大分市で土地を探している方へ
「大分市で土地を購入したいけれど、相場はいくらなのか」「どのエリアを選ぶべきか」「購入時に注意すべき点は何か」と疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、大分市の土地価格相場、エリア別の特性、土地選びのポイント、購入時の注意点を、公的データと実務的な視点から解説します。
この記事を読むことで、大分市の土地市場を理解し、自分の目的に合った土地を選び、無理のない予算で購入できるようになります。
この記事のポイント
- 2024年第1四半期の大分市の土地平均取引価格は7万3,089円/m²(坪単価24万1,618円)で、前年比+20.64%と上昇傾向
- エリアにより価格差が大きく、大分駅周辺が18万6,350円/m²、郊外の幸崎駅周辺が1万3,900円/m²
- 用途地域により建築可能な建物の種類・規模が制限されるため、事前確認が必須
- 接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接すること)を満たさない土地は原則建築不可
- 専門家(不動産業者、土地家屋調査士、建築士等)への相談を推奨
大分市の土地市場の特徴と価格動向
(1) 2024-2025年の地価動向(住宅地+3.78%、商業地+1.88%)
2024年の大分市の公示地価は、すべての用途で上昇しています。
| 用途 | 2024年平均価格 | 前年比 |
|---|---|---|
| 住宅地 | 5万7,345円/m² | +3.78% |
| 商業地 | 13万4,073円/m² | +1.88% |
| 工業地 | 3万550円/m² | +0.99% |
(出典: 地価公示 2024年 大分市)
大分市は大分県内で地価ランキング1位(平均5万7,300円/m²、前年比+4.18%)を記録しており、県内で最も地価が高いエリアです。
(2) 実際の取引価格の推移(前年比+20.64%)
公示地価は標準地の価格ですが、実際の取引価格はさらに高い上昇率を示しています。
| 時期 | 平均取引価格 | 前年比 |
|---|---|---|
| 2024年第1四半期 | 7万3,089円/m²(坪単価24万1,618円) | +20.64% |
(出典: 大分市の土地価格相場(2025年))
この上昇率は公示地価の約5倍で、実需の強さを示しています。2025年も地価上昇傾向が継続する見通しです。
(3) 大分市の土地価格相場(7万3,089円/m²、坪単価24万1,618円)
大分市の土地価格は、エリアにより大きく異なります。
主要エリアの価格帯:
- 大分駅周辺: 18万6,350円/m²(最高価格帯)
- 市街地中心部: 10万〜15万円/m²
- 住宅地エリア: 5万〜10万円/m²
- 郊外エリア: 1万〜5万円/m²
- 幸崎駅周辺: 1万3,900円/m²(最低価格帯)
(出典: 大分市の土地価格相場(2025年))
このように、エリアにより価格が約13倍異なるため、予算と目的に応じたエリア選びが重要です。
エリア別の相場と特性
(1) 大分駅周辺エリア(最高価格帯:18万6,350円/m²)
大分駅周辺は、大分市で最も地価が高いエリアです。
特徴:
- JR大分駅直結の利便性
- 商業施設、オフィス、マンションが集積
- 商業地としての需要が高い
- 住宅用地としては高価格で、注文住宅には不向き
向いている用途:
- 商業施設、オフィス、賃貸マンション等の投資用地
(2) 郊外エリアの価格帯(幸崎駅周辺:1万3,900円/m²等)
郊外エリアは、価格が低く、広い土地を確保しやすいエリアです。
特徴:
- 価格が低く、予算を抑えられる
- 広い敷地を確保しやすい
- 駅から距離があり、車が必須
- インフラ整備状況の確認が必要
向いている用途:
- 注文住宅(広い敷地を希望する場合)
- 農地転用後の住宅用地
(3) 市街化区域と市街化調整区域の違い
大分市には「市街化区域」と「市街化調整区域」があり、建築の可否が大きく異なります。
| 区域 | 内容 | 建築の可否 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 既に市街地を形成している区域、または10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域 | 原則として建築可能 |
| 市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域 | 原則として建築制限あり(農家住宅等の例外あり) |
(出典: 大分市「大分市の都市計画現況(令和6年度版)」)
市街化調整区域の土地は、価格が低いですが、原則として建築ができないため、購入前に必ず用途地域を確認することが重要です。
(4) 住宅地・商業地・工業地の用途別相場
用途別の相場は以下の通りです。
| 用途 | 平均価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| 住宅地 | 5万7,345円/m² | 住宅の建築が中心。用途地域により建築制限が異なる |
| 商業地 | 13万4,073円/m² | 商業施設、オフィス等が中心。利便性が高く、価格も高い |
| 工業地 | 3万550円/m² | 工場、倉庫等が中心。住宅には不向き |
(出典: 地価公示 2024年 大分市)
土地選びのポイントと用途地域の確認
(1) 用途地域の種類と建築制限(13種類の用途地域)
用途地域は、都市計画法に基づき、土地の利用目的を定めた地域区分で、13種類あります。
住居系(7種類):
- 第一種低層住居専用地域: 低層住宅専用。静かな環境。
- 第二種低層住居専用地域: 低層住宅中心。小規模な店舗可。
- 第一種中高層住居専用地域: 中高層住宅専用。
- 第二種中高層住居専用地域: 中高層住宅中心。店舗・事務所可。
- 第一種住居地域: 住宅中心。大規模店舗・事務所も可。
