マンション管理士と管理業務主任者の違い|資格の難易度と活用方法

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/25

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マンション管理士・管理業務主任者とは|国家資格の概要

マンション管理に関する資格を検討する際、「マンション管理士」と「管理業務主任者」のどちらを目指すべきか迷う方は少なくありません。

この記事では、両資格の違い、試験の難易度、活用方法を、公式機関の情報を元に解説します。ダブル受験の効率的な学習法やキャリアパスも紹介しますので、自分に合った資格選択ができるようになります。

この記事のポイント

  • マンション管理士は住民側のコンサルタント(名称独占資格)、管理業務主任者は管理会社側のエキスパート(独占業務あり)
  • 試験の合格率はマンション管理士7-13%、管理業務主任者20-25%と難易度に差がある
  • 試験日が1週間違いで試験範囲も重複するため、ダブル受験が効率的
  • 片方の資格保有者はもう一方の試験で5問免除される制度がある
  • 管理業務主任者は管理会社への就職に有利、マンション管理士は独立・コンサルタント業務に活用できる

(1) マンション管理士|住民側のコンサルタント

マンション管理士は、マンション管理組合の運営や建物の保全に関する専門家として、住民側の立場でコンサルティングを行う国家資格です。

公益財団法人マンション管理センターが試験を実施しており、マンション管理適正化法に基づいて設けられています。

マンション管理士の主な業務は以下の通りです。

  • 管理組合の運営に関する助言・指導
  • 管理規約の改正・見直しのサポート
  • 大規模修繕の計画策定支援
  • 管理委託契約の適正化に関する助言
  • 管理組合と管理会社間のトラブル解決支援

マンション管理士は「名称独占資格」であり、独占業務は設定されていません。そのため、資格取得だけでは直接の仕事につながりにくい面があります。実務経験やマンション管理会社との連携、独立開業など、活用方法を工夫することが重要です。

(2) 管理業務主任者|管理会社側のエキスパート

管理業務主任者は、マンション管理会社に所属し、管理委託契約の重要事項説明などを行う国家資格です。

一般社団法人マンション管理業協会によると、管理業務主任者には以下の4つの独占業務があります。

独占業務 内容
重要事項説明 管理委託契約の締結前に、管理組合に対して契約内容を説明
重要事項説明書への記名 重要事項説明書に記名・押印
管理事務報告 管理組合に対して定期的に管理事務の実施状況を報告
管理事務報告書への記名 管理事務報告書に記名・押印

(出典: マンション管理業協会

さらに、マンション管理会社は30管理組合につき1人以上の管理業務主任者を設置する義務があるため、管理会社への就職・転職に直結しやすい資格です。

両資格の違い|業務内容・独占業務・設置義務を比較

(1) 業務内容の違い|立場と役割の違い

マンション管理士と管理業務主任者の最も大きな違いは、「どちら側の立場で仕事をするか」です。

資格 立場 主な業務
マンション管理士 住民側(管理組合) 組合運営の助言、規約見直し、大規模修繕計画支援
管理業務主任者 管理会社側 重要事項説明、管理事務報告、管理委託契約の適正化

(出典: スタディング

マンション管理士は管理組合(住民)の利益を最優先に考えるコンサルタント、管理業務主任者は管理会社の一員として管理組合との契約業務を担当します。

(2) 独占業務の有無|主任者には4つの独占業務

管理業務主任者には4つの独占業務があるため、資格取得が管理会社への就職・転職に直結します。一方、マンション管理士は名称独占資格であり、独占業務は設定されていません。

このため、マンション管理士は資格取得後に実務経験を積み、コンサルタントとして信頼を獲得することが重要です。マンション管理士単独での独立開業は難易度が高く、管理業務主任者とのダブルライセンスで活動する人も多くいます。

(3) 名称独占資格と設置義務|法的な位置づけ

マンション管理会社は30管理組合につき1人以上の管理業務主任者を設置する義務があるため、資格保有者は常に一定の需要があります。

一方、マンション管理士には設置義務がなく、管理組合が任意で依頼する形になります。そのため、資格を活かすためには営業力やマーケティングも必要になる場合があります。

試験の難易度と合格率|出題範囲と合格ラインの違い

(1) 合格率の推移|マンション管理士7-13%、主任者20-25%

マンション管理士試験の合格率は7-13%、管理業務主任者試験の合格率は20-25%と、マンション管理士の方が難易度が高くなっています。

TACによると、令和6年度(2024年)のマンション管理士試験の合格率は12.7%で、令和4年以降は10%を上回る傾向にあります。

年度 マンション管理士合格率 管理業務主任者合格率
令和6年(2024年) 12.7% 約21%
令和5年(2023年) 11.5% 約22%
令和4年(2022年) 11.5% 約19%

(出典: TAC、各年度試験結果より)

マンション管理士は受験者の平均年齢が48.8歳で、40-50代の受験者が約5割を占めます。実務経験を積んだ社会人がキャリアアップのために受験するケースが多いです。

(2) 出題範囲の比較|区分所有法・標準管理規約が重点

両資格の試験範囲は以下のように重複しています。

科目 マンション管理士 管理業務主任者
区分所有法・民法等 最重要(配点高) 最重要(配点高)
マンション管理適正化法 重要 重要
標準管理規約・会計 重要 重要
建築・設備 出題あり 出題あり

