不動産営業への転職が注目される理由
不動産営業の求人を探している方の中には、「本当に未経験でも挑戦できるのか」「年収はどれくらいなのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産営業の求人状況、仕事内容、給与体系、未経験者向けの転職ポイント、宅建士資格のメリット、ブラック企業の見分け方を解説します。情報源には、Indeed、マイナビエージェント、LIFULL HOME'S 不動産転職などの主要求人サイトや転職メディアの最新データを活用しています。
不動産営業への転職を検討する方が、必要な情報を正確に把握し、自分に合ったキャリア選択ができるようになります。
この記事のポイント
- 不動産営業の有効求人倍率は2.93倍と全国平均の約2倍で、未経験者も積極的に採用されている
- 平均年収は約469万円~616万円だが、インセンティブ制により実力次第で年収1,000万円超も可能
- 未経験者は初期に成果が出ず収入が不安定になる期間があるため、ベース給与で生活する準備が必要
- 宅建士資格は法的には必須ではないが、資格手当(月5,000円~50,000円)と年収アップ(30歳で平均37万円増)のメリットがある
- ブラック企業を避けるには、固定残業制の詳細・離職率・面接での確認・口コミサイト活用が重要
1. 不動産営業への転職が注目される理由
(1) 有効求人倍率2.93倍の人手不足市場
不動産業界は人手不足が深刻で、マイナビエージェントによると、2024年時点で有効求人倍率は2.93倍と全国平均の1.31倍の約2倍に達しています。
有効求人倍率とは、求職者1人あたりの求人数を示す指標です。倍率が高いほど求職者が有利で、不動産営業は求人が多く、未経験者でも採用されやすい状況にあります。
(2) インセンティブ制による高年収の可能性
不動産営業は、売上(成約数)に応じて歩合が支払われるインセンティブ制を採用している企業が多いのが特徴です。
住まキャリの調査では、投資用不動産営業では年収1,000万円超も一般的で、最大3,000万円を稼ぐ人もいるとされています。成果次第で高年収を実現できる点が、不動産営業の魅力です。
ただし、成果が出ない初期は収入が不安定になるリスクもあるため、後述する注意点も確認してください。
(3) 未経験者歓迎の求人が豊富
不動産営業の求人は、主要な求人サイトで多数掲載されています。
- Indeed: 42,000件の不動産営業求人が掲載されており、東京都だけで5,000件の求人があります
- マイナビ転職: 東京都の不動産営業求人が1,469件掲載されています
- その他: doda、エン転職、不動産キャリアなど複数の求人サイトで検索可能です
未経験歓迎の求人も多く、入社時点で特別なスキルや資格は不要とされています。
2. 不動産営業の仕事内容と種類
(1) 反響営業と新規開拓営業の違い
不動産営業には、主に以下の2つのスタイルがあります。
| 営業スタイル | 内容 | 未経験者向け度 |
|---|---|---|
| 反響営業 | 広告やインターネットで問い合わせがあった顧客に対応する。飛び込み営業やテレアポが不要 | 高い |
| 新規開拓営業 | 飛び込み営業やテレアポで新規顧客を獲得する | 低い(経験者向け) |
未経験から不動産営業に転職する場合、反響営業の求人を選ぶことをおすすめします。既に興味を持った顧客に対応するため、営業の心理的ハードルが低く、成果も出やすいためです。
(2) 賃貸営業・売買営業・投資用不動産営業
不動産営業は、扱う物件の種類により以下の3つに分類されます。
| 種類 | 内容 | 年収目安 |
|---|---|---|
| 賃貸営業 | アパート・マンションの賃貸物件を仲介 | 300万円~400万円台 |
| 売買営業 | マンション・戸建て・土地の売買を仲介 | 400万円~600万円台 |
| 投資用不動産営業 | 投資目的の不動産(賃貸マンション等)を販売 | 1,000万円超も一般的(最大3,000万円) |
賃貸営業は年収が比較的低いものの、ノルマが緩やかで未経験者でも取り組みやすい傾向があります。一方、投資用不動産営業は高年収を狙えますが、成果のプレッシャーも大きい点に注意が必要です。
(3) 業務内容(物件紹介・契約手続き・重要事項説明等)
不動産営業の主な業務内容は以下の通りです。
- 物件紹介: 顧客の希望条件に合った物件を紹介し、内見に同行
- 契約手続き: 売買契約書・賃貸借契約書の作成と締結