- 第二種住居地域: 住宅と店舗・事務所が混在。
- 準住居地域: 道路沿いの住宅・店舗。
商業系(2種類):
- 近隣商業地域: 近隣の日用品店舗。
- 商業地域: 商業・業務の中心。
工業系(3種類):
- 準工業地域: 軽工業中心。住宅も可。
- 工業地域: 工業専用。住宅は可だが環境に注意。
- 工業専用地域: 工業専用。住宅不可。
その他(1種類):
- 田園住居地域: 農業と調和した低層住宅。
用途地域により、建築できる建物の種類・規模が厳格に制限されるため、購入前に必ず確認することが重要です。
(2) 建ぺい率・容積率の確認方法
建ぺい率:
- 敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見た面積)の割合
- 用途地域ごとに上限が定められている(30%〜80%)
容積率:
- 敷地面積に対する延べ床面積(各階の床面積の合計)の割合
- 用途地域ごとに上限が定められている(50%〜1300%)
確認方法:
- 大分市の「おおいたマップ」で確認可能
- 大分市都市計画課(本庁舎7階)で図書閲覧可能
(3) 「おおいたマップ」での都市計画情報確認
大分市では、「おおいたマップ」というオンラインサービスで、用途地域や都市計画情報を確認できます。
確認できる情報:
- 用途地域
- 市街化区域・市街化調整区域の区別
- 建ぺい率・容積率
- 防火地域・準防火地域
(出典: 大分市「用途地域や都市計画区域の確認」)
土地購入前に必ず確認し、建築可能な建物を把握しておくことを推奨します。
(4) インフラ整備状況(上下水道、電気、ガス等)
土地購入時には、インフラ整備状況を確認することが重要です。
確認すべきインフラ:
- 上下水道: 公営水道・下水道が整備されているか。未整備の場合は井戸・浄化槽が必要。
- 電気: 電柱・電線が整備されているか。引き込み工事が必要か。
- ガス: 都市ガスが通っているか。未整備の場合はプロパンガス。
- 道路: 幅員4m以上の道路に接しているか(接道義務)。
インフラ未整備の土地は、追加工事費用が発生するため、事前に確認し、予算に組み込むことが重要です。
購入時の注意点と法的チェック項目
(1) 接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接すること)
建築基準法では、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならないという接道義務があります。
接道義務を満たさない土地:
- 原則として建築不可
- 既存の建物を建て替える場合も不可
接道義務を満たさない土地は、価格が低くても建築できないため、購入前に必ず確認することが重要です。
(2) 境界確定・測量の必要性と費用
土地購入時には、境界が確定しているかを確認することが重要です。
境界確定とは:
- 隣地との境界を明確にすること
- 境界標(杭)が設置されているか
- 境界確定測量図があるか
境界未確定の土地:
- 隣地との境界トラブルのリスク
- 測量費用(30万〜100万円程度)が追加で発生
境界が未確定の場合は、購入前に売主負担で境界確定測量を行うよう交渉することを推奨します。
(3) 地盤調査の重要性(地盤改良費用のリスク)
土地購入後、建築前には地盤調査を行います。
地盤調査で判明するリスク:
- 地盤が軟弱な場合、地盤改良工事が必要
- 地盤改良費用: 数十万円〜数百万円
地盤調査の時期:
- 土地購入前に地盤調査を行うことは稀
- 購入後、建築前に実施
地盤が軟弱なエリアの場合、予算に地盤改良費用を組み込んでおくことを推奨します。
(4) 税金・諸費用(不動産取得税、固定資産税、仲介手数料等)
土地購入時には、以下の税金・諸費用が発生します。
| 項目 | 内容 | 目安額 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社への成功報酬(物件価格×3%+6万円+消費税が上限) | 物件価格の3〜4% |
| 不動産取得税 | 土地取得時に都道府県に納める税金(固定資産税評価額×税率) | 固定資産税評価額の3%(軽減措置あり) |
| 登記費用 | 所有権移転登記の費用(司法書士報酬含む) | 5〜15万円 |
| 測量費 | 境界確定測量が必要な場合 | 30〜100万円 |
| 地盤改良費 | 地盤が軟弱な場合 | 数十万円〜数百万円 |
これらの諸費用は、物件価格の5-10%程度が目安です。予算に組み込んでおくことを推奨します。
購入後も、毎年固定資産税と都市計画税が課税されます。
まとめ:大分市で土地を選ぶ際の重要ポイント
(1) 価格相場の把握と予算設定
大分市の土地価格は、エリアにより大きく異なります(大分駅周辺18万6,350円/m² vs 郊外1万3,900円/m²)。
- 公的データ(地価公示、不動産取引価格情報)で相場を把握
- 諸費用(仲介手数料、税金、測量費、地盤改良費等)を予算に組み込む
- 無理のない予算設定で、長期的な資金計画を立てる
(2) 用途地域・法規制の事前確認
用途地域により、建築可能な建物の種類・規模が厳格に制限されます。
- 「おおいたマップ」で用途地域・建ぺい率・容積率を確認
- 市街化調整区域は原則建築制限あり
- 接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接すること)を満たすか確認
- 境界確定の有無、地盤状態、災害リスク(洪水・土砂災害等)を確認
(3) 専門家への相談タイミング
土地購入は高額な取引であり、法的・専門的な知識が必要です。以下のような場合は、専門家への相談を推奨します。
- 不動産業者: 市場相場、エリア特性、物件の紹介
- 土地家屋調査士: 境界確定測量、地積測量図の作成
- 建築士: 建築可能な建物の設計、地盤調査の手配
- 宅地建物取引士: 契約書の内容確認、重要事項説明
- 税理士: 不動産取得税、固定資産税の計算
信頼できる専門家と相談しながら、無理のない土地購入を進めましょう。
