不動産開発会社の役割と事業内容

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/18

不動産開発会社(デベロッパー)の役割

マンション購入を検討する際、「デベロッパーって何をする会社?」「どうやって選べばいいの?」と疑問に思う方は少なくありません。

この記事では、不動産開発会社の役割、事業内容、マンション開発の流れ、デベロッパー選びのポイントを、関電不動産開発株式会社などの具体例を交えて解説します。

初めてマンションを購入する方でも、信頼できるデベロッパーを見極められるようになります。

この記事のポイント

  • デベロッパーは土地取得から企画・建設・販売・管理まで一貫して担う不動産開発業者
  • 大手デベロッパーは全国展開で豊富な実績があり、地域密着型は地域情報に精通している
  • デベロッパー選びでは開発実績・経営基盤・アフターサービス・環境性能への取り組みを確認すべき
  • 関電不動産開発のように電力会社系デベロッパーは親会社の安定性が強み
  • 個別物件は宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーへの相談を推奨

(1) デベロッパーとは何か

デベロッパー(developer)とは、不動産開発業者のことです。土地の取得から企画・設計・建設・販売までを一貫して行う事業者を指します。

「developer」は英語で「開発者」を意味し、不動産業界では「マンションやオフィスビル、商業施設などを開発する会社」として使われています。

(2) 開発会社と販売会社の違い

開発会社(デベロッパー)販売会社は役割が異なります。

項目 開発会社(デベロッパー) 販売会社
主な業務 用地取得・企画・設計・建設 完成した物件の販売・仲介
担当範囲 土地の仕入れから建物完成まで 物件の広告・販売活動
具体例 関電不動産開発、三井不動産レジデンシャル等 各種販売代理会社

大手デベロッパーは自社で販売部門を持つことが多いですが、販売代理を専門会社に委託する場合もあります。

(3) デベロッパーの業務範囲(用地取得→企画→建設→販売→管理)

デベロッパーの業務は以下の流れで進みます。

  1. 用地取得: マンション開発に適した土地を探し、地権者と交渉して取得
  2. 企画: 立地や周辺環境を調査し、どのようなマンションを建てるか企画
  3. 設計・建築確認: 建築士が設計し、行政の建築確認を取得
  4. 建設: 建設会社に発注し、工事を管理
  5. 販売: 完成したマンションを販売(モデルルーム公開、契約、引き渡し)
  6. 管理: 引き渡し後のアフターサービス、修繕サポート

これらを一貫して担当するのがデベロッパーの役割です。

不動産開発会社の主な事業内容

デベロッパーの事業内容は多岐にわたります。

(1) 分譲マンション・戸建開発

最も身近な事業内容が分譲マンション・戸建の開発です。

関電不動産開発株式会社は、マンションブランド「CIELIA(シエリア)」を展開しており、435棟以上の開発実績があります。ブランド名は「CIEL(フランス語で空・頂点)」と「-IA(ラテン語で土地・場所)」を組み合わせた造語です。

(2) 賃貸住宅・オフィスビル開発

賃貸住宅やオフィスビルの開発も主要事業です。

2024年2月、関電不動産開発は渋谷にZEB Ready認証・BELS5つ星の高環境性能ビルを竣工しました。

  • ZEB Ready(ゼブ・レディ): 年間の一次エネルギー消費量を50%以上削減した建築物
  • BELS(ベルス): 建築物省エネルギー性能表示制度。5つ星が最高評価

