シニア向けマンション購入ガイド:選び方・バリアフリー・資産管理のポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/21

シニア向けマンションとは?自立生活を前提とした分譲住宅

シニア向けマンション購入を検討する際、「一般のマンションと何が違うのか」「介護が必要になったらどうなるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、シニア向けマンションの選び方、バリアフリー設備、費用、購入時の注意点を、実際のデータと専門機関の情報を元に解説します。

初めてシニア向けマンションを検討する方でも、将来を見据えた判断材料を得られるようになります。

この記事のポイント

  • シニア向け分譲マンションは60歳以上が対象で、バリアフリー設計・24時間スタッフ常駐・緊急通報装置が標準装備
  • 購入すると自分の資産になり、売却・賃貸・相続が可能(サ高住・有料老人ホームとの大きな違い)
  • 購入費用は数千万円~数億円(中古は1,000万円台から)、月額費用は8~12万円程度が相場
  • 要介護度が進むと住み替えが必要になるため、将来的な資金計画が重要
  • 2024年調査で60歳以上の新築マンション契約者が8.1%と過去最高を記録

(1) シニア向け分譲マンションの定義

シニア向け分譲マンションとは、民間事業者が販売・運営するバリアフリーの分譲住宅で、見守りサービスや緊急時対応、充実した共用施設を備える住宅です。

主な特徴:

  • バリアフリー設計(段差解消、手すり、車椅子対応の廊下幅等)
  • 24時間スタッフ常駐
  • 緊急通報装置
  • レストラン・ジム・温泉等の共用施設

購入すると自分の資産になり、売却・賃貸・相続が可能です。

(2) 入居条件:60歳以上、自立した日常生活が送れること

基本的な入居条件は以下の通りです。

入居条件:

  • 年齢: 60歳以上が一般的
  • 健康状態: 自立して日常生活が送れること

要介護度が進むと、介護サービスがないため住み替えが必要になるケースがあります。

(3) 主な特徴:バリアフリー設計、24時間スタッフ常駐、緊急通報装置

シニア向けマンションの主な特徴は以下の通りです。

バリアフリー設備:

  • 段差を少なくした構造
  • 手すり(玄関、廊下、浴室、トイレ等)
  • 車椅子対応の廊下幅(780mm以上)
  • 引き戸の採用(開閉がラク)

見守り・緊急対応:

  • 24時間スタッフ常駐
  • 緊急通報装置(居室内のボタンで通報)
  • 定期的な安否確認

共用施設:

  • レストラン(食事サービス)
  • フィットネスジム
  • 温泉・大浴場
  • ラウンジ・図書室

一般のマンションにはない、シニア層に特化したサービスが充実しています。

(4) 2024年市場動向:60歳以上の新築マンション契約者が8.1%と過去最高

2024年リクルート調査によると、首都圏の新築マンション契約者に占める60歳以上の割合が8.1%と過去最高を記録しました。

フージャースグループが2025年8月時点で3,307戸を供給し、シニア向け分譲マンション供給戸数No.1となっています。

シニア向けマンション市場は拡大傾向にあります。

シニア向けマンションの種類と他施設との違い

シニア向けマンションには複数の種類があり、それぞれ特徴が異なります。

(1) シニア向け分譲マンション:購入で資産になる

シニア向け分譲マンションは、購入することで自分の資産になります。

特徴:

  • 所有形態: 購入(分譲)
  • 資産性: 売却・賃貸・相続が可能
  • 費用: 購入費数千万円~数億円、月額費用8~12万円程度
  • 介護サービス: なし(要介護度が進むと住み替えが必要)

資産として残せることが最大のメリットです。

(2) サービス付き高齢者向け住宅(サ高住):賃貸で資産にならない

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は賃貸形式の高齢者向け住宅です。

特徴:

  • 所有形態: 賃貸
  • 資産性: なし(賃貸のため)
  • 費用: 敷金・礼金、月額賃料10~30万円程度
  • 介護サービス: 生活相談・安否確認(介護サービスは別途契約)

購入費用が不要で初期負担が少ない反面、資産として残せません。

(3) 有料老人ホーム:介護サービス付き、入居一時金制度

有料老人ホームは介護サービス付きの施設です。

特徴:

  • 所有形態: 入居一時金制度(施設により異なる)
  • 資産性: なし(入居権のみ)
  • 費用: 入居一時金数百万円~数千万円、月額費用10~30万円程度
  • 介護サービス: あり(介護付き有料老人ホーム)

