不動産会社ランキングの正しい見方:取引実績と信頼性の関係
「不動産会社をどう選べばいいのか」「ランキング1位の会社を選べば安心なのか」と悩んでいる方は多いでしょう。
この記事では、不動産会社の仲介実績ランキング、大手と地域密着型の特徴、信頼できる会社を選ぶ7つのポイントを、公式統計や業界レポートをもとに解説します。
不動産の売却・購入を検討している方が、自分に最適な不動産会社を見極められるようになります。
この記事のポイント
- ランキング上位=自分に最適とは限らない。物件種別、地域、担当者との相性を確認することが重要
- 複数社(3〜5社)への査定依頼と比較が最も重要な選び方のポイント
- 大手は全国ネットワークと豊富な実績、地域密着型は地元情報の詳しさと柔軟な対応が強み
- 対応スピード、査定価格の妥当性、契約を急がせない誠実な姿勢を確認する
- おとり物件・囲い込みなどの悪質な手法に警戒し、宅建業免許と行政処分歴をチェックする
(1) ランキングの種類と評価軸
不動産会社のランキングには、複数の種類があります。
| ランキング種類 | 評価軸 | 特徴 |
|---|---|---|
| 仲介実績ランキング | 仲介手数料収入、取引件数 | 公式統計に基づく客観的指標 |
| 売上高ランキング | 企業全体の売上高 | 開発事業を含む総合力の評価 |
| 顧客満足度ランキング | 査定結果の納得度、営業担当者の質 | 利用者の主観的評価 |
各ランキングは異なる視点で評価されているため、複数のランキングを参照することで、多角的に不動産会社を判断できます。
(2) ランキング上位=最適とは限らない理由
ランキング上位の会社が、必ずしも自分に最適とは限りません。
理由:
- 物件種別の得意分野が異なる:マンションに強い会社、戸建てに強い会社、投資用不動産に強い会社など、会社により得意分野が異なります
- 地域の市場動向への理解度:全国展開の大手でも、特定地域の詳細情報では地域密着型に劣る場合があります
- 担当者との相性:どれだけ実績のある会社でも、担当者のコミュニケーション能力や誠実さが重要です
- 個人物件の優先度:大手企業は法人案件を優先するケースがあり、個人の物件が後回しになる可能性があります
ランキングは選択肢を絞る参考程度に留め、実際には複数社への相談と比較が必要です。
2025年版・不動産会社の仲介実績ランキング
(1) 売買仲介実績ランキングトップ10
2025年の不動産仲介実績ランキングは以下の通りです(手数料収入ベース)。
| 順位 | 会社名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1位 | 三井のリハウス(三井不動産リアルティ) | 売買仲介実績トップ、全国展開 |
| 2位 | 住友不動産販売 | 関西地域に強い、全国280店舗超 |
| 3位 | 東急リバブル | 全国226店舗、幅広い物件種別 |
| 4位 | 野村の仲介+ | オンライン集客に注力、SEO戦略が強み |
| 5位 | 三井住友トラスト不動産 | 信託銀行グループ、資産運用に強い |
(出典: 大手不動産会社ランキング、仲介実績ランキング)
(2) 売上高ランキングと業界勢力図の変化
2024年の不動産業界売上高ランキングでは、業界勢力図に変化が見られました。
| 順位 | 会社名 | 売上高 |
|---|---|---|
| 1位 | 三井不動産 | 2兆6,253億円 |
| 2位 | 三菱地所 | 1兆4,000億円超 |
| 3位 | オープンハウスグループ | 約1兆3,000億円 |
| 4位 | 東急不動産HD | 1兆1,030億円 |
| 5位 | 住友不動産 | 9,676億円 |
オープンハウスグループが3位に浮上し、従来の「大手5社」(三井不動産、三菱地所、東急不動産HD、住友不動産、野村不動産HD)の勢力図が変化しています。
