住宅ローン仮審査を複数申し込む背景と不安
住宅購入を検討する際、複数の銀行に住宅ローン仮審査を申し込みたいと考える方は少なくありません。金利や手数料、審査基準が金融機関ごとに異なるため、複数の選択肢を比較検討することは合理的です。
しかし、「審査履歴が残って不利になるのではないか」「何社まで申し込んでよいのか」と不安に感じる方もいます。
この記事では、住宅ローン仮審査の履歴が信用情報機関に記録される仕組み、複数申込が審査に与える影響、適切な申込方法と注意点を詳しく解説します。信用情報機関(CIC・JICC・KSC)の公式情報や金融機関の審査実務を元に、正確な情報を提供します。
この記事のポイント
- 住宅ローン仮審査の申込履歴は信用情報に6ヶ月間残る。申し込みをした時点で記録されるため、審査の可否に関わらず履歴が残る
- 複数の金融機関に申し込む場合は3社程度までにとどめる。4社・5社以上になると「審査に落ちているから審査をかけまくっている」と判断される可能性がある
- 住宅ローンは主にKSC(全国銀行個人信用情報センター)で管理され、金融機関は他社への申込状況を照会できる
- 仮審査の有効期間は金融機関により異なり、60日・90日・180日が多い。期限が迫っている場合は金融機関に相談して延長を依頼する
- 再審査を受ける場合は、信用情報から履歴が消える6ヶ月経過後が望ましい。落ちた原因を見直してから再申込する
仮審査と信用情報機関の関係
(1) 信用情報機関とは(CIC・JICC・KSC)
信用情報機関は、個人の信用情報を管理する機関です。日本には3つの信用情報機関があります。
| 信用情報機関 | 主な利用者 | 管理情報 |
|---|---|---|
| CIC | クレジットカード会社・信販会社 | クレジットカード、ショッピングローン等 |
| JICC | 消費者金融・携帯電話会社 | 消費者金融、カードローン等 |
| KSC | 銀行・信用金庫 | 住宅ローン、カードローン等 |
(2) 住宅ローンで主に参照される機関(KSC)
住宅ローンは主に**KSC(全国銀行個人信用情報センター)**で管理されます。銀行や信用金庫が住宅ローン情報を登録・照会する機関です。
(3) 金融機関がデータ共有する仕組み
信用情報機関(CIC・JICC・KSC)のデータ共有により、金融機関は他社への申込状況を把握できます。
仮審査を申し込むと、申込情報として信用情報機関に記録され、他の金融機関も照会可能になります。
仮審査の履歴が残る仕組みと複数申込が審査に与える影響
(1) 記録される情報(申込日、金融機関名、申込内容等)
仮審査を申し込むと、以下の情報が信用情報機関に記録されます。
- 申込日
- 金融機関名
- 本人確認情報(氏名、生年月日、住所等)
- 申込内容(借入希望額、返済期間等)
(2) 申し込み時点で記録される(審査の可否は無関係)
重要なポイントは、申し込み時点で記録されることです。審査の可否は関係なく、仮審査を申し込んだ時点で履歴が残ります。
(3) 履歴の保存期間(6ヶ月間)
申込履歴は、信用情報を照会した日から6ヶ月間記録されます。6ヶ月経過すると、履歴は自動的に削除されます。
(4) 3社程度までなら問題なし
複数の金融機関に仮審査を申し込む場合、3社程度までなら問題ないとされています。
金融機関ごとに審査基準が異なるため、複数の選択肢を比較検討することは合理的です。近年では住宅ローンの複数申し込みが一般化しており、金融機関も3社程度までの申し込みは許容しています。
(5) 4社・5社以上は「審査に落ちまくっている」と判断される可能性
短期間に4社・5社以上申し込むと、「審査に落ちているから審査をかけまくっている」と判断され、マイナス評価につながる可能性があります。
安易に複数申し込むべきではなく、慎重に金融機関を選定することが重要です。
(6) 短期間の集中申込が推奨される理由
複数申込をする場合は、短期間(1週間~1ヶ月程度)に集中して申し込むことが推奨されます。
