大手不動産会社の経営状況と不動産業界の市場動向

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/26

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なぜ不動産会社の経営状況を知ることが重要なのか

不動産取引を検討する際、「依頼する不動産会社の経営状況は大丈夫か」「倒産リスクはないか」と不安に感じる方は少なくありません。不動産取引は高額取引のため、会社の信用力を事前に確認することが重要です。

この記事では、不動産業界の市場動向、大手不動産会社の経営状況、倒産リスクの見分け方、消費者が注意すべきポイントを、公式IR情報や業界データを元に解説します。

安全な不動産会社選びの基準を把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 東急不動産は2024年3月期に売上高1兆1,030億円、営業利益1,202億円で過去最高益を記録、倒産リスクは極めて低い
  • 2026年3月期の見通しは売上高1兆2,700億円、営業利益1,530億円、純利益850億円で過去最高更新予定
  • 不動産仲介業の倒産は2023年に120件で前年比7割増、特に「買取再販」主力の会社で倒産リスクが顕在化
  • 不動産会社の倒産リスクを見分けるには、決算情報(売上高・営業利益・有利子負債)、事業の多様性、財務指標(Zスコア)をチェック
  • 不動産取引では、評価の低すぎる業者を避け、複数社に査定依頼し、出来高払いでリスクヘッジすることが重要

(1) 不動産取引は高額取引のため会社の信用力が重要

不動産取引は、数百万円から数億円にのぼる高額取引です。取引途中で不動産会社が倒産した場合、以下のリスクがあります。

  • 工事中断: 新築・リフォーム工事が途中で止まる
  • 既払金の回収困難: 既に支払った代金の回収が困難になる
  • 契約の履行不能: 契約が履行されず、損害が発生する

これらのリスクを避けるため、不動産会社の経営状況を事前に確認することが重要です。

(2) 工事中断・倒産による被害リスク

不動産会社が倒産した場合、工事が中断し、既払金の回収が困難になる可能性があります。

リスクヘッジのため、以下の対策を推奨します。

  • 出来高払い: 工事の進捗に応じた支払い(全額前払いを避ける)
  • 契約内容の確認: 工事中断時の対応を契約書で明記
  • 保証制度の利用: 住宅瑕疵担保責任保険、完成保証制度等

詳細は宅地建物取引士にご相談ください。

不動産業界の市場規模と動向

(1) 不動産業界全体の動向(人口減少・空き家問題・DX化)

日本の不動産業界は、以下の構造的課題に直面しています。

  • 人口減少: 国内需要の縮小
  • 空き家問題: 総住宅数の約13.6%が空き家(2023年時点)
  • 金利動向: 金利上昇による住宅ローン需要への影響

一方で、以下の追い風もあります。

  • インバウンド需要: 訪日外国人旅行者の増加によるホテル・商業施設需要
  • DX化: AI査定、VR内見、オンライン契約等のデジタル化
  • 再開発プロジェクト: 都市部の大規模再開発

業界全体の動向は、個別企業の経営状況と併せて確認する必要があります。

(2) 不動産仲介業の倒産動向(2023年120件で前年比7割増)

ホームズによると、2023年の不動産仲介業の倒産は120件で、前年比7割増と急増しています。

倒産が増えている業態には、以下の特徴があります。

  • 「買取再販」主力: 不動産を買い取り、リフォーム後に再販売する事業(在庫リスクが高い)
  • 小規模業者: 資金力・顧客基盤が不足

ただし、大手不動産会社の多くは、事業の多様性や資金力により、安定した経営を維持しています。

(3) 倒産が増えている背景

不動産仲介業の倒産が増えている背景には、以下があります。

  • 金利上昇: 住宅ローン金利の上昇により、住宅購入需要が減少
  • 物件価格の高騰: 都市部の物件価格上昇により、取引成立が困難に
  • 在庫リスク: 買取再販業者が抱える在庫の価格下落

これらの要因により、経営基盤が脆弱な業者から倒産が増えています。

東急不動産の経営状況と業績推移

(1) 2024年3月期の実績(過去最高益)

