不動産証券化マスター試験の概要と取得メリット

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/25

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不動産証券化マスターが注目される理由

不動産金融や証券化分野でキャリアアップを目指す際、「不動産証券化マスターはどんな資格か」「取得する価値はあるのか」と考える方は少なくありません。

この記事では、不動産証券化協会が認定する不動産証券化マスター資格の概要、試験内容、合格率、勉強方法、取得メリットまで、公式情報を元に解説します。

初めて資格取得を検討する方でも、自分のキャリア目標との適合性を判断できるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産証券化マスターは不動産証券化分野の唯一の専門資格で、国土交通大臣登録証明事業に指定されている
  • 資格取得にはコース1(知識編)とコース2(実務編)の2段階の養成講座が必要で、各修了試験に合格する必要がある
  • 合格率は28~35%、合格基準は70点/100点、勉強時間の目安は100~200時間
  • 2024年度から実務経験2年以上の要件が撤廃され、実務経験がなくても養成講座を受講可能になった
  • 不動産AM・不動産ファンド・金融機関・法律事務所・監査法人など幅広い分野で評価され、キャリアの幅が広がる

(1) 不動産証券化分野の唯一の専門資格

不動産証券化協会によると、不動産証券化協会認定マスターは、不動産証券化分野における唯一の専門資格です。

資格の特徴:

  • 不動産証券化分野の専門知識と職業倫理を証明
  • 不動産特定共同事業法の業務管理者要件を満たす
  • 2024年4月時点で約11,500人が認定資格を保有

不動産証券化分野は、REITや不動産ファンド等の専門性が高い分野であり、この資格は業界での専門性を示す重要な証明となります。

(2) 国土交通大臣登録証明事業への指定

不動産証券化マスターは、国土交通大臣登録証明事業に指定されています。

指定の意義:

  • 国が認める公的な資格制度
  • 不動産特定共同事業の業務管理者として認められる
  • 不動産金融分野での専門性が公的に証明される

このため、単なる民間資格ではなく、公的な裏付けのある専門資格として評価されます。

不動産証券化マスターの基礎知識

不動産証券化マスターの基本的な概要について解説します。

(1) 資格の概要と目的

不動産証券化マスターは、不動産証券化に関する専門知識と職業倫理を有することを証明する資格です。

資格の目的:

  • 不動産証券化分野の専門人材の育成
  • 不動産証券化市場の健全な発展への貢献
  • 業界全体の専門性と信頼性の向上

不動産会社・金融機関・法律事務所・監査法人など、幅広い分野で活躍する専門家が取得しています。

(2) 不動産特定共同事業法の業務管理者要件

不動産証券化マスターは、不動産特定共同事業法の業務管理者要件を満たす資格の一つです。

業務管理者要件:

  • 不動産特定共同事業を営む事業者は、業務管理者を配置する必要がある
  • 不動産証券化マスターは業務管理者の要件を満たす資格として認められている
  • これにより、不動産証券化ビジネスの実務で直接活用できる

このため、不動産証券化ビジネスに携わる企業では、この資格保有者が重宝されます。

(3) 資格保有者数と活躍分野(約11,500人)

ストイックマンの調査によると、2024年4月時点で約11,500人が不動産証券化マスターの認定資格を保有しています。

主な活躍分野:

  • 不動産会社(不動産AM、不動産ファンド)
  • 金融機関(銀行、証券会社、保険会社)
  • 法律事務所(不動産金融専門弁護士)
  • 監査法人・コンサルティング会社

幅広い分野で専門家として活躍しており、不動産証券化分野のスタンダードな資格として認知されています。

(4) 資格更新制度(5年ごと)

不動産証券化マスターは、5年ごとに資格更新が必要です。

更新要件:

  • 継続的な学習が求められる
  • 更新時には所定の研修受講や実務経験の報告が必要
  • 資格の専門性と信頼性を維持するための制度

資格取得後も継続的に学習する必要があるため、常に最新の知識を保つことができます。

資格取得の流れと試験内容(2024-2025年版)

