った平屋を実現してください。


