不動産情報サイトで理想の物件を見つけるために
不動産の売却・購入を検討する際、「どのサイトで物件を探せばいいのか」「SUUMOとHOME'Sの違いは何か」「おとり物件を見分けるには?」と迷う方は少なくありません。
この記事では、不動産情報サイトの種類、主要ポータルサイト(SUUMO・HOME'S・アットホーム)の特徴比較、公的サイトの活用法、複数サイト併用のコツ、おとり物件の見分け方を解説します。
30~50代の不動産検討者の方でも、適切なサイトを選び、効率的に物件情報を収集できるようになります。
この記事のポイント
- 不動産情報サイトは3種類に分類(公的機関サイト、自社サイト、ポータルサイト)
- 三大ポータルサイトはSUUMO(情報の質重視)、HOME'S(物件数最多約1,300万件)、アットホーム(加盟店数最多約5.7万店)
- 複数サイトの併用が推奨(SUUMOで絞り込み、HOME'Sで口コミ確認、アットホームで穴場探し)
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」で約547万件の実際の取引価格データを検索できる
- 2021年調査では掲載物件の12%以上がおとり物件(存在しない物件)だったため注意が必要
1. 不動産情報サイトとは|3つの種類と役割
(1) 公的機関サイト(相場データ・取引価格情報)
公的機関サイトは、国土交通省や不動産流通推進センターが運営するサイトです。実際の取引価格データや地価公示データを公開しており、相場把握に必須です。
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」: 約547万件の実際の取引価格データを検索可能(2024年立ち上げ)
- 不動産ジャパン: 不動産流通推進センター運営の安全な取引サポートサイト
(2) 自社物件のみのサイト(ハウスメーカー・デベロッパー)
自社物件のみのサイトは、大手ハウスメーカーやデベロッパーが運営するサイトです。自社が開発・販売する新築物件を中心に掲載しています。
- メリット: 詳細な物件情報、モデルルーム予約が可能
- デメリット: 他社の物件は掲載されない
(3) ポータルサイト(複数の不動産会社の物件を掲載)
ポータルサイトは、複数の不動産会社の物件情報を一括で検索できるWebサイトです。SUUMO、LIFULL HOME'S、アットホームなどが代表例です。
- メリット: 多数の物件を一括検索、比較が容易
- デメリット: おとり物件(存在しない物件)が混在する可能性
(4) レインズとポータルサイトの関係
**レインズ(REINS)**は、不動産会社間で物件情報を共有するネットワークシステムです(Real Estate Information Network System)。ポータルサイトの多くがレインズ登録物件を掲載しているため、同じ物件が複数サイトに掲載されることがあります。
このため、どの不動産会社でも同じ物件を紹介できる場合が多いです。特定のサイトだけで探すと選択肢が狭まるリスクがあります。
2. 主要ポータルサイトの比較|SUUMO・HOME'S・アットホームの特徴
(1) SUUMO(スーモ)の特徴
**SUUMO(スーモ)**は、リクルート運営の日本最大級の不動産ポータルサイトです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | リクルート |
| 掲載方式 | 掲載数課金制(掲載数に応じて料金) |
| 特徴 | 情報の質が高い、問い合わせの約70%を占める最強サイト |
| 強み | 検索機能が充実、物件情報が詳細 |
(出典: オーナーズ・スタイル・ネット)
メリット:
- 掲載数課金制のため、情報の質が高い
- 検索機能が充実(こだわり条件が豊富)
- 問い合わせの約70%を占め、反響が多い
デメリット:
- 掲載料が高いため、小規模な不動産会社の物件が少ない場合がある
(2) LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)の特徴
**LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)**は、LIFULL運営の不動産ポータルサイトです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 運営会社 | LIFULL |
| 掲載社数 | 21,707社(2024年6月時点) |
| 物件数 | 約1,300万件(最多) |
| 特徴 | 住民の口コミ機能、住環境レポート |
| 強み | 無料掲載も可能 |
(出典: 不動産会社のミカタ)
メリット:
- 物件数が最多(約1,300万件)
- 住民の口コミ機能で周辺環境を確認できる
- 無料掲載も可能なため、小規模な不動産会社の物件も豊富
デメリット:
- 無料掲載の場合、情報が不十分な物件が混在する可能性
(3) アットホームの特徴
アットホームは、1967年創業の老舗ポータルサイトです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 創業 | 1967年 |
| 加盟店数 | 約5.7万店(2020年時点、最多) |
| 特徴 | 掲載料が安い、穴場物件が見つかる可能性 |
| 強み | 商業物件にも強い |
(出典: 不動産会社のミカタ)
メリット:
- 加盟店数が最多(約5.7万店)
- 掲載料が安いため、穴場物件が見つかる可能性がある
- 商業物件(店舗・事務所等)にも強い
デメリット:
- SUUMOに比べて検索機能がシンプル
(4) 掲載社数の比較
| サイト | 掲載社数・加盟店数 | データ年 |
|---|---|---|
| LIFULL HOME'S | 21,707社 | 2024年6月 |
| アットホーム | 約5.7万店 | 2020年1月 |
| SUUMO | 非公開 | - |
(出典: 不動産会社のミカタ)
(5) 三大サイトの同じ物件が多い理由
三大ポータルサイト(SUUMO・HOME'S・アットホーム)に同じ物件が掲載されることが多いのは、レインズ(不動産会社のネットワークシステム)経由で同じ物件情報を共有しているためです。
ただし、各サイト独自の物件や、掲載料の違いにより穴場物件が見つかる場合もあるため、複数サイトを併用することが推奨されます。
3. 公的な不動産情報サイト|国土交通省・不動産ジャパンの活用法
(1) 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
国土交通省「不動産情報ライブラリ」は、2024年に立ち上げられた公式サイトで、約547万件の実際の取引価格データを検索できます(旧「土地総合情報システム」の後継)。
特徴:
- 土地・建物・マンションの実際の売買価格を公開
- 地価公示、路線価、防災情報、都市計画情報も検索可能
- 無料で利用できる公式サイト
(2) 取引価格の調べ方
使い方:
- 不動産情報ライブラリにアクセス
- 「不動産取引価格」を選択
- 「地域」「物件種別」「期間」で絞り込み
- 実際の取引価格・平米単価・間取りなどを確認
これにより、ポータルサイトで見つけた物件が適正価格かどうかを判断できます。
(3) 不動産ジャパン
不動産ジャパンは、公益財団法人不動産流通推進センターが運営する公式サイトです。安全な不動産取引をサポートするための総合情報を提供しています。
特徴:
- 不動産取引の基礎知識
- 信頼できる不動産会社の検索
- 契約書の書き方・注意点
(4) 地価公示・路線価の確認方法
地価公示は、国土交通省が毎年1月1日時点で公表する標準地の土地価格です。不動産取引の目安となる公的指標です。
- 地価公示: 国土交通省「不動産情報ライブラリ」で検索可能
- 路線価: 国税庁の公式サイトで確認可能
(5) 公的サイトで相場を把握する重要性
ポータルサイトの掲載価格は、不動産会社が設定した「希望価格」です。実際の取引価格とは異なる場合があります。
公的サイトで相場を把握することで:
- 適正価格かどうかを判断できる
- 価格交渉の材料になる
- 高値掴みのリスクを避けられる
4. 不動産情報サイトの効果的な使い方|複数サイト併用のコツ
(1) 複数サイト併用の必要性
複数サイトの併用が推奨される理由:
- 選択肢を広げる(各サイト独自の物件がある)
- 情報の質を確認(おとり物件を見分ける)
- 相場感を養う(同じ物件が複数サイトに掲載されていれば信頼性が高い)