これらの認証は、環境性能の高さを示す重要な指標です。

(3) 商業施設・ホテル・物流施設開発

大型デベロッパーは、商業施設、ホテル、物流施設なども手掛けます。

地域のニーズや都市計画に応じて、多様な施設を開発することで、街全体の価値を高める役割を果たしています。

(4) 海外不動産事業

関電不動産開発は、米国・オーストラリア・ASEAN諸国でも事業を展開しています。

グローバルな視点で不動産開発を行うことで、国内市場の変動リスクを分散し、経営の安定性を高めています。

(5) 不動産ファンド・ソリューション事業

不動産ファンド(投資家から資金を集めて不動産を運用する仕組み)や、企業の不動産活用をサポートするソリューション事業も主要事業の一つです。

マンション開発の流れと仕組み

マンションがどのように開発されるのか、具体的な流れを見ていきましょう。

(1) 用地取得と事業企画

デベロッパーはまず、マンション開発に適した土地を探します。

  • 駅からの距離
  • 周辺の生活施設(スーパー、学校、病院等)
  • 都市計画・用途地域
  • 地盤の安定性

これらを総合的に判断し、地権者と交渉して土地を取得します。

(2) 設計・建築確認

土地取得後、建築士が設計を行い、行政に建築確認申請を提出します。

建築基準法や都市計画法に適合していることが確認されると、建築確認が下ります。

(3) 建設工事とマンションブランドの展開

建築確認取得後、建設工事が始まります。

デベロッパーは工事の進捗を管理し、品質をチェックします。同時に、ブランド戦略を展開し、物件の認知度を高めます。

関電不動産開発は、2024年7月からTravis Japanの松田元太をCMキャラクターに起用し、ブランドプロモーションを強化しています。

(4) 販売とアフターサービス

建物が完成すると、モデルルームを公開し、販売活動を開始します。

契約・引き渡し後も、アフターサービスとして定期点検や修繕サポートを提供します。デベロッパーの信頼性は、このアフターサービスの充実度で判断できる場合が多いです。

大手デベロッパーと地域密着型の違い

デベロッパーには大手地域密着型があり、それぞれ特徴が異なります。

(1) 大手デベロッパーの特徴(全国展開、豊富な実績、ブランド力)

大手デベロッパーは以下のような特徴があります。

  • 全国展開: 主要都市で多数の物件を開発
  • 豊富な実績: 数百棟以上の開発実績
  • ブランド力: 認知度が高く、資産価値の維持に有利な場合がある
  • 資金力: 大規模プロジェクトに対応できる財務基盤

(2) 地域密着型の特徴(地域情報に精通、きめ細やかなサービス)

地域密着型デベロッパーは以下のような特徴があります。

  • 地域情報に精通: 地元の土地勘があり、隠れた優良物件を開発
  • きめ細やかなサービス: 購入者との距離が近く、柔軟な対応が可能
  • 地域貢献: 地域のニーズに応じた開発を重視

(3) 電力会社系デベロッパーの例(関電不動産開発等)

関電不動産開発株式会社は、関西電力100%子会社の総合不動産デベロッパーです。2016年4月に関電不動産とMID都市開発が合併して設立されました。

電力会社系デベロッパーの強みは以下の通りです。

  • 経営基盤の安定性: 親会社(関西電力)の財務基盤が安定
  • 全国7エリアで展開: 関西中心に首都圏、東海、東北、北陸、四国、九州で事業展開
  • エネルギー分野の知見: 環境配慮型開発に強み

(4) 環境配慮型開発の最新トレンド(ZEB Ready、ネット・ゼロCO2等)

2024年7月、関電不動産開発は首都圏初のタワーマンション「シエリアタワー南麻布」を発表しました。27階建、総戸数121戸で、首都圏初のネット・ゼロCO2タワーマンションです。

  • ネット・ゼロCO2: 建物のライフサイクル全体でCO2排出量を実質ゼロにする取り組み

環境性能が高い物件は、長期的な光熱費削減や資産価値の維持に有利な場合があります。ただし、初期費用が高めになる可能性があるため、予算と性能のバランスを検討する必要があります。

マンション購入時のデベロッパー選びのポイント

デベロッパーを選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう。

(1) 開発実績と事業エリアの確認

デベロッパーの開発実績事業エリアは重要な判断材料です。

  • 何棟のマンションを開発してきたか
  • どのエリアで事業を展開しているか
  • 引き渡し後のトラブル事例はないか

関電不動産開発は435棟以上の開発実績があり、関西を中心に全国7エリアで展開しています。事業エリアが広いほど、アフターサービスの安定性が高い場合があります。

(2) 経営基盤の安定性(親会社、財務状況)

