マンションの給湯器交換が重要な理由|寿命10年を超えるリスク
マンションの給湯器が古くなり、「お湯の温度が不安定」「異音がする」などの症状が出ていませんか?給湯器の交換を検討する際、費用や業者選び、管理組合への届出など、多くの疑問が生じることでしょう。
この記事では、マンションの給湯器交換について、費用相場、交換のタイミング、業者選びのポイント、管理組合への申請手続きを、東京ガスやリショップナビの情報を元に解説します。
マンション所有者・管理組合の理事の方が、安全で費用を抑えた給湯器交換を実現できるようになります。
この記事のポイント
- 給湯器の寿命は約10年で、10年を超えるとガス漏れ・水漏れのリスクが高まる
- 費用相場は給湯専用で15万円~20万円、追い焚き機能付きで30万円~35万円
- 分譲マンションでは管理組合への届出が必須で、機種・号数に制限がある場合が多い
- 複数業者から相見積もりを取り、有資格業者を選ぶことで費用を抑えられる
(1) 給湯器の寿命は約10年|メーカー標準使用期間を確認
給湯器の寿命は約10年です。メーカーは標準使用期間を10年と定めており、10年を超えると性能低下や故障のリスクが高まります。
東京ガスによると、給湯器の寿命は使用頻度や設置環境により10〜15年程度ですが、購入から10年経過したら交換を検討することが推奨されています。
(2) 10年超過のリスク|ガス漏れ・水漏れの安全面の問題
給湯器を10年以上使用すると、以下のリスクが高まります。
- ガス漏れ: 配管や接続部の劣化によりガス漏れが発生する可能性がある
- 水漏れ: 水回りの部品が劣化し、水漏れが発生する可能性がある
- 不完全燃焼: 燃焼部の劣化により一酸化炭素が発生するリスクがある
これらは生命に関わる重大事故につながる可能性があるため、10年を超えたら早めの交換が推奨されます。
(3) 賃貸と分譲の違い|費用負担者の確認(賃貸は貸主、分譲は所有者)
給湯器交換の費用負担者は、賃貸マンションと分譲マンションで異なります。
- 賃貸マンション: 給湯器は貸主(オーナー)の設備のため、貸主が費用を負担
- 分譲マンション: 給湯器は専有部分のため、所有者(区分所有者)が費用を負担
賃貸の場合は管理会社に連絡し、分譲の場合は管理組合への届出が必要です。
給湯器交換のタイミング|寿命と交換すべきサイン
給湯器の交換タイミングを正しく判断することで、安全性を確保し、無駄な出費を避けられます。
(1) 寿命10〜15年のサイン|お湯の温度が不安定になる
給湯器の寿命が近づくと、以下のような症状が現れます。
- お湯の温度が不安定: 設定温度より熱い、またはぬるいお湯が出る
- お湯が出るまでに時間がかかる: 給湯能力の低下
- 湯量が減る: 複数箇所で同時に使用すると湯量が不足する
これらの症状が出た場合、給湯器の性能が低下している可能性があるため、交換を検討してください。
(2) 即座に交換が必要なサイン|異音・異臭・水漏れ・エラー頻発
以下の症状が出た場合は、即座に交換が必要です。
- 異音: 給湯器から「ゴー」「ボン」などの異常な音がする
- 異臭: ガス臭いまたは焦げ臭いにおいがする
- 水漏れ: 給湯器本体や配管から水が漏れている
- エラー頻発: リモコンにエラーコードが頻繁に表示される
これらは安全面での重大なリスクを伴うため、すぐに使用を中止し、専門業者に連絡してください。
(3) 予防的な交換|購入から10年経過したら交換を検討
給湯器の不具合が出る前に、予防的に交換することも有効です。
リショップナビによると、購入から10年経過したら交換を検討することで、突然の故障によるトラブル(お湯が使えない、高額な緊急修理費用等)を避けられます。
マンション給湯器交換の費用相場|機種別の価格と内訳
給湯器交換の費用相場を理解し、適切な予算を準備しましょう。
(1) 給湯専用タイプ|15万円~20万円(本体+工事費)
給湯専用タイプ(追い焚き機能なし)の費用相場は以下の通りです。
- 本体価格: 約10万円~15万円
- リモコン代: 約2万円
- 工事費: 約4万円~5万円
- 合計: 約15万円~20万円
給湯専用タイプは、お湯を出すだけの基本機能のため、費用を抑えたい方に適しています。
(2) 追い焚き機能付き(オート・フルオート)|30万円~35万円
追い焚き機能付きの費用相場は以下の通りです。
- 本体価格: 約25万円~30万円
- リモコン代: 約2万円
- 工事費: 約4万円~5万円
- 合計: 約30万円~35万円
機能の違い
- オートタイプ: 自動湯はり・追い焚き機能
- フルオートタイプ: オート機能に加え、自動足し湯機能も搭載
フルオートタイプはオートタイプよりも3万円~5万円高額ですが、利便性が向上します。
(3) 費用の内訳|本体価格+リモコン代(約2万円)+工事費(4~5万円)
給湯器交換の費用内訳は以下の通りです。
| 項目 | 費用目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 本体価格 | 10万円~30万円 | 機種・号数・機能により異なる |
| リモコン代 | 約2万円 | 浴室用・台所用の2箇所分 |
| 工事費 | 4万円~5万円 | 取り外し・取り付け・試運転等 |
| 処分費 | 約5,000円~1万円 | 旧給湯器の撤去・処分 |
(出典: ハウスラボホーム)
(4) 設置場所による違い|PS型・ベランダ壁掛け型の特徴と費用
