不動産営業の仕事内容とは？
不動産営業への転職を検討する際、「実際にどんな仕事をするのか」「未経験でも大丈夫か」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、不動産営業の仕事内容、年収体系、必要なスキル・資格、求人の探し方を具体的に解説します。2024年時点の求人市場データや、未経験からの転職方法も含め、実務に即した情報を提供します。
初めて不動産営業への転職を考える方でも、キャリアパスを明確にイメージできるようになります。
この記事のポイント
- 不動産営業は賃貸仲介・売買仲介・不動産販売の3種類に分類され、それぞれ仕事内容が異なる
- 平均年収は約469万円～580万円で、基本給＋インセンティブ制により成果次第で年収1000万円以上も可能
- 未経験・学歴不問で転職可能な求人が多く、宅建士資格は入社後に取得できる
- 2024年時点で全国に42,000件以上の求人があり、反響営業・ノルマなしの求人も増加している
不動産営業の仕事内容とは？
不動産営業の仕事は、取り扱う物件の種類や顧客の属性により、主に3つの職種に分かれます。
(1) 賃貸仲介営業（借主を探す、仲介手数料が報酬）
賃貸仲介営業は、賃貸物件を探している顧客（借主）に物件を紹介し、契約を締結する仕事です。
主な業務内容:
- 来店・問い合わせ対応（反響営業）
- 物件の内見案内
- 契約手続き（重要事項説明、契約書作成）
- 入居後のアフターフォロー
特徴:
- 1件あたりの契約金額が比較的小さい（月額賃料の1～2ヶ月分が仲介手数料）
- 成約までの期間が短い（数日～数週間）
- 初心者でも始めやすい職種
(2) 売買仲介営業（高額取引、難易度高）
売買仲介営業は、不動産の売却を希望するオーナー（売主）と、購入を希望する顧客（買主）を仲介し、売買契約を成立させる仕事です。
主な業務内容:
- 売却物件の査定・媒介契約締結
- 購入希望者への物件紹介
- 価格交渉、契約条件の調整
- 契約手続き（重要事項説明、売買契約書作成）
特徴:
- 1件あたりの契約金額が高額（仲介手数料は物件価格の3%+6万円+消費税）
- 成約までの期間が長い（数ヶ月～1年以上）
- 宅建士資格が重要（重要事項説明に必須）
(3) 不動産販売営業（自社物件の販売、モデルルーム接客）
不動産販売営業は、自社またはグループ会社が開発・所有する新築マンションや戸建て住宅を販売する仕事です。
主な業務内容:
- モデルルームでの接客
- 物件説明・資金計画の提案
- 住宅ローンの手続き支援
- 契約手続き・アフターフォロー
特徴:
- 仲介ではなく販売のため、仲介手数料は発生しない
- 自社物件のみを扱うため、商品知識を深めやすい
- 投資用不動産販売は高年収を目指せる（年収1000万円以上も可能）
(4) 反響営業と飛び込み営業の違い
不動産営業の営業スタイルは、大きく分けて2つあります。
| 営業スタイル | 内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 反響営業 | 来店・問い合わせに対応 | 見込み客が高い、ノルマなしの企業も多い | 繁忙期・閑散期の差が大きい |
| 飛び込み営業 | 新規開拓（訪問・電話） | 自分で顧客を開拓できる | 精神的負担が大きい |
近年は反響営業を採用する企業が増加しており、飛び込み営業なしの求人も多数あります。
不動産営業の年収と給与体系
不動産営業の年収は、職種・企業・個人のパフォーマンスにより大きく異なります。
(1) 平均年収（約469万円～580万円）
不動産営業の平均年収は以下の通りです（2024年時点）。
| データ元 | 平均年収 | |---------|---------|| | オープンハウス「不動産営業社員の平均年収はいくら？」 | 約469万円 | | 宅建Jobマガジン「不動産営業の平均年収は580万円！」 | 580万円 | | 求人ボックス「不動産営業の仕事の平均年収」 | 444万円 |