デベロッパーの経営基盤は、アフターサービスの継続性に直結します。

  • 親会社の財務状況(上場企業の場合、決算資料を確認)
  • 過去の倒産・経営危機の有無
  • 業界内での評判

関電不動産開発のように親会社が大手インフラ企業の場合、経営基盤の安定性が高いと判断できる場合があります。

(3) アフターサービスと管理体制

マンション購入後のアフターサービス管理体制も確認しましょう。

  • 定期点検の頻度・内容
  • 修繕サポートの範囲
  • 管理会社の質(自社管理か、委託か)

引き渡し後のトラブル対応がスムーズかどうかは、購入者の満足度を大きく左右します。

(4) 環境性能・建物品質への取り組み

環境性能や建物品質への取り組みは、長期的な資産価値に影響します。

  • ZEB Ready、BELS等の認証取得
  • 省エネ設備(太陽光発電、高効率給湯器等)
  • 耐震性能(耐震等級、制震・免震構造等)

環境性能が高い物件は、光熱費削減や将来の資産価値維持に有利な場合がありますが、初期費用が高めになる可能性があるため、総合的に判断することが重要です。

(5) 複数社比較と専門家への相談

デベロッパー選びでは、複数社を比較することが基本です。

比較項目 大手デベロッパー 地域密着型 電力会社系
開発実績 豊富(数百棟以上) 地域限定(数十棟程度) 親会社の規模次第
ブランド力 高い 地域内で認知 親会社の知名度に依存
アフターサービス 全国対応 地域限定 全国対応(関電不動産開発等)
環境性能 最新技術を導入 地域のニーズに応じる エネルギー分野の知見を活用

個別物件の検討時は、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーへの相談を推奨します。

まとめ:信頼できるデベロッパーの見極め方

不動産開発会社(デベロッパー)は、土地取得から企画・建設・販売・管理まで一貫して担う事業者です。大手デベロッパーは全国展開で豊富な実績があり、地域密着型は地域情報に精通しています。

デベロッパー選びでは、開発実績・経営基盤・アフターサービス・環境性能への取り組みを総合的に確認することが重要です。

関電不動産開発のように、電力会社系デベロッパーは親会社の経営基盤の安定性が強みとなる場合があります。ただし、個別物件の資産価値は立地・需要・管理状態に左右されるため、ブランドや会社規模だけで判断せず、専門家への相談も活用しながら、無理のない資金計画を立てましょう。

よくある質問

Q1デベロッパーとは何か?

A1デベロッパーとは不動産開発業者のことで、土地の取得から企画・設計・建設・販売・管理までを一貫して行う事業者です。マンションや戸建、オフィスビル、商業施設などの開発を手掛けます。英語の「developer(開発者)」が語源で、不動産業界では広く使われています。

Q2開発会社と販売会社の違いは何か?

A2開発会社(デベロッパー)は用地取得・企画・設計・建設を担当し、販売会社は完成した物件の販売・仲介を担当します。大手デベロッパーは自社で販売部門を持つことが多いですが、販売代理を専門会社に委託する場合もあります。購入時は、開発と販売がどの会社か確認することが重要です。

Q3大手デベロッパーと地域密着型の違いは何か?

A3大手デベロッパーは全国展開で豊富な開発実績とブランド力があり、資金力を活かして大規模プロジェクトに対応できます。地域密着型は地域情報に精通し、きめ細やかなサービスを提供します。電力会社系デベロッパー(関電不動産開発等)は親会社の経営基盤の安定性が強みで、環境配慮型開発にも力を入れています。

Q4信頼できるデベロッパーの見極め方は?

A4開発実績と事業エリア、経営基盤の安定性(親会社、財務状況)、アフターサービスと管理体制、環境性能・建物品質への取り組み(ZEB Ready、BELS等の認証)などを総合的に確認します。複数社を比較し、個別物件の立地・設備・管理体制も確認することが重要です。宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーへの相談も推奨します。

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