- 重要事項説明: 宅建士の独占業務で、物件の法的リスクや契約条件を説明(宅建士資格保有者のみ)
- ローン手続きのサポート: 住宅ローンの申し込み手続きを金融機関と連携して支援
- 顧客フォロー: 契約後のアフターフォロー、リピート・紹介の獲得
重要事項説明は宅建士の独占業務のため、資格を持たない場合は先輩や上司に依頼する必要があります。
3. 給与体系と年収の実態
(1) 平均年収(約469万円~616万円)
不動産営業の平均年収は、情報源により約469万円~616万円と幅があります。
この差は、インセンティブ制による個人差が大きいためです。同じ会社でも、成果を出す営業担当者とそうでない担当者で年収が数百万円単位で異なることも珍しくありません。
(2) インセンティブ制の仕組み
インセンティブ制とは、売上(成約数)に応じて営業担当者に歩合が支払われる給与体系です。
給与の構成例:
月給 = ベース給与(20万円~25万円) + インセンティブ(0円~100万円以上)
成果を出せば高年収を実現できますが、成果が出ない場合はベース給与のみとなり、生活が厳しくなる可能性があります。
(3) 職種別の年収差(賃貸300-400万円、投資用最大3,000万円)
前述の通り、職種により年収差が大きいのが不動産営業の特徴です。
| 職種 | 年収目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 賃貸営業 | 300万円~400万円台 | ノルマが緩やか、未経験者向け |
| 売買営業 | 400万円~600万円台 | 一般的な不動産営業 |
| 投資用不動産営業 | 1,000万円超(最大3,000万円) | 高年収だが成果のプレッシャーも大きい |
住まキャリによると、投資用不動産営業では年収3,000万円を稼ぐ人もいるとされています。
(4) ベース給与とノルマのリスク
インセンティブ制には、以下のリスクがあります。
- 初期は収入が不安定: 未経験者は成果が出ず、ベース給与のみで生活する期間がある
- ノルマ未達時のリスク: ノルマを達成できない場合、ベース給与減額や退職を促されることがある
すべらない転職によると、未経験者の中にはノルマのプレッシャーに耐えられず、転職を後悔する人もいるとされています。
ベース給与だけで生活できる資金余裕を持つことが重要です。
4. 未経験から不動産営業に転職するポイント
(1) 反響営業の求人を選ぶ理由
前述の通り、未経験者は反響営業の求人を選ぶことをおすすめします。
反響営業とは、広告やインターネットで問い合わせがあった顧客に対応する営業スタイルで、飛び込み営業やテレアポが不要です。既に興味を持った顧客に対応するため、営業の心理的ハードルが低く、成果も出やすい傾向があります。
求人広告で「反響営業」「問い合わせ対応」「飛び込み営業なし」といった表現がある求人を選んでください。
(2) 初期の収入不安定期間への備え
未経験から不動産営業に転職する場合、初期は成果が出ず収入が不安定になる期間があります。
準備すべきこと:
- ベース給与だけで生活できる資金余裕(3~6ヶ月分の生活費)
- 生活費を抑える工夫(固定費の見直し等)
インセンティブを当てにせず、ベース給与だけで生活する覚悟を持つことが重要です。
(3) 明確な志望動機の準備
不動産営業は人手不足で未経験者も歓迎されますが、面接では明確な志望動機を求められます。
良い志望動機の例:
- 「人生で最も高額な買い物である不動産の取引に関わり、顧客の夢の実現をサポートしたい」
- 「前職の営業経験を活かし、不動産という専門性の高い分野でキャリアを築きたい」
「年収が高そうだから」といった理由だけでは、採用担当者に不信感を与えかねません。不動産営業に挑戦する理由を明確にしておきましょう。
(4) 求人サイトの活用(Indeed、マイナビ転職、doda等)
不動産営業の求人は、以下の主要求人サイトで検索できます。
複数の求人サイトを活用し、勤務地・給与・勤務条件を比較検討することをおすすめします。
(5) 向いている人の特徴
マイナビエージェントによると、不動産営業に向いている人の特徴は以下の通りです。
- コミュニケーション能力が高い: 顧客の希望を引き出し、信頼関係を築ける
- 数字に強い: 売上・成約件数が厳格に評価されるため、目標達成意識が高い
- 忍耐力がある: 初期は成果が出ず、ノルマのプレッシャーにも耐える必要がある
- 体育会系の文化に適応できる: 成果主義の厳しい環境に抵抗がない
自己分析で上記の特徴に当てはまるか確認することをおすすめします。
