不動産権利書とは?登記済証・登記識別情報の役割と紛失時の対処法

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/27

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不動産の権利書、正しく理解していますか?

不動産を購入したり相続したりする際、「権利書」という言葉を耳にすることがあります。「権利書を紛失したら大変なことになる」と聞いて不安に感じた方もいるかもしれません。

この記事では、不動産権利書の正式名称と役割、平成18年の制度変更、紛失した場合の対処法を解説します。政府広報オンライン日本司法書士会連合会の公式情報を元に、2024年時点の最新情報をお届けします。

初めて不動産を扱う方でも、権利書の正しい知識と保管方法を身につけられるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産権利書(登記済権利証)は平成18年以降、登記識別情報(12桁のパスワード形式)に変更されたが、既存の権利書も引き続き有効
  • 権利書を紛失しても不動産の所有権は失わない、所有権は登記簿に記録されている
  • 権利書・登記識別情報は再発行不可、紛失時は司法書士による本人確認情報の作成(費用5万円~10万円)または法務局の事前通知制度を利用
  • 2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続で不動産を取得した相続人は知った日から3年以内に登記が必須

不動産権利書とは?登記済証と登記識別情報の基本

(1) 不動産権利書の正式名称と役割

不動産権利書 は、不動産の権利者であることを証明する書類です。正式名称は 「登記済権利証(登記済証)」 といいます。

一般的に「権利書」と呼ばれていますが、これは通称であり、法律上の正式名称ではありません。

役割:

  • 不動産の所有権移転登記(売却、相続、贈与等)の際に、権利者本人であることを確認するための書類
  • 登記の際に提出することで、本人が申請していることを証明

重要: 権利書は「所有権そのもの」ではなく、「本人確認のための書類」です。紛失しても所有権は失いません。

(2) 権利書と登記簿の違い

不動産に関する書類として、「権利書」と「登記簿」を混同しがちですが、両者は異なります。

項目 権利書(登記済権利証) 登記簿
内容 本人確認のための書類 不動産の権利関係を記録した公的帳簿
発行時期 登記完了時に1回のみ 常に最新情報が記録されている
保管場所 所有者が保管 法務局が保管
再発行 不可 登記事項証明書として何度でも取得可能

登記簿 は法務局で管理されており、誰でも登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して内容を確認できます。

(3) 2024年相続登記義務化との関連

2024年4月1日から 相続登記が義務化 されました。

義務化の内容:

  • 相続で不動産を取得した相続人は、相続を知った日から 3年以内に登記が必須
  • 正当な理由なく登記しない場合は 10万円以下の過料 が科される可能性

相続登記の際にも権利書が必要になりますが、紛失している場合は代替手段(後述)で対応できます。詳細は法務局または司法書士にご相談ください。

権利書と登記識別情報の違い【平成18年改正】

(1) 登記済権利証(書面形式)とは

登記済権利証 は、平成18年(2006年)以前に発行された書面形式の権利書です。

特徴:

  • 書面に「登記済」の印鑑が押されている
  • A4サイズ程度の紙の書類
  • 不動産の所在、所有者の氏名・住所等が記載

現在の扱い: 平成18年以前に発行された登記済権利証は、現在も引き続き有効です。新しい登記識別情報と同等の効力を持ちます。

(2) 登記識別情報(12桁のパスワード形式)とは

登記識別情報 は、平成17年の不動産登記法改正により導入された新制度です。

特徴:

  • 12桁の符号(パスワード) で構成
  • 書面に記載されている場合、目隠しシール(スクラッチ)で保護
  • オンライン申請に対応

平成18年(2006年)以降、順次導入 され、現在では全国の法務局で登記識別情報が発行されています。

登記識別情報の例:

ABCD1234EFGH (12桁の符号)

(3) オンライン化に伴う制度変更の経緯

平成17年の不動産登記法改正の背景には、登記手続きの オンライン化 があります。

制度変更の流れ:

  1. 平成17年(2005年): 不動産登記法改正
  2. 平成18年(2006年)以降: 各法務局で順次、登記識別情報制度を導入
  3. 現在: 全国の法務局で登記識別情報が発行される

効力は同じ: 登記済権利証(書面)と登記識別情報(12桁のパスワード)は、どちらも本人確認の書類として同等の効力を持ちます。また、どちらも 再発行不可 です。

不動産権利書の役割と必要になるケース

(1) 不動産の売却時

不動産を売却する際、所有権移転登記を行うために権利書が必要です。

売却の流れ:

  1. 買主と売買契約を締結
  2. 司法書士が所有権移転登記を申請
  3. 権利書を司法書士に提出(本人確認のため)
  4. 登記完了後、買主に所有権が移転

権利書がない場合は、代替手段(司法書士の本人確認情報作成等)で対応します。

(2) 相続・贈与による名義変更時

相続や贈与により不動産の名義を変更する際も、権利書が必要です。

相続登記の例:

  • 被相続人(亡くなった方)の権利書を確認
  • 相続人が法定相続人であることを証明する書類(戸籍謄本等)を提出
  • 相続登記を申請

2024年4月1日から相続登記が義務化 されているため、相続発生後は速やかに登記を行いましょう。

(3) 抵当権設定(住宅ローン借入)時

住宅ローンを借り入れる際、金融機関は不動産に 抵当権 を設定します。この際にも権利書が必要です。

抵当権設定の流れ:

  1. 金融機関と住宅ローン契約を締結
  2. 司法書士が抵当権設定登記を申請
  3. 権利書を司法書士に提出(本人確認のため)
  4. 登記完了後、金融機関が抵当権を取得

抵当権とは: 借金の担保として不動産に設定される権利。返済が滞った場合、金融機関は不動産を競売にかけて債権を回収できます。

権利書を紛失した場合の対処法【再発行は不可】

(1) 紛失しても所有権は失わない理由

重要: 権利書を紛失しても、不動産の所有権は失いません。

理由:

  • 所有権は 登記簿 に記録されており、権利書はあくまで本人確認の書類
  • 登記には権利書のほかに 印鑑証明書 等の本人確認資料も必要
  • 権利書だけでは不正な登記はできない仕組み

政府広報オンラインでも、「権利証を紛失しても権利を失うことはありません」と明記されています。

(2) 司法書士による本人確認情報の作成(費用5万円~10万円)

権利書を紛失した場合、司法書士による本人確認情報の作成 が代替手段として最も一般的です。

手順:

  1. 司法書士に依頼
  2. 司法書士が本人確認(免許証、パスポート、住民票等で確認)
  3. 司法書士が「本人確認情報」という書類を作成
  4. 登記申請時にこの書類を提出

費用: 5万円~10万円程度(司法書士報酬として別途必要)

メリット: 手続きが早い、確実に本人確認ができる

(3) 法務局の事前通知制度(無料、時間がかかる)

事前通知制度 は、法務局が本人宛に通知を送付し、本人確認を行う制度です。

手順:

  1. 権利書なしで登記を申請
  2. 法務局が登記名義人(本人)宛に「本人確認のための通知」を郵送
  3. 本人が通知を受け取り、2週間以内に法務局に返信
  4. 返信を確認後、登記が完了

費用: 無料

デメリット: 時間がかかる(2週間以上)、返信を忘れると登記が完了しない

比較:

代替手段 費用 所要時間 備考
司法書士の本人確認情報 5万円~10万円 数日 一般的な方法
事前通知制度 無料 2週間以上 返信必須

権利書の保管方法と不正登記防止策

(1) 適切な保管場所(銀行の貸金庫等)

権利書は再発行不可のため、紛失・盗難を防ぐために適切に保管する必要があります。

推奨される保管場所:

  • 銀行の貸金庫: 最も安全、火災・盗難のリスクが低い
  • 耐火金庫: 自宅に保管する場合は耐火金庫を推奨
  • 法律事務所・司法書士事務所: 継続的な取引がある場合、預かってもらえる場合がある

