不動産の看板とは:役割と重要性
不動産を売却・賃貸する際、「看板を出すべきか?」「どんな効果があるのか?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産看板の種類、広告効果、設置時の法規制、注意点を、国土交通省の公式情報や業界データを元に解説します。
不動産売却・賃貸時の看板活用を検討する際の判断材料として、実践的な情報を整理しました。
この記事のポイント
- 不動産看板は9種類あり、用途に応じて選ぶ必要がある(分譲、募集、誘導、スタンド等。捨て看板は違法)
- 土地購入者の70-80%は半径1.5-2km以内の住民であり、現地看板は地域住民への効果的な広告手段
- 看板設置には建築基準法、道路法、屋外広告物法、不動産広告規制の4つの主要規制がある
- 設置前に必ず各地方自治体に確認が必要(電柱無許可取付け、歩道はみ出しは違反リスク)
- 違反時は警告・罰金(500万円以下)・即時撤去の可能性があり、転倒・落下時は民法上の責任を問われる
(1) 看板の2つの目的(物件売却告知・不動産会社宣伝)
不動産の看板には、2つの主要な目的があります。
不動産情報サイトによると、看板には「物件売却の告知」と「不動産会社の宣伝」の2つの目的があります。
看板の2つの目的:
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 物件売却の告知 | 「この土地が売りに出ている」ことを地域住民に知らせる |
| 不動産会社の宣伝 | 看板を設置することで、不動産会社の存在感を地域に示す |
看板を「読み物」として充実させることで、興味のなかった人も「資料をもらおう」と思わせる効果があります。
(2) 地域住民への効果的な広告手段
不動産ポータルサイトによると、土地購入希望者の70-80%は半径1.5-2km以内の住民です。
このため、現地看板は地域住民への効果的な広告手段として活用されています。インターネット広告では届かない、地元密着の層にリーチできる点が大きな強みです。
不動産看板の種類(分譲・募集・誘導・スタンド等)
(1) 分譲看板:分譲地・分譲マンションの案内
分譲看板は、分譲地や分譲マンションの案内用看板です。
分譲看板の特徴:
- 野立て看板が多い
- 屋外広告物に該当し、設置できる地域に制限がある
- 自治体の条例で禁止区域・許可区域が定められている
分譲看板とは、分譲地や分譲マンションの案内用看板です。野立て看板が多く、屋外広告物に該当し、設置できる地域に制限があります。
(2) 募集看板:入居者・駐車場利用者募集
募集看板は、入居者募集や駐車場利用者募集用の看板です。
募集看板の特徴:
- 一定基準以内なら許可不要の場合もある
- 物件の壁面や敷地内に設置することが多い
- 公正競争規約(表示規約)の対象
不動産広告Q&Aによると、現地看板も公正競争規約の対象であり、表示規約の遵守が必要です。
(3) 誘導看板:物件までの案内
誘導看板は、物件まで顧客を誘導する目的の看板です。
誘導看板の注意点:
- 電柱取付けには無許可設置の事例が多く、違反リスクがある
- 道路沿いに設置する場合は道路占用許可が必要
- 捨て看板(無許可設置)は条例違反で使用厳禁
(4) スタンド看板:オープンハウス入口
スタンド看板は、オープンハウス入口に設置する看板です。
スタンド看板の注意点:
- 歩道上設置時は許可が必要
- 転倒による事故リスクに注意が必要
- 民法上の責任を問われる可能性がある
(5) その他(案内看板・店頭看板・管理看板・プラカード・号地看板)
その他にも、以下の看板があります。
その他の看板:
| 種類 | 用途 |
|---|---|
| 案内看板 | 物件案内・地図表示 |
| 店頭看板 | 不動産会社の店舗外観 |
| 管理看板 | 管理物件の表示 |
| プラカード | 手持ち型の案内板 |
| 号地看板 | 分譲地の区画番号表示 |
(6) 捨て看板は違法(使用厳禁)
捨て看板とは、無許可で道路脇に設置する看板です。
捨て看板のリスク:
- 条例違反であり、使用厳禁
- 違反時は500万円以下の罰金の可能性
- 即時撤去の対象(簡易除却制度)
国土交通省の屋外広告物法により、立看板・のぼりは簡易除却制度の対象となっており、事前通告なく即時撤去が可能です。
不動産看板の広告効果
(1) 現地看板の広告効果(土地購入者の70-80%が半径1.5-2km以内の住民)
不動産ポータルサイトによると、土地購入希望者の70-80%は半径1.5-2km以内の住民です。
現地看板の広告効果:
- 地域住民への効果的な認知手段
- 看板からの問い合わせは珍しくない
- インターネット広告では届かない層にリーチ
現地看板は、地域住民への効果的な広告手段として活用されています。
(2) 看板を充実させることで問い合わせを増やす効果
