札幌で中古戸建てを購入する前に知っておくべき価格相場とエリア選びのポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/18

札幌で中古戸建てを購入する前に知っておくべき市場の特徴

札幌市で中古戸建ての購入を検討する際、「価格相場はどれくらいか」「どのエリアを選ぶべきか」「寒冷地特有の注意点は何か」といった疑問を持つ方は少なくありません。

この記事では、札幌市の中古戸建て市場の特徴、エリア別の価格相場、購入の流れ、そして札幌特有のチェックポイント(断熱性能、暖房設備、積雪対策等)を詳しく解説します。国土交通省の不動産取引価格情報や不動産ポータルサイトのデータを元に、信頼性の高い情報を提供します。

この記事のポイント

  • 札幌市の中古戸建ては1,600件以上が常時流通しており、選択肢が豊富
  • エリア別の平均価格は、中央区2,892万円、豊平区2,193万円、東区2,094万円、西区2,070万円
  • 2024年は新築同様の物件やフルリノベーション物件が増加傾向
  • 札幌特有の注意点として、断熱・気密性能と暖房設備の確認が必須(暖房費に大きく影響)
  • 購入から引き渡しまで2-3ヶ月が目安、住宅ローンの事前審査は契約前に実施

(1) 札幌市の中古戸建て市場の現状(1,600件以上が常時流通)

SUUMOによると、札幌市では約1,638件の中古戸建てが常時流通しています。他のポータルサイト(HOME'S、アットホーム、ニフティ不動産等)を合わせると、2,000件以上の選択肢があります。

(2) 価格帯の幅(500万円から1億5,000万円まで)

札幌市の中古戸建ての価格帯は、500万円から1億5,000万円まで非常に幅広くなっています。築年数、エリア、リフォーム状況により価格が大きく異なります。

(3) 2024年の市場動向(新築同様の物件、フルリノベーション物件の増加)

ニフティ不動産によると、2024年は以下の傾向が見られます。

  • 2024年築の新築同様物件:未入居の物件が中古市場に流通
  • フルリノベーション物件:2024年10-11月完成の物件が多数

これらの物件は、新築よりも割安で高品質な住宅を手に入れられる可能性があります。

札幌市の中古戸建て価格相場(エリア別・築年数別)

札幌市の中古戸建て価格相場は、エリアにより大きく異なります。

(1) エリア別の平均価格(中央区2,892万円、豊平区2,193万円、東区2,094万円、西区2,070万円等)

LIFULL HOME'Sによると、札幌市内のエリア別平均価格は以下の通りです。

エリア 平均価格 特徴
中央区 2,892万円 都心へのアクセス良好、商業施設充実
豊平区 2,193万円 住環境良好、教育環境も充実
東区 2,094万円 価格バランスが良い、生活利便性高い
西区 2,070万円 自然環境と利便性のバランス
北区 1,900万円前後 通勤アクセス良好、比較的リーズナブル
南区 1,700万円前後 自然環境豊か、価格が抑えられる

(2) 築年数による価格の違い

一般的に、築年数が古いほど価格は下がりますが、札幌では断熱基準の変遷により、築年数だけでは判断できません。

断熱基準の変遷

  • 1980年以前:断熱基準が緩い、暖房費が高額になりやすい
  • 1992年以降:新省エネ基準導入、断熱性能が向上
  • 2013年以降:改正省エネ基準、さらに高性能化

築年数より、どの断熱基準で建てられたかを確認することが重要です。

(3) リフォーム済み物件の価格傾向

フルリノベーション物件は、新築並みの価格(3,000万円以上)になることもあります。ただし、内装リフォーム済みでも、構造部分(耐震・断熱)は別問題である点に注意が必要です。

(4) 価格相場の確認方法(SUUMO、HOME'S、アットホーム、国土交通省の不動産取引価格情報)

価格相場を確認する際は、以下のサイトを併用することを推奨します。

エリア別の特徴と選び方(中央区・北区・東区・白石区・豊平区等)

札幌市は10区あり、それぞれ特徴が異なります。

(1) 中央区(都心へのアクセス、商業施設、教育環境)

特徴

  • 札幌駅、大通公園、すすきの等の中心部に近い
  • 商業施設、医療機関、教育施設が充実
  • 地下鉄・路面電車のアクセスが良好

価格帯:2,892万円(最も高い)

向いている人:都心へのアクセスを重視する人、利便性を最優先する人

(2) 北区・東区・白石区(価格バランス、生活利便性)

北区の特徴

  • 札幌駅へのアクセスが良好(地下鉄南北線)
  • 北海道大学があり、学生街の雰囲気
  • 価格バランスが良い(1,900万円前後)

