静岡県の土地市場|17年ぶりプラス転換の背景
静岡県で土地の購入を検討する際、「今の価格は高いのか、安いのか」「どのエリアが狙い目なのか」と迷う方は少なくありません。
この記事では、2025年最新の公示地価・基準地価データ、エリア別の価格動向、土地選びのポイント、静岡県特有の注意点を、国土交通省・日本経済新聞などの公式情報を元に解説します。
初めて土地を購入する方でも、適正価格の判断と購入手続きを正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 2025年静岡県の基準地価は17年ぶりにプラスへ転じ、商業地+0.58%、工業地+0.82%と上昇傾向
- 土地取得費の相場は1,181万円で全国・東海圏より低い価格帯
- ハザードマップ確認、地盤調査、生活環境チェックが必須
- 静岡県では2メートル超の高低差がある場合、擁壁工事が必要(県独自規制)
- 地盤改良工事は規模により200万円以上の費用がかかる可能性がある
(1) 静岡県の土地市場の特徴
静岡県の土地市場は、東京圏と名古屋圏の中間に位置する地理的優位性、新幹線・東名高速による高い交通利便性、海・山の自然環境の豊かさが特徴です。
土地取得費の相場は1,181万円で、全国平均や東海圏より低い価格帯となっており、購入しやすい地域です。
(2) 2025年基準地価が17年ぶりプラスへ転じた背景
日本経済新聞の報道によると、2025年の静岡県基準地価(7月1日時点)は全用途で前年比0.1%上昇し、林地を除く全用途で17年ぶりにプラスへ転じました。
商業地・工業地は引き続き上昇傾向、住宅地は微減ですが下落幅は縮小中です。背景には、リモートワークの普及による地方移住需要、新幹線・高速道路アクセスの良さ、企業の物流拠点としての工業地需要などがあります。
静岡県の土地価格相場|公示地価と実勢価格の目安
(1) 2025年公示地価(平均8万9757円/m²、坪単価29万6719円/坪)
tochidai.infoのデータによると、2025年公示地価の平均は8万9757円/m²、坪単価29万6719円/坪で前年比+0.16%上昇しています。
公示地価とは、国土交通省が毎年1月1日時点で調査・公表する土地価格の指標で、不動産取引の目安となります。基準地価は都道府県が毎年7月1日時点で調査・公表し、公示地価を補完します。
(2) 用途別の価格動向(住宅地-0.04%、商業地+0.58%、工業地+0.82%)
用途別の価格動向は以下の通りです。
| 用途 | 平均価格(m²) | 坪単価 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 住宅地 | 7万2002円 | 23万8025円/坪 | -0.04% |
| 商業地 | 15万0084円 | 49万6147円/坪 | +0.58% |
| 工業地 | 5万0259円 | 16万6147円/坪 | +0.82% |
(出典: tochidai.info)
住宅地は微減していますが、下落幅は縮小中です。商業地・工業地は明確な上昇傾向にあり、物流拠点や商業施設の需要が高まっていることが背景にあります。
(3) 土地取得費の相場(1,181万円)と売却相場(1,376万円)
LOHAS Letterによると、静岡県の土地取得費の相場は1,181万円(全国・東海圏より低い)です。
一方、SUUMOのデータでは、土地売却価格相場は1,376万円、平米単価相場(中央値)は6.3万円/m²で、前年同月比で成約件数と成約単価が共に上昇しています。
取得費と売却相場の差は、売却時の仲介手数料、測量費用、譲渡所得税などの諸費用の影響があります。
エリア別の価格動向と人気エリア|静岡市・浜松市・富士市
(1) 静岡市内の価格相場と特徴
静岡市は県庁所在地で、静岡駅周辺・駿河区・葵区が人気エリアです。新幹線・東海道本線のアクセスが良く、商業施設・病院・学区が充実しています。
静岡市内の住宅地は県平均より若干高い傾向がありますが、郊外エリアでは比較的手頃な価格で広い土地が手に入ります。
(2) 浜松市内の価格相場と特徴
浜松市は静岡県第2の都市で、製造業が盛んな地域です。東名高速・新幹線のアクセスが良く、工業地の需要が高い傾向があります。
住宅地は静岡市よりやや低価格帯で、家族向けの広い土地を確保しやすいエリアです。
(3) 富士市内の価格相場と特徴
