住宅ローン8大疾病・7大疾病保障をつける人の割合
住宅ローンを検討する際、「8大疾病保障や7大疾病保障は本当に必要なのか」「実際にどれくらいの人が加入しているのか」と迷う方は多いのではないでしょうか。保障内容は魅力的に見えるものの、金利が上乗せされるコストと保障内容のバランスをどう判断すべきか、悩ましいポイントです。
この記事では、住宅ローンの8大疾病・7大疾病保障の加入率、保障内容、金利コスト、加入すべき人の判断基準、注意点を、money-careerや三井住友銀行の統計データを元に解説します。
住宅ローンを検討している方や、すでに契約している方が、自分に合った保障内容を正確に判断できるようになります。
この記事のポイント
- 7大・8大疾病特約をつける人は約36%(約4割)で、3大疾病特約の57%より少ない
- コロナ禍後は健康リスクへの意識が高まり、疾病保障全体では67.3%が加入している(2024年現在)
- 8大疾病特約の金利上乗せは0.3%程度で、35年ローンで総返済額が約100〜150万円増加する
- 加入すべきかは年齢・収入・家族構成・既存保険により異なる(若い・貯蓄十分なら不要な場合も)
- 50歳以上では加入が難しくなるため、必要なら早めの判断が重要
7大・8大疾病特約の加入率(約36%)
money-careerによると、住宅ローン団信に7大・8大疾病特約をつける人は約36%(約4割)です。3大疾病特約をつけている人が57%であることと比較すると、やや少ない傾向にあります。
7大・8大疾病特約は3大疾病特約よりも保障範囲が広い一方、金利上乗せ幅も大きいため、費用対効果を慎重に判断する人が多いと考えられます。
3大疾病特約との比較(57%)
3大疾病特約(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)の加入率は57%で、7大・8大疾病特約の36%よりも高くなっています。3大疾病は日本人の死因の約半数を占める重大疾患であるため、優先的に保障を選ぶ人が多いと推測されます。
金融機関別の加入率(三井住友銀行約5割)
三井住友銀行で住宅ローンを契約した人の約5割が疾病保障付住宅ローンに加入しています(2024年現在)。金融機関により加入率は異なりますが、一定数が疾病保障を選択している状況です。
8大疾病・7大疾病保障とは
8大疾病保障の対象(3大疾病+5つの重度慢性疾患)
8大疾病保障は、以下の疾病を保障する団信特約です。
3大疾病:
- がん
- 急性心筋梗塞
- 脳卒中
5つの重度慢性疾患:
- 糖尿病
- 高血圧性疾患
- 慢性腎不全
- 肝疾患(肝硬変等)
- 慢性膵炎
SBI新生銀行によると、これらの疾病により就業不能状態が一定期間(60日、1年等)継続した場合、住宅ローン残高が免除されます。
7大疾病保障との違い
7大疾病保障は、3大疾病に4つの疾病を追加した保障です。8大疾病保障との違いは、保障対象となる疾病が1つ少ない点ですが、金融機関により定義が異なるため、契約前に詳細を確認する必要があります。
全疾病保障の登場(2024年トレンド)
auじぶん銀行によると、2024年現在、すべての病気・ケガによる就業不能を保障する「全疾病保障」を無料で提供する金融機関が増えています(auじぶん銀行、住信SBIネット銀行等)。8大疾病特約の代替として注目されています。
疾病保障の加入率統計とトレンド
コロナ禍後の加入率上昇(67.3%)
カーディフ生命によると、コロナ禍に入ってから住宅を購入した人の67.3%が疾病保障特約をつけています(2024年時点)。パンデミックを経て、健康リスクへの意識が大幅に高まったことが背景にあります。
生命保険文化センターの統計(30〜40%)
イーデスによると、生命保険文化センターの調査では、3大疾病保険の加入率は30.7%(男性)、31.1%(女性)です(2022年)。30〜50代では平均40%以上が加入しており、2010年以降増加傾向にあります。
