なぜ近くの不動産会社を選ぶべきなのか
物件探しをする際、「住みたい場所の近くの不動産会社に行くべきなのか」「大手チェーンでも同じではないか」と迷う方は少なくありません。実際、REINS(不動産流通標準情報システム)により、ほとんどの不動産会社が同じ物件データベースにアクセスできるため、どこの会社でも同じ物件を紹介できます。
しかし、近くの不動産会社を利用することで、地域の詳細情報、未掲載物件へのアクセス、効率的な内覧、入居後のサポートなど、多くのメリットがあります。特に初めての引っ越しや、地域に詳しくない方にとっては、地元の情報に精通した不動産会社の存在は大きな助けになります。
この記事では、近くの不動産会社を選ぶメリット、効果的な探し方、選定ポイント、注意点を解説します。状況に応じた適切な不動産会社の選び方を理解できるようになります。
この記事のポイント
- 近くの不動産会社は地域の治安・商店街・通勤ラッシュなど現地特有の情報に精通している
- 自社管理物件など、SUUMOやHOME'Sに未掲載の物件を紹介できることがある
- 内覧が効率的に進められ、1日で2-3件の物件を見学できる
- アットホームやハトマークサイトなどのポータルで地域・駅から検索可能
- 地域密着型は特定エリアに強い反面、広範囲での物件探しには不向きな場合がある
近くの不動産会社を選ぶメリット
近くの不動産会社を利用することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
(1) 地域の詳細情報を得られる
近くの不動産会社は、地域の特性や現地の人しか知らない情報を持っています。
地域情報の例:
- 治安: 夜間の人通り、街灯の数、事件の有無など
- 商店街: スーパー、コンビニ、病院、学校の位置と営業時間
- 通勤ラッシュ: 最寄り駅の混雑状況、始発駅の有無
- 騒音: 線路、幹線道路、工場などの騒音の実態
- 将来の開発計画: 駅前再開発、大型商業施設の建設予定など
これらの情報は、物件情報サイトには載っていないことが多く、実際に住んでみないと分からないことばかりです。地元の不動産会社であれば、こうした「生の情報」を提供できます。
(2) 未掲載物件へのアクセス
地域密着型の不動産会社は、自社管理物件を持っている場合があります。自社管理物件とは、不動産会社が直接管理している物件で、SUUMOやHOME'Sなどの大手ポータルサイトに未掲載のケースがあります。
未掲載物件のメリット:
- 競争が少ないため、良い条件で契約できる可能性がある
- 入居審査がスムーズに進みやすい
- 直接管理しているため、家賃交渉や契約条件の相談がしやすい
ただし、REINSデータベースでほとんどの物件情報は共有されているため、未掲載物件は全体の一部に過ぎません。期待しすぎず、選択肢の一つとして考えるのが良いでしょう。
(3) 効率的な内覧
近くの不動産会社を利用すると、内覧が効率的に進められます。
効率性のメリット:
- 移動時間が少なく、1日で2-3件の物件を見学できる
- 店舗と物件が近いため、追加で見たい物件があればすぐに対応可能
- 現地案内がスムーズで、待ち時間が少ない
遠方の不動産会社を利用すると、店舗への移動時間だけで数時間かかり、内覧できる物件数が限られてしまいます。
(4) 入居後のサポート
近くの不動産会社、特に自社管理物件を扱っている会社の場合、入居後のサポートが充実しています。
サポート内容:
- 設備トラブル: 給湯器故障、鍵の紛失、水漏れなど、営業時間内にすぐ相談できる
- 騒音トラブル: 隣人の騒音や共用部分の問題を迅速に対応
- 契約更新: 更新手続きや家賃交渉がスムーズ
初めての一人暮らしや、地域に詳しくない方にとって、入居後のサポートがあることは大きな安心材料になります。
効果的な探し方
近くの不動産会社を効率的に見つけるには、以下の方法が効果的です。
(1) 不動産ポータルサイトで検索
主要な不動産ポータルサイトでは、エリア・駅・路線から不動産会社を検索できます。
主要ポータルサイト:
| サイト名 | 特徴 |
|---|---|
| アットホーム | エリア・駅・路線・地図から不動産会社を検索可能 |
| ハトマークサイト | 全国の不動産会社を都道府県別に検索できる公式ポータル |
| SUUMO | 大手ポータル、不動産会社情報も充実 |
| HOME'S | 賃貸・売買両方に対応 |
検索のコツ:
- 住みたいエリアの駅名を入力
- 営業時間やサービス内容でフィルタリング
- 店舗の写真や口コミをチェック
(2) Googleレビューで検索
Googleレビューで「[地域名 不動産屋]」や「近くの不動産屋」と検索すると、近隣の不動産会社を手軽に見つけられます。
Googleレビューのメリット:
- 実際の利用者の口コミを確認できる
- 評価の高い会社を優先的にチェックできる
- 営業時間や電話番号がすぐに分かる
注意点:
- 極端に良い・悪いレビューは信頼性を慎重に判断する