マンションの給湯器には、設置場所により以下の2種類があります。
- PS(パイプシャフト)型: 玄関脇などのパイプシャフト内に設置。外観に影響しない
- ベランダ壁掛け型: ベランダの壁に設置。設置スペースが必要
費用は設置場所により大きく変わらないため、現在の設置場所に合った機種を選んでください。
業者選びのポイント|有資格業者と補助金制度の活用
適切な業者を選ぶことで、安全性を確保し、費用を抑えられます。
(1) 有資格業者を選ぶ|ガス工事・給水装置工事の資格確認
給湯器の交換には、以下の資格を持つ業者を選ぶことが重要です。
- ガス機器設置スペシャリスト: ガス機器の設置工事を行うための資格
- 給水装置工事主任技術者: 給水設備の工事を行うための国家資格
無資格業者に依頼すると、施工不良やガス事故のリスクがあり、法令違反となる可能性もあります。必ず有資格業者かどうかを確認してください。
(2) 複数業者から相見積もり|3社程度が目安で費用を抑える
複数業者から見積もりを取ることで、適正価格を把握し、費用を抑えられます。
相見積もりのポイント
- 3社程度から見積もりを取る: 相場を把握できる
- 見積書の内訳を確認: 本体価格・工事費・処分費等が明記されているか
- 追加費用の有無を確認: 配管交換等の追加工事が必要か
見積書が不明瞭な業者は避け、詳細を説明してくれる業者を選びましょう。
(3) 補助金制度の活用|2024年11月22日以降のエコジョーズ等の高効率給湯器
リショップナビによると、2024年11月22日以降に着手する給湯器交換は、高効率給湯器(エコジョーズ等)への交換で補助金制度の対象となります。
補助金制度の条件
- エコジョーズなどの高効率給湯器への交換
- 2024年11月22日以降に工事着手
- 自治体により補助額や条件が異なる
補助金制度は年度や自治体により条件が変わるため、工事前に最新情報を確認してください。
(4) 無資格業者のリスク|施工不良・ガス事故の危険性
無資格業者に依頼した場合、以下のリスクがあります。
- 施工不良: ガス漏れ・水漏れの原因となる
- ガス事故: 不完全燃焼により一酸化炭素中毒が発生する可能性がある
- 法令違反: ガス工事は資格が必要であり、無資格工事は法令違反
費用が安いという理由だけで無資格業者を選ぶことは避けてください。
管理組合への申請手続き|届出から工事完了までの流れ
分譲マンションでは、給湯器交換前に管理組合への届出が必要です。
(1) 分譲マンションでは届出が必須|管理規約の確認
キンライサーによると、分譲マンションでは給湯器は専有部分に該当しますが、外観に影響するため、管理組合への届出が必須です。
届出が必要な理由
- 外観の統一(給湯器の色・デザイン)
- マンション全体のガス・水道供給能力の管理
- 工事による騒音・振動の事前通知
届出なしで工事を行うと、後でトラブルになる可能性があるため、必ず事前に届出してください。
(2) 届出に必要な書類|見積書・工法・工期の詳細
管理組合への届出には、以下の書類が必要です。
- 工事届出書: 管理組合指定の書式
- 見積書: 業者から取得した見積書のコピー
- 工法・工期の詳細: 工事の方法、期間、時間帯等
- 機種の仕様書: 設置する給湯器の型番・仕様
必要書類はマンションにより異なるため、管理会社に確認してください。
(3) 機種・号数・色の制限|マンション全体の供給能力と景観統一
マンションによっては、以下の制限がある場合があります。
- 号数の制限: マンション全体のガス・水道供給能力の関係で、現在の号数と同じものへの交換が推奨される
- 色の指定: 景観統一のため、給湯器の色が指定される場合がある
- 機種の指定: PS型・ベランダ壁掛け型など、設置場所により機種が制限される
管理規約で制限されている場合、指定された範囲内で機種を選ぶ必要があります。
(4) 工事の流れ|届出から工事完了まで約10日間(遅延の可能性)
給湯器交換の一般的な流れは以下の通りです。
- 管理組合への届出: 工事の1〜2週間前
- 業者との打ち合わせ: 工事日程・工法の確認
- 工事実施: 2〜4時間程度(機種により異なる)
- 試運転・確認: 正常に動作するか確認
- 工事完了報告: 管理組合へ完了報告
届出から工事完了まで約10日間が目安ですが、管理組合の承認待ちで遅延する場合もあります。余裕を持って計画してください。
まとめ|マンションの給湯器交換を成功させる3つのポイント
マンションの給湯器交換を成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
1. 交換のタイミングを正しく判断
給湯器の寿命は約10年です。購入から10年経過したら交換を検討し、異音・異臭・水漏れ等のサインが出た場合は即座に交換してください。
2. 有資格業者から相見積もり
ガス機器設置スペシャリスト・給水装置工事主任技術者の資格を持つ業者を選び、3社程度から見積もりを取ることで、適正価格で安全な工事を実現できます。
3. 管理組合への届出を忘れずに
分譲マンションでは管理組合への届出が必須です。機種・号数・色の制限を事前に確認し、必要書類を提出してください。
給湯器交換の費用相場は、給湯専用で15万円~20万円、追い焚き機能付きで30万円~35万円です。複数業者から見積もりを取り、補助金制度も活用しながら、無理のない予算で交換を進めましょう。
信頼できる業者と管理組合と連携しながら、安全で快適な給湯環境を実現してください。
