マンションと戸建て徹底比較:購入・維持費・資産価値の違いを解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/21

マンションと戸建ての基本的な違い

マイホームを検討する際、「マンションと戸建て、どちらを選ぶべきか」と悩む方は多いのではないでしょうか。両者には購入価格、維持費、資産価値、ライフスタイルへの適合性など、さまざまな違いがあります。この記事では、2024年最新のデータを元に、マンションと戸建てを6つの軸で徹底比較します。

この記事のポイント

  • 2024年、首都圏の新築マンション平均価格は8,135万円、新築戸建ては4,817万円で戸建ての方が安い
  • マンションは管理費・修繕積立金で年間数十万円、戸建ては大規模修繕時に一度に数百万円の出費が必要
  • マンションは築20年で半分以上の価値を維持、戸建ては建物価値がほぼゼロだが土地は残る
  • セキュリティ重視ならマンション(オートロック・管理人常駐)、自由度重視なら戸建て(増改築可能)
  • ライフステージや立地により最適な選択が異なるため、状況に合わせた判断が重要

(1) 所有形態の違い(区分所有 vs 土地・建物所有)

マンションと戸建ての最も基本的な違いは、所有形態です。

マンション:

  • 区分所有権:自分の部屋(専有部分)のみを所有し、共用部分(エントランス、廊下、エレベーター等)は全住戸で共有します。
  • 管理組合:住民全員で構成される管理組合が建物の管理・運営を行います。

戸建て:

  • 土地・建物所有:土地と建物の両方を所有します。
  • 自己管理:メンテナンスや修繕は所有者が自己責任で行います。

この違いにより、マンションは管理費・修繕積立金が毎月かかる一方、戸建ては毎月の固定費が少ない代わりに、大規模修繕時に一度に高額な出費が必要になります。

(2) 立地・利便性の傾向(都市部 vs 郊外)

マンション:

  • 駅近・都市部に多く、通勤・通学の利便性が高い
  • 商業施設や病院が近い
  • 駅から徒歩10分以内の物件が多い

戸建て:

  • 郊外に多く、広い土地を確保できる
  • 駅から離れた場所が多く、車が必要な場合が多い
  • 自然環境が豊かで静か

都市部では土地が高額なため、マンションの方が選択肢が多くなります。一方、郊外では戸建ての供給が多く、広い敷地を確保できます。

(3) 管理・メンテナンス体制の違い

マンション:

  • 管理会社が共用部分を管理:エントランス清掃、エレベーター点検、外壁塗装などは管理組合が実施
  • 計画的な修繕:修繕積立金を毎月積み立て、12-15年周期で大規模修繕を実施
  • 住民の負担は少ない:専有部分の管理のみで、共用部分は管理会社が対応

戸建て:

  • 所有者が自己管理:外壁塗装、屋根修繕、設備交換などすべて自己負担
  • 不定期な出費:外壁塗装(10-15年周期で100-200万円)、屋根修繕(20-30年周期で50-150万円)
  • 自由度が高い:修繕の時期や業者を自分で選べる

マンションは毎月の管理費・修繕積立金が必要ですが、計画的に修繕が行われます。戸建ては毎月の固定費が少ないものの、大規模修繕時に一度に高額な出費が必要です。

購入価格の比較:2024年最新データ

2024年の住宅市場では、マンション価格の高騰が顕著です。首都圏のデータを元に、マンションと戸建ての価格を比較します。

(1) 首都圏の新築マンション平均価格(8,135万円)

2024年、首都圏の新築マンション平均価格は8,135万円に達し、過去最高を記録しました(前年比7.5%増)。さらに、東京23区では1億1,632万円(前年比11.2%増)と、1億円を超える水準となっています。

この価格高騰の背景には、以下の要因があります。

  • 建築資材の高騰(木材、鉄鋼等)
  • 人件費の上昇
  • 都心部の土地価格上昇
  • 住宅ローン金利の低水準維持(購入意欲の高まり)

(2) 首都圏の新築戸建て平均価格(4,817万円)