時期をずらして申し込むと、履歴が長期間残り続けるため、審査に悪影響を及ぼす可能性があります。
仮審査と本審査の信用情報の違い
(1) 仮審査:申込情報として6ヶ月間記録
仮審査は、申込情報として6ヶ月間記録されます。
審査の可否や詳細な契約内容は記録されず、「申し込みをした」という事実のみが記録されます。
(2) 本審査:契約情報として詳細に記録
本審査では、契約情報として詳細に記録されます。
- 契約日
- 借入金額
- 返済期間
- 金利
- 返済状況
本審査に通過して契約すると、この情報が長期間(完済後5年間程度)記録されます。
(3) 本審査は1社に絞ることが推奨される理由
本審査は、以下の理由から1社に絞ることが推奨されます。
- 事務手数料の無駄:本審査には事務手数料(数万円~数十万円)がかかる
- 審査進行の遅延:複数の本審査を並行すると、審査進行が遅れる可能性がある
- 契約の重複リスク:複数の金融機関で契約してしまうリスクがある
仮審査で条件を比較し、最も有利な1社を選んで本審査に進むことが賢明です。
適切な申込方法と注意点(有効期間・再審査等)
(1) 仮審査の有効期間(60日・90日・180日が多い)
仮審査の有効期間は金融機関により異なり、60日、90日、180日が多いです。
| 金融機関の例 | 有効期間 |
|---|---|
| A銀行 | 60日 |
| B銀行 | 90日 |
| C銀行 | 180日 |
有効期間内に本審査を申し込む必要があります。
(2) 期限を過ぎた場合の対応(最初からやり直し)
仮審査の有効期間を過ぎると、結果がリセットされ、必要書類の提出を含めて最初からやり直しになります。
期限が迫っている場合は、金融機関に相談して延長を依頼することをおすすめします。
(3) 再審査は6ヶ月経過後が望ましい理由
仮審査で落ちた場合、すぐに再審査を受けることも可能ですが、信用情報から履歴が消える6ヶ月経過後が望ましいです。
6ヶ月以内に再審査を受けると、前回の申込履歴が残っており、「短期間に複数申込している」と判断される可能性があります。
落ちた原因を見直し、改善してから再申込することが重要です。
(4) 不要なクレジットカード・ローンの整理
仮審査前に、不要なクレジットカードやローンを整理することをおすすめします。
- 使っていないクレジットカードは解約する
- 完済済みのローンは解約する
- キャッシング枠は0円に設定する
これにより、信用情報がすっきりし、審査に有利になります。
(5) 延滞履歴や傷がないか事前確認
信用情報に延滞履歴や自己破産の記録があると、審査通過が非常に困難です。
- 延滞履歴:返済が遅れた記録(5年間記録される)
- 自己破産:10年間記録される
仮審査前に、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)に開示請求し、延滞履歴や傷がないか確認することをおすすめします。
まとめ:複数申込を成功させるポイント
住宅ローン仮審査の申込履歴は、信用情報に6ヶ月間残ります。申し込みをした時点で記録されるため、審査の可否に関わらず履歴が残ります。
複数の金融機関に申し込む場合は、3社程度までにとどめてください。4社・5社以上になると「審査に落ちているから審査をかけまくっている」と判断される可能性があります。
住宅ローンは主にKSC(全国銀行個人信用情報センター)で管理され、金融機関は他社への申込状況を照会できます。短期間(1週間~1ヶ月程度)に集中して申し込むことが推奨されます。
仮審査の有効期間は金融機関により異なり、60日・90日・180日が多いです。期限が迫っている場合は金融機関に相談して延長を依頼してください。
再審査を受ける場合は、信用情報から履歴が消える6ヶ月経過後が望ましいです。落ちた原因を見直し、不要なクレジットカード・ローンを整理し、延滞履歴や傷がないか事前確認してから再申込することが重要です。詳細は各金融機関や住宅ローンアドバイザーに相談することをおすすめします。