東急不動産ホールディングスの公式IR情報によると、2024年3月期の業績は以下の通りです(2025年時点)。

項目 金額 前期比
売上高 1兆1,030億円 +9.7%
営業利益 1,202億円 +8.9%
経常利益 1,068億円 +7.4%
純利益 760億円 +13.4%

(出典: 東急不動産ホールディングス

売上高・各利益とも過去最高を記録し、楽待によると、中期経営計画の財務目標を2年前倒しで達成しています。

業績好調の要因には、以下があります。

  • 不動産流通事業の好調: 仲介・賃貸管理の増収
  • インバウンド需要: ホテル事業の好調
  • 都市型商業施設: 渋谷再開発プロジェクト等の収益貢献

(2) 2026年3月期の見通し(売上高1兆2,700億円)

日本経済新聞によると、東急不動産の2026年3月期の業績見通しは以下の通りです。

項目 金額 前期比
売上高 1兆2,700億円 +10.5%
営業利益 1,530億円 +8.6%
純利益 850億円 +10%

過去最高更新の見通しで、倒産リスクは極めて低いと言えます。

(3) 株主還元の強化(配当性向35%以上)

日本経済新聞によると、東急不動産は配当性向を35%以上に引き上げ、株主還元を強化しています(2025年5月発表)。

2024年3月期の配当金は31円(前期比3円増配)、配当性向は32.2%でした。

これらのデータから、東急不動産の財務状況は極めて良好で、倒産リスクは極めて低いと判断できます。

不動産会社の倒産リスクの見分け方

(1) 決算情報の確認(売上高・営業利益・有利子負債)

不動産会社の倒産リスクを見分けるには、以下の決算情報を確認しましょう。

確認項目 確認ポイント
売上高 直近3年間で増収傾向か減収傾向か
営業利益 本業で利益を出しているか(営業赤字は要注意)
経常利益 財務活動を含めた経常的な利益は安定しているか
純利益 最終的な利益は黒字か赤字か
有利子負債 銀行借入・社債が過大ではないか
ROE(自己資本利益率) 株主資本に対する収益性は高いか

これらの情報は、上場企業の場合、公式IR情報で確認できます。

(2) 事業の多様性と安定性

不動産会社の事業内容を確認しましょう。以下の点をチェックしてください。

  • 事業の多様性: 仲介・賃貸管理・開発・ホテル等、複数の事業を展開しているか
  • 収益源の分散: 特定の事業に依存していないか
  • 地域の分散: 特定地域に依存していないか

事業が多様で収益源が分散している会社は、リスクが低いと言えます。

(3) 財務指標(Zスコア)の読み方

ダイヤモンド・オンラインによると、Zスコアは企業の倒産リスクを測る財務指標です。

  • Zスコア 1.81未満: 倒産の危険性あり
  • Zスコア 1.81〜2.99: グレーゾーン
  • Zスコア 3.0以上: 安全

ただし、不動産業は販売用不動産保有により有利子負債が大きくなりやすく、Zスコアが低く出る傾向があります。Zスコアだけでなく、売上高・営業利益の推移も併せて確認してください。

(4) 「買取再販」主力会社のリスク

meisa-estateによると、「買取再販」を主力とする会社は、以下のリスクがあります。

  • 在庫リスク: 買い取った物件が売れず、在庫として滞留
  • 価格下落リスク: 物件価格の下落により、損失が発生
  • 金利上昇リスク: 借入金の金利負担が増加

