不動産鑑定士はなくなる?将来性・AI時代の需要・資格の価値を検証

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/2

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「不動産鑑定士はなくなる」という懸念の検証|資格の現状と将来性

不動産鑑定士を目指す方の中には、「AIの進化で不動産鑑定士はなくなるのではないか」「需要が減って将来性がないのでは」と不安を抱える方は少なくありません。

この記事では、不動産鑑定士の資格制度、独占業務、需要動向、AIの影響、代替困難な業務、生き残り戦略を、専門家の見解および業界動向を元に解説します。

不動産鑑定士の将来性を客観的に理解し、資格取得やキャリア選択の判断材料を得られるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産鑑定士の資格は廃止されておらず、国家資格として存続中(2024年現在)
  • 独占業務(不動産鑑定評価書の作成)があり、完全になくなることはない
  • 仕事は減少傾向だが、相続案件・再開発案件は高齢化社会の進展により増加見込み
  • AIで代替困難な分野:現地調査、地域特性の考慮、鑑定評価の背景説明
  • コンサルティング業務へのシフト、都市部での活動、ダブルライセンスで生き残り可能

不動産鑑定士の基礎知識|国家資格・法的根拠・独占業務

(1) 不動産鑑定士とは(法的根拠・資格制度)

不動産鑑定士は不動産の経済価値を適正に評価する国家資格で、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき設立されています。

2006年に受験資格が撤廃されましたが、資格自体は廃止されていません。国土交通省土地鑑定委員会が試験を実施しています。

(2) 独占業務の内容(不動産鑑定評価書の作成)

不動産鑑定士の独占業務は、不動産鑑定士のみが実施できる業務で、公的機関の依頼による土地評価等が該当します。

具体的には、不動産鑑定評価書の作成が独占業務であり、他の資格者(宅建士、不動産コンサルタント等)では実施できません。

この独占業務があるため、完全になくなることはないと考えられています。

(3) 試験制度と実務修習(合格率・取得までの流れ)

不動産鑑定士試験の合格率は以下の通りです。

試験 合格率(2024年)
短答式 約32%
論文式 約14%

(出典: 専門家見解)

試験合格後は、実務修習を受ける必要があります。実務修習は、一定期間の実務研修で、国土交通大臣の登録に必要です。

試験難易度が高く、取得までに時間・費用がかかるため、キャリア選択時には慎重な検討を推奨します。

需要動向とAIの影響|仕事減少の実態と自動化の進展

(1) 登録鑑定士数・受験者数の推移(2024年の実態データ)

業界調査によると、2024年時点で以下の実態が報告されています。

  • 登録鑑定士数: 過去5年で約10%減少
  • 高齢化: 60歳以上が約3割を占める
  • 受験者数: 1,400~1,700名程度(減少傾向)

(出典: 不動産鑑定士の将来性は暗い?AIによる影響も解説【惨状】

登録鑑定士数の減少と高齢化は、業界の縮小を示唆しています。

(2) 需要減少の背景(不動産取引減少・地方の過疎化)

需要減少の背景には、以下の要因があります。

  • 不動産取引減少: 鑑定評価案件も減少傾向
  • 地方の過疎化: 人口減・過疎化で公共事業・大型開発が減少
  • 民間・公的機関からの依頼減少: 地方で特に厳しい

ただし、都市部では再開発・不動産投資市場の活性化により、需要は依然として高い状況です。

(3) AI・自動化技術による業務の一部機械化

AI・自動化技術の進展により、一部業務(データ収集・分析)は機械化される可能性があります。

ただし、後述する「AIで代替困難な業務」も多く存在するため、完全に自動化されることはないと考えられています。

AIで代替困難な業務|現地調査・専門的判断・コンサルティング

(1) 現地調査と地域特性の考慮(人間ならではの判断)

AI時代でも活躍する不動産鑑定士の未来とは?によると、AIでは以下の業務が困難です。

  • 現地調査: 実際に現地を訪問し、建物・周辺環境を確認
  • 地域特性の考慮: 地域の歴史、文化、住民の属性等を考慮
  • 依頼者とのコミュニケーション: ヒアリングを通じた要望の把握