一方、首都圏の新築戸建ての平均価格は4,817万円(前年比1.0%増)です。マンションと比較すると約3,300万円安く、戸建ての方が購入しやすい状況です。

戸建ては郊外に多いため、マンションに比べて土地代が安く、価格を抑えられる傾向にあります。

(3) 地域別の価格傾向(都心・郊外での違い)

以下の表で、地域別の価格傾向を比較します。

地域 新築マンション平均価格 新築戸建て平均価格 特徴
東京23区 1億1,632万円 6,000-8,000万円 マンションが主流、駅近物件が多い
首都圏郊外 5,000-6,000万円 4,000-5,000万円 戸建ての選択肢が豊富
地方都市 3,000-4,000万円 2,500-3,500万円 マンション・戸建てともに安い

都心部ではマンション価格が高騰しており、戸建てもマンションに近い価格帯になっています。郊外では戸建ての選択肢が多く、価格も抑えられています。

(4) 2024年の市場動向とトレンド

2024年の住宅市場では、以下のトレンドが見られます。

  • 新築マンション供給戸数の減少:首都圏の新築マンション供給戸数が23,003戸(前年比14.4%減)と過去最低水準
  • 戸建て需要の増加:マンション価格高騰により、戸建てや中古マンションに購入者が流れる傾向
  • 中古市場の活況:新築マンション価格が高いため、中古マンションの需要が増加

マンション価格の高騰により、購入者が戸建てや中古マンションを検討するケースが増えています。

維持費・ランニングコストの比較

マンションと戸建ては、購入後のランニングコストも大きく異なります。

(1) マンション:管理費・修繕積立金(年間数十万円)

マンションでは、以下の費用が毎月かかります。

  • 管理費:共用部分(エントランス、廊下、エレベーター等)の清掃、設備点検、管理員の人件費などに充てられる費用。月額1万~2万円程度。
  • 修繕積立金:大規模修繕(外壁塗装、屋上防水、配管交換等)に備えて積み立てる費用。月額5,000円~1万5,000円程度。

年間総額:管理費1.5万円 + 修繕積立金1万円 = 月2.5万円 → 年間30万円

注意点:修繕積立金は築年数が経過すると増額される傾向があります。築10年で月1万円だったものが、築20年で月2万円に増額されるケースもあります。

(2) 戸建て:固定資産税・維持費(不定期で高額)

戸建てでは、毎月の管理費はありませんが、以下の費用が必要です。

  • 固定資産税:土地・建物の評価額に応じて課税される税金。年間10万~20万円程度。
  • 外壁塗装:10-15年周期で100-200万円
  • 屋根修繕:20-30年周期で50-150万円
  • 設備交換:給湯器(10-15年で20-30万円)、エアコン(10-15年で数十万円)

年間平均:固定資産税15万円 + 修繕費の積み立て(外壁塗装150万円 ÷ 12年 = 年12.5万円)= 年間約27.5万円

戸建ての場合、大規模修繕時に一度に数百万円の出費が必要になるため、計画的に資金を準備する必要があります。

(3) 生涯コストの試算例

30年間の生涯コストを試算すると、以下のようになります。

マンション:

  • 管理費・修繕積立金:年間30万円 × 30年 = 900万円
  • 固定資産税:年間10万円 × 30年 = 300万円
  • 合計:1,200万円

戸建て:

  • 固定資産税:年間15万円 × 30年 = 450万円
  • 外壁塗装:150万円 × 2回 = 300万円
  • 屋根修繕:100万円 × 1回 = 100万円
  • 設備交換:給湯器30万円 × 2回 = 60万円
  • 合計:910万円

生涯コストは、マンションの方が高くなる傾向があります。ただし、マンションは管理が楽で、戸建ては自己管理の手間がかかります。

(4) 将来の値上がりリスク

マンション:

  • 修繕積立金の値上がり:築年数が経過すると、大規模修繕の必要性が高まり、積立金が不足すると追加徴収される可能性があります。
  • 管理費の値上がり:管理員の人件費や物価上昇により、管理費が増額されるケースがあります。

戸建て:

  • 建築資材の高騰:外壁塗装や屋根修繕の費用は、建築資材の価格に左右されます。近年は資材高騰により、修繕費が上昇しています。

どちらも将来的な値上がりリスクがあるため、購入時に長期的な資金計画を立てることが重要です。

資産価値の考え方:20年後の価値は?