平均年収は約469万円～580万円が目安ですが、これはあくまで参考値です。インセンティブ制（歩合制）を採用する企業が多いため、成果を出せば高年収を目指せます。
(2) 基本給＋インセンティブ（歩合）制
不動産営業の給与体系は、基本給＋インセンティブ（歩合）が一般的です。
給与体系の例:
- 基本給: 20～30万円
- インセンティブ: 契約金額の1～5%（企業により異なる）
具体例（売買仲介営業）:
- 物件価格3,000万円の売買契約を成約
- 仲介手数料: (3,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1 = 105.6万円
- インセンティブ（仲介手数料の5%）: 5.28万円
成果を出せば基本給を大幅に上回る収入を得られますが、成果が出ない場合は給与が低くなるリスクがあります。
(3) 職種別の年収レンジ（投資用不動産は1000万円以上も可能）
職種別の年収レンジは以下の通りです。
| 職種 | 年収レンジ | 特徴 |
|---|---|---|
| 賃貸仲介営業 | 300～600万円 | 契約金額が小さいため年収は控えめ |
| 売買仲介営業 | 400～800万円 | 契約金額が大きいため年収も高め |
| 不動産販売営業（投資用） | 500～1500万円 | 高額物件を扱うため年収1000万円以上も可能 |
オープンハウスグループの営業社員の2024年平均年収は1,320万円と高水準です（同社公式サイト）。
(4) 年齢別の年収実態
年齢別の年収実態は以下の通りです（宅建Jobマガジン調べ）。
| 年齢 | 平均年収 | |------|---------|| | 20代 | 約400万円 | | 30代 | 約550万円 | | 40代 | 約650万円 | | 50代 | 約700万円 |
年齢とともに年収が上昇する傾向にありますが、インセンティブ制のため個人差が大きい点に注意が必要です。
不動産営業に必要なスキルと資格
不動産営業への転職を成功させるために、必要なスキルと資格を解説します。
(1) 必須スキル（コミュニケーション能力、交渉力）
不動産営業に求められる主なスキルは以下の通りです。
- コミュニケーション能力: 顧客の悩み・要望を正確に把握し、信頼関係を築く
- 交渉力: 売主・買主の間で価格や契約条件を調整する
- ヒアリング力: 顧客の潜在ニーズを引き出す
- 提案力: 顧客に最適な物件・資金計画を提案する
これらのスキルは、営業経験がなくても入社後の研修やOJTで習得可能です。
(2) 宅建士（宅地建物取引士）の資格
宅建士（宅地建物取引士）は、不動産取引の専門家資格です。
宅建士の役割:
- 重要事項の説明（宅建士のみ可能）
- 重要事項説明書への記名・押印
- 契約書への記名・押印
取得のメリット:
- 資格手当（月1～3万円）が支給される企業が多い
- キャリアアップ・転職に有利
取得方法:
- 年1回の国家試験（合格率15～17%）
- 入社後に取得する社員が多い
(3) 住宅ローンアドバイザー等の関連資格
宅建士以外にも、以下の資格が不動産営業に役立ちます。
- 住宅ローンアドバイザー: 住宅ローンの相談・提案に役立つ
- ファイナンシャルプランナー（FP）: 資金計画・税金の知識が身につく
- マンション管理士: マンション管理の専門知識が身につく
これらの資格は必須ではありませんが、取得すると顧客からの信頼度が高まります。
(4) 入社後の研修制度と資格取得支援
多くの不動産会社では、入社後の研修制度と資格取得支援制度が充実しています。
研修制度の例:
- 不動産業界の基礎知識研修
- OJT（先輩社員との同行営業）
- ロールプレイング（接客・商談の練習）
資格取得支援の例:
- 宅建士試験の受験費用補助
- 資格取得祝い金（5～10万円）
- 資格手当（月1～3万円）