避けるべき場所:

  • 普通の引き出し(盗難・紛失のリスク)
  • 通帳や印鑑と同じ場所(一緒に盗まれるリスク)

(2) 不正登記防止申出制度の活用

権利書を紛失した場合、法務局の不正登記防止申出制度を活用できます。

制度の内容:

  • 法務局に申し出ることで、一定期間(3ヶ月)、登記申請時の本人確認を厳格化
  • 第三者による不正な登記を予防

手順:

  1. 法務局に「不正登記防止申出書」を提出
  2. 申出期間中、登記申請があった場合は本人に通知
  3. 本人が申請していない場合は登記を拒否

費用: 無料

(3) 登記識別情報の失効申出

登記識別情報(12桁のパスワード)を紛失または盗まれた場合、失効申出 ができます。

手順:

  1. 法務局に「登記識別情報失効申出書」を提出
  2. 失効後、その登記識別情報は使用不可になる

注意: 失効後は再発行不可のため、今後の登記では代替手段(司法書士の本人確認情報等)が必要になります。

まとめ:不動産権利書で押さえるべきポイント

不動産権利書(登記済権利証)は、平成18年以降、登記識別情報(12桁のパスワード形式)に変更されましたが、既存の権利書も引き続き有効です。権利書を紛失しても所有権は失いませんが、不動産取引の際に代替手続きが必要となり、追加の時間とコスト(5万円~10万円程度)がかかります。

権利書・登記識別情報は再発行不可のため、銀行の貸金庫や耐火金庫で適切に保管しましょう。紛失した場合は、法務局の不正登記防止申出制度を活用し、第三者による不正な登記を予防することが重要です。

2024年4月1日から相続登記が義務化されているため、相続発生後は速やかに登記を行いましょう。詳細は法務局または司法書士にご相談ください。

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よくある質問

Q1権利書を紛失したら不動産の所有権を失いますか?

A1いいえ、権利書を紛失しても不動産の所有権は失いません。所有権は法務局の登記簿に記録されており、権利書はあくまで本人確認のための書類です。登記には権利書のほかに印鑑証明書等の本人確認資料も必要なため、権利書だけでは不正な登記はできない仕組みになっています。政府広報オンラインでも「権利証を紛失しても権利を失うことはありません」と明記されています。

Q2権利書は再発行できますか?

A2再発行はできません。権利書(登記済権利証)も登記識別情報も、理由を問わず再発行不可です。紛失した場合は、司法書士による本人確認情報の作成(費用5万円~10万円程度、数日で完了)または法務局の事前通知制度(費用無料、2週間以上かかる)を利用して代替します。どちらも本人確認を行うことで、権利書がなくても登記を進めることができます。

Q3登記済権利証と登記識別情報の違いは何ですか?

A3登記済権利証は平成18年(2006年)以前に発行された書面形式の権利書で、「登記済」の印鑑が押された紙の書類です。登記識別情報は平成18年以降に導入された12桁の符号(パスワード)形式で、オンライン申請に対応しています。効力は同じで、どちらも本人確認の書類として同等に扱われ、再発行不可です。平成18年以前の登記済権利証も現在引き続き有効です。

Q4権利書はどんな時に必要ですか?

A4不動産の売却、相続・贈与による名義変更、抵当権設定(住宅ローン借入)時などに必要です。所有権を移転する登記や、抵当権を設定する登記の際に、司法書士に提出して本人確認を行います。権利書がない場合は、司法書士による本人確認情報の作成または法務局の事前通知制度を利用して代替できます。通常の不動産所有には必要ありません。

Q52024年の相続登記義務化で権利書は必須ですか?

A5相続登記時にも権利書は必要ですが、紛失している場合は代替手段(司法書士の本人確認情報作成、法務局の事前通知制度)で対応できます。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続で不動産を取得した相続人は相続を知った日から3年以内に登記が必須です。正当な理由なく登記しない場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。詳細は法務局または司法書士にご相談ください。

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Room Match編集部

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