住宅ローン審査期間の目安:事前審査と本審査の標準的な日数
住宅ローンの審査結果を待つ期間は、申込者にとって不安な時間です。特に本審査が予想より長引くと、「落ちるのではないか」と心配になる方も多いでしょう。しかし、審査期間が長いからといって必ずしも落ちるわけではありません。
この記事では、住宅ローン審査期間の目安、本審査が長引く理由、審査が長い場合の落ちる可能性、本審査承認後の注意点、対処法を解説します。住宅金融支援機構の審査ガイドや金融機関の公式情報を元に、失敗しない住宅ローン申し込みのポイントをお伝えします。
この記事のポイント
- 事前審査は即日〜1週間、本審査は1〜2週間が標準的な期間(長い場合は3週間以上)
- 審査が長引く理由は繁忙期、書類不備、返済負担率がギリギリでの慎重審査など
- 審査が長いからといって必ずしも落ちるわけではなく、仮審査通過後に本審査で落ちる確率は数%程度
- 本審査承認後も新たな借り入れ・転職・信用情報の変化により融資が実行されないケースがある
- 住宅ローン特約があれば融資が受けられなかった場合に無条件で契約解除でき手付金も返還される
(1) 事前審査(仮審査)の期間(即日〜1週間)
事前審査(仮審査)は、住宅ローン申し込みの最初のステップで、借入可能額や金利条件を確認する審査です。
事前審査の期間は申し込み方法により異なります。
| 申し込み方法 | 期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| オンライン申し込み | 即日〜3日 | 機械的に判定され、スピーディー |
| 店舗での対面申し込み | 3日〜1週間 | 担当者が詳細を確認 |
ネット銀行なら即日で結果が出ることもあり、メガバンク・地方銀行は3日〜1週間程度が一般的です。
(2) 本審査の期間(1〜2週間、長い場合は3週間以上)
本審査は、事前審査通過後に行われる正式な審査で、物件の担保価値や申込者の信用情報を詳細にチェックします。
本審査の期間は通常1〜2週間ですが、以下の場合は3週間以上かかることもあります。
- 繁忙期(1月〜3月): 審査が集中して時間がかかる
- 追加書類が必要: 書類不備や追加確認が必要な場合
- 返済負担率がギリギリ: 慎重に審査を進める場合
- 保証会社の審査: 保証会社を利用する場合は保証会社の審査も必要
(3) 銀行ごとの違い(ネット銀行・メガバンク・地方銀行)
銀行の種類により審査期間が異なります。
| 銀行種別 | 事前審査 | 本審査 | 特徴 | |----------|----------|--------|----|| | ネット銀行 | 即日〜3日 | 1〜2週間 | オンライン完結で審査スピードが速い | | メガバンク | 3日〜1週間 | 1〜2週間 | 店舗での対面審査が多い | | 地方銀行 | 3日〜1週間 | 2〜3週間 | 地域の事情を考慮した審査 |
ネット銀行は審査スピードが速い傾向にあり、地方銀行は慎重に審査を進めるため時間がかかる場合があります。
本審査が長引く主な理由:繁忙期・書類不備・慎重審査
(1) 繁忙期(1月〜3月)による審査遅延
住宅ローンの申し込みが集中する繁忙期(1月〜3月)は、審査に時間がかかる可能性が高いです。
- 年度末の引越しシーズン: 3月末までの引渡しを希望する申し込みが集中
- 金融機関の決算期: 3月決算の金融機関は業務が集中
この時期に申し込む場合は、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。
(2) 追加書類の要求・書類不備の修正
申込書類に不備があったり、追加書類が必要な場合、審査が長引きます。
よくある書類不備:
- 収入証明書の年度が古い
- 源泉徴収票の記載内容に誤りがある
- 本人確認書類の有効期限が切れている
- 物件資料が不足している
追加書類の提出が遅れると、その分審査も遅れるため、迅速な対応が求められます。
(3) 返済負担率がギリギリで慎重に判断
返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)が30〜35%の上限ギリギリの場合、金融機関は慎重に審査を進めます。
| 返済負担率 | 審査の傾向 |
|---|---|
