不動産バブルとは?過去の事例と2025年の市場動向を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/21

不動産バブルとは:過去と現在の市場を理解する

不動産投資を検討する際、「今の日本は不動産バブルなのか?」「中国のバブル崩壊は日本に影響するのか?」「いつ買うべきか、売るべきか?」と悩む方は少なくありません。

この記事では、不動産バブルの定義、過去の事例(日本1990年代、中国2020年代)、2025年の日本市場の状況、バブル崩壊の兆候を見極めるポイントを解説します。

不動産投資初心者でも、バブルの仕組みと市場動向を理解し、適切な投資判断ができるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産バブルとは、収益性を無視した値上がり益目当ての投資により、実態にそぐわない価格高騰が起こること
  • 日本の1990年代バブルは総量規制と金利引き上げ(2.5%→6%)で崩壊した
  • 中国の不動産バブル崩壊は2020年の融資規制と「値下げ禁止」政策が逆効果で売り急ぎを誘発
  • 2025年の日本市場はイールドギャップ4%台維持で収益性ベースの安定成長と判断されている
  • バブル崩壊の兆候は金利上昇、融資制限、経済指標の悪化など複数の要因を総合的に見る必要がある

不動産バブルとは:定義と発生メカニズム

不動産バブルの定義:収益性を無視した値上がり益目当ての投資

ゴールドトラストによると、不動産バブルとは、不動産の収益性を無視した値上がり益目当ての投資により、実態にそぐわない価格高騰が起こることです。

家賃収入が増えないのに不動産価格だけが上昇する状態は、バブルの典型的な特徴です。

イールドギャップとは:利回りと金利の差で判定する指標

MUSASHIによると、イールドギャップとは、投資物件の実質利回りと借入金利(または長期金利)との差です。

状態 イールドギャップ 判定
健全な市場 4%台以上 収益性確保、バブルではない
バブルの兆候 長期金利を下回る 収益性が低く、危険信号

(出典: MUSASHI

ギャップが大きいほど投資の収益性が高く、逆に長期金利を下回る状態はバブルの危険信号です。

取引価格と収益価格の乖離:家賃上昇なしで価格高騰

家賃上昇がないのに不動産価格だけ高騰する状態は、取引価格と収益価格の乖離が拡大している証拠です。

この状態が長期化すると、顧客の購買力を大幅に上回り、バブル崩壊のリスクが高まります。

日本の不動産バブルの歴史:1990年代の崩壊と教訓

プラザ合意(1985年)と金融緩和:バブル発生の経緯

第一生命によると、1985年9月のプラザ合意(G5による為替レート協調介入合意)により円高不況が発生し、政府は金融緩和で対応しました。

この金融緩和が不動産バブル発生の遠因となりました。

バブル期の価格高騰:日経平均が3倍、首都圏新築マンション価格の推移

第一生命によると、日経平均株価は1985年~1989年の4年間で約3倍に上昇しました。

TOCHUによると、2021年の首都圏新築マンション平均価格は62.6百万円で、バブル期の最高値を超えました。

1990年の総量規制と金利引き上げ:バブル崩壊の引き金

ゴールドトラストによると、1990年に日本政府が実施した総量規制(土地購入向け融資の総量削減)と金利引き上げ(2.5%→6%)がバブル崩壊の直接的な引き金となりました。