要介護度が進んでも対応可能ですが、介護サービス付きのため費用が高額です。

(4) 一般マンションとの違い:見守りサービス、充実した共用施設

一般マンションとの違いは以下の通りです。

シニア向け分譲マンションの特徴:

項目 シニア向けマンション 一般マンション
バリアフリー 標準装備 物件により異なる
見守りサービス あり なし
24時間スタッフ常駐 あり なし
緊急通報装置 あり なし
共用施設 レストラン、ジム、温泉等 一般的な共用施設
月額費用 8~12万円程度 管理費・修繕積立費のみ

シニア層に特化したサービスが充実している分、月額費用は一般マンションより高めです。

選び方のポイント:バリアフリー・立地・サービス内容

シニア向けマンションを選ぶ際の確認ポイントを解説します。

(1) バリアフリー設備:段差解消、手すり、車椅子対応の廊下幅

バリアフリー設備は、将来の身体機能低下に備えて重要です。

確認ポイント:

  • 段差: 玄関・居室内・浴室の段差が解消されているか
  • 手すり: 玄関・廊下・浴室・トイレに設置されているか
  • 廊下幅: 車椅子対応(780mm以上)か
  • : 引き戸か(開閉がラク)
  • 浴室: 滑りにくい床材、シャワーチェア設置可能か

現地見学時に、実際に動いて確認することを推奨します。

(2) 立地:医療・介護施設の近さ、交通利便性

立地は生活の質に大きく影響します。

確認ポイント:

  • 医療施設: 総合病院、クリニックが徒歩圏内か
  • 介護施設: 将来的に利用する可能性のある有料老人ホーム等が近くにあるか
  • 交通利便性: 駅が近いか、バス路線が充実しているか
  • 商業施設: スーパー、ドラッグストアが徒歩圏内か

将来的に外出が困難になった場合も考慮して、医療・介護施設の近さを重視してください。

(3) サービス内容:レストラン、ジム、温泉、見守りサービス

共用施設やサービス内容は、生活の充実度に影響します。

確認ポイント:

  • レストラン: 食事サービスの有無、料金体系
  • フィットネスジム: 高齢者向けのトレーニング機器
  • 温泉・大浴場: 毎日利用可能か
  • ラウンジ・図書室: 交流の場があるか
  • 見守りサービス: 安否確認の頻度、緊急時の対応体制

月額費用に含まれるサービスと、別途料金が必要なサービスを明確に確認してください。

(4) 管理体制:24時間スタッフ常駐、緊急時対応

管理体制は安心感に直結します。

確認ポイント:

  • スタッフ常駐: 24時間常駐か、夜間は宿直か
  • 緊急通報装置: 居室内のボタンで通報可能か
  • 緊急時対応: 救急車手配、医療機関連携体制
  • 定期的な安否確認: 頻度、方法(訪問、電話等)

現地見学時に、スタッフの対応や雰囲気も確認してください。

費用と資金計画:購入費用・月額費用・住宅ローンの利用

シニア向けマンションの費用と資金調達方法を解説します。

(1) 購入費用:数千万円~数億円(中古は1,000万円台から)

購入費用は立地・設備により大きく異なります。

購入費用の相場:

  • 新築: 数千万円~数億円
  • 中古: 1,000万円台から

一般のマンションより高額になる傾向があります。

(2) 月額費用:8~12万円程度(管理費、修繕積立費、固定資産税)

購入後も継続的に月額費用がかかります。

月額費用の内訳:

項目 金額(目安)
管理費 3~5万円
修繕積立費 2~3万円
固定資産税 年間20~40万円(月換算2~3万円)
その他(食事サービス等) 利用分
合計 8~12万円程度

誰も住んでいなくても、管理費・修繕積立費・固定資産税は継続的に支払う必要があります。

(3) 住宅ローンの利用:年齢制限はあるがシニアでも利用可能

シニアでも住宅ローンは利用可能です。

確認ポイント:

  • 年齢制限: 金融機関により異なる(完済時年齢80歳未満が一般的)
  • 借入可能額: 年収・勤続年数・他の借入状況
  • 金利タイプ: 固定金利・変動金利のメリット・デメリット
  • 返済期間: 定年までの期間を考慮

金融機関や住宅ローンアドバイザーへの相談を推奨します。

(4) リバースモーゲージ等の資金調達手段

リバースモーゲージ(自宅を担保に生活資金を借りる制度)も選択肢の一つです。

特徴:

  • 自宅を担保に借入
  • 毎月の返済は利息のみ(元本は死亡後に自宅売却で返済)
  • 年齢制限あり(60歳以上が一般的)