- レビュー数が少ない会社は、複数の情報源で確認する
(3) ハトマークサイトなど公式サイトを活用
ハトマークサイトは、全国宅地建物取引業協会連合会が運営する公式ポータルサイトです。公的な情報源として信頼性が高く、全国の不動産会社を都道府県別に検索できます。
公式サイトのメリット:
- 宅地建物取引業の免許を持つ会社のみが掲載されている
- 悪質な業者が排除されており、安心して利用できる
良い不動産会社を見分けるポイント
近くの不動産会社を見つけたら、以下のポイントで信頼できる会社かどうかを見極めましょう。
(1) 物件のデメリットも伝えてくれる
信頼できる不動産会社の最大の特徴は、物件のデメリットも正直に伝えてくれることです。
デメリットの例:
- 周辺の騒音(線路、幹線道路、工場等)
- 日当たりの悪さ
- 将来の修繕費(築年数が古い物件)
- 地域の治安の問題
良い不動産会社は、メリットだけでなくデメリットも含めて総合的に提案してくれます。デメリットを隠す会社は、契約後にトラブルになるリスクが高いため避けるべきです。
(2) REINSデータベースの活用状況
REINS(不動産流通標準情報システム)は、ほとんどの不動産会社が同じ物件データベースにアクセスできる仕組みです。つまり、会社によって扱っている物件に大きな差はないのが実情です。
重要なのは、会社がどのように物件を提案してくれるか、対応力やサービスの質です。
チェックポイント:
- 希望条件を丁寧にヒアリングしてくれるか
- 複数の選択肢を提示してくれるか
- 強引に契約を迫らないか
(3) 地域密着型と大手チェーンの違い
地域密着型と大手チェーンにはそれぞれメリット・デメリットがあります。
地域密着型のメリット:
- 特定エリアの詳細情報に精通
- 自社管理物件など未掲載物件へのアクセス
- 柔軟な対応、個別ニーズに応えやすい
地域密着型のデメリット:
- 広範囲での物件探しには不向き
- 担当者の質にばらつきがある場合がある
大手チェーンのメリット:
- 全国ネットワークで広範囲の物件探しが可能
- サービスの標準化、担当者の質が安定
- ブランド力があり、安心感がある
大手チェーンのデメリット:
- 地域特有の細かい情報に弱いケースがある
- マニュアル通りの対応で、柔軟性に欠ける場合がある
使い分け:
- 特定エリアで探す: 地域密着型
- 広範囲で探す: 大手チェーン
- 転勤が多い: 大手チェーン
(4) 複数社を比較する
近くの不動産会社でも、複数社を比較することが重要です。
比較すべきポイント:
- 提案される物件の質
- 担当者の対応(レスポンスの速さ、説明の丁寧さ)
- 仲介手数料やその他の費用
- 契約条件の柔軟性
複数社を比較することで、より良い条件で契約できる可能性が高まります。
近くの不動産会社選びの注意点
近くの不動産会社を利用する際、以下の注意点を押さえておきましょう。
(1) 全ての物件を扱っているわけではない
REINSデータベースでほぼ同じ物件にアクセスできるとはいえ、不動産会社によって得意分野や対応範囲が異なります。
対応範囲の例:
- 賃貸専門 / 売買専門
- ファミリー向け / 単身者向け
- 高級物件専門 / 手頃な物件中心
そのため、複数の不動産会社に問い合わせて、幅広い選択肢を確保することを推奨します。
(2) 広範囲での物件探しには不向きな場合がある
地域密着型の不動産会社は、特定エリアに特化している反面、広範囲での物件探しには不向きな場合があります。
広範囲で探す場合の対応:
- 複数のエリアに店舗を持つ大手チェーンを利用
- 各エリアごとに地域密着型の会社に問い合わせる
- オンライン内覧サービスを活用する
(3) 遠方からの引っ越しの場合の対応
遠方からの引っ越しで現地訪問が難しい場合、以下の対応を確認しましょう。
確認すべきサービス:
- オンライン内覧(ビデオ通話で物件を案内)
- メール・電話での契約手続き
- 郵送での契約書のやり取り
- 鍵の郵送サービス
オンライン対応が充実している会社を選ぶことで、遠方からでもスムーズに契約を進められます。
まとめ:状況別の選び方
近くの不動産会社を利用することで、地域の詳細情報、未掲載物件へのアクセス、効率的な内覧、入居後のサポートなど、多くのメリットがあります。特に初めての引っ越しや、地域に詳しくない方にとっては、地元の情報に精通した不動産会社の存在は大きな助けになります。
アットホームやハトマークサイトなどのポータルサイトで地域・駅から検索し、Googleレビューで口コミを確認することで、信頼できる会社を見つけられます。物件のデメリットも正直に伝えてくれる会社を選び、複数社を比較することで、より良い条件で契約できます。
地域密着型は特定エリアに強く、大手チェーンは広範囲の物件探しに向いています。状況に応じて使い分け、納得のいく物件探しを実現しましょう。遠方からの引っ越しの場合は、オンライン内覧やメール対応が充実している会社を選ぶことを推奨します。
