不動産業界で役立つ資格一覧|宅建士から専門資格まで難易度別に解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/6

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不動産業界で役立つ資格とは:就職・キャリアアップの重要性

不動産業界への就職・転職を検討する際、「どの資格を取得すべきか」「資格は必須なのか」と悩む方は少なくありません。不動産業界には100以上の資格が存在し、それぞれ難易度・実務活用度・キャリアへの影響が大きく異なります。

この記事のポイント

  • 宅建士は不動産業界で最も重要な資格で、独占業務と設置義務(従業員5人に1人)があり、就職・転職で大きなアドバンテージ
  • 不動産鑑定士は最難関(勉強時間約3,000時間、合格率6%)、宅建士は約200時間、賃貸不動産経営管理士は約100時間が目安
  • 四冠資格(宅建士、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士)を取得するとキャリアで有利
  • 賃貸不動産経営管理士は2021年に国家資格化され、賃貸管理会社で法的設置義務があるため就職に有利
  • 資格取得だけでなく実務経験も重要で、継続的な学習(法改正、制度変更等)が必要

この記事では、不動産業界の資格を「難易度×実務活用度×キャリアパス」で体系的に整理し、国土交通省公益財団法人不動産流通推進センターの公式情報を元に解説します。

(1) 不動産業界での資格の位置づけ

不動産業界では、資格保有が就職・キャリアアップに直結します。特に**宅地建物取引士(宅建士)**は独占業務(重要事項説明等)と設置義務(従業員5人に1人)があり、年間約25万人が受験する人気国家資格です。

資格保有のメリットは以下の通りです。

  • 就職時の差別化: 資格保有者は未経験でも採用されやすい
  • 独占業務: 宅建士のみが行える業務があり、業務の幅が広がる
  • 設置義務: 不動産会社は法的に一定数の有資格者を配置する必要があり、需要が高い
  • キャリアアップ: 複数資格の取得により、専門性が高まり昇進・独立に有利

資格なしでも就職は可能ですが、資格保有者が有利な状況です。

(2) 独占業務と設置義務の重要性

独占業務とは、その資格を持つ者だけが行える業務です。宅建士の場合、以下の業務が独占業務となります。

  • 重要事項の説明
  • 重要事項説明書への記名・押印
  • 契約書への記名・押印

設置義務とは、法律で一定の割合での資格保有者の配置が義務付けられていることです。宅建士は従業員5人に1人の割合で設置が必要です。例えば、従業員20人の不動産会社では、最低4人の宅建士が必要です。

この設置義務により、宅建士の資格保有者は就職・転職で大きなアドバンテージを得られます。

(出典: LEC東京リーガルマインド

(3) 資格なしでも就職できるか

資格なしでも不動産業界への就職は可能です。事務職、営業サポート、物件管理等の職種では資格が必須ではありません。ただし、以下の点を考慮する必要があります。

  • 資格保有者が優先的に採用される傾向がある
  • 事務職でも資格取得が推奨される企業が多い
  • キャリアアップには資格取得が必要になる場合が多い

未経験者でも、賃貸不動産経営管理士(勉強時間約100時間)や宅建士(勉強時間約200時間)を取得してから就職活動をすると有利です。

不動産業界の主要資格一覧【国家資格・民間資格】

(1) 国家資格(宅建士、不動産鑑定士、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士、土地家屋調査士)

不動産業界の主要な国家資格は以下の通りです。

資格名 難易度 勉強時間 合格率 独占業務 設置義務
宅地建物取引士 難関 約200時間 15-17% ✅(5人に1人)
不動産鑑定士 最難関 約3,000時間 6% -
マンション管理士 難関 約300時間 8-10% - -
管理業務主任者 中級 約200時間 約20%
賃貸不動産経営管理士 比較的易 約100時間 -
土地家屋調査士 難関 約1,000時間 - -

宅建士が最も重要で、まず取得すべき資格です。

(出典: 国土交通省

(2) 民間資格(インテリアコーディネーター等)

民間資格は国家資格と比較して難易度が低く、特定分野の専門性を高めるのに有効です。

  • インテリアコーディネーター: 住空間の内装設計・コーディネート
  • 福祉住環境コーディネーター: 高齢者・障害者向けの住環境設計
  • 不動産実務検定: 不動産投資・賃貸経営の実務知識

民間資格は国家資格と組み合わせることで、差別化につながります。

(3) 関連資格(FP技能士等)

不動産業界では、不動産以外の資格も活用できます。

  • FP技能士(ファイナンシャルプランナー): 金融・税制・不動産等の知識を持つ国家資格で、住宅ローン・相続対策等の相談業務に有効
  • 税理士・司法書士: 不動産取引の税務・登記業務で連携可能