(出典: 不動産業界売上高ランキング2024年)
(3) 顧客満足度ランキング
顧客満足度ランキングでは、以下の評価軸が用いられます。
- 査定結果の納得度:査定価格の妥当性と根拠説明
- 営業担当者の質:コミュニケーション能力、誠実さ、専門知識
- 企業としての信頼度:ブランド力、実績、トラブル対応
顧客満足度は主観的評価のため、自分の優先順位に応じて参考にすることが重要です。
(出典: 不動産仲介のおすすめランキング)
大手不動産会社の特徴とメリット・デメリット
(1) 大手5社の概要と各社の強み
大手不動産会社には、それぞれ特徴があります。
三井のリハウス(三井不動産リアルティ)
- 売買仲介実績1位
- 全国展開、幅広い物件種別に対応
住友不動産販売
- 関西地域に強い
- 全国280店舗超の広範なネットワーク
東急リバブル
- 全国226店舗展開
- 新サービスの導入が早い
野村の仲介+
- オンライン集客に注力
- SEO戦略が強み、ウェブサイトの情報が充実
(出典: 仲介実績ランキング)
(2) メリット:全国ネットワークと豊富な実績
大手不動産会社のメリットは以下の通りです。
- 全国ネットワーク:転勤や遠方への引越しにも対応可能
- 豊富な実績:過去の取引データに基づく適正な査定
- ブランド力:買い手からの信頼度が高く、成約しやすい
- 情報発信力:広告宣伝力が強く、多くの見込み客にリーチできる
- サポート体制:専門部署(法務、税務等)のバックアップ体制が整っている
これらのメリットは、特に初めて不動産を売却・購入する方にとって安心材料となります。
(3) デメリット:個人物件の優先度と囲い込みリスク
一方で、大手不動産会社にはデメリットもあります。
- 個人物件の優先度:法人案件を優先するケースがあり、個人の物件が後回しになる可能性
- 囲い込みリスク:売主・買主双方から手数料を得るため、他社に物件情報を出さない悪質な手法が大手でも発生する場合がある
- 営業ノルマ:担当者のノルマにより、契約を急がせられる可能性
- 地域情報の詳しさ:全国展開のため、特定地域の細かい情報では地域密着型に劣る場合がある
これらのデメリットを踏まえ、複数社への相談と比較が重要です。
地域密着型不動産会社の特徴とメリット・デメリット
(1) 地域密着型の定義と事業規模
地域密着型不動産会社は、特定の地域に特化した不動産会社です。
店舗数は1〜数店舗程度で、地元の市場動向や物件情報に精通していることが特徴です。
全国展開の大手と比べると事業規模は小さいですが、地域での長年の実績と信頼を持つ会社も多く存在します。
(2) メリット:地域情報の詳しさと柔軟な対応
地域密着型不動産会社のメリットは以下の通りです。
- 地域情報の詳しさ:学区、治安、生活利便施設など、地元の細かい情報に精通
- 柔軟な対応:個別ニーズに応じた柔軟な提案が可能
- 親身な対応:長期的な関係を重視し、親身に相談に乗ってくれる
- 地元ネットワーク:地元の買い手情報を持っている場合がある
- 手数料交渉の余地:大手と比べて手数料の交渉がしやすい場合がある
これらのメリットは、特定地域での売却・購入を検討している方にとって有益です。
(3) デメリット:ネットワーク範囲と情報発信力
一方で、地域密着型不動産会社にはデメリットもあります。
- ネットワーク範囲:遠方の買い手へのリーチ力が大手より劣る
- 情報発信力:広告宣伝力が弱く、見込み客の数が少ない可能性
- 専門部署の不在:法務・税務等の専門部署がない場合がある
- 担当者のスキル差:会社により担当者のスキルや経験に差がある
これらのデメリットを補うため、大手と地域密着型の両方に相談することが推奨されます。
信頼できる不動産会社を選ぶ7つのポイント
(1) 複数社(3〜5社)への査定依頼