不動産証券化マスターの資格取得には、2段階の養成講座が必要です。

(1) コース1(知識編)の科目構成と修了試験

不動産証券化協会認定マスター取得ガイドによると、コース1は知識編として、101~107の7科目を学習します。

科目構成:

  • 科目101: 不動産証券化の基礎
  • 科目102: 不動産証券化の法制度
  • 科目103: 不動産証券化の実務
  • 科目104: 不動産証券化の法務と会計・税務
  • 科目105: 不動産投資と資産評価
  • 科目106: 不動産証券化商品の企画・運営
  • 科目107: 不動産証券化の実例研究

修了試験:

  • 形式: 4択形式100問
  • 合格基準: 70点(70%)
  • 試験時間: 2時間
  • 実施時期: 2025年度は11月15日を予定

コース1の修了試験に合格すると、コース2への受講資格が得られます。

(2) コース2(実務編)のレポート・確認テスト

コース2は実務編として、実務的な内容を学習します。

評価方法:

  • レポート提出: 実務的な課題に対するレポート作成
  • 確認テスト: 理解度を確認するテスト
  • 2024年からは従来より厳格な審査基準

注意点:

  • コース1修了後2年以内にコース2を修了する必要がある
  • レポート・テスト結果の評価基準が2024年から引き上げられた

コース2の最終試験は2026年3月末を予定しています。

(3) 2024年度からの変更点(実務経験要件の撤廃)

KOTORA JOURNALによると、2024年度から重要な変更がありました。

主な変更点:

  • 実務経験2年以上の要件が撤廃
  • 実務経験がなくても養成講座を受講可能に
  • コース2の審査が厳格化(レポート・テスト結果の評価基準引き上げ)

これにより、若手や他業種からの転職組でも、実務経験なしで資格取得にチャレンジできるようになりました。

(4) 2025年度のスケジュール

2025年度の不動産証券化マスター養成講座のスケジュールは以下の通りです。

項目 時期
コース1申込受付 2025年4月~5月
コース1講義開始 2025年6月
コース1修了試験 2025年11月15日(予定)
コース2講義開始 2026年1月
コース2最終試験 2026年3月末(予定)

詳細は不動産証券化協会公式サイトで確認してください。

合格率・難易度と効果的な勉強方法

不動産証券化マスターの合格率と効果的な勉強方法について解説します。

(1) 合格率の推移(28~35%、2024年予測22.6%)

資格の難易度によると、不動産証券化マスターの合格率は以下の通りです。

年度 合格率
令和2年度 35.9%
2023年 28.3%
2024年(予測) 22.6%

合格率は28~35%程度で推移しており、2024年はさらに低下する予測です。これは相応の学習努力が必要であることを示しています。

(2) 合格基準(70点/100点)と勉強時間(100~200時間)

KOTORA JOURNALによると、合格基準と勉強時間の目安は以下の通りです。

合格基準:

  • 100点満点中70点(70%)
  • 過去の合格ラインは69点前後
  • 科目104で60~70%の正答率確保が推奨

勉強時間の目安:

  • 実務経験あり: 100~150時間
  • 実務経験なし: 150~200時間

1日2時間勉強する場合、2~3ヶ月程度の学習期間が必要です。

(3) 科目別の難易度(科目104が最難関)

KOTORA JOURNALによると、科目104(不動産証券化の法務と会計・税務)が最難関です。

科目104の難易度:

  • 法務・会計・税務の3分野を網羅
  • 他科目で80%取得しても、科目104で60~70%を確保しないと不合格リスク
  • 早めに対策を始めることが推奨される

その他の科目:

  • 科目101~103: 基礎的な内容で比較的取り組みやすい
  • 科目105~107: 実務的な内容で、実務経験があると理解しやすい

科目104を重点的に対策することが合格のカギとなります。

(4) 効果的な勉強方法(過去問演習+講義資料の繰り返し)

