不動産業界の仕事とは
不動産業界への就職・転職を検討している方は、「どのような仕事があるのか」「自分に向いているか」と疑問を持つことが多いでしょう。
この記事では、不動産業界の職種、具体的な仕事内容、やりがいと大変さ、キャリアパスについて詳しく解説します。業界選びの参考にしてください。
この記事のポイント
- 不動産業界は開発・流通・賃貸・管理の4つの分野に大別される
- 営業職が最も人数が多く、賃貸仲介・売買仲介・販売営業・土地活用営業がある
- 宅地建物取引士(宅建士)は不動産業界で最も重要な資格
- 管理職で年収1,000万円以上も珍しくなく、独立開業の道もある
不動産業界の4つの分野と職種
日本には37万社以上の不動産会社が存在し、業界は大きく4つの分野に分かれています。
開発(デベロッパー)
デベロッパーは土地を購入し、都市開発、商業施設、高層ビル、マンション等を建設する企業です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な業務 | 土地取得、開発企画、建設プロジェクト管理 |
| 代表的な企業 | 大手不動産会社(総合デベロッパー) |
| 特徴 | 大規模プロジェクト、長期的な視点が必要 |
流通・仲介
不動産の売買や賃貸を仲介する業務です。売主と買主、または貸主と借主をつなぎ、契約成立時に仲介手数料を受け取ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な業務 | 物件紹介、内見案内、契約書作成、重要事項説明 |
| 収益構造 | 仲介手数料(売買価格の3%+6万円+消費税が上限) |
| 特徴 | 成果報酬型、営業力が問われる |
賃貸
賃貸物件のオーナーと入居者をつなぐ業務です。物件の管理や入居者募集も行います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な業務 | 入居者募集、契約手続き、家賃集金、退去対応 |
| 特徴 | 安定した業務量、顧客対応力が重要 |
管理(プロパティマネジメント)
不動産のメンテナンス、空室対策、入居者対応等を行います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な業務 | 建物保守、修繕手配、クレーム対応、収益最大化 |
| 特徴 | 長期的な関係構築、オーナーとの信頼関係が重要 |
不動産営業の具体的な仕事内容
不動産業界で最も人数が多いのは営業職です。営業の種類によって業務内容が異なります。
賃貸仲介営業(物件提案・内見・契約)
賃貸物件を探している顧客に物件を紹介し、契約までサポートする業務です。
主な業務フロー
- 顧客のヒアリング(希望条件、予算、入居時期)
- 物件提案(条件に合う物件をピックアップ)
- 内見案内(物件見学の同行)
- 契約手続き(契約書作成、重要事項説明)
- 入居までのフォロー
入居者の生活を左右する仕事であり、やりがいを感じやすい職種です。
売買仲介営業(査定・契約書作成・重要事項説明)
不動産の売買を仲介する業務です。賃貸仲介と比較して取引金額が大きく、専門知識が求められます。
主な業務フロー
- 売却査定(物件の市場価値を評価)
- 売却活動(広告、内見対応)
- 購入希望者とのマッチング
- 価格交渉のサポート
- 契約書作成、重要事項説明(宅建士資格が必要)
- 決済・引渡し
1件あたりの取引金額が大きいため、成約時の報酬も高くなる傾向があります。
不動産販売営業と土地活用営業
不動産販売営業は、自社が開発・所有する物件を個人顧客に販売する業務です。モデルルームでの接客が主な仕事となります。
土地活用営業は、土地所有者に対して有効活用方法(アパート建設、駐車場経営等)を提案する業務です。
やりがいと大変さ
不動産業界で働くメリットとデメリットを正直に解説します。
やりがい(高収入・成果が見える)
不動産業界のやりがいは以下の点にあります。
- 高収入の可能性: 成果報酬型の給与体系で、営業成績次第で高収入が狙える
- 成果が見える: 契約成立という明確な成果があり、達成感を得やすい
- 顧客の人生に関わる: 住まいは人生の大きな決断であり、感謝されることが多い
- 専門知識の習得: 法律、税金、建築等の幅広い知識が身につく
大変さ(ノルマ・労働環境の課題)
一方で、以下のような課題もあります。
- ノルマのプレッシャー: 営業目標が設定され、達成できないとストレスになる
- 労働時間: 顧客の都合に合わせるため、土日出勤や長時間労働になる場合がある
- 業界の転換期: 2030年までに不動産会社が約20%減少するとの予測があり、変化への対応が必要
中小企業では人手不足が深刻な問題となっており、労働環境の改善が業界全体の課題です。
必要なスキル・資格とキャリアパス
不動産業界で活躍するために必要なスキルと、キャリアアップの道筋を解説します。
宅地建物取引士(宅建士)の重要性
宅地建物取引士(宅建士)は、不動産業界で最も重要な国家資格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 必要な業務 | 契約書作成、重要事項説明(宅建業法に基づく) |
| 受験資格 | なし(誰でも受験可能) |
| 合格率 | 約15-17%(難関資格) |
| メリット | 資格手当、転職時の評価向上、独立開業の基盤 |
宅建士がいないと不動産業を営むことができないため、業界では必須の資格といえます。
キャリアパス(社内昇格・転職・独立)
不動産業界のキャリアパスは大きく3つあります。
1. 社内昇格
- 営業成績で評価され、主任→係長→課長→部長と昇進
- 管理職になると年収1,000万円以上も珍しくない
2. 転職によるキャリアアップ
- 賃貸仲介営業から売買仲介営業への転職が王道パターン
- 取引金額が大きくなり、年収アップが期待できる
3. 独立開業
- 不動産会社の開業(宅建業免許取得が必要)
- フリーランス営業、不動産コンサルタントとしての道もある
まとめ:不動産業界で働くために
不動産業界は開発・流通・賃貸・管理の4つの分野に分かれ、営業職が最も人数の多い職種です。
不動産業界で働くためのポイントは以下の通りです。
- 宅地建物取引士(宅建士)の資格取得を目指す
- 自分に合った分野(開発・流通・賃貸・管理)を見極める
- やりがいと大変さの両面を理解した上で入社を決める
- キャリアパス(社内昇格・転職・独立)を長期的に考える
2025年時点で業界は転換期にあり、省エネ基準適合義務化や業界再編が進んでいます。変化に対応できる人材が求められる一方、37万社以上の企業が存在する成長産業でもあります。
具体的なキャリア相談は、転職エージェントやキャリアアドバイザーへの相談を推奨します。