詳細は金融機関にご確認ください。

購入時の注意点:売却の困難・要介護時の住み替え

シニア向けマンション購入前に確認すべき注意点を解説します。

(1) 高額な購入費用と継続的な月額費用負担

購入費用が数千万円~数億円と高額で、月額費用も8~12万円程度かかります。

確認ポイント:

  • 購入費用を自己資金で賄えるか
  • 月額費用を継続的に支払えるか(年金収入等を考慮)
  • 将来的な医療費・介護費用も考慮した資金計画

無理のない資金計画を立てることが重要です。

(2) 売却時の困難:購入層が限定的、シニア向け価値が査定に反映されないケースも

売却時に以下のリスクがあります。

売却時のリスク:

  • 購入層が限定的(60歳以上のみ)で買い手が見つかりにくい
  • シニア向け設備が一般の査定で評価されないケースがある
  • 売却まで時間がかかる可能性

売却を前提とする場合は、事前に不動産会社に査定を依頼してください。

(3) 要介護度が進むと住み替えが必要

シニア向け分譲マンションは介護サービスがないため、要介護度が進むと住み替えが必要になります。

確認ポイント:

  • 要介護時の住み替え先(有料老人ホーム等)の費用を試算
  • 将来的な資金計画(売却益を住み替え費用に充当等)

将来的な資金計画を含めて検討してください。

(4) 物件数が限られており、希望エリアで見つからないケースも

シニア向け分譲マンションは物件数が限られており、希望エリアで見つからないケースもあります。

対応策:

  • 複数のエリアを候補に入れる
  • 中古物件も検討する
  • 不動産会社に相談し、新規物件情報を入手

柔軟に検討することを推奨します。

(5) 高齢者の不動産売却時の注意点:判断能力低下、後期高齢者医療保険料への影響

高齢者が不動産を売却する際の注意点は以下の通りです。

注意点:

  • 判断能力低下: 認知症等で判断能力が低下すると売却が困難(成年後見制度の利用が必要)
  • 後期高齢者医療保険料: 売却益により翌年の保険料が上がる可能性

売却は判断能力がしっかりしているうちに行い、家族や専門家(宅建士、ファイナンシャルプランナー、弁護士等)への相談を推奨します。

まとめ:将来を見据えたシニアマンション選び

シニア向けマンションは、バリアフリー設計・24時間スタッフ常駐・緊急通報装置が標準装備で、自立したシニア層に適した住宅です。購入費用は数千万円~数億円、月額費用は8~12万円程度が相場です。

購入すると資産になりますが、要介護度が進むと住み替えが必要になるため、将来的な資金計画が重要です。

信頼できる不動産会社や金融機関に相談しながら、現地見学を複数回行い、バリアフリー設備・立地・サービス内容を確認し、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1シニア向けマンションの特徴は何ですか?

A1バリアフリー設計、24時間スタッフ常駐、緊急通報装置、レストラン・ジム・温泉等の共用施設が標準装備です。購入すると自分の資産になり、売却・賃貸・相続が可能です。入居条件は60歳以上で、自立して日常生活が送れることが一般的です。一般のマンションと異なり、見守りサービスや緊急時対応が充実しています。

Q2サ高住との違いは何ですか?

A2シニア向け分譲マンションは「購入」で資産になりますが、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は「賃貸」で資産になりません。購入費用は数千万円~数億円と高額ですが、資産として残せます。サ高住は敷金・礼金と月額賃料10~30万円程度で、初期負担が少ない反面、資産性はありません。

Q3シニア向けマンションの費用はいくらですか?

A3購入費用は新築で数千万円~数億円、中古で1,000万円台からです。月額費用は管理費・修繕積立費・固定資産税を合わせて8~12万円程度が相場です。誰も住んでいなくても、管理費・修繕積立費・固定資産税は継続的に支払う必要があります。食事サービス等を利用すると別途費用がかかります。

Q4高齢者でも住宅ローンは組めますか?

A4年齢制限はありますが、シニアでも住宅ローンは利用可能です。金融機関により異なりますが、完済時年齢80歳未満が一般的です。また、リバースモーゲージ(自宅を担保に生活資金を借りる制度)等の選択肢もあります。詳細は金融機関や住宅ローンアドバイザーにご確認ください。

Q5介護が必要になったらどうなりますか?

A5シニア向け分譲マンションは介護サービスがないため、要介護度が進むと有料老人ホーム等への住み替えが必要になります。売却益を住み替え費用に充当するなど、将来的な資金計画が重要です。要介護時の住み替え先の費用を事前に試算し、無理のない計画を立てることを推奨します。

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Room Match編集部

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