買取再販主力の会社に依頼する場合は、決算情報・在庫状況を慎重に確認してください。

不動産取引で消費者が注意すべきポイント

(1) 評価の低すぎる業者は避ける

不動産ポータルサイトの口コミ・評価を確認しましょう。評価が極端に低い業者は、以下のリスクがあります。

  • 対応の質が低い: 連絡が遅い、説明が不十分
  • 契約トラブル: 契約内容の不備、重要事項の説明不足
  • 倒産リスク: 経営状況が悪化している可能性

評価が低すぎる業者には依頼しないことを推奨します。

(2) 複数社に査定依頼する

1社だけに依頼すると、以下のリスクがあります。

  • 査定価格の妥当性が判断できない: 高すぎる・低すぎる査定に気づけない
  • 販売戦略の比較ができない: 他社の販売戦略を知る機会がない

最低でも3社以上に査定依頼し、比較することを推奨します。

(3) 出来高払いでリスクヘッジ

新築・リフォーム工事の場合、以下の支払い方法を推奨します。

  • 出来高払い: 工事の進捗に応じた支払い
  • 段階払い: 契約時・着工時・上棟時・引渡時等、複数回に分けて支払い

全額前払いは、工事中断のリスクが高いため避けてください。

(4) 宅建士・FPへの相談推奨

不動産取引には、法律・税金・資金計画など専門知識が必要です。以下の専門家への相談を推奨します。

  • 宅地建物取引士: 契約内容の確認、法規制の確認
  • ファイナンシャルプランナー: 資金計画、税金対策、住み替え計画
  • 公認会計士: 財務状況の分析、倒産リスクの評価

専門家のアドバイスを受けることで、安心して取引を進められます。

まとめ:安全な不動産会社選びの基準

不動産会社の経営状況を事前に確認することは、高額取引のリスクを避けるために重要です。東急不動産は2024年3月期に過去最高益を記録し、財務状況は極めて良好で、倒産リスクは極めて低いと言えます。

一方で、不動産仲介業の倒産は2023年に120件で前年比7割増と急増しており、特に「買取再販」主力の会社で倒産リスクが顕在化しています。

不動産会社の倒産リスクを見分けるには、決算情報(売上高・営業利益・有利子負債)、事業の多様性、財務指標(Zスコア)をチェックしてください。

不動産取引では、評価の低すぎる業者を避け、複数社に査定依頼し、出来高払いでリスクヘッジすることが重要です。宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーに相談しながら、安全な不動産会社を選びましょう。

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よくある質問

Q1東急不動産は潰れる可能性がある?

A1東急不動産は2024年3月期に売上高1兆1,030億円、営業利益1,202億円で過去最高益を記録しています。2026年3月期の見通しも売上高1兆2,700億円、営業利益1,530億円、純利益850億円で過去最高更新予定です。財務状況は極めて良好で、倒産リスクは極めて低いと言えます。公式IR情報で最新の業績を確認することを推奨します。

Q2不動産会社の倒産リスクはどう見分ける?

A2不動産会社の倒産リスクを見分けるには、①決算情報(売上高・営業利益・有利子負債)の確認、②事業の多様性(複数の事業を展開しているか)、③財務指標(Zスコア1.81未満は要注意)をチェックしてください。上場企業の場合、公式IR情報で確認できます。倒産リスクが心配な場合は、公認会計士への相談を推奨します。

Q3不動産仲介業の倒産は増えている?

A32023年の不動産仲介業の倒産は120件で、前年比7割増と急増しています。特に「買取再販」を主力とする会社で倒産リスクが顕在化しています。買取再販主力の会社は、在庫リスク・価格下落リスク・金利上昇リスクがあるため、決算情報・在庫状況を慎重に確認してください。複数社への査定依頼を推奨します。

Q4工事中に会社が倒産したらどうなる?

A4工事中に会社が倒産した場合、工事がストップし、既払金の回収が困難になる可能性があります。リスクヘッジのため、出来高払い(工事の進捗に応じた支払い)を推奨します。全額前払いは避けてください。また、住宅瑕疵担保責任保険や完成保証制度の利用も検討しましょう。詳細は宅地建物取引士にご相談ください。

Q5不動産会社選びで何を確認すべき?

A5不動産会社選びでは、①決算情報・財務状況(売上高・営業利益・有利子負債)、②事業の多様性・安定性、③顧客評価・口コミ、④契約内容・支払条件を確認してください。評価が極端に低い業者は避け、複数社に査定依頼して比較することを推奨します。宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーへの相談も有効です。

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Room Match編集部

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