不動産会社選びで最も重要なのは、複数社への査定依頼と比較です。
3〜5社に査定を依頼し、以下を比較しましょう。
- 査定価格の妥当性と根拠説明
- 対応の迅速さとコミュニケーションの質
- 売却・購入の提案内容
- 担当者の専門知識と誠実さ
一括査定サービスを活用すると、効率的に複数社に依頼できます。
(出典: 良い不動産屋の選び方、不動産仲介のおすすめランキング)
(2) 対応スピードとコミュニケーションの質
初回問い合わせへの返答が早い会社は、信頼性が高い傾向があります。
チェックポイント:
- 問い合わせから24時間以内に返答があるか
- 質問に対して誠実に回答するか
- 専門用語をわかりやすく説明するか
- 連絡手段(電話、メール、LINE等)が豊富か
対応スピードとコミュニケーションの質は、契約後のトラブル対応にも影響します。
(出典: 良い不動産屋の選び方)
(3) 物件種別の得意分野確認
不動産会社により、得意な物件種別が異なります。
| 物件種別 | 確認ポイント |
|---|---|
| マンション | マンション取引の実績件数、得意エリア |
| 戸建て | 戸建て取引の実績件数、土地評価のスキル |
| 投資用不動産 | 収益物件の取引実績、利回り計算のスキル |
| 土地 | 土地取引の実績、建築業者とのネットワーク |
自分の物件種別の取引実績が豊富な会社を選ぶことで、適正な査定と効果的な売却戦略が期待できます。
(4) 査定価格の妥当性と根拠説明
査定価格が高すぎる会社には注意が必要です。
契約を取るために高い査定価格を提示し、実際には売れずに徐々に価格を下げる手法(「高値査定による囲い込み」)が存在します。
確認すべきポイント:
- 査定価格の根拠(近隣の成約事例、市場動向等)を明確に説明できるか
- 複数社の査定価格の平均値と大きく乖離していないか
- 売却期間の見通しを現実的に示しているか
査定価格だけでなく、根拠の説明が丁寧な会社を選びましょう。
(5) 契約を急がせない誠実な姿勢
契約を急がせる会社は要注意です。
警戒すべき兆候:
- 「今すぐ契約しないと他の人に取られる」と煽る
- 物件の短所を説明しない
- 質問に対して曖昧な回答をする
- 契約書の内容を詳しく説明しない
信頼できる会社は、物件の長所・短所を客観的に説明し、契約前に十分な検討期間を設けます。
(出典: 良い不動産屋の選び方)
(6) 宅建業免許と行政処分歴の確認
不動産会社は、宅地建物取引業法に基づく免許が必要です。
確認方法:
- 会社の宅建業免許番号を確認(ウェブサイトや名刺に記載)
- 国土交通省の「宅地建物取引業者検索システム」で行政処分歴を確認
行政処分歴がある会社は、過去にトラブルを起こした可能性があるため、慎重に判断しましょう。
(7) おとり物件・囲い込みへの警戒
おとり物件や囲い込みなどの悪質な手法に警戒しましょう。
おとり物件: 既に成約済みの架空物件で集客し、来店後に「成約済み」と別物件を勧める詐欺的手法
囲い込み: 売主・買主双方から手数料を得るため、他社に物件情報を出さない悪質な手法
これらの手法は大手でも発生する可能性があるため、複数社への相談と比較が重要です。
(出典: 信頼できる不動産会社の選び方)
まとめ:ランキングを活用した不動産会社選び
不動産会社のランキングは、選択肢を絞る参考になりますが、ランキング上位=自分に最適とは限りません。
複数社(3〜5社)への査定依頼と比較が最も重要です。対応スピード、査定価格の妥当性、物件種別の得意分野、担当者との相性を確認しましょう。
大手は全国ネットワークと豊富な実績、地域密着型は地元情報の詳しさと柔軟な対応が強みです。両方を含めて比較することで、自分に最適な不動産会社を見極められます。
契約前には宅地建物取引士による重要事項説明を受け、不明点は専門家(弁護士・税理士等)に相談しながら進めてください。