富士市は富士山の眺望が良く、東名高速・新幹線のアクセスが良好です。工業地・物流拠点としての需要があり、商業地・工業地の価格は上昇傾向です。
住宅地は県平均並みで、自然環境を重視する層に人気があります。
(4) 交通アクセス(新幹線・東名高速)と価格の関係
新幹線駅(静岡駅・浜松駅・熱海駅等)や東名高速インターチェンジ周辺は、価格が高めに設定される傾向があります。
通勤・通学の利便性、物流拠点としての立地価値が価格に反映されるためです。駅から徒歩圏内の土地は特に人気が高く、競争率も上がります。
土地選びのポイント|ハザードマップ・地盤調査・生活環境
(1) ハザードマップで災害リスクを確認
静岡県は海岸部の津波リスク、河川沿いの洪水リスク、山間部の土砂災害リスクがあります。土地購入前に、必ず自治体のハザードマップ(洪水、土砂災害、地震、津波などのリスクを地図上に示したもの)を確認してください。
リスクエリアの土地は、災害時の被害、保険料の増加、資産価値の低下につながる可能性があります。
(2) 地盤調査の重要性
軟弱な地盤の土地では、建物の安全性を確保するために地盤改良工事(軟弱な地盤を強化する工事)が必要です。規模により200万円以上の費用がかかる場合があるため、購入前の地盤調査が必須です。
地盤調査を実施し、必要に応じて地盤改良工事を行うことで、安全に家を建てることが可能です。
(3) 商業施設・病院・学区・交通機関の利便性
土地の価格は、周辺の商業施設や病院の充実度、通勤・通学の利便性、交通機関の本数やラッシュ時の混雑具合など、生活環境によって大きく変わります。
購入前に、実際に現地を訪れ、平日・休日の様子を確認することをお勧めします。
(4) 土地の大きさ・形・日当たり・周辺環境
土地の価格は大きさや形、日当たり、周辺環境など多くの要因によって決定されます。複数の条件を比較検討し、優先順位をつけることが重要です。
南向き・整形地(正方形・長方形)は人気が高く、価格も高めに設定される傾向があります。
静岡県特有の注意点と購入の流れ|擁壁工事・地盤改良・諸費用
(1) 擁壁工事の規制(2メートル超の高低差で必要)
LOHAS Letterによると、静岡県では周囲に2メートルを超える高低差がある場合、がけに対して擁壁工事(高低差のある土地でがけ崩れを防ぐための壁を設置する工事)などの安全な対策が必要になります(県独自の規制)。
擁壁工事の費用は規模により数十万円〜数百万円かかる場合があるため、購入前に土地の高低差を確認し、宅地建物取引士や土地家屋調査士に相談することを推奨します。
(2) 地盤改良工事の費用(200万円以上の可能性)
地盤改良工事は規模により200万円以上の費用がかかる可能性があります。購入前に地盤調査会社に見積もりを依頼し、総費用を正確に把握することが重要です。
(3) 仲介手数料(上限3%+6万円)
土地を不動産会社経由で購入する場合、仲介手数料がかかります。上限は物件価格の3%+6万円+消費税です(宅地建物取引業法で規定)。
例えば、1,500万円の土地を購入する場合、仲介手数料は(1,500万円×3%+6万円)×1.1=56.1万円が上限です。
(4) 不動産取得税・固定資産税・登録免許税
土地購入時には以下の税金がかかります(2025年時点)。
| 税金 | 内容 | 税率・目安 |
|---|---|---|
| 不動産取得税 | 土地取得時に一度だけ課される地方税 | 固定資産税評価額×3% |
| 固定資産税 | 毎年1月1日時点の所有者に課される地方税 | 固定資産税評価額×1.4%(標準税率) |
| 登録免許税 | 所有権移転登記時に課される国税 | 固定資産税評価額×2%(土地の場合) |
軽減措置の要件・期限は自治体や国税庁の公式サイトで最新情報を確認してください。
まとめ|静岡県で土地を購入する際の判断ポイント
静岡県の土地市場は2025年に17年ぶりにプラスへ転じ、商業地・工業地は上昇傾向です。土地取得費の相場は1,181万円で、全国平均より購入しやすい価格帯です。
購入前には、ハザードマップで災害リスクを確認し、地盤調査を実施し、生活環境を総合的に判断することが重要です。静岡県特有の擁壁工事規制(2メートル超の高低差)や地盤改良工事(200万円以上の可能性)も考慮してください。
信頼できる宅地建物取引士や地盤調査会社に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。