年代別の加入傾向(30〜50代で高い)
30〜50代の住宅ローン利用者は、家族の生活保障や住宅ローン返済の責任が大きいため、疾病保障への加入率が高い傾向にあります。一方、若年層や貯蓄が十分な層では加入率が低い傾向があります。
保障内容と金利コスト
保障が適用される条件(就業不能期間)
SBI新生銀行によると、8大疾病保障の適用条件は以下の通りです。
がん:
- がんと診断された時点で免除(上皮内がんは対象外の場合が多い)
急性心筋梗塞・脳卒中:
- 60日以上の就業不能状態が継続
5つの重度慢性疾患:
- 1年以上の就業不能状態が継続(金融機関により異なる)
適用条件は金融機関により大きく異なるため、契約前に約款を詳細に確認することが重要です。
金利上乗せ幅(0.3%程度)
三井住友銀行によると、8大疾病特約の金利上乗せは0.3%程度が一般的です。3大疾病特約は0.2%程度のため、保障範囲が広い分、金利上乗せも大きくなります。
総返済額の増加(35年で約100〜150万円)
3,000万円の借入で35年ローンの場合、金利0.3%の上乗せにより総返済額が約100〜150万円増加します。この費用対効果が妥当かどうか、個別の家計状況に応じて判断する必要があります。
例:
| 項目 | 金利なし | 金利0.3%上乗せ |
|---|---|---|
| 借入額 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 金利 | 1.0% | 1.3% |
| 返済期間 | 35年 | 35年 |
| 総返済額 | 約3,557万円 | 約3,699万円 |
| 増加額 | - | 約142万円 |
保障適用の免責事項
以下のケースでは保障が適用されない場合があります。
- 保障開始前に診断された疾病
- 故意の事故・自傷行為
- 戦争・暴動による疾病
詳細は約款を確認してください。
加入すべき人の判断基準と注意点
加入を検討すべきケース(年齢、家族構成、貯蓄状況)
以下のケースでは、8大疾病特約の加入を検討する価値があります。
- 30〜50代で家族を扶養している:住宅ローン返済の責任が大きい
- 貯蓄が少ない:就業不能時の収入減少に備える必要がある
- 既存の医療保険が不十分:就業不能保険や収入保障保険に未加入
不要なケース(若い、貯蓄十分、既存保険充実)
以下のケースでは、8大疾病特約が不要な場合があります。
- 20代など若年層:疾病リスクが低く、貯蓄を優先すべき
- 貯蓄が十分:数年分の生活費が確保できている
- 既存保険が充実:医療保険・就業不能保険・収入保障保険に加入済み
既存保険との重複リスク
東証マネ部!によると、既に医療保険や就業不能保険に加入している場合、保障が重複し過剰な保険料負担となる可能性があります。ファイナンシャルプランナー(FP)に相談し、保障内容を整理することを推奨します。
年齢制限(50歳以上で加入困難)
50歳以上になると、特約付団信への加入が難しくなる場合があります。加入を検討する場合は、早めの判断が重要です。金融機関により年齢制限が異なるため、詳細は借入先に確認してください。
まとめ:疾病保障を選ぶ際の判断基準
住宅ローンの7大・8大疾病特約をつける人は約36%(約4割)で、3大疾病特約の57%より少ないものの、コロナ禍後は健康リスクへの意識が高まり、疾病保障全体では67.3%が加入しています(2024年現在)。
8大疾病特約の金利上乗せは0.3%程度で、35年ローンで総返済額が約100〜150万円増加します。加入すべきかは年齢・収入・家族構成・既存保険により異なり、若い・貯蓄十分なら不要な場合もあります。
50歳以上では加入が難しくなるため、必要なら早めの判断が重要です。詳細は金融機関やファイナンシャルプランナー(FP)に相談しながら、自分に合った保障内容を選びましょう。
