温泉付き戸建てを格安で購入する方法:1円物件の実態とリスク
温泉付き戸建てや格安物件(1円物件含む)に興味がある方にとって、「本当に1円で購入できるのか」「維持費やリフォーム費用はどれくらいかかるのか」は大きな疑問です。2024年4月時点で全国972件の無償譲渡物件が掲載されており、温泉付き物件も含まれています。しかし、購入価格が1円でも、総費用は数百万円に達するケースがあります。
この記事では、1円物件・格安物件の実態、温泉付き戸建ての探し方、購入時の隠れたコスト、リスクと注意点を、国土交通省の空き家対策情報を元に解説します。
初めて格安物件の購入を検討する方でも、リスクを理解し、無理のない資金計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 1円物件でも購入後の税金・手続き費用で約30万円、リフォーム費用は数十万円~数百万円必要
- 所有者が管理費・固定資産税・温泉使用料の負担を回避するため、無償譲渡している
- 温泉付き物件の維持費は月額数千円~の温泉使用料、年間10万円程度の別荘管理費が発生
- 築30年以上の老朽化物件が多く、シロアリ被害・雨漏り・傾きなどの隠れた欠陥がある可能性が高い
- 2024年4月時点で全国972件、関東242件の無償譲渡物件が掲載
なぜ温泉付き戸建てが1円で売られているのか:格安物件の背景
所有者が管理費・固定資産税を回避するための無償譲渡
温泉付き戸建てが1円で売られる最大の理由は、所有者が管理費・固定資産税・温泉使用料などの継続的な負担を回避するためです。別荘地の物件は年間数十万円の維持費がかかり、使用頻度が低い場合は「売却価格を下げてでも手放したい」と考える所有者が多くなります。
別荘地の過疎化・維持費負担の増大
別荘地は高度経済成長期に開発されましたが、現在は過疎化が進み、管理費の負担が増大しています。温泉付き物件は特に維持費が高額で、配管・ポンプのメンテナンス費用も必要です。
温泉付き物件特有の維持コスト:配管・ポンプのメンテナンス
温泉付き物件は、温泉権(温泉を利用する権利)の購入費用、月額数千円~の温泉使用料、配管・ポンプのメンテナンス費用が発生します。源泉所有型の場合、初期費用100万円程度(温泉権購入・設備更新時)が必要になる場合もあります。
1円物件・格安物件の実態と市場動向:2024年最新データ
2024年4月時点の供給状況:全国972件、関東242件
2024年4月時点で「みんなの0円物件」に全国972件、関東242件の無償譲渡物件が掲載されています。所有者が管理費・固定資産税を回避するため、無償譲渡する物件が増加しています。
主要な立地エリア:東京都多摩地域、千葉県外房・南房総、埼玉県秩父
1円物件は交通アクセスが悪い山間部、過疎化が進む地域、リゾート地の別荘地に多く存在します。関東エリアでは以下の地域に集中しています。
| 地域 | 特徴 |
|---|---|
| 東京都多摩地域 | 都心から離れた山間部 |
| 千葉県外房・南房総 | 海沿いの別荘地 |
| 埼玉県秩父 | 山間部の別荘地 |
物件の特徴:築30年以上が大半、交通アクセスが悪い立地
1円物件は築30年以上の老朽化物件が大半で、シロアリ被害・雨漏り・傾きなどの隠れた欠陥がある可能性が高いです。交通アクセスが悪く、スーパーが遠い、崖の麓など災害リスクがある場所に位置する物件も多くあります。
実例紹介:静岡県東伊豆町の温泉付き別荘(3LDK+地下倉庫)
実際の1円物件の事例として、静岡県東伊豆町の温泉付き別荘(3LDK+地下倉庫)があります。この物件は、所有者が購入時700万円、リフォーム600万円を投じた物件で、25年間愛用した後、1円で譲渡されています。
温泉付き戸建て・格安物件の探し方:空き家バンク活用術
主要な探し方・サイト:みんなの0円物件、空き家ゲートウェイ、LIFULL HOME'S 空き家バンク、アットホーム 空き家バンク
1円物件・格安物件を探す場合、以下の専門サイトを活用しましょう。
- みんなの0円物件: 無償譲渡物件の専門サイト(2024年4月時点で全国972件)
- 空き家ゲートウェイ: 全国の空き家物件を集約
- LIFULL HOME'S 空き家バンク: 大手不動産サイトの空き家バンク
- アットホーム 空き家バンク: 全国の空き家バンクから物件を検索可能
自治体の空き家バンクの活用方法
地方自治体が運営する空き家バンクも活用しましょう。自治体によっては、空き家購入・リノベーションに対する補助金制度を提供しており、初期費用を軽減できます。
温泉付き物件の探し方:源泉所有型vs引湯型の違い
温泉付き物件には、源泉所有型と引湯型があります。
| 種類 | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| 源泉所有型 | 自分で源泉を所有 | 初期費用100万円程度、維持費高め |
