1. 大阪で不動産売却が注目される理由
(1) 2024年のマンション価格上昇トレンド
不動産売却サポート関西によると、2024年1〜12月で大阪のマンション平均価格が約1.5万円/月のペースで上昇しました。
HOME4Uによると、2023年10月〜2024年4月の大阪マンション価格上昇率は1.5%で、東京と並び世界主要都市で最高の上昇率となりました。
この背景には、2025年大阪万博やIR(統合型リゾート)計画への期待があります。
(2) 大阪万博・IR計画の影響
2025年に大阪・関西で開催される国際博覧会、およびカジノを含む統合型リゾート(IR)の開発計画が、大阪の不動産市場に影響を与えています。
特に中心6区(中央・北・西・福島・天王寺・浪速)で価格上昇が顕著で、これらのエリアでは売却を検討する好機となる可能性があります。
ただし、実需と乖離した高値設定は売れ残りリスクがあるため、適正価格の見極めが重要です。
2. 大阪の不動産市況と売却相場
(1) マンション売却相場(27.5〜32.9万円)
SUUMOによると、大阪府のマンション売却価格は27.5万円(2025年10月時点)が平均です。
長谷工の仲介によると、大阪市のマンション価格は2020年30.15万円から2023年36.92万円に上昇しました。
| エリア | 平均価格(万円/㎡) | 備考 |
|---|---|---|
| 大阪市中央区 | 50〜60万円程度 | 高級マンションが多い |
| 大阪市北区 | 40〜50万円程度 | オフィス街、梅田周辺 |
| 大阪市西区 | 35〜45万円程度 | 居住人気エリア |
| 大阪市天王寺区 | 35〜40万円程度 | 交通利便性が高い |
| 大阪市郊外 | 20〜30万円程度 | エリアにより差が大きい |
※執筆時点(2025年)の参考値。実際の相場は築年数・間取り・物件状態により大きく異なります。
(2) 戸建て売却相場(23.8万円)
SUUMOによると、大阪府の戸建て売却相場は23.8万円(2024年時点)が目安です。
戸建ては築年数による価格下落が大きく、土地の価値が主要な評価要素となります。
(3) 土地売却相場(39.31万円)
大阪府の平均土地単価は19.17万円/㎡(2024年)ですが、大阪市内の商業地では39.31万円(2024年時点)に達する場合があります。
土地の価格は立地(駅距離、商業施設の近接性等)により大きく異なるため、個別の査定が不可欠です。
(4) エリア別の価格差(中心6区と郊外)
大阪市は中心6区(中央・北・西・福島・天王寺・浪速)と郊外で価格差が大きいです。
中心6区では2024年に特に高い価格上昇が見られ、郊外エリアとの価格差が拡大しています。
3. 不動産売却の流れとステップ
(1) ステップ1:相場調査
大阪市不動産売却.comによると、売却の第一歩は相場調査です。
SUUMO、HOME4U等のポータルサイトで、所有物件と条件が近い物件の売却価格を調べます。
エリア、築年数、間取り、駅距離等の条件を合わせることで、おおよその相場を把握できます。
(2) ステップ2:不動産会社に査定依頼(無料)
複数の不動産会社に査定を依頼します。査定は無料で、今すぐ売却予定がなくても依頼可能です。
複数社に依頼することで、適正価格の把握と条件比較ができます。
(3) ステップ3:媒介契約(専属専任・専任・一般)
査定結果を比較し、信頼できる不動産会社を選んで媒介契約を締結します。
媒介契約の種類:
- 専属専任媒介: 1社のみに依頼。自己発見取引も不可。レインズ登録義務あり。
- 専任媒介: 1社のみに依頼。自己発見取引は可。レインズ登録義務あり。
- 一般媒介: 複数社に依頼可。レインズ登録義務なし。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、宅地建物取引士に相談しながら選択することを推奨します。
(4) ステップ4:売却活動
不動産会社が買主を探す活動を開始します。物件情報の公開、内覧対応等を行います。
売却期間は物件により異なりますが、一般的には3〜6ヶ月が目安です。
(5) ステップ5:売買契約・手付金受領
買主が見つかれば、売買契約を締結します。この時点で手付金(通常は売買価格の5〜10%)を受領します。
手付金は契約の証として、買主から売主に支払われる金銭です。
(6) ステップ6:引渡し(残代金受領・鍵の引渡し)
引渡し時には、残代金の受領、抵当権の抹消、固定資産税の日割り精算、鍵の引渡し等を行います。
抵当権が残っている場合は、売却前に完済が必要です(買主に担保付きで引き渡せないため)。
4. 売却にかかる費用と税金
(1) 仲介手数料(法定上限:物件価格の3%+6万円+消費税)
仲介手数料は不動産会社に支払う手数料で、法定上限は以下の通りです。
計算式: 物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税
例: 3,000万円の物件の場合
- (3,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1 = 105.6万円
業者により割引がある場合もあるため、複数社比較を推奨します。
(2) 譲渡所得税(短期5年以内39.63%、長期5年超20.315%)
不動産売却時の利益(譲渡所得)には税金がかかります。税率は所有期間により異なります。
| 所有期間 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|
| 短期(5年以内) | 39.63% | 所得税30.63%+住民税9% |
| 長期(5年超) | 20.315% | 所得税15.315%+住民税5% |
譲渡所得税の計算は複雑なため、税理士への相談を推奨します。
(3) 抵当権抹消費用・登記費用
抵当権抹消には登録免許税(不動産1個につき1,000円)と司法書士費用(1〜3万円程度)がかかります。
(4) 固定資産税の日割り精算
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課されるため、売却時には日割りで買主と精算します。
5. 高く売るコツと業者選びのポイント
(1) 複数の不動産会社に査定依頼
複数社に査定を依頼することで、適正価格の把握と条件比較ができます。
1社のみでは、査定価格が適正かどうか判断できません。最低でも3社以上に依頼することを推奨します。
(2) 適正価格の設定(実需と乖離しない)
2024年は大阪万博・IR計画期待で価格上昇傾向ですが、実需と乖離した高値設定は売れ残りリスクがあります。
査定結果と市場動向を踏まえ、適正価格を設定することが重要です。
(3) 地元実績と顧客評価で業者を比較
不動産会社選びでは、地元実績(大阪での売却件数)と顧客評価(口コミ、顧客満足度)を比較します。
仲介手数料も重要な比較ポイントです。法定上限内で割引がある場合もあります。
(4) 抵当権が残っている場合の対応
抵当権が残っている場合は、売却前に完済が必要です。
ローン残債 > 売却価格の場合は、任意売却等の検討が必要です。金融機関や宅地建物取引士に相談することを推奨します。
6. まとめ:大阪で不動産を適正価格で売却するために
大阪の不動産市場は、2024年に月1.5万円ペースでマンション価格が上昇し、2025年大阪万博・IR計画の影響で中心6区の価格上昇が顕著です。
マンション売却相場は27.5〜32.9万円、戸建て23.8万円、土地39.31万円が目安ですが、エリア・築年数・間取りにより大きく異なるため、個別の査定が不可欠です。
売却手順は①相場調査→②査定依頼→③媒介契約→④売却活動→⑤売買契約・手付金受領→⑥引渡しの6ステップです。複数の不動産会社に査定を依頼し、適正価格の把握と条件比較を行いながら、宅地建物取引士や税理士に相談することを推奨します。