マンション管理士試験の方が法律の理解を問う応用問題が多く、管理業務主任者試験は基礎的な知識を問う問題が中心です。

アガルートによると、「配点の高い区分所有法・標準管理規約を重点的に学習することが合格への近道」とされています。

(3) 必要な勉強時間|管理士500時間、主任者300時間が目安

合格に必要な勉強時間の目安は以下の通りです。

  • マンション管理士: 500時間
  • 管理業務主任者: 300時間

ただし、法律系の学習経験がある場合や宅地建物取引士などの関連資格を保有している場合は、より短時間で合格できる可能性があります。

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ダブル受験のメリットと5問免除制度|効率的な学習法

(1) 試験日が1週間違いでダブル受験しやすい

マンション管理士試験は11月最終日曜日、管理業務主任者試験は12月第1日曜日に実施されるため、1週間の間隔でダブル受験が可能です。

令和7年度(2025年)の試験日程は以下の通りです。

  • マンション管理士試験: 2025年11月30日(日)
  • 管理業務主任者試験: 2025年12月7日(日)

(出典: アガルート

(2) 試験範囲が重複するため効率的に学習可能

両資格の試験範囲は約7-8割が重複しているため、同時学習が効率的です。区分所有法・マンション管理適正化法・標準管理規約などの重要科目を一度学習すれば、両試験に対応できます。

(3) 5問免除制度|片方の合格者はもう一方で5問免除

いずれか一方の資格に合格すると、もう一方の試験で「マンション管理適正化法」5問が免除される制度があります。

この制度により、合格率が高い管理業務主任者から取得し、その後5問免除を活用してマンション管理士に挑戦する受験者が多くいます。

(4) 過去問を活用した学習法

アガルートによると、「暗記に頼らず過去問を活用した勉強法が推奨される」とされています。

効率的な学習法のポイントは以下の通りです。

  • 過去問を5年分以上解き、出題傾向を把握する
  • 区分所有法・標準管理規約など配点の高い科目を優先する
  • 法律用語に慣れるまで繰り返し読み込む
  • 模擬試験を活用して時間配分を確認する

キャリアパス|就職・独立・年収の実態

(1) 管理業務主任者|管理会社への就職・転職に有利

管理業務主任者は設置義務があるため、マンション管理会社への就職・転職に直結しやすい資格です。

管理会社では、管理業務主任者資格を持っていることで資格手当が支給される場合があります。金額は企業により異なりますが、月1-3万円程度が一般的です。

(2) マンション管理士|独立開業・コンサルタント業務

マンション管理士は独立開業してコンサルタント業務を行うことが想定されていますが、独占業務がないため集客・営業力が重要です。

実務経験を積んだ上で、以下のような活動を組み合わせて収入を得るケースが多くあります。

  • 管理組合向けのコンサルティング契約
  • セミナー講師・執筆活動
  • 管理会社の顧問
  • 大規模修繕工事のアドバイザー

(3) ダブルライセンス保有者の強み

マンション管理士と管理業務主任者の両方を保有することで、管理組合側・管理会社側の両方の視点を持つことができます。

これにより、管理会社に勤務しながらマンション管理士として副業でコンサルティングを行う、または独立開業時に管理会社との業務提携を行うなど、活動の幅が広がります。

(4) 資格取得後のキャリアは個人差が大きい

資格取得後の年収やキャリアパスは、個人の経験・実務能力・営業力により大きく異なります。

管理会社に勤務する場合は安定した収入が期待できますが、独立開業の場合は軌道に乗るまでに時間がかかる可能性があります。資格はあくまでスタート地点であり、実務経験と信頼の構築が重要です。

まとめ:どちらの資格を目指すべきか|状況別の選び方

マンション管理士と管理業務主任者は、試験範囲が重複し、ダブル受験が効率的な資格です。管理業務主任者は合格率が高く設置義務があるため就職に有利、マンション管理士は独立・コンサルタント業務に活用できます。

管理会社への就職を目指す場合は管理業務主任者から取得し、独立・コンサルタント業務を目指す場合はダブルライセンスの取得を検討しましょう。

いずれの資格も、最新の試験情報や制度改正については公益財団法人マンション管理センターマンション管理業協会の公式サイトでご確認ください。

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よくある質問

Q1マンション管理士と管理業務主任者の違いは?

A1マンション管理士は管理組合(住民)側のコンサルタントとして、組合運営の助言や規約見直しを行います。一方、管理業務主任者は管理会社に所属し、重要事項説明や管理事務報告などの独占業務を行います。管理士は名称独占資格で独占業務がなく、主任者には4つの独占業務と設置義務があります。

Q2どちらの資格から取得すべき?

A2合格率が高い管理業務主任者(20-25%)から取得する人が多いです。管理業務主任者に合格すると、マンション管理士試験で「マンション管理適正化法」5問が免除されるため、効率的に学習できます。管理会社への就職を目指す場合は管理業務主任者、独立・コンサルタント業務を目指す場合はダブルライセンスを検討しましょう。

Q3ダブル受験は可能?

A3可能です。マンション管理士試験は11月最終日曜日、管理業務主任者試験は12月第1日曜日に実施されるため、1週間の間隔でダブル受験できます。試験範囲が約7-8割重複しているため、同時学習が効率的です。区分所有法・マンション管理適正化法・標準管理規約などの重要科目を一度学習すれば、両試験に対応できます。

Q4合格に必要な勉強時間は?

A4マンション管理士は約500時間、管理業務主任者は約300時間が目安です。ただし、法律系の学習経験がある場合や宅地建物取引士などの関連資格を保有している場合は、より短時間で合格できる可能性があります。過去問を5年分以上解き、配点の高い区分所有法・標準管理規約を重点的に学習することが合格への近道です。

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