マンションと戸建ては、資産価値の減少ペースが大きく異なります。

(1) マンション:築20年で半分以上の価値維持

マンションは、築20年でも半分以上の価値を維持する傾向があります。これは、以下の理由によります。

  • 立地の重要性:駅近・都市部の物件は需要が高く、価格が下がりにくい
  • 管理状態:管理組合がしっかり機能し、修繕計画が実施されている物件は価値が維持される
  • 中古市場の活況:新築マンション価格の高騰により、中古マンションの需要が増加

例えば、新築時に5,000万円で購入したマンションが、築20年で2,500万~3,000万円程度で売却できるケースが多いです。

(2) 戸建て:建物価値ゼロ、土地の価値は残る

戸建ては、築20年で建物価値がほぼゼロになりますが、土地の価値は残ります

  • 建物の減価償却:木造住宅の法定耐用年数は22年のため、築20年では建物価値がほぼゼロとして評価されます。
  • 土地の価値:土地は経年劣化しないため、購入時の価格が維持される場合が多いです。ただし、立地により変動します。

例えば、新築時に土地2,000万円 + 建物2,000万円 = 4,000万円で購入した戸建ては、築20年で土地2,000万円程度で売却できるケースが多いです。

(3) 立地が資産価値に与える影響

マンション・戸建てともに、立地が最も重要です。

資産価値が維持されやすい立地:

  • 駅から徒歩10分以内
  • 人気エリア(都心部、住環境が良い地域)
  • 再開発エリア(将来的な利便性向上が見込まれる)

資産価値が下落しやすい立地:

  • 駅から遠い(徒歩15分以上)
  • 郊外で公共交通機関が少ない
  • 人口減少エリア(将来的な需要減少が見込まれる)

立地が悪いと、マンション・戸建てともに売却時に買い手がつかず、大幅な値下げが必要になるリスクがあります。

(4) 売却のしやすさ比較

マンション:

  • 売却しやすい:駅近物件は需要が高く、買い手がつきやすい
  • 流動性が高い:中古マンション市場が活況で、売却期間が短い

戸建て:

  • 売却に時間がかかる:郊外の物件は需要が少なく、売却に数ヶ月~1年以上かかる場合がある
  • リフォーム費用が必要:築年数が経過した戸建ては、買い手が見つかりやすいようリフォームが必要な場合がある

将来的な売却を考慮するなら、マンションの方が流動性が高く、売却しやすい傾向にあります。

ライフスタイル別の適性と選び方

マンションと戸建ては、ライフスタイルにより最適な選択が異なります。

(1) セキュリティ重視ならマンション(オートロック・管理人常駐)

マンションのセキュリティ:

  • オートロック:エントランスに自動施錠システムがあり、外部からの侵入を防ぎます
  • 管理人常駐:日中は管理人が常駐し、不審者の侵入を監視
  • 防犯カメラ:共用部分に防犯カメラが設置され、記録が残る
  • 高層階:2階以上の高層階なら、空き巣被害のリスクが低い

ALSOKの調査によると、「マンションはオートロック・管理人常駐で防犯面が優位」とされています。

(2) 自由度重視なら戸建て(間取り変更・増改築可能)

戸建ての自由度:

  • 間取り変更:リフォームで間取りを自由に変更できる
  • 増改築:敷地に余裕があれば、増築や車庫の設置が可能
  • 庭の活用:ガーデニング、家庭菜園、バーベキュー等、自由に使える
  • ペット飼育:犬・猫などのペットを自由に飼える(マンションは制限がある場合が多い)

マンションは管理規約により、リフォームや増改築に制限がある場合が多いです。

(3) 騒音トラブル:マンションは上下階リスク、戸建ては独立

マンション:

  • 上下階・隣室の騒音リスク:子どもの足音、楽器演奏、深夜の生活音などが問題になる場合がある
  • 管理規約で規制:ペット飼育禁止、楽器演奏時間制限など、規約で騒音対策がされている

戸建て:

  • 独立した住居:上下階がないため、足音などの騒音トラブルが少ない
  • 隣家との距離:敷地に余裕があれば、隣家との距離が保たれ、騒音が気にならない

小さな子どもがいる家庭や、音楽を楽しみたい方は、戸建ての方が適しています。

(4) ライフステージ別の選択(単身・子育て・シニア)

以下の表で、ライフステージ別の適性を比較します。

ライフステージ マンション 戸建て
単身・夫婦のみ ◎(駅近で利便性高い、管理が楽) △(広すぎる、管理の手間)
子育て世帯 △(騒音トラブルリスク) ◎(庭・広い部屋、騒音気にならない)
シニア世帯 ◎(バリアフリー、階段なし、管理楽) △(階段・庭の手入れが負担)

単身・夫婦のみ:マンションの方が駅近で利便性が高く、管理も楽です。

子育て世帯:戸建ての方が庭で遊べる、騒音を気にしなくて良いなど、子育てに適しています。

シニア世帯:マンションの方がバリアフリーで、階段の上り下りがなく、管理も楽です。戸建ては庭の手入れや階段が負担になる場合があります。

まとめ:マンションと戸建て、どちらを選ぶべきか

マンションと戸建ては、購入価格、維持費、資産価値、ライフスタイルへの適合性など、さまざまな違いがあります。2024年時点で、首都圏の新築マンション平均価格は8,135万円、新築戸建ては4,817万円で、戸建ての方が購入しやすい状況です。

マンションは管理費・修繕積立金で年間数十万円が必要ですが、計画的に修繕が行われます。戸建ては毎月の固定費が少ないものの、大規模修繕時に一度に数百万円の出費が必要です。資産価値は、マンションが築20年で半分以上を維持、戸建ては建物価値がゼロになりますが土地は残ります。

セキュリティ重視ならマンション、自由度重視なら戸建てが適しています。ライフステージや立地により最適な選択が異なるため、ご自身の状況に合わせて判断しましょう。詳細は不動産仲介会社や住宅メーカーにご相談ください。

よくある質問

Q1マンションと戸建て、購入価格はどちらが安いですか?

A12024年時点で首都圏では、新築戸建ての平均価格が4,817万円、新築マンションが8,135万円です。戸建ての方が約3,300万円安い傾向にあります。ただし、東京23区ではマンション1億1,632万円、戸建て6,000-8,000万円と、どちらも高額です。郊外では戸建ての選択肢が多く、価格も抑えられています。

Q2ランニングコストはどちらが高いですか?

A2マンションは管理費・修繕積立金で年間約30万円が定期的に必要です。戸建ては毎月の管理費はありませんが、外壁塗装(10-15年周期で100-200万円)、屋根修繕(20-30年周期で50-150万円)など、不定期に高額な出費が必要です。30年間の生涯コストはマンション約1,200万円、戸建て約910万円で、戸建ての方が安い傾向にあります。

Q3資産価値はどちらが残りますか?

A3マンションは築20年で半分以上の価値を維持する傾向があります。駅近・都市部の物件は需要が高く、価格が下がりにくいためです。一方、戸建ては築20年で建物価値がほぼゼロになりますが、土地の価値は残ります。立地が最も重要で、駅近・人気エリアのマンション、良好な立地の戸建ては資産価値が維持されやすいです。

Q4セキュリティはどちらが安全ですか?

A4マンションの方が防犯性が高い傾向にあります。オートロック、管理人常駐、防犯カメラ設置、2階以上の高層階など、セキュリティ対策が充実しています。戸建ては独立した住居のため、空き巣被害のリスクがあります。ただし、戸建てでもホームセキュリティサービスを導入することで、セキュリティを強化できます。

Q5騒音トラブルはどちらが多いですか?

A5マンションは上下階・隣室の騒音リスクがあります。子どもの足音、楽器演奏、深夜の生活音などが問題になる場合があります。一方、戸建ては独立した住居のため、上下階の騒音トラブルがなく、隣家との距離が保たれていれば騒音を気にする必要がありません。小さな子どもがいる家庭や、音楽を楽しみたい方は戸建ての方が適しています。

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Room Match編集部

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