これらは、人間ならではの判断が必要です。

(2) 鑑定評価の背景・理由説明(依頼者とのコミュニケーション)

鑑定評価では、単に価格を算出するだけでなく、その背景・理由を説明することが重要です。

依頼者(個人・法人・公的機関)とのコミュニケーションを通じて、評価の根拠を丁寧に説明する必要があり、AIでは代替困難です。

(3) 不動産コンサルティング業務(投資・土地活用・資産運用)

不動産コンサルティングは、不動産の投資、土地活用、資産運用等に関する助言・提案業務で、鑑定士の新たな業務領域です。

具体的には、以下のサービスを提供できます。

  • 不動産投資のアドバイザリー
  • 土地の有効活用提案
  • 資産運用のコンサルティング

鑑定評価のみでなく、コンサルティング業務へ業務領域を拡大することで、生き残りが可能です。

生き残り戦略とキャリアパス|コンサル業務・都市部での活動・ダブルライセンス

(1) コンサルティング・アドバイザリー業務へのシフト

業界調査によると、コンサルティング・アドバイザリー業務への転換が進んでいます(2024-2025年)。

鑑定評価のみに依存せず、不動産投資、土地活用、資産運用のアドバイザーとして活動することで、需要を拡大できます。

(2) 都市部での活動(再開発・不動産投資市場の活性化)

都市部では、以下の需要が継続しています。

  • 再開発プロジェクト
  • 不動産投資市場の活性化
  • 相続案件の増加(高齢化社会)

地方で需要が減少する一方、都市部では依然として需要が高いため、都市部での活動を検討することをおすすめします。

(3) ダブルライセンス(宅建士・税理士等)による業務領域拡大

ダブルライセンスを取得することで、業務領域を拡大できます。

組み合わせ メリット
不動産鑑定士 + 宅建士 不動産売買仲介との連携
不動産鑑定士 + 税理士 相続税・不動産税務のコンサル
不動産鑑定士 + 中小企業診断士 経営コンサルティングとの連携

複数の資格を活用し、総合的な不動産サービスを提供することで、競争力を高められます。

まとめ|不動産鑑定士の将来性評価と資格取得時の確認事項

不動産鑑定士の資格は廃止されておらず、国家資格として存続中です(2024年現在)。独占業務(不動産鑑定評価書の作成)があり、完全になくなることはありません。

仕事は減少傾向にありますが、相続案件・再開発案件は高齢化社会の進展により増加見込みです。AIで代替困難な分野(現地調査、地域特性の考慮、鑑定評価の背景説明)も多く、コンサルティング業務へのシフトで生き残りが可能です。

資格取得を検討する場合は、最新の市場動向を確認し、専門家(キャリアアドバイザー、現役鑑定士等)への相談を推奨します。地方では需要減少が続く可能性があるため、都市部での活動やダブルライセンスによる業務領域拡大も選択肢として検討してください。執筆時点(2025年)の情報であり、AI・自動化技術の進展により状況は変化する可能性があるため、注意が必要です。

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よくある質問

Q1不動産鑑定士はなくなるのですか?

A1資格自体は廃止されておらず、国家資格として存続中です(2024年現在)。独占業務(不動産鑑定評価書の作成)があり、完全になくなることはありません。ただし仕事の性質は変化し、コンサルティング業務へのシフトが進む見込みです。最新の市場動向は、専門家(キャリアアドバイザー、現役鑑定士等)にご確認ください。

Q2AIに仕事を奪われますか?

A2一部業務(データ収集・分析)は自動化される可能性がありますが、現地調査、地域特性の考慮、依頼者とのコミュニケーション、鑑定評価の背景説明など、AIで代替困難な業務は残ります。コンサルティング業務(不動産投資、土地活用等)へ業務領域を拡大することで生き残りが可能です。

Q3不動産鑑定士に将来性はありますか?

A3地方では需要減少が続きますが、都市部では再開発・不動産投資市場の活性化により需要は依然高い状況です。相続案件・再開発案件は高齢化社会の進展により増加見込みです。試験難易度は高い(短答式32%、論文式14%)ですが、コンサル業務への転換、ダブルライセンス等で将来性を確保できます。詳細は専門家にご相談ください。

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Room Match編集部

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