信頼できる不動産店の選び方|良い店舗を見極める7つのチェックポイント

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/19

信頼できる不動産店を選ぶために|失敗しないための判断基準

不動産の売買や賃貸を検討する際、「どの不動産店を選べばいいのか分からない」「信頼できる店とそうでない店の見分け方は?」と悩む方は少なくありません。

この記事では、信頼できる不動産店の見極め方、避けるべき店舗の特徴、大手と地域密着型の違い、契約時の注意点を、不動産業界の実態を踏まえて解説します。

複数の店舗を比較し、自分で判断材料を得ることで、高額取引で失敗するリスクを大幅に減らせます。

この記事のポイント

  • 不動産店選びは高額取引の成否を分ける重要な判断|90%の人が誤って選んでいる現実
  • 宅建業免許の確認、顧客対応の誠実さ、地域精通度など7つのチェックポイントで見極める
  • おとり物件、不透明な費用、強引な営業は避けるべきサイン
  • 大手と地域密着型にはそれぞれメリット・デメリットがあり、目的に応じて使い分ける
  • 仲介手数料の上限は物件価格の3%+6万円+消費税、契約前に必ず確認

1. なぜ不動産店選びが重要なのか?失敗すると高額な損失リスク

(1) 不動産取引は人生最大の買い物|仲介業者選びが成否を分ける

不動産の購入や売却は、多くの人にとって人生で最も高額な取引です。数千万円規模の資金が動く中で、不動産店(仲介業者)の選択を誤ると、不適切な物件を紹介されたり、高額な費用を請求されたりするリスクがあります。

全国には約47,000の不動産賃貸会社が存在し(2016年時点)、大手から地域密着型まで多様な業者が混在しています。その中で、信頼できる店舗を見極めることが、取引成功の第一歩です。

(2) 90%の人が不動産店を誤って選んでいる現実

不動産業界では、「90%の人が不動産店を誤って選んでいる」という指摘があります。事前に情報を集めずに来店すると、店側に有利な物件のみを紹介される可能性が高く、結果的に不利益を被るケースが後を絶ちません。

不動産業界は信頼性の低いイメージがあり、慎重な選択が必要です。複数の店舗を比較し、自分で判断材料を得ることが、失敗を防ぐ最も確実な方法です。

(3) 不適切な物件紹介・高額費用請求のリスク

不動産店によって、仲介手数料額、付帯商品、サービス内容が大きく異なります。契約前に費用の内訳を確認しないと、想定外の高額費用を請求される可能性があります。

また、おとり物件(実際には契約できない物件を使った集客)や、契約を急かす強引な営業スタイルの店舗も存在します。事前にチェックポイントを把握し、冷静に判断することが重要です。

2. 信頼できる不動産店の7つのチェックポイント

信頼できる不動産店を見極めるには、以下の7つのポイントを確認しましょう。

(1) 宅地建物取引業免許の有無と免許番号の確認

不動産業を営むには、宅地建物取引業免許が必要です。店舗の見やすい場所に免許番号が掲示されているか確認しましょう。

項目 内容 確認方法
免許番号 国土交通大臣または都道府県知事の免許番号 店舗の掲示、公式サイト
更新回数 括弧内の数字が更新回数(例:(3)なら10年以上営業) 免許番号の括弧内数字
行政処分歴 過去の違反行為による処分 国土交通省のネガティブ情報検索システム

免許番号の括弧内の数字が大きいほど、長期間営業している店舗と判断できます。(1)は初回、(3)以上なら10年以上の営業実績があります。

(2) 顧客の要望をしっかり聞く姿勢

信頼できる不動産店は、顧客の要望をしっかりヒアリングし、条件に合った物件を提案します。初回の相談時に、以下の点を確認しましょう。

  • 予算、希望エリア、間取り、設備などの条件を丁寧に聞いてくれるか
  • 一方的に物件を押し付けず、複数の選択肢を提示してくれるか
  • 契約を急かさず、じっくり検討する時間を与えてくれるか