(2) SUUMOで希望条件を絞り込み
まず、SUUMOで希望条件を絞り込みます。
- 検索機能が充実(こだわり条件が豊富)
- 物件情報が詳細
- 希望に近い物件をリストアップ
(3) HOME'Sで周辺環境の口コミを確認
次に、HOME'Sで周辺環境の口コミを確認します。
- 住民の口コミ機能で実際の住環境を把握
- 住環境レポートで治安・利便性をチェック
- 物件数が多いため、周辺の類似物件も比較
(4) アットホームで掲載料の安い穴場物件を探す
さらに、アットホームで穴場物件を探します。
- 掲載料が安いため、小規模な不動産会社の物件が豊富
- 他サイトに掲載されていない穴場物件が見つかる可能性
- 商業物件も検索可能
(5) 国土交通省サイトで適正価格を判断
最後に、国土交通省「不動産情報ライブラリ」で適正価格を判断します。
- 実際の取引価格データと比較
- 高値掴みのリスクを避ける
- 価格交渉の材料にする
(6) 実際に内見して最終判断
ポータルサイトはあくまで物件情報の入り口です。最終的には、信頼できる不動産会社(宅建士資格保有者)に相談し、実際に内見して判断してください。
5. おとり物件の見分け方と注意点|悪質な物件を避ける方法
(1) おとり物件とは
おとり物件とは、実際には存在しない、または契約できない好条件の物件を掲載して問い合わせを誘う悪質な手法です。
問い合わせ後に「その物件はもう契約済みです」と言って、別の物件を紹介する目的で掲載されます。
(2) おとり物件の実態
2021年調査では、掲載物件の12%以上がおとり物件だったことが判明しました(出典: 中古住宅のミカタ)。
このため、好条件すぎる物件には注意が必要です。
(3) 見分け方のポイント
おとり物件を見分けるには、以下の方法が有効です。
- 複数サイトで確認: 同じ物件が複数サイトに掲載されていれば信頼性が高い
- 不自然に好条件の物件は疑う: 周辺相場より極端に安い、築浅で駅近なのに安い等
- 複数の不動産会社に問い合わせる: 同じ物件を複数の会社に問い合わせ、対応を比較
- 問い合わせ後の対応をチェック: すぐに「契約済み」と言う会社は疑う
(4) 無料掲載サイトの注意点
無料掲載可能なサイト(HOME'S等)では、以下の注意点があります。
- 情報が不十分: 写真が少ない、間取り図がない等
- 更新されていない: 既に契約済みの物件が掲載されたまま
有料掲載のサイト(SUUMO等)の方が、情報の質が高い傾向があります。
(5) 信頼できる不動産会社の選び方
最終的には、**信頼できる不動産会社(宅建士資格保有者)**に相談することが重要です。
- 宅建士資格: 宅地建物取引士の資格保有者が在籍しているか
- 実績: 地域での実績・評判はあるか
- 口コミ: Googleマップやレビューサイトでの評価はどうか
- 対応の丁寧さ: 問い合わせ時の対応が丁寧か
6. まとめ|状況別のおすすめと次のアクション
不動産情報サイトは、公的機関サイト、自社サイト、ポータルサイトの3種類に分類されます。ポータルサイトでは、**SUUMO(情報の質重視)、HOME'S(物件数最多約1,300万件)、アットホーム(加盟店数最多約5.7万店)**が代表的です。
複数サイトの併用が推奨されます。SUUMOで希望条件を絞り込み、HOME'Sで周辺環境の口コミを確認、アットホームで穴場物件を探し、国土交通省「不動産情報ライブラリ」で適正価格を判断する使い分けが効果的です。
2021年調査では掲載物件の12%以上がおとり物件だったため、複数サイトで確認し、不自然に好条件の物件には注意してください。最終的には、信頼できる不動産会社(宅建士資格保有者)に相談し、実際に内見して判断しましょう。
次のアクション
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」で希望エリアの相場を確認する
- SUUMO、HOME'S、アットホームで希望条件に合う物件を検索する
- 複数サイトで同じ物件を確認し、信頼性をチェックする
- 信頼できる不動産会社(宅建士資格保有者)に問い合わせる
- 実際に内見し、周辺環境を確認する
信頼できる不動産会社や宅地建物取引士に相談しながら、無理のない物件選びを進めましょう。