未経験からでも安心して転職できる環境が整っています。
未経験から不動産営業に転職する方法
未経験から不動産営業への転職は十分可能です。具体的な方法を解説します。
(1) 学歴・性別問わず未経験から転職可能
不動産営業は、学歴・性別問わず未経験から転職できる職種です。
理由:
- 営業スキルは入社後に習得可能
- 人柄・コミュニケーション能力を重視する企業が多い
- 未経験歓迎の求人が多数
(2) 特別な経験や資格は不要
不動産営業への転職に、特別な経験や資格は不要です。
入社時点で必要なもの:
- 営業職への意欲
- 顧客対応の基本的なマナー
宅建士資格は入社後に取得する社員が大半です。
(3) 未経験者向けの求人が多数
2024年時点で、全国に42,000件以上の不動産営業求人があります（Indeed調べ）。このうち、未経験歓迎の求人が多数を占めています。
未経験歓迎求人の特徴:
- 研修制度が充実
- 反響営業（飛び込みなし）
- ノルマなし
(4) 賃貸営業から始めるのが推奨
未経験から不動産営業に転職する場合、賃貸仲介営業から始めることを推奨します。
理由:
- 1件あたりの契約金額が小さく、プレッシャーが少ない
- 成約までの期間が短く、早期に実績を積める
- 不動産取引の基本を学べる
賃貸営業で経験を積んでから、売買仲介営業や不動産販売営業にステップアップする社員が多数います。
不動産営業の求人の探し方（2024-2025年）
不動産営業の求人を効率的に探す方法を解説します。
(1) 主要な求人サイト（マイナビ転職、Indeed等）
不動産営業の求人は、以下の求人サイトで多数掲載されています。
| 求人サイト | 特徴 |
|---|---|
| マイナビ転職 | 東京都の不動産営業求人952件（2024年）、未経験歓迎多数 |
| Indeed | 全国42,000件以上（2024年）、反響営業・ノルマなし求人多数 |
| doda | 転職エージェントのサポートあり |
| type転職 | 営業職特化の転職サイト |
複数の求人サイトを併用することで、より多くの選択肢を比較できます。
(2) 求人数の現状（42,000件以上）
2024年時点で、全国に42,000件以上の不動産営業求人があります（Indeed調べ）。求人市場は活発で、未経験からでも転職のチャンスが豊富です。
(3) ワークライフバランス重視の求人も増加
近年、ワークライフバランスを重視する求人が増加しています。
増加している求人の特徴:
- 転勤なし
- 残業少なめ（月20時間以内）
- 週休2日制（土日祝休み）
週末・祝日が繁忙期の不動産業界ですが、シフト制や代休制度を導入する企業も増えています。
(4) 反響営業・ノルマなしの求人の探し方
反響営業・ノルマなしの求人を探すには、以下のキーワードで検索します。
おすすめ検索キーワード:
- 「反響営業」
- 「ノルマなし」
- 「飛び込みなし」
- 「未経験歓迎」
求人票の「仕事内容」「働き方」欄をよく確認し、面接時に営業スタイルやノルマの有無を質問することを推奨します。
まとめ：不動産営業に向いている人の特徴
不動産営業は、未経験からでも挑戦できる職種です。賃貸仲介・売買仲介・不動産販売の3種類があり、それぞれ仕事内容や年収レンジが異なります。
平均年収は約469万円～580万円ですが、基本給＋インセンティブ制のため、成果を出せば年収1000万円以上も可能です。宅建士資格は入社後に取得でき、資格手当が支給される企業が多数あります。
2024年時点で全国に42,000件以上の求人があり、反響営業・ノルマなしの求人も増加しています。未経験歓迎の求人が多く、研修制度も充実しているため、初めての方でも安心して転職できます。
不動産営業に向いている人の特徴:
- 人と話すことが好き
- 目標達成意欲が高い
- 高年収を目指したい
- 成果に応じた報酬を得たい
信頼できる転職エージェントやキャリアアドバイザーに相談しながら、自分に合った企業を選びましょう。