FP技能士と宅建士のダブルライセンスは、顧客に包括的なアドバイスができるため、営業・コンサルティング職で有利です。

(4) 100以上の資格の分類と体系

不動産業界には100以上の資格が存在し、以下のように分類されます。

  • 取引系: 宅建士、不動産鑑定士
  • 管理系: マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士
  • 測量・登記系: 土地家屋調査士
  • 設計・インテリア系: インテリアコーディネーター
  • 金融系: FP技能士

資格の選択は、目指すキャリアパスに応じて行うことが重要です。

(出典: 不動産ココ

資格別の難易度と特徴【勉強時間・合格率・実務活用度】

(1) 最難関:不動産鑑定士(勉強時間約3,000時間、合格率6%)

不動産鑑定士は不動産の適正価格を評価する国家資格で、最難関です。

項目 内容
勉強時間 約3,000時間
合格率 短答式32-36%、論文式14-16%、総合6%
試験内容 不動産鑑定理論、民法、経済学、会計学等
活躍分野 裁判所、金融機関、公的機関の評価業務

不動産鑑定士は独占業務があり、高度な専門性を持つため、取得後の収入は高い傾向があります。

(出典: 資格試験コラム

(2) 難関:宅建士(勉強時間約200時間、合格率15-17%)

**宅地建物取引士(宅建士)**は不動産業界で最も重要な資格です。

項目 内容
勉強時間 約200時間
合格率 15-17%(2024年度: 18.6%)
試験内容 民法、宅建業法、法令上の制限、税・その他
活躍分野 不動産売買・賃貸の仲介、営業、コンサルティング

年間約25万人が受験する人気資格で、複数回受験するケースも珍しくありません。独占業務と設置義務があり、就職・転職で大きなアドバンテージを得られます。

(出典: 不動産ココ

(3) 中級:マンション管理士(合格率8-10%)

マンション管理士はマンション管理組合の運営に関する相談・助言・指導等を行う国家資格です。

項目 内容
勉強時間 約300時間
合格率 8-10%
試験内容 マンション管理適正化法、区分所有法、管理組合の運営等
活躍分野 マンション管理組合のコンサルティング

管理業務主任者と出題範囲が重複するため、ダブル受験が推奨されます。

(4) 比較的易:賃貸不動産経営管理士(勉強時間約100時間)

賃貸不動産経営管理士は2021年に国家資格化された資格です。

項目 内容
勉強時間 約100時間
合格率 -
試験内容 賃貸管理の実務、借地借家法、民法等
活躍分野 賃貸管理会社、賃貸仲介

賃貸管理会社で法的設置義務があるため、就職・転職に有利です。初心者が最初に取得する資格として最適です。

(出典: スタディングキャリア

(5) その他:管理業務主任者(合格率約20%)

管理業務主任者はマンション管理業者に設置が義務付けられている国家資格です。

項目 内容
勉強時間 約200時間
合格率 約20%
試験内容 マンション管理適正化法、区分所有法、管理実務等
活躍分野 マンション管理会社

マンション管理士と出題範囲が重複するため、セットで取得すると効率的です。

四冠資格と実務での活用度:宅建士を中心に

(1) 宅建士の独占業務と設置義務(従業員5人に1人)

宅建士は不動産業界で最も重要な資格で、以下の独占業務があります。

  • 重要事項の説明: 契約前に物件の法的制限、設備、費用等を説明
  • 重要事項説明書への記名・押印: 宅建士のみが署名可能
  • 契約書への記名・押印: 契約書の法的有効性を担保

設置義務は従業員5人に1人の割合です。この設置義務により、宅建士の需要は常に高く、就職・転職で有利です。

(出典: LEC東京リーガルマインド

(2) 賃貸不動産経営管理士の法的設置義務(2021年国家資格化)

賃貸不動産経営管理士は2021年に国家資格化され、賃貸管理会社で複数名の設置が法的に義務付けられました。

賃貸管理市場は拡大傾向にあり、賃貸不動産経営管理士の需要は高まっています。勉強時間約100時間と比較的取得しやすく、初心者に最適な資格です。

(出典: スタディングキャリア

(3) マンション管理士と管理業務主任者の違い

マンション管理士管理業務主任者は出題範囲が重複しますが、役割が異なります。

項目 マンション管理士 管理業務主任者
役割 管理組合のコンサルティング 管理業者の業務管理
設置義務 なし あり
合格率 8-10% 約20%

管理業務主任者は設置義務があるため、就職に有利です。

(4) 四冠資格取得のメリット

四冠資格(宅建士、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士)を取得すると、以下のメリットがあります。

