マンションと戸建て、どちらを選ぶべきか迷っている方へ
住宅購入を検討する際、「マンションと戸建て、どちらが自分に合っているのか」と悩む方は多いでしょう。購入費用、維持費、資産価値、ライフスタイルなど、比較すべきポイントは多岐にわたります。
この記事では、マンションと戸建ての購入費用・維持費・資産価値を、実際のデータを元に徹底比較します。国土交通省の住宅統計、住宅金融支援機構の調査など、信頼できる情報源を参照しながら解説します。
初めて住宅を購入する方でも、家族構成やライフスタイルに合った選択ができるようになります。
なぜマンションと戸建ての比較が重要なのか
マンションと戸建てでは、初期費用だけでなく、30年、40年と住み続ける中で発生する維持費が大きく異なります。また、将来的に売却や賃貸を考える際の資産価値にも違いがあります。
安易に「マンションが人気だから」「戸建てに憧れるから」という理由だけで決めてしまうと、後々の負担増や資産価値の下落に悩むことになりかねません。
本記事で分かること|購入費用・維持費・資産価値を徹底比較
この記事のポイント
- 首都圏の新築マンション平均7,830万円、戸建て平均4,817万円と、マンションが約1.6倍高額
- 30年間の維持費はマンション約1,515万円、戸建て約1,000万円で、マンションの方が年間約17万円高い
- マンションは駅近・人気エリアで資産価値が維持されやすく、戸建ては土地の資産価値が残る
- 共働き・駅近重視ならマンション、子育て・自由度重視なら戸建てがおすすめ
- 2024年問題により大規模修繕工事費用が高騰、今後も修繕積立金の値上がりが予想される
マンションと戸建ての基礎知識|それぞれの特徴と違い
マンションの特徴|駅近・管理楽・セキュリティ高
マンションは、都市部の駅近エリアに多く、通勤・通学に便利な立地が魅力です。主な特徴は以下の通りです。
マンションのメリット
- 駅近の好立地: 徒歩10分圏内の物件が多く、通勤・通学が便利
- 管理が楽: 共用部分の清掃・修繕は管理会社が対応、管理組合が運営
- セキュリティが高い: オートロック、防犯カメラ、管理人常駐など
- ワンフロア完結: 生活動線がコンパクトで、高齢者にも優しい
- 売却・賃貸しやすい: 立地が良ければ流動性が高い
マンションのデメリット
- 管理費・修繕積立金: 月額2-3万円の固定費が発生、年々上昇傾向
- 管理組合運営: 理事会への参加など、住民としての責任がある
- 駐車場代: 月額1-3万円の追加費用(都市部)
- リフォームの制限: 共用部分や構造に関わる変更は原則不可
- 騒音問題: 上下階・隣室の生活音が気になる場合がある
戸建ての特徴|自由度・庭・駐車場がメリット
戸建ては、土地と建物の両方を所有し、自由度の高い生活が送れます。主な特徴は以下の通りです。
戸建てのメリット
- 自由度が高い: リフォーム・増築が自由、ペットも飼いやすい
- 庭・駐車場: 庭で家庭菜園、BBQ、駐車場代不要
- 騒音を気にしない: 子どもが走り回っても上下階への配慮不要
- 土地の資産価値: 建物価値は下落しても、土地の価値は維持される
- 管理費・修繕積立金なし: 月額固定費がない
戸建てのデメリット
- 修繕費が高額: 外壁塗装(65-150万円)、屋根修繕など、一度に数十万~数百万円が必要
- 計画的な積立が必要: 修繕費を自分で計画的に貯める必要がある
- 管理が大変: 外壁・屋根・庭の手入れなど、すべて自分で対応
- 防犯対策: セキュリティは自己責任、防犯設備の設置が必要
- 駅から遠い: 郊外に多く、通勤・通学に時間がかかる場合がある
所有形態の違い|区分所有権と所有権
マンションは「区分所有権」、戸建ては「所有権」という法的な違いがあります。
マンション(区分所有権)
- 専有部分(住戸内)のみを所有、共用部分(廊下・階段・外壁等)は共有
- 管理組合の規約に従う必要がある
- リフォーム・改築には制限がある
戸建て(所有権)
- 土地と建物の両方を所有
- リフォーム・増築・建て替えが自由(建築基準法の範囲内)
- 隣地との境界トラブルに注意が必要
購入費用の比較|新築・中古・諸費用の違い
新築の購入価格|首都圏マンション7,830万円 vs 戸建て4,817万円
首都圏の新築住宅の購入価格は、マンションと戸建てで大きく異なります。
| 項目 | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 平均価格 | 7,830万円 | 4,817万円 |
| 平均面積 | 62.60㎡ | 98.2㎡ |
| ㎡単価 | 約125万円/㎡ | 約49万円/㎡ |
(出典: SUUMO)
マンションは駅近の好立地が多いため、㎡単価が高く、総額でも約1.6倍の価格差があります。一方、戸建ては郊外に多く、土地付きで面積が広い分、㎡単価は低めです。
中古の購入価格|築年数別の価格相場
中古住宅は、築年数によって価格が大きく下落します。
マンション
- 築5年: 新築の約90%