不動産情報サイトによると、看板を「読み物」として充実させることで、興味のなかった人も「資料をもらおう」と思わせる効果があります。
看板充実化のポイント:
- 物件の詳細情報を記載(価格、面積、用途地域等)
- 写真やイラストを活用
- 問い合わせ先を明記(電話番号、QRコード等)
(3) 地域認知度の向上
募集・管理看板を増やすことで、地域認知度が上がり、サイト問い合わせも増加します。
看板は単なる物件の広告だけでなく、不動産会社のブランド認知を高める効果もあります。
不動産看板設置時の法規制
(1) 建築基準法(高さ4m超は工作物確認申請必要)
建築基準法により、高さ4m超の看板は工作物確認申請が必要です。
建築基準法の規制:
- 高さ4m超の看板:工作物確認申請が必要
- 転倒・落下時:民法上の責任を問われる
- 安全基準の遵守が必須
(2) 道路法・道路交通法(道路占用許可必須)
看板の道路はみ出し設置には、道路占用許可が必要です。
道路法・道路交通法の規制:
- 敷地内設置が原則
- 道路はみ出し設置:道路占用許可が必須
- 無許可設置:行政指導・罰則の対象
(3) 屋外広告物法(禁止区域・許可区域の規制)
国土交通省の屋外広告物法は、1949年制定、2004年に景観法と併せて大幅改正されました。
屋外広告物法の規制:
- 都道府県・市区町村が条例で禁止区域・許可区域を定める
- 第一種・第二種低層住居専用地域等では看板設置を禁止できる
- 立看板・のぼりは簡易除却制度の対象(即時撤去可能)
屋外広告物法とは、屋外広告物の設置・管理を規制する法律です。1949年制定、2004年大幅改正され、都道府県・市区町村が条例で禁止区域・許可区域を定めます。
(4) 不動産広告の規制(宅建業法・景品表示法・公正競争規約)
全日本不動産協会によると、不動産広告は宅建業法、景品表示法、公正競争規約の3つの枠組みで規制されています。
不動産広告規制の枠組み:
| 法律・規約 | 規制内容 |
|---|---|
| 宅建業法 | 誇大広告の禁止、重要事項の明示 |
| 景品表示法 | 優良誤認表示・有利誤認表示の禁止 |
| 公正競争規約 | 表示内容の詳細規定(業界自主規範) |
看板(デジタルサイネージ、立て看板、建物・電車・自動車への掲出含む)も規制対象です。
不動産看板設置時の注意点とリスク
(1) 設置前に各地方自治体に確認する
看板設置前には、必ず各地方自治体に確認する必要があります。
確認すべき事項:
- 建築基準法の規制(高さ制限等)
- 道路法の規制(道路占用許可の要否)
- 屋外広告物法の規制(禁止区域・許可区域)
- 不動産広告規制(表示内容の適法性)
(2) 電柱への無許可取付けは違反リスク
電柱への無許可取付けは、違反リスクが高く、行政指導や罰則の対象となる可能性があります。
電柱取付けのリスク:
- 道路占用許可が必要
- 無許可設置は違法
- 即時撤去の対象
(3) 歩道はみ出し設置は許可必須、転倒・落下リスク管理
歩道上へのはみ出し設置は、道路占用許可が必要です。
転倒・落下リスクの管理:
- スタンド看板は転倒リスクがある
- 事故時は民法上の責任を問われる
- 定期的な点検・メンテナンスが重要
(4) 違反時のペナルティ(警告・罰金・即時撤去)
全日本不動産協会によると、違反時は以下のペナルティがあります。
違反時のペナルティ:
| 違反内容 | ペナルティ |
|---|---|
| 不動産広告規制違反(初回) | 警告・罰金50万円以下 |
| 不動産広告規制違反(再犯) | 罰金500万円以下 |
| 捨て看板設置 | 罰金500万円以下 |
| 簡易除却対象 | 事前通告なく即時撤去 |
(5) 2024年の材料費高騰と製品廃盤
2024年は、材料費高騰により、複数の看板製作会社が価格改定を実施しています。
また、2024年11月、一部製作会社が資材調達困難により一部製品(A型看板、アルミ枠物件案内板等)を廃盤にしました。
看板の製作・購入を検討する際は、代替品の確認が必要です。
まとめ:効果的な看板活用のポイント
不動産看板は、分譲、募集、誘導、スタンド等9種類があり、用途に応じて選ぶ必要があります。捨て看板(無許可設置)は条例違反で使用厳禁です。
土地購入者の70-80%は半径1.5-2km以内の住民であり、現地看板は地域住民への効果的な広告手段です。看板を充実させることで、問い合わせを増やす効果も期待できます。
一方で、看板設置には建築基準法、道路法、屋外広告物法、不動産広告規制の4つの主要規制があります。設置前に必ず各地方自治体に確認が必要です。電柱への無許可取付け、歩道はみ出しは違反リスクがあり、違反時は警告・罰金(500万円以下)・即時撤去の可能性があります。
効果的な看板活用のためには、法規制を遵守しつつ、地域住民に届く情報を提供することが重要です。詳細は宅地建物取引士や各地方自治体への相談をおすすめします。