不動産証券化マスター試験研究会によると、効果的な勉強方法は以下の通りです。

基本的な学習サイクル:

  1. 過去問を解く(まず実際に解いてみる)
  2. 講義資料で理解を深める(解説を読んで理解)
  3. 再度過去問を解く(定着度を確認)
  4. このサイクルを最低3回繰り返す

科目104対策:

  • 法務・会計・税務の基礎知識を別途学習
  • 他科目より早めに対策を始める
  • 60~70%の正答率を目標にする

学習計画:

  • 6月~8月: 基礎学習(科目101~103中心)
  • 9月~10月: 科目104重点対策
  • 10月~11月: 過去問演習と総仕上げ

この学習方法を実践することで、効率的に合格を目指すことができます。

取得メリットとキャリア展望

不動産証券化マスター取得後のメリットとキャリア展望について解説します。

(1) 不動産AM・不動産ファンドでの評価

不動産証券化マスターは、不動産AM(アセットマネジメント)・不動産ファンドで高く評価されます。

評価される理由:

  • 不動産証券化分野の専門知識を証明
  • 業務管理者要件を満たすため、実務で直接活用できる
  • REIT・不動産ファンドの運用実務に必要な知識を網羅

不動産AMや不動産ファンドへの転職を目指す場合、この資格保有は大きなアドバンテージとなります。

(2) 金融機関・法律事務所・監査法人での活躍

不動産証券化マスターは、金融機関・法律事務所・監査法人でも評価されます。

活躍の場:

  • 金融機関: 不動産ファイナンス部門、不動産投資部門
  • 法律事務所: 不動産金融専門弁護士、不動産証券化案件の法務アドバイザー
  • 監査法人: 不動産ファンドの監査、不動産証券化案件のコンサルティング

不動産証券化分野は専門性が高いため、この資格保有者は各分野で重宝されます。

(3) 宅建など他資格との比較

KOTORA JOURNALによると、不動産証券化マスターは宅建など他資格と比較して、以下の特徴があります。

資格 難易度 専門性 活躍分野
不動産証券化マスター 合格率28~35% 不動産証券化分野に特化 不動産AM、金融機関
宅地建物取引士(宅建) 合格率15~17% 不動産取引全般 不動産会社全般
不動産鑑定士 合格率5%程度 不動産評価に特化 不動産鑑定事務所

不動産証券化マスターは、不動産証券化分野に特化した専門性の高い資格として位置づけられます。

(4) 実務経験なしでの取得可能性(2024年~)

2024年度から実務経験2年以上の要件が撤廃されたため、実務経験がなくても資格取得にチャレンジできるようになりました。

実務経験なしでの取得:

  • 若手でもキャリア早期に資格取得可能
  • 他業種からの転職組でも資格取得後に不動産証券化分野への転職が可能
  • 勉強時間は150~200時間が目安(実務経験ありより50時間程度長い)

これにより、キャリアチェンジを目指す方にとっても、取得しやすい資格となりました。

まとめ:資格取得の判断ポイント

不動産証券化マスターは、不動産証券化分野の唯一の専門資格で、国土交通大臣登録証明事業に指定されています。合格率は28~35%、勉強時間の目安は100~200時間で、相応の学習努力が必要です。

2024年度から実務経験要件が撤廃され、実務経験がなくても養成講座を受講可能になりました。不動産AM・不動産ファンド・金融機関・法律事務所・監査法人など幅広い分野で評価され、キャリアの幅が広がります。

(1) 自分のキャリア目標との適合性

資格取得を検討する際は、自分のキャリア目標との適合性を確認することが重要です。

取得を推奨するケース:

  • 不動産AM・不動産ファンドへの転職を目指す
  • 金融機関の不動産ファイナンス部門でキャリアアップしたい
  • 不動産証券化分野の専門家として独立を目指す
  • 不動産特定共同事業の業務管理者として活躍したい

取得の優先度が低いケース:

  • 一般的な不動産売買仲介がメイン業務
  • 不動産管理業務に特化したキャリアを目指す
  • 不動産証券化分野への関心が薄い

自分のキャリア目標に合致する場合、資格取得の価値は高いと言えます。

(2) 学習時間の確保と計画

資格取得には100~200時間の学習時間が必要です。

学習計画の例:

  • 1日2時間勉強する場合: 2~3ヶ月程度
  • 1日1時間勉強する場合: 4~6ヶ月程度
  • 週末中心に勉強する場合: 6~8ヶ月程度

推奨学習期間:

  • 6月~11月の6ヶ月間でじっくり学習
  • 特に科目104は早めに対策を始める
  • 過去問演習を最低3回繰り返す

仕事や家庭との両立を考慮した上で、現実的な学習計画を立てることが重要です。

(3) 資格更新制度の理解

不動産証券化マスターは5年ごとに資格更新が必要です。

更新時の要件:

  • 継続的な学習が求められる
  • 所定の研修受講や実務経験の報告が必要
  • 更新手続きを怠ると資格失効

更新のメリット:

  • 常に最新の知識を保つことができる
  • 資格の専門性と信頼性が維持される
  • 業界の変化に対応できる

資格取得後も継続的に学習する意欲があるか、自分自身に問いかけることが重要です。

信頼できる専門家や資格保有者に相談しながら、自分のキャリア目標に合った判断を行いましょう。

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よくある質問

Q1不動産証券化マスターとはどんな資格?

A1不動産証券化協会が認定する不動産証券化分野の唯一の専門資格です。国土交通大臣登録証明事業に指定され、不動産特定共同事業法の業務管理者要件を満たします。2024年4月時点で約11,500人が認定資格を保有しており、不動産会社・金融機関・法律事務所・監査法人など幅広い分野で活躍しています。不動産証券化分野の専門知識と職業倫理を証明する資格として、業界で高く評価されています。

Q2試験の内容と受験資格は?

A2資格取得にはコース1(知識編)とコース2(実務編)の2段階の養成講座が必要です。コース1は101~107の7科目を学習し、修了試験(4択形式100問、合格基準70点)に合格する必要があります。コース2はレポート提出+確認テストで評価されます。2024年度から実務経験2年以上の要件が撤廃され、実務経験がなくても養成講座を受講可能になりました。ただし、コース1修了後2年以内にコース2を修了する必要があります。

Q3合格率や難易度はどれくらい?

A3合格率は28~35%程度で推移しており、2023年は28.3%、2024年予測は22.6%です。合格基準は100点満点中70点(70%)で、過去の合格ラインは69点前後です。勉強時間の目安は実務経験ありで100~150時間、実務経験なしで150~200時間です。科目104(不動産証券化の法務と会計・税務)が最難関で、他科目で80%取得しても科目104で60~70%を確保しないと不合格リスクがあります。相応の学習努力が必要な資格です。

Q4効果的な勉強方法は?

A4効果的な勉強方法は、過去問演習→講義資料で理解を深める、のサイクルを最低3回繰り返すことです。具体的には、①過去問を解く、②講義資料で解説を読んで理解、③再度過去問を解いて定着度を確認、というサイクルです。科目104(法務・会計・税務)は最難関のため、他科目より早めに対策を始め、60~70%の正答率を目標にすることが推奨されます。学習期間は6月~11月の6ヶ月間でじっくり取り組むのが理想的です。

Q5資格取得のメリットは?

A5不動産AM・不動産ファンド・金融機関・法律事務所・監査法人など幅広い分野で評価されます。不動産特定共同事業の業務管理者要件を満たすため、実務で直接活用でき、キャリアの幅が広がります。2024年度から実務経験要件が撤廃されたため、若手や他業種からの転職組でも資格取得後に不動産証券化分野への転職が可能になりました。ただし、資格更新は5年ごとに必要で、継続的な学習が求められます。

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Room Match編集部

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