- 築10年: 新築の約75%
- 築20年: 新築の約60%
- 築30年: 新築の約50%
戸建て
- 築5年: 新築の約70%
- 築10年: 新築の約50%
- 築20年: 新築の約15%
- 築30年: 建物価値ほぼゼロ(土地価格のみ)
戸建ては建物価値の下落が早く、築20年を超えると建物価値がほとんどなくなります。一方、マンションは築50年程度まで建物価値が残る傾向があります。
諸費用の違い|マンション3-5% vs 戸建て6-10%
物件価格以外に、購入時の諸費用が発生します。
| 項目 | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 諸費用の割合 | 物件価格の3-5% | 物件価格の6-10% |
| 7,830万円の場合 | 約235-390万円 | - |
| 4,817万円の場合 | - | 約290-480万円 |
諸費用の内訳
- 仲介手数料: 物件価格の3%+6万円+消費税
- 印紙税: 売買契約書・住宅ローン契約書に必要
- 登記費用: 所有権移転登記、抵当権設定登記
- 火災保険・地震保険: 10年一括払いで20-30万円
- 不動産取得税: 固定資産税評価額の3%(軽減措置あり)
戸建ては土地と建物の両方に登記が必要なため、諸費用の割合が高くなります。
初期費用総額のシミュレーション
マンション(7,830万円)
- 物件価格: 7,830万円
- 諸費用: 約310万円(物件価格の4%)
- 頭金(20%): 約1,566万円
- 初期費用総額: 約1,876万円
戸建て(4,817万円)
- 物件価格: 4,817万円
- 諸費用: 約385万円(物件価格の8%)
- 頭金(20%): 約963万円
- 初期費用総額: 約1,348万円
マンションは物件価格が高い分、初期費用総額も高額になります。
維持費の比較|30年間の長期コストシミュレーション
マンションの維持費|管理費・修繕積立金の相場と値上がり傾向
マンションは、管理費・修繕積立金という月額固定費が発生します。
令和5年度調査の最新相場
| 項目 | 月額平均 | 年額 |
|---|---|---|
| 管理費 | 10,862円 | 約13万円 |
| 修繕積立金 | 13,054円 | 約16万円 |
| 合計 | 23,916円 | 約29万円 |
(出典: SUUMO)
値上がり傾向
2023年度は前年比+2-3%上昇しており、建築資材・人件費の高騰が影響しています。2024年問題(建設業の残業規制)により、今後も大規模修繕工事の費用が高騰し、修繕積立金の値上がりが加速する見込みです。
管理費の使途
- 管理会社への委託費
- 共用部分の清掃・点検
- エレベーター保守
- 管理人の人件費
- 共用部分の光熱費
修繕積立金の使途
- 大規模修繕工事(12-15年ごと)
- 外壁塗装・防水工事
- 屋上・バルコニーの補修
- 給排水設備の更新
戸建ての維持費|固定資産税・修繕費・保険料の内訳
戸建ては管理費・修繕積立金はありませんが、固定資産税・修繕費・保険料が必要です。
年間維持費の内訳
| 項目 | 年額 |
|---|---|
| 固定資産税 | 10-15万円 |
| 修繕費積立 | 20-27万円 |
| 火災保険・地震保険 | 3-6万円 |
| 合計 | 40-50万円 |
(出典: SUUMO)
固定資産税
固定資産税は、土地・建物の固定資産税評価額に1.4%(標準税率)を乗じて計算されます。新築住宅は軽減措置があり、当初3-5年間は税額が半額になります。
修繕費の計画
戸建ては修繕費を自分で計画的に積み立てる必要があります。主な修繕費用は以下の通りです。
| 項目 | 周期 | 費用 |
|---|---|---|
| 外壁塗装 | 10-15年ごと | 65-150万円 |
| 屋根修繕 | 20-30年ごと | 50-100万円 |
| 給湯器交換 | 10年ごと | 15-25万円 |
| 水回り設備 | 15-20年ごと | 50-100万円 |
30年間の維持費総額|マンション1,515万円 vs 戸建て1,000万円
30年間の維持費を比較すると、以下のようになります。
マンション
- 管理費: 13万円 × 30年 = 390万円
- 修繕積立金: 16万円 × 30年 = 480万円(年々上昇を考慮すると約600万円)
- 固定資産税: 10万円 × 30年 = 300万円
- 火災保険: 3万円 × 30年 = 90万円
- 合計: 約1,515万円
(出典: 住まいサーフィン)
戸建て
- 固定資産税: 12万円 × 30年 = 360万円
- 修繕費: 25万円 × 30年 = 750万円
- 火災保険・地震保険: 5万円 × 30年 = 150万円
- 合計: 約1,260万円(大規模修繕を含めると約1,000-1,180万円)
(出典: SUUMO)
マンションは年間約17万円高く、30年間で約515万円の差が出ます。
外壁塗装・大規模修繕などの大型支出の計画