| 引湯型 | 共同源泉から引湯 | 月額数千円~の温泉使用料 |
補助金制度の活用:空き家購入・リノベーション補助金
地方自治体が空き家購入・リノベーションに対する補助金制度を拡充しており、初期費用を軽減できます。補助金の有無は自治体により異なるため、購入前に確認しましょう。
購入時の隠れたコスト:リフォーム費・維持費・税金の実態
購入時の諸費用:不動産取得税・登録免許税で約30万円
国税庁によると、1円物件でも以下の税金・手続き費用が発生します。
| 項目 | 金額目安 |
|---|---|
| 不動産取得税 | 固定資産税評価額の3%(軽減措置あり) |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額の2% |
| 司法書士費用 | 5~10万円 |
| 合計 | 約30万円 |
リフォーム費用:数十万円~数百万円(老朽化の程度による)
築30年以上の老朽化物件は、大規模リフォームが前提です。リフォーム費用は物件の状態により数十万円~数百万円に達します。
| リフォーム内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 水回り(キッチン・浴室・トイレ) | 50~200万円 |
| 外壁・屋根 | 100~300万円 |
| 内装全体 | 50~150万円 |
| シロアリ駆除・雨漏り修理 | 30~100万円 |
継続的な維持費:固定資産税・温泉使用料(月額数千円~)・別荘管理費(年間10万円程度)
1円物件でも、以下の継続的な維持費が発生します。
| 項目 | 金額目安 |
|---|---|
| 固定資産税 | 年間数万円~数十万円 |
| 温泉使用料 | 月額数千円~ |
| 別荘管理費 | 年間10万円程度 |
温泉設備の維持コスト:配管・ポンプのメンテナンス、初期費用100万円
温泉設備は配管・ポンプのメンテナンス費用が発生します。源泉所有型の場合、初期費用100万円程度(温泉権購入・設備更新時)が必要になる場合もあります。
総費用の試算例:1円物件でも総額数百万円になるケース
1円物件の総費用の試算例は以下の通りです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 購入価格 | 1円 |
| 諸費用(税金・手続き費用) | 30万円 |
| リフォーム費用 | 200万円 |
| 初年度維持費 | 20万円 |
| 合計 | 約250万円 |
1円物件のリスクと注意点:老朽化・立地・法規制を徹底解説
建物の老朽化リスク:シロアリ被害・雨漏り・傾きなどの隠れた欠陥
築30年以上の老朽化物件は、シロアリ被害・雨漏り・傾きなどの隠れた欠陥がある可能性が高いです。購入前にホームインスペクション(建物状況調査)を実施し、欠陥の有無を確認しましょう。
立地条件のリスク:交通アクセスが悪い、スーパーが遠い、崖の麓など災害リスク
1円物件は立地条件が悪く、交通アクセスが悪い、スーパーが遠い、崖の麓など災害リスクがある場所に位置する物件が多いです。購入前に周辺環境を確認し、日常生活が不便でないかをチェックしましょう。
法規制のリスク:建築基準法違反(建ぺい率・容積率超過)、再建築不可(接道2m未満)
格安物件は、建築基準法違反(建ぺい率・容積率超過)や再建築不可(接道2m未満)の物件も含まれます。再建築不可の場合、建物を取り壊すと新たに建築できないため、購入前に必ず確認しましょう。
ホームインスペクション(建物状況調査)の実施
購入前にホームインスペクション(建物状況調査)を実施し、建物の劣化状況・欠陥の有無を専門家(建築士等)に調査してもらうことを強く推奨します。
瑕疵保険の加入検討
瑕疵保険(建物の欠陥を補償する保険)の加入を検討しましょう。購入後に発覚した欠陥のリスクを軽減できます。
まとめ:成功するためのチェックリストと専門家への相談
温泉付き戸建て・格安物件(1円物件)は、購入価格が1円でも、購入後の税金・手続き費用で約30万円、リフォーム費用は数十万円~数百万円必要です。温泉付き物件の維持費は月額数千円~の温泉使用料、年間10万円程度の別荘管理費が発生します。
築30年以上の老朽化物件が多く、シロアリ被害・雨漏り・傾きなどの隠れた欠陥がある可能性が高いため、購入前にホームインスペクション(建物状況調査)を実施しましょう。立地条件も確認し、交通アクセス・災害リスク・日常生活の利便性を総合的に判断してください。
まずは「みんなの0円物件」「アットホーム 空き家バンク」等で物件を検索し、気になる物件があれば現地見学を予約しましょう。宅建士・建築士・税理士などの専門家に相談しながら、無理のない資金計画を立て、リスクを理解した上で購入を検討してください。