東区の特徴

  • 地下鉄東豊線で都心へアクセス
  • スーパー、商業施設が充実
  • 価格が抑えられる(2,094万円)

白石区の特徴

  • 地下鉄東西線で都心へアクセス
  • 住宅街が多く、住環境が良好
  • 価格バランスが良い

向いている人:通勤重視、価格バランスを重視する人

(3) 豊平区・南区・西区(住環境、自然環境)

豊平区の特徴

  • 地下鉄東豊線で都心へアクセス
  • 羊ケ丘展望台、月寒公園等の自然環境
  • 教育環境が良好
  • 価格:2,193万円

南区の特徴

  • 自然環境が豊か(定山渓温泉等)
  • 価格が抑えられる(1,700万円前後)
  • 都心へのアクセスはやや不便

西区の特徴

  • 地下鉄東西線で都心へアクセス
  • 手稲山、五天山公園等の自然環境
  • 価格:2,070万円

向いている人:自然環境重視、子育て環境重視の人

(4) 厚別区・手稲区・清田区(郊外エリアの特徴)

厚別区

  • JR函館本線で都心へアクセス
  • 新札幌駅周辺が開発されており、利便性向上

手稲区

  • 手稲山、スキー場が近い
  • 自然環境豊か

清田区

  • 住宅街が多い
  • 価格が抑えられる

向いている人:郊外の静かな環境を好む人、自然環境重視の人

(5) ライフスタイル別の選び方(通勤重視、子育て重視、自然環境重視等)

優先事項 おすすめエリア
通勤アクセス 中央区、北区、東区
子育て環境 豊平区、西区
自然環境 南区、手稲区、清田区
価格重視 南区、清田区

中古戸建て購入の流れと期間(物件探しから引き渡しまで)

中古戸建て購入の流れは、以下の通りです。

(1) 物件探しと内覧(複数のポータルサイトを併用)

期間:1-3ヶ月

やること

  • 複数の不動産ポータルサイト(SUUMO、HOME'S、アットホーム等)で物件を検索
  • 気になる物件の内覧予約
  • 実際に内覧し、立地、間取り、設備等を確認

ポイント

  • 複数のポータルサイトを併用することで、見逃しを防ぐ
  • 内覧時は、断熱性能、暖房設備、耐震性能を必ず確認

(2) 購入申込と住宅ローン事前審査(契約前に実施)

期間:1-2週間

やること

  • 購入申込書を提出
  • 金融機関に住宅ローン事前審査を申し込む

ポイント

  • 住宅ローン事前審査は契約前に行うとスムーズ
  • 複数の金融機関で審査を受け、条件を比較

(3) 重要事項説明と売買契約

期間:1週間

やること

  • 宅地建物取引士による重要事項説明を受ける
  • 売買契約を締結
  • 手付金(物件価格の5-10%)を支払う

ポイント

  • 重要事項説明は法律で義務付けられている、内容を必ず確認
  • 契約後のキャンセルは手付金放棄が必要

(4) 住宅ローン本審査

期間:2-3週間

やること

  • 金融機関に住宅ローン本審査を申し込む
  • 審査結果を待つ

ポイント

  • 事前審査に通っても本審査で落ちる可能性がある
  • 審査期間中は、他の借入を増やさない

(5) 決済と引き渡し(購入から2-3ヶ月が目安)

期間:契約から1-2ヶ月後

やること

  • 住宅ローンの融資実行
  • 残代金の支払い
  • 所有権移転登記
  • 鍵の引き渡し

ポイント

  • 決済日に引っ越しできるよう、スケジュールを調整
  • 引き渡し前に、再度物件の状態を確認

ホームズによると、購入から引き渡しまで2-3ヶ月が目安です。余裕を持ったスケジュールで進めましょう。

札幌特有のチェックポイント(断熱性能・暖房設備・積雪対策)

札幌は寒冷地のため、一般的な中古戸建て購入の注意点に加えて、以下を確認する必要があります。

(1) 断熱・気密性能の確認(暖房費に大きく影響、札幌では200軒に1軒しかしっかりした工事がされていない)

あったかハウス河合建築事務所によると、札幌では断熱・気密工事がしっかりされている住宅は200軒に1軒程度と非常に少ないとされています。

確認ポイント

  • 断熱材の種類と厚さ:グラスウール、ウレタンフォーム等
  • 窓の種類:二重窓、ペアガラス、トリプルガラス等
  • 気密性能:C値(隙間相当面積)が小さいほど高性能

断熱・気密性能が低いと、暖房費が年間数十万円にもなる可能性があります。

(2) 暖房設備の種類(電気ヒーター式ボイラーは電気代が高額、2023年1月に10万円超えの事例続出)