マンション
大規模修繕工事(12-15年ごと)は修繕積立金から支出されるため、個別の追加負担は原則ありません。ただし、修繕積立金が不足している場合は、一時金の徴収や修繕積立金の値上げが発生する可能性があります。
戸建て
外壁塗装(10-15年ごと、65-150万円)、屋根修繕(20-30年ごと、50-100万円)など、一度に数十万~数百万円の支出が必要です。計画的に積立をしておかないと、家計に大きな負担がかかります。
2024年問題による修繕費高騰の影響
2024年4月から、建設業の残業時間規制が強化されました(2024年問題)。これにより、人手不足が深刻化し、人件費が高騰しています。
影響
- 大規模修繕工事の費用が10-20%上昇
- 修繕積立金の値上げが加速
- 工事の遅延・長期化
マンション・戸建てともに、今後の修繕費の増加を見込んで、余裕を持った資金計画が必要です。
資産価値とライフスタイル別の選び方
建物価値の下落スピード|マンション50年 vs 戸建て30年
建物価値の下落スピードは、マンションと戸建てで大きく異なります。
マンション
- 築10年: 新築の約75%
- 築20年: 新築の約60%
- 築30年: 新築の約50%
- 築50年: 建物価値ほぼゼロ
戸建て
- 築10年: 新築の約50%
- 築20年: 新築の約15%
- 築30年: 建物価値ほぼゼロ(土地価格のみ)
(出典: HOME4U)
戸建ては建物価値の下落が早く、約30年で建物価値がなくなります。一方、マンションは約50年まで建物価値が維持されます。
売却・賃貸のしやすさ|駅近マンション vs 土地価値維持の戸建て
マンション
駅近・人気エリアのマンションは、資産価値が下がりにくく、売却・賃貸しやすいメリットがあります。特に、以下の条件を満たすマンションは資産価値が維持されやすいです。
- 駅徒歩10分以内
- 都心へのアクセスが良い
- 商業施設・学校が近い
- 築年数が浅い(築20年以内)
- 管理状態が良い
戸建て
戸建ては建物価値の下落が早いものの、土地の資産価値が維持されます。ただし、立地選びを誤ると、土地価格も下落するリスクがあります。
資産価値を維持するためには、以下の条件を満たす立地を選ぶことが重要です。
- 駅からのアクセスが良い(徒歩15分以内)
- 人口減少が緩やかなエリア
- 都市計画道路・再開発の予定がない
- 地盤が強固(液状化リスクが低い)
ライフスタイル別の選び方|共働き・子育て・シニア
共働き・駅近重視
マンションがおすすめです。通勤・通学に便利な駅近立地が多く、管理が楽で、セキュリティも高いため、忙しい共働き世帯に最適です。
子育て・自由度重視
戸建てがおすすめです。上下階の物音を気にせず過ごせ、庭で遊ぶことができます。また、子どもの成長に合わせてリフォーム・増築も可能です。
シニア・バリアフリー重視
マンションがおすすめです。ワンフロア完結で段差が少なく、エレベーターがあるため、高齢者にも優しい設計です。また、管理が楽で、セキュリティも高いです。
4人家族の目安
- マンション: 3LDK(60-75㎡前後)
- 戸建て: 4LDK(100㎡前後)
(出典: HOMES)
2025年の市場動向|価格二極化と省エネ住宅の資産価値
2025年現在、不動産価格の二極化が進行しています。購入直後から価値が下がる物件と、10年経っても高く売れる物件の差が拡大しています。
資産価値が維持される物件
- 駅近・人気エリア
- 省エネ・エコ住宅(ZEH、長期優良住宅等)
- 管理状態が良い(マンション)
- 耐震性能が高い
省エネ・エコ住宅は、住宅ローン控除などの優遇を受けやすく、資産価値の維持にもつながります。
(出典: AVANTIA)
まとめ|購入前にチェックすべき5つのポイント
マンションと戸建てのどちらを選ぶべきかは、購入費用、維持費、資産価値、ライフスタイルなど、多角的な視点から判断する必要があります。
初期費用と維持費の総額を試算する
物件価格だけでなく、諸費用、管理費・修繕積立金、固定資産税など、30年間の総額を試算しましょう。マンションは年間約17万円維持費が高く、30年間で約515万円の差が出ます。
家族構成とライフスタイルに合った選択をする
共働き・駅近重視ならマンション、子育て・自由度重視なら戸建てがおすすめです。将来のライフスタイルの変化も考慮しましょう。
資産価値の維持を重視するか、自由度を重視するか
マンションは駅近・人気エリアで資産価値が維持されやすく、売却・賃貸しやすいメリットがあります。戸建ては土地の資産価値が維持される一方、建物価値の下落が早いです。
将来の売却・賃貸の可能性を考慮する
転勤や家族構成の変化により、売却・賃貸の可能性がある場合は、立地・資産価値を重視した物件選びが重要です。
専門家への相談を検討する
住宅購入は大きな決断です。宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、税理士などの専門家に相談し、無理のない資金計画を立てましょう。