| 25%以下 | スムーズに通過しやすい |
| 25〜30% | 通常の審査期間 |
| 30〜35% | 慎重審査で時間がかかる |
| 35%超 | 審査に通りにくい |
審査基準がギリギリの場合、金融機関内部で複数の担当者が確認するため、時間がかかります。
(4) 保証会社の審査が長引く
保証会社を利用する場合、金融機関の審査に加えて保証会社の審査も必要です。
保証会社は、住宅ローンの返済が滞った場合に金融機関に代わって返済を行う会社です。保証会社独自の審査基準があり、この審査に時間がかかる場合があります。
(5) 物件の担保価値の精査に時間がかかる
物件の担保価値を精査するため、以下の確認に時間がかかる場合があります。
- 違法建築の有無: 建築基準法に適合しているか
- 担保価値の評価: 物件の市場価値と融資額の妥当性
- 権利関係の確認: 抵当権や地上権などの権利関係
特に中古物件や築年数が古い物件の場合、精査に時間がかかります。
審査が長い=落ちるは本当か?落ちる確率と実態
(1) 仮審査通過後に本審査で落ちる確率(数%程度)
仮審査に通過できた人が本審査で落ちる確率は数%程度と言われています。
多くの場合、仮審査を通過すれば本審査も通過する可能性が高いです。ただし、以下の理由で落ちるケースがあります。
- 申込書類の誤りや不一致
- 物件の担保価値の問題
- 財務状況の変化
- 健康状態で団体信用生命保険(団信)に加入できない
- 信用情報の問題
(2) 審査が長いからといって必ずしも落ちるわけではない理由
審査期間が長引いていても、本審査に落ちるケースはあまり多くありません。
審査が長い理由には以下のような前向きなケースもあります。
- 慎重に審査を進めている: 融資実現に向けて詳細に確認
- 融資実現に向けて調整している: 返済負担率がギリギリでも通す方法を検討
- 保証会社との調整: 保証会社の承認を得るための交渉
金融機関は融資を実行したいと考えているため、審査が長いからといって落ちるとは限りません。
(3) 本審査で落ちる主な理由(書類の誤り・物件の担保価値・財務状況の変化・団信加入の問題)
本審査で落ちる主な理由は以下の通りです。
| 落ちる理由 | 内容 |
|---|---|
| 申込書類の誤りや不一致 | 仮審査時の情報に誤りや虚偽があった |
| 物件の担保価値の問題 | 違法建築や担保価値がない物件 |
| 財務状況の変化 | 仮審査後に新たな借り入れ・転職・収入減少 |
| 団信加入の問題 | 健康状態で団信に加入できない |
| 信用情報の問題 | 延滞や債務整理の履歴がある |
仮審査時の情報に誤りや虚偽があった場合がほとんどです。正確な情報を申告することが重要です。
本審査承認後も油断禁物:融資実行されないケースとNG行為
(1) 新たな借り入れ(車ローン・教育ローン・クレジットカード)
本審査承認後に新たな借り入れをすると、返済負担率を超えて融資が実行されないリスクがあります。
NG行為の例:
- 車のローンを組む
- 教育ローンを契約する
- クレジットカードで高額な買い物をする(リボ払い・分割払い)
- 新たにカードローンを契約する
本審査承認後から融資実行までの間は、新たな借り入れは絶対に避けましょう。
(2) 転職・退職・収入減少
本審査承認後に転職・退職すると、収入が変化するため融資が実行されないリスクがあります。
- 転職: 勤続年数がリセットされ、審査基準を満たさなくなる可能性
- 退職: 収入がゼロになり、返済能力がないと判断される
- 収入減少: 給与カットや残業減少で収入が減る
本審査承認後は、融資実行まで転職・退職を控えることをおすすめします。
(3) 信用情報の変化(延滞・支払い遅延)
本審査承認後に信用情報が悪化すると、融資が実行されないリスクがあります。
NG行為の例:
- クレジットカードの支払いを延滞する
- 携帯電話の料金を支払い遅延する
- 他のローンの返済を遅らせる
信用情報は融資実行直前まで確認されるため、すべての支払いを期日通りに行いましょう。
(4) 健康状態の悪化(団信に影響)
本審査承認後に健康状態が悪化し、団体信用生命保険(団信)の条件が変わると、融資に影響する可能性があります。