(3) 物件の良い点だけでなく注意点も説明する誠実さ

物件の良い点だけでなく、注意点(築年数、設備の老朽化、周辺環境の課題等)も正直に説明する不動産店は信頼できます。

誠実な店舗は、契約後のトラブルを避けるために、デメリットも含めて情報を提供します。逆に、良い点ばかり強調する店舗は要注意です。

(4) 地域の物件事情・周辺環境に精通している

地域密着型の不動産店は、物件の状態や周辺環境(交通、商業施設、学校、治安等)に詳しいことが多いです。

土地勘のない人にとって、地域の実情を知る不動産店は非常に有益です。内見時に周辺環境について質問し、詳しく回答できるか確認しましょう。

(5) 仲介手数料やサービス内容が明確

仲介手数料の上限は、物件価格の3%+6万円+消費税です。例えば3,000万円の物件なら、約105万円が上限となります。

物件価格 仲介手数料上限(税込)
1,000万円 約39.6万円
3,000万円 約105.6万円
5,000万円 約171.6万円

この上限を超える請求は違法です。また、付帯サービス(リフォーム、ローン相談、引越しサポート等)の内容と費用も契約前に確認しましょう。

(6) レインズ(不動産流通システム)への登録状況

レインズ(REINS)は、全国の不動産会社が物件情報を共有するデータベースです。媒介契約を結んだ不動産店は、専属専任媒介・専任媒介の場合、レインズへの物件登録が義務付けられています。

登録状況を確認することで、不動産店が適切に情報公開しているかを判断できます。

(7) 過去の仲介実績・顧客評価

不動産店の公式サイトやポータルサイト(SUUMO、LIFULL HOME'S等)で、過去の仲介実績や顧客評価を確認しましょう。

大手不動産会社の場合、年間の仲介件数や店舗数がランキング化されています。地域密着型の場合、地元での評判や口コミが参考になります。

3. 避けるべき不動産店のサイン|おとり物件・不透明な費用に注意

以下のようなサインがある不動産店は避けるべきです。

(1) おとり物件(実際には契約できない物件)での集客

おとり物件とは、実際には契約できない物件を広告に掲載し、顧客を集客する手法です。これは違法行為であり、宅地建物取引業法で禁止されています。

おとり物件の見分け方:

  • 相場より著しく安い物件
  • 長期間掲載されている物件
  • 問い合わせ時に「既に成約済み」と言われる場合

このような物件を見つけたら、その不動産店は避けるべきです。

(2) 情報なしで来店した客を「カモ」と見なす店

事前に情報を集めずに来店すると、「カモ」と見なされ、店側に有利な物件のみを紹介される可能性があります。

複数の不動産店を比較し、事前に希望条件や予算を整理してから来店することで、このリスクを回避できます。

(3) 仲介手数料や付帯費用の説明が不透明

仲介手数料や付帯費用の内訳を明確に説明しない不動産店は要注意です。契約前に、費用の総額と内訳を書面で確認しましょう。

曖昧な説明のまま契約を進める店舗は、後で想定外の費用を請求される可能性があります。

(4) 契約を急かす・強引な営業スタイル

「今日中に決めないと他の人に取られる」といった契約を急かす営業スタイルの店舗は避けるべきです。

不動産取引は高額であり、慎重な検討が必要です。じっくり考える時間を与えてくれる店舗を選びましょう。

4. 大手不動産店vs地域密着型|それぞれのメリット・デメリットを比較

不動産店は、大きく「大手不動産店(多店舗展開型)」と「地域密着型」の2つに分類されます。それぞれのメリット・デメリットを理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。

(1) 大手不動産店のメリット|豊富な物件情報、ブランド力、全国ネットワーク

大手不動産店は、全国展開する店舗網と豊富な物件情報が強みです。

メリット:

  • 全国ネットワークで広域エリアの物件検索が可能
  • ブランド力があり、一定の信頼感
  • 賃貸仲介、リフォーム・リノベーション、ローン相談、引越しサポート、保険など多様なサービス
  • 仲介実績が多く、実績ランキングで比較しやすい

(2) 大手不動産店のデメリット|担当者の転勤が多い、地域特性に疎い場合も

一方で、大手不動産店には以下のようなデメリットもあります。

デメリット:

  • 担当者の転勤が多く、長期的な関係を築きにくい
  • 地域特性や周辺環境に疎い担当者もいる
  • マニュアル対応で、柔軟な対応が難しい場合も

(3) 地域密着型のメリット|地域の物件事情・周辺環境に精通、きめ細かい対応

地域密着型の不動産店は、特定地域に特化し、物件の状態や周辺環境に詳しいことが強みです。

メリット:

  • 地域の物件事情・周辺環境(交通、商業施設、学校、治安等)に精通
  • きめ細かい対応、柔軟な交渉が可能
  • 地元の評判や信頼関係が重要視されるため、誠実な対応が期待できる

(4) 地域密着型のデメリット|物件情報が限定的、広域エリアには弱い

地域密着型のデメリットは以下の通りです。

デメリット:

  • 物件情報が限定的で、広域エリアの検索には不向き
  • 大手に比べて店舗数が少なく、アクセスしにくい場合も
  • サービス内容が店舗によってばらつきがある

選び方の目安:

  • 広域エリアで物件を探すなら大手
  • 特定地域で地域事情に詳しい店を求めるなら地域密着型
  • 両方を併用するのも有効

5. 不動産店との契約時の注意点|仲介手数料・媒介契約の確認事項

不動産店と契約する際は、以下の点を必ず確認しましょう。

(1) 仲介手数料の上限|物件価格の3%+6万円+消費税

仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で以下のように定められています。

物件価格 仲介手数料上限(税込)
200万円以下 物件価格の5.5%
200万円超〜400万円以下 物件価格の4.4%+2.2万円
400万円超 物件価格の3.3%+6.6万円

この上限を超える請求は違法です。契約前に書面で確認しましょう。

(2) 媒介契約の種類|専属専任・専任・一般の違いと選び方

媒介契約には3種類あります。

契約種類 特徴 メリット デメリット
専属専任媒介 1社のみに依頼、自己発見取引も不可 積極的な販売活動が期待できる 他社との比較ができない
専任媒介 1社のみに依頼、自己発見取引は可 レインズ登録義務あり 他社との比較ができない
一般媒介 複数社に依頼可能 複数社で競争、比較しやすい 販売活動が消極的になる場合も

複数社に依頼して比較したい場合は一般媒介、1社に集中して積極的に動いてもらいたい場合は専任媒介を選びます。

(3) 付帯サービスの内容と費用|リフォーム、ローン相談、引越しサポート等

不動産店によっては、以下のような付帯サービスを提供しています。

  • リフォーム・リノベーション
  • ローン相談
  • 引越しサポート
  • 火災保険・地震保険の紹介

これらのサービスは便利ですが、費用が別途かかる場合があります。契約前に内容と費用を確認しましょう。

(4) 契約書の重要事項説明|宅建士の立ち会いが必須

不動産取引では、契約前に宅地建物取引士(宅建士)による重要事項説明が法律で義務付けられています。

重要事項説明では、以下の内容が説明されます。

  • 物件の詳細(面積、築年数、設備等)
  • 契約条件(契約期間、解除条件等)
  • 費用の内訳(仲介手数料、諸費用等)
  • 法律上の制限(建築基準法、都市計画法等)

不明点があれば、その場で質問し、納得してから契約しましょう。

6. まとめ|信頼できる不動産店を選ぶための次のステップ

不動産店選びは、高額取引の成否を分ける重要な判断です。宅建業免許の確認、顧客対応の誠実さ、地域精通度など7つのチェックポイントで見極め、おとり物件や不透明な費用を避けることで、失敗のリスクを大幅に減らせます。

大手と地域密着型にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、目的に応じて使い分けるか、両方を併用することも有効です。

複数の不動産店を比較し、仲介手数料や媒介契約の内容を確認してから契約を結びましょう。信頼できる不動産店を選ぶことで、安心して不動産取引を進められます。

よくある質問

Q1不動産店の仲介手数料はどれくらい?

A1物件価格の3%+6万円+消費税が上限です。例えば3,000万円の物件なら約105万円が上限となります。この上限を超える請求は宅地建物取引業法違反です。契約前に書面で費用の内訳を確認し、想定外の高額請求を避けましょう。

Q2大手と地域密着型、どちらを選ぶべき?

A2広域エリアで物件を探すなら大手、特定地域で地域事情に詳しい店を求めるなら地域密着型が適しています。大手は豊富な物件情報と全国ネットワークが強み、地域密着型は周辺環境への精通ときめ細かい対応が特徴です。両方を併用するのも有効な選択肢です。

Q3宅建業免許番号の見方は?

A3免許番号の括弧内の数字が更新回数を示します。(1)は初回、(3)以上なら10年以上の営業実績がある店舗と判断できます。国土交通省のネガティブ情報検索システムで行政処分歴も確認できるため、契約前に必ずチェックしましょう。

Q4担当者の変更は可能?

A4可能です。担当者との相性が悪い場合や対応に不満がある場合は、店長や別の担当者への変更を依頼できます。不動産取引は高額であり、信頼できる担当者と進めることが重要です。遠慮せずに変更を申し出ましょう。

Q5おとり物件の見分け方は?

A5相場より著しく安い物件、長期間掲載されている物件、問い合わせ時に「既に成約済み」と言われる場合はおとり物件の可能性が高いです。おとり物件は宅地建物取引業法で禁止されている違法行為です。このような物件を見つけたら、その不動産店は避けるべきです。

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Room Match編集部

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