5. 宅建士資格のメリットとキャリアアップ
(1) 資格手当(月5,000円~50,000円)
宅建士(宅地建物取引士)とは、不動産取引の専門家を証明する国家資格です。
LIFULL HOME'S 不動産転職によると、宅建士資格保有者には資格手当が支給され、月額5,000円~50,000円と企業により幅があります。大手企業ほど高額な傾向があります。
年間では6万円~60万円の収入増となるため、資格取得のメリットは大きいと言えます。
(2) 年収への影響(30歳で平均37万円差)
日本中央住販によると、30歳時点の平均年収は以下の通りです。
- 宅建士資格あり: 481万円
- 宅建士資格なし: 444万円
- 差額: 37万円
資格手当だけでなく、転職時の優遇やキャリアアップの機会が増えることで、年収差が生まれています。
(3) 大手企業での実質必須性
宅建士資格は法的には必須ではありませんが、大手不動産会社では実質的に必須とされています。
理由は、不動産会社は従業員5人に1人以上の宅建士配置が法律で義務化されているためです。大手企業ほど宅建士資格保有者を優遇し、資格取得を支援する制度も充実しています。
(4) 転職時の優遇
宅建士資格保有者は、転職時に以下の優遇を受けられます。
- 書類選考の通過率が高い
- 面接で専門性をアピールできる
- 入社時の給与条件が良くなる
未経験者でも宅建士資格を取得すれば、転職活動が有利に進む可能性が高まります。
(5) 独立開業の道
宅建士資格を取得すれば、将来的に独立開業の道も開けます。
不動産会社を設立するには、宅建士資格保有者が必須です。サラリーマンとして経験を積んだ後、独立して自分の不動産会社を経営することも可能です。
キャリアの選択肢を広げる意味でも、宅建士資格の取得は有効です。
6. まとめ:ブラック企業を避けて転職成功するコツ
(1) 求人広告のチェックポイント(固定残業制の詳細)
不動産業界には「ブラック企業」と呼ばれる企業も存在するため、求人広告で以下をチェックしてください。
- 固定残業制の詳細: 「固定残業代含む」の場合、何時間分の残業代が含まれるか、超過分は支払われるかを確認
- 「高年収」「インセンティブ充実」の強調: 過度に高年収を強調する求人は、ノルマが厳しい可能性
- 「未経験大歓迎」の多用: 人手不足で離職率が高い企業の可能性
不動産業界がブラックでやめとけと言われている10の理由では、求人広告の表現から企業の実態を見抜く方法が詳しく解説されています。
(2) 離職率と平均勤続年数の確認
企業の公式サイトや求人広告で、以下を確認してください。
- 離職率: 一定期間内に退職した従業員の割合。高い場合は待遇や環境に問題がある可能性
- 平均勤続年数: 短い場合は、社員が長く働きにくい環境の可能性
不動産業界は平均勤続年数が短い会社が多いため、慎重に確認することが重要です。
(3) 面接での確認事項(残業時間・休日出勤・ノルマ)
面接では、以下を必ず質問してください。
- 残業時間: 月平均の残業時間、繁忙期の残業時間
- 休日出勤: 休日出勤の頻度、振替休日の有無
- ノルマ: ノルマの達成条件、未達成時の対応(減給・退職勧奨の有無)
企業側が具体的に答えられない場合、労働環境に問題がある可能性があります。
(4) 口コミサイトと転職エージェントの活用
ブラック企業を避けるには、口コミサイトと転職エージェントの活用が有効です。
- 口コミサイト: OpenWork、転職会議などで、実際に働いた社員の評価を確認
- 転職エージェント: キャリアアドバイザーから企業の内部情報(残業時間、離職率、社風等)を取得
住まキャリでは、ホワイト企業の見極め方が10のポイントで詳しく解説されています。
まとめ
不動産営業の求人は、有効求人倍率2.93倍と全国平均の約2倍で、未経験者も積極的に採用されています。平均年収は約469万円~616万円ですが、インセンティブ制により実力次第で年収1,000万円超も可能です。
ただし、未経験者は初期に成果が出ず収入が不安定になる期間があるため、ベース給与で生活する準備が必要です。宅建士資格を取得すれば、資格手当(月5,000円~50,000円)と年収アップ(30歳で平均37万円増)のメリットがあります。
ブラック企業を避けるには、固定残業制の詳細・離職率・面接での確認・口コミサイト活用が重要です。求人サイト(Indeed、マイナビ転職、doda等)を活用し、自分に合った企業を見つけてください。
不動産営業への転職を検討する際は、この記事の情報を参考に、現実的な判断を行いましょう。