融資が出づらくなり、不動産価格が急激に下落しました。

中国の不動産バブル崩壊:恒大集団と政策の失敗

中国不動産バブルの経緯:固定資産税・相続税なしで投機目的購入が増加

三菱UFJ銀行によると、中国では1990年代後半から個人の不動産売買が可能になり、固定資産税・相続税がないため投機目的の購入が増加しました。

この構造が不動産バブルを加速させました。

2020年の融資規制導入と「値下げ禁止」政策の逆効果

三菱UFJ銀行によると、2020年に中国政府が融資規制を導入し、さらに「値下げ禁止」政策を実施しました。

しかし、この政策は逆効果となり、売り急ぎを誘発してバブル崩壊を加速させました。NEC Wisdomによると、2025年7月に政府は値下げ禁止政策を撤廃しました。

恒大集団のデフォルト:負債約48兆円、2024年1月に清算命令

三菱UFJ銀行によると、中国の大手不動産企業・恒大集団(エバーグランデ)は2021年12月にデフォルトし、負債約48兆円を抱えました。

2024年1月には清算命令が出され、中国不動産バブル崩壊の象徴となりました。中国は日本の貿易相手国として、日本経済・株価への波及リスクがあります。

2025年の日本の不動産市場:バブルか収益ベースの成長か

2024年公示地価:バブル期以来33年ぶりに2%超えの伸び率

さくら事務所によると、2024年の公示地価は全国平均で前年比2.3%上昇し、バブル期以来33年ぶりに2%超えの伸び率を記録しました。

マイナス金利政策解除(2024年3月)後の価格動向

日銀は2016年1月に導入したマイナス金利政策を2024年3月に解除しました。さくら事務所によると、解除後も金利は大幅上昇せず、価格上昇が継続しています。

イールドギャップ4%台維持:収益性ベースの安定成長と判断

MUSASHIによると、2025年時点でイールドギャップが4%台と高水準を維持しており、収益性ベースの安定した成長と判断されています。

全国的なバブルとは言えませんが、局地的な高騰は見られます。

地域による価格の二極化:好条件物件のみ上昇

地域による価格の二極化が進んでおり、東京や大阪など好条件の物件のみ上昇し、その他の地域では下落する格差拡大が見られます。

時事ドットコムによると、2024年は「品不足から在庫増へ」という変化が見られ、2025年市場では在庫増加の影響が懸念されています。

バブル崩壊の兆候と見極めるポイント

金融引き締め(金利上昇、融資制限)の動向

TOCHUによると、金融引き締め(金利上昇、融資制限)が始まると、融資が出づらくなり不動産価格が下落するリスクが高いです。

金融政策の動向を定期的にチェックすることが重要です。

経済指標の悪化:新規求人数、東証株価指数、住宅着工床面積

以下の経済指標が明らかに悪化している場合は、バブル崩壊の兆候として注意が必要です。

  • 新規求人数: 雇用の悪化は不動産需要の減少につながる
  • 東証株価指数: 株価下落は投資マインドの冷え込みを示す
  • 住宅着工床面積: 新築着工の減少は市場縮小のサイン

イールドギャップの低下:長期金利を下回る状態

イールドギャップが長期金利を下回る状態は、バブルの危険信号です。4%台以上維持できているかが判断基準となります。

局地的な地価上昇と購買力の乖離

マンション価格が一般の購買力を大幅に上回る状態は、顧客がついて来られなくなりバブル崩壊の兆候です。

地域による価格の二極化が進んでおり、好条件の物件のみ上昇、その他は下落する格差拡大のリスクに注意が必要です。

まとめ:投資判断のための重要ポイントと専門家への相談

不動産バブルとは、収益性を無視した値上がり益目当ての投資により、実態にそぐわない価格高騰が起こることです。日本の1990年代バブルは総量規制と金利引き上げで崩壊し、中国の不動産バブルは2020年の融資規制と「値下げ禁止」政策が逆効果で売り急ぎを誘発しました。

2025年の日本市場はイールドギャップ4%台維持で収益性ベースの安定成長と判断されていますが、局地的な高騰は見られます。バブル崩壊の兆候は金利上昇、融資制限、経済指標の悪化など複数の要因を総合的に見る必要があります。

バブルの判定や売却タイミングは個別の状況により異なるため、不動産鑑定士や税理士など専門家への相談を推奨します。

よくある質問

Q1日本は今バブルなのですか?

A1MUSASHIによると、2025年時点ではイールドギャップが4%台と高水準を維持しており、全国的なバブルとは言えません。ただし、東京や大阪など局地的な高騰は見られます。地域による価格の二極化が進んでおり、好条件の物件のみ上昇している状況です。投資判断は個別の状況により異なるため、専門家への相談を推奨します。

Q2バブル崩壊の兆候は何ですか?

A2TOCHUによると、金利上昇、融資制限、新規求人数・株価指数・住宅着工の悪化が主要な兆候です。イールドギャップが長期金利を下回る状態もバブルの危険信号です。マンション価格が一般の購買力を大幅に上回る状態は、顧客がついて来られなくなりバブル崩壊の兆候となります。複数の指標を総合的に見ることが重要です。

Q31990年のバブルと今の違いは何ですか?

A3ゴールドトラストによると、現在は金融環境が改善されており、イールドギャップも確保されているため、1990年のような急激なダメージを受ける可能性は低いと考えられています。1990年は総量規制と金利引き上げ(2.5%→6%)が直接的な引き金となりましたが、現在はそのような急激な金融引き締めは見られません。

Q4中国の不動産バブル崩壊の原因は何ですか?

A4三菱UFJ銀行によると、2020年の融資規制導入と政府の「値下げ禁止」政策が逆効果となり、売り急ぎを誘発したことが主な原因です。恒大集団など大手企業のデフォルトが続き、2024年1月には恒大集団に清算命令が出されました。中国は日本の貿易相手国として、日本経済・株価への波及リスクがあります。

Q52025年に不動産は大暴落しますか?

A52025年問題(団塊世代の高齢化)で空き家増加の懸念はありますが、時事ドットコムによると都市部では価格上昇が継続しています。ただし在庫増加の影響が懸念されており、地域により状況が異なります。バブルの判定や売却タイミングは個別の状況により異なるため、不動産鑑定士や税理士など専門家への相談を推奨します。

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Room Match編集部

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