暖房設備の種類により、ランニングコストが大きく異なります。

暖房設備の種類と特徴

種類 初期費用 ランニングコスト 特徴
灯油ボイラー 低い 中程度 最も一般的、燃料補充が必要
ガスボイラー 中程度 中程度 燃料補充不要、都市ガスエリアのみ
電気ヒーター式ボイラー 低い 非常に高い 2023年1月に10万円超えの事例続出
ヒートポンプ(エアコン) 高い 低い 省エネ性能が高い、初期費用高額

あったかハウス河合建築事務所によると、電気ヒーター式暖房ボイラーは2023年1月に暖房費だけで10万円を超えた事例が続出しています。内覧時に暖房設備の種類を必ず確認しましょう。

(3) 耐震性能の確認(内装リフォームとは別問題)

内装がきれいでも、耐震性能が新築並みとは限りません。

確認ポイント

  • 新耐震基準(1981年6月以降):旧耐震基準の物件は耐震補強が必要
  • 耐震診断の有無:診断結果を確認
  • 耐震補強の有無:補強工事の内容を確認

(4) 屋根の形状と除雪スペース

屋根の形状

  • 無落雪屋根:雪が屋根から落ちない構造、メンテナンスが必要
  • 落雪屋根:雪が自然に落ちる構造、落雪スペースが必要

除雪スペース

  • 駐車場、玄関前の除雪スペースを確認
  • 雪の処理方法(自分で除雪、業者委託等)

(5) 築年数による断熱基準の違い(1980年以前、1992年以降、2013年以降等)

前述の通り、築年数より断熱基準を確認することが重要です。1980年以前の物件は、断熱リフォームの費用(数百万円)を見込む必要があります。

まとめ:札幌で理想の中古戸建てを見つけるためのポイント

札幌市の中古戸建て市場は、1,600件以上が常時流通しており、選択肢が豊富です。エリア別の平均価格は、中央区2,892万円、豊平区2,193万円、東区2,094万円、西区2,070万円と大きく異なります。

購入の際は、複数のポータルサイトを併用し、物件探しから引き渡しまで2-3ヶ月の余裕を持ったスケジュールで進めましょう。住宅ローンの事前審査は契約前に実施することで、スムーズに進められます。

札幌特有のチェックポイントとして、断熱・気密性能と暖房設備の確認が必須です。断熱性能が低いと暖房費が年間数十万円になる可能性があり、電気ヒーター式ボイラーは電気代が高額になります。内覧時に必ず確認しましょう。

信頼できる不動産会社や建築士に相談しながら、理想の中古戸建てを見つけてください。

よくある質問

Q1札幌の中古戸建の価格相場はどれくらいですか?

A1エリアにより大きく異なりますが、中央区で平均2,892万円、豊平区2,193万円、東区2,094万円、西区2,070万円が目安です。北区は1,900万円前後、南区は1,700万円前後となっています。築年数やリフォーム状況によっても変動し、フルリノベーション物件は3,000万円以上になることもあります。価格帯は500万円から1億5,000万円まで非常に幅広いため、複数のポータルサイトや国土交通省の不動産取引価格情報で確認することを推奨します。

Q2札幌で人気のエリアはどこですか?

A2中央区が最も人気で、都心へのアクセスが良好、商業施設や教育施設が充実しています。価格は最も高い(平均2,892万円)ですが、利便性を最優先する人に向いています。通勤重視なら北区・東区が人気で、価格バランスが良く生活利便性も高いです。子育て環境重視なら豊平区・西区が人気で、住環境が良好で教育環境も充実しています。自然環境を重視するなら南区・手稲区・清田区がおすすめです。

Q3中古戸建の築年数はどれくらいまでが狙い目ですか?

A3築20年前後が価格と性能のバランスが良いとされていますが、札幌では断熱性能が重要なため、築年数より断熱基準(1992年以降の新省エネ基準、2013年以降の改正省エネ基準)を確認することが大切です。1980年以前の物件は断熱基準が緩く、暖房費が高額になりやすいため、断熱リフォーム費用(数百万円)を見込む必要があります。2024年は新築同様の物件やフルリノベーション物件も増加しており、築浅物件を狙うのも良い選択です。

Q4札幌の中古戸建で積雪対策として確認すべきことは?

A4断熱・気密性能(暖房費に直結、札幌では200軒に1軒しかしっかりした工事がされていない)、暖房設備の種類(電気ヒーター式ボイラーは2023年1月に暖房費10万円超えの事例続出、灯油・ガスボイラーやヒートポンプを推奨)、屋根の形状(無落雪屋根または落雪屋根、落雪スペースの有無)、除雪スペース(駐車場、玄関前)を必ず確認してください。内装がきれいでも耐震性能や断熱性能が新築並みとは限らないため、専門家に相談することを推奨します。

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Room Match編集部

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