ただし、本審査承認時点で団信の審査も完了しているため、妊娠発覚などの健康状態の変化だけで融資が実行されないケースは稀です。
審査期間中の対処法・落ちた場合の対処法と注意点
(1) 銀行への確認・問い合わせのタイミング
審査期間が標準的な期間を過ぎた場合は、銀行に確認しましょう。
| 審査種別 | 確認のタイミング |
|---|---|
| 事前審査 | 1週間以上経過後 |
| 本審査 | 2週間以上経過後 |
問い合わせの際は、以下の点を確認します。
- 審査の進捗状況
- 追加書類の必要性
- 結果が出る見込み時期
(2) 書類準備の徹底(追加書類への対応)
審査をスムーズに進めるため、以下の書類を事前に準備しましょう。
| 書類種別 | 内容 |
|---|---|
| 本人確認書類 | 運転免許証・マイナンバーカード等 |
| 収入証明書 | 源泉徴収票・確定申告書(直近3年分) |
| 物件資料 | 売買契約書・重要事項説明書・登記簿謄本 |
| 健康診断書 | 団信加入に必要な場合 |
追加書類の要求があった場合は、迅速に対応することで審査期間を短縮できます。
(3) 複数の金融機関への申し込み検討
審査に不安がある場合は、複数の金融機関に同時申し込みすることも検討できます。
- メリット: 1つが落ちても他で通る可能性がある
- デメリット: 信用情報に複数の申込履歴が残る(6ヶ月間)
複数申し込みは一般的に3社以内に留めることをおすすめします。
(4) 住宅ローン特約の確認
住宅ローン特約(ローン特約)を契約に盛り込むことで、融資が受けられなかった場合に無条件で契約解除でき、手付金も返還されます。
住宅ローン特約の内容:
- 融資が受けられなかった場合に契約を解除できる
- 手付金(一般的に物件価格の5〜10%)が返還される
- 違約金は発生しない
住宅ローン特約がない契約の場合、融資が受けられなくても手付金は返還されないため、必ず契約時に盛り込みましょう。
(5) 落ちた場合のペナルティ(手付金没収・違約金発生)
住宅ローン特約がない場合、融資が受けられないと以下のペナルティが発生します。
| ペナルティ | 内容 |
|---|---|
| 手付金没収 | 物件価格の5〜10%(数百万円)が没収される |
| 違約金発生 | 売主への違約金(契約内容による) |
手付金は高額になるため、住宅ローン特約を必ず確認しましょう。
(6) 住宅ローン特約による保護(無条件解除・手付金返還)
住宅ローン特約があれば、融資が受けられなかった場合でも以下の保護が受けられます。
- 無条件で売買契約を解除できる
- 手付金が全額返還される
- 違約金は発生しない
住宅ローン特約は不動産売買契約時に盛り込むことが一般的です。必ず確認しましょう。
(7) 別の金融機関への再申し込みと審査基準の見直し
本審査で落ちた場合、別の金融機関への再申し込みを検討できます。
再申し込みの際の見直しポイント:
- 返済負担率を下げる(借入額を減らす・頭金を増やす)
- 収入合算や連帯保証人を検討する
- 審査基準が異なる金融機関を選ぶ
- フラット35など公的ローンを検討する
落ちた理由を分析し、審査基準を見直すことで通過の可能性が高まります。
まとめ:住宅ローン審査で失敗しないためのポイント
住宅ローンの事前審査は即日〜1週間、本審査は1〜2週間が標準的な期間です。本審査が長引く理由は、繁忙期、書類不備、返済負担率がギリギリでの慎重審査、保証会社の審査、物件の担保価値の精査などがあります。
審査が長いからといって必ずしも落ちるわけではなく、仮審査通過後に本審査で落ちる確率は数%程度です。金融機関が慎重に審査を進めているか、融資実現に向けて調整している可能性があります。
本審査承認後も油断禁物で、新たな借り入れ・転職・信用情報の変化により融資が実行されないケースがあります。本審査承認後から融資実行までの間は、新たな借り入れは避け、クレジットカードや携帯電話の支払いを期日通りに行い、転職・退職も控えましょう。
住宅ローン特約を契約に盛り込むことで、融資が受けられなかった場合に無条件で契約解除でき、手付金も返還されます。必ず契約時に確認しましょう。
審査期間が長い場合は、銀行に確認し、追加書類への迅速な対応を心がけることで審査をスムーズに進められます。詳細は各金融機関や住宅ローンアドバイザーにご相談ください。