  • 就職・キャリアで大きなアドバンテージ
  • 業務の幅が広がる(売買・賃貸・管理すべてに対応可能)
  • 専門性が高まり、独立開業にも有利

まずは宅建士を取得し、業務内容に応じて他の資格を追加取得するのが効率的です。

(出典: 資格試験コラム

(5) ダブルライセンス(FP技能士等)の活用

FP技能士と宅建士のダブルライセンスは、顧客に包括的なアドバイスができるため、営業・コンサルティング職で有利です。

  • 住宅ローンの相談
  • 相続対策
  • 不動産投資のアドバイス

FP技能士と宅建士を組み合わせることで、キャリアの幅が大きく広がります。

資格取得のステップと学習方法

(1) 初心者向けの資格選び

初心者が最初に取得すべき資格は以下の通りです。

  1. 賃貸不動産経営管理士(勉強時間約100時間): 最も取得しやすく、就職に有利
  2. 宅建士(勉強時間約200時間): 不動産業界で最も重要な資格
  3. 管理業務主任者(勉強時間約200時間): 設置義務があり、就職に有利

まずは賃貸不動産経営管理士を取得し、次に宅建士を目指すのが一般的なキャリアパスです。

(2) 学習計画の立て方(勉強時間の目安)

学習計画は、資格の難易度に応じて立てます。

資格 勉強時間 学習期間(1日2時間)
賃貸不動産経営管理士 約100時間 約2ヶ月
宅建士 約200時間 約3-4ヶ月
マンション管理士 約300時間 約5ヶ月
不動産鑑定士 約3,000時間 約4年

1日の学習時間を確保し、計画的に学習することが重要です。

(3) 資格スクール・通信講座の活用

資格取得には、資格スクール・通信講座の活用が効果的です。

  • 資格スクール: 通学型で、講師に直接質問できる
  • 通信講座: オンラインで学習でき、時間・場所の制約が少ない
  • 独学: 市販のテキストで学習(費用は最も安いが、挫折しやすい)

初心者は資格スクールまたは通信講座を利用すると、合格率が高まります。

(4) 更新研修と継続学習

資格取得後も、継続的な学習が必要です。

  • 法改正: 民法、宅建業法、税法等の法改正に対応
  • 制度変更: 不動産取引の制度変更に対応
  • 更新研修: 宅建士は5年ごとに更新研修が義務付けられる

資格取得はゴールではなく、スタートです。継続的な学習により、専門性を維持・向上させることが重要です。

まとめ:目的別の資格選びとキャリアパス

不動産業界の資格は、宅建士を中心に、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士の四冠資格が重要です。宅建士は独占業務と設置義務(従業員5人に1人)があり、年間約25万人が受験する人気資格で、就職・転職で大きなアドバンテージを得られます。

初心者は賃貸不動産経営管理士(勉強時間約100時間)から始め、次に宅建士(勉強時間約200時間)を目指すのが一般的です。四冠資格を取得すると、就職・キャリアで大きなアドバンテージがあり、業務の幅が広がります。

資格取得だけでなく、実務経験も重要です。資格と実務経験の両方を積むことで、専門性が高まり、キャリアアップ・独立開業に有利です。

資格取得前は、キャリアカウンセラーや資格スクールに相談し、自身の目的に応じた資格選びをすることを推奨します。

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よくある質問

Q1初心者向けの不動産資格は何ですか?

A1賃貸不動産経営管理士(勉強時間約100時間)が最も取得しやすく、2021年に国家資格化され賃貸管理会社で法的設置義務があるため就職・転職に有利です。次に宅建士(勉強時間約200時間)を目指すのが一般的なキャリアパスです。宅建士は独占業務と設置義務(従業員5人に1人)があり、不動産業界で最も重要な資格です。まずは賃貸不動産経営管理士を取得し、実務経験を積みながら宅建士を目指すことを推奨します。

Q2宅建士の難易度はどのくらいですか?

A2合格率15-17%(2024年度: 18.6%)、勉強時間約200時間が目安です。年間約25万人が受験する人気資格で、複数回受験するケースも珍しくありません。試験内容は民法、宅建業法、法令上の制限、税・その他で、独占業務(重要事項説明等)と設置義務(従業員5人に1人)があり、不動産業界で最も重要な資格です。資格スクールや通信講座を利用すると、合格率が高まります。

Q3四冠資格はすべて取得すべきですか?

A3宅建士、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士の四冠資格は就職・キャリアアップで大きなアドバンテージがあります。まずは宅建士を優先し、業務内容に応じて他の資格を追加取得するのが効率的です。売買仲介であれば宅建士、賃貸管理であれば賃貸不動産経営管理士、マンション管理であればマンション管理士・管理業務主任者が有効です。四冠資格を取得すると、業務の幅が広がり、独立開業にも有利です。

Q4資格を取得しても実務経験がないと就職は難しいですか?

A4資格保有は就職時の差別化につながりますが、実務経験も重視されます。資格と実務経験の両方が重要で、資格取得後は継続的な学習(法改正、制度変更等)が必要です。未経験者でも、賃貸不動産経営管理士や宅建士を取得してから就職活動をすると有利です。資格取得後は、実務経験を積みながら専門性を高め、キャリアアップを目指すことが重要です。

